ネコのうた歌を保育で活かすための全知識
「ねこふんじゃった」の歌詞を最後まで言える保育士は、10人に1人もいません。
ネコのうた歌「ねこのこ」の歌詞・振り付けと対象年齢
保育現場でネコの歌といえば、まず名前が挙がるのが「ねこのこ」です。作詞・作曲は出口力さんで、「わたしはねこのこ ねこのこ」という書き出しがあり、2番では「おめめはタラリンコ タラリンコ」と、うれしいときと悲しいときの猫の表情を描き分けた、とても工夫された楽曲になっています。
「ねこのこ」が多くの保育士から支持されている最大の理由は、感情表現を体で学べる構造にある点です。1番では目がクルクルし、おひげがピンと立った「元気な猫」を表現します。2番ではタラリンコとした目、ショボンとしたおひげで「元気のない猫」を表現します。子どもにとって、感情と体の動きが自然にセットになる体験ができます。
つまり情操教育にもなるということです。
振り付けのポイントは以下のとおりです。
- 「クルクル」のとき:両手の人差し指を顔の横でくるくると回す
- 「ピン!」のとき:両手の人差し指・中指を口元に当てひげを表現してピンと伸ばす
- 「タラリンコ」:両手をだらりと下げて、ゆったりと振る
- 「ショボン」:両手で目の下に当て、悲しそうにうなだれる
対象年齢としては0歳児から楽しめます。乳児クラスでは保育士がゆっくりと大げさに表情をつけて歌うと、子どもが反応しやすくなります。3歳以上になると、子ども自身が振り付けを考えて自己流にアレンジするなど、表現の幅が広がります。これが保育学者コダーイ・ゾルターン(1882〜1967年)が強調した「うたうことは幼い子どもにとって最も自然な行為」と一致する遊びのあり方です。
歌詞と振り付けの詳細は、以下の公式ページでも確認できます。
ゆめある「ねこのこ」手遊び・歌詞ページ(複数バージョンあり)
ねこのこは0歳から使える、数少ない感情表現ができる曲です。
ネコのうた歌「ねこふんじゃった」の保育活用と意外な歌詞の魔力
「ねこふんじゃった」はピアノ曲として有名ですが、実は歌詞がある童謡でもあります。作詞は阪田寛夫さんです。ところが、保育士でこの歌詞を最後まで知っている人は驚くほど少ないのが現状です。
厚みのある内容がそこにあります。猫を踏んでしまった→ひっかかれた→謝って和解する、という小さなドラマが詰まっており、「ごめんね」「また仲良くしようね」という気持ちを自然に学べる構成になっています。保育現場では「謝ることや関係修復」を教えるシーンが多いため、この歌詞を読み聞かせ的に使うのも有効です。
「歌詞はあまり知らない方が多い」という現状は、実はもったいないことですね。
メロディそのものは世界26か国以上で親しまれており、ドイツ・オーストリアでは「Flohwalzer(ノミのワルツ)」、ロシアでは「犬のワルツ」、スペインでは「チョコレート」、フランスでは「カツレツ」とも呼ばれています。この曲は特定の作曲者がいない「口伝えで世界中に広まった民謡のような曲」で、歌いやすく覚えやすいことがその普及の理由です。
保育での活用シーンとしては、以下の場面が特に有効です。
- 🎹 ピアノを弾きながら子どもたちが踊る「表現遊び」に使う(主に3歳以上向け)
- 📖 歌詞の内容を読み聞かせのように話してから、動きで表現させる情操あそびに
- 🐱 猫の日(2月22日)の活動導入として、猫に関する歌をまとめて歌うセットの中に組み込む
ピアノで弾くときは主に黒鍵(♯)を使う構造になっており、右手だけで演奏できるバージョンが多い点も保育士にとって嬉しいポイントです。伴奏が苦手な保育士でも比較的取り組みやすい曲といえます。
「ねこふんじゃった」の歌詞は下記で確認できます。
ネコのうた歌「いっちょうめのどらねこ」で数え歌・指遊びを同時に学ぶ
「いっちょうめのどらねこ」は作詞・作曲ともに阿部直美さんによる手遊び歌で、対象年齢は3歳児以上です。一丁目のドラ猫(親指)から五丁目のネズミ(小指)まで、指を順番にさしながら歌い進める構造は「数え歌+指遊び」の2つの学びが同時に得られる優れた教材です。
ドラネコ・クロネコ・トラネコ・ミケネコ・ネズミと登場するキャラクターが増えていくため、子どもたちは「次は誰が来るんだろう?」とワクワクしながら聞けます。これが注意力・記憶力のトレーニングにもなります。
具体的な発達効果として、指と数字の対応関係を「1本目の指=1丁目」と体を使って学ぶため、抽象的な数の概念が身につきやすいといわれています。数の理解が始まりだす幼児クラスへの導入として、特にフィットする曲といえます。
アレンジとして「どこまで速く歌えるかな?」とスピードアップしていくと、3〜4歳児でも大いに盛り上がります。子どもが自然と何度でも繰り返したがる構造になっているのが特徴です。これは繰り返しの中で言葉とリズムを定着させるという、コダーイ・メソードの教育理念とも一致しています。
保育士が実演する参考動画はこちらで確認できます。
指と数字が一致するのが条件です。3歳未満には少し難しい可能性があります。
ネコのうた歌が子どもに与える発達効果を研究から読み解く
「手遊び歌を使うことで集中力が上がる」と多くの保育士が実感しているかと思います。しかし研究の結果は、もう少し複雑な実態を示しています。重要なのです。
梅花女子大学の越中康治氏の研究によると、「導入として行われた手遊びが集中力に効果を発揮するのは、その後の活動と内容が関連している場合に限られる」という結果が出ています。つまり、ネコの歌を使うなら、その後の絵本や製作活動もネコにまつわる内容にするほうが、集中力への効果が高まるということです。
大阪芸術大学白倉朋子氏の研究論文「保育における手遊びの効果」でも同様の問題が指摘されており、「手遊び歌は保育の83%が導入として使われているが、ねらいを明確にしないまま使っている保育者が少なくない」と述べられています。YouTubeやSNSで手軽に情報が手に入る時代だからこそ、子どもの年齢・状況に応じた選曲と明確なねらいの設定が求められます。
手遊び歌には、以下のような発達効果が期待できます。
- 🧠 言語発達:歌詞の言葉がメロディに助けられて定着しやすく、語彙力の向上につながる
- ✋ 運動機能:指先を細かく動かすことで手先の器用さ・リズム感・反射機能が養われる
- ❤️ 社会性・信頼関係:保育士と声・動きを合わせる体験が、大人との信頼関係を育む
- 🎶 音楽的基礎:拍子を感じる・リズムを記憶する・旋律を覚えるといった音楽の基礎が培われる
ネコの歌はその中でも、猫という親しみやすいキャラクターによって、子どもが積極的に参加しやすい特性を持っています。これが「導入成功率の高い素材」として長年使われ続けている理由です。
研究論文の全文はこちらで確認できます。
大阪芸術大学「保育における手遊びの効果──コダーイ・メソードとの関連から──」白倉朋子(PDF)
ねらいを決めてから曲を選ぶのが原則です。
保育士だけが知るネコのうた歌×猫の日の保育活動アイデア
2月22日の猫の日を活用した保育計画は、ネコの歌を最大限に活かせる絶好のタイミングです。猫の日は1987年に「猫の日実行委員会」と「一般社団法人ペットフード協会」が共同制定した記念日で、「2(にゃん)・2(にゃん)・2(にゃん)」という語呂合わせが由来です。子どもたちへの説明にもわかりやすく、保育の導入として使いやすいエピソードです。
ここで紹介するのは、ネコの歌を「軸」にして、歌・絵本・製作・遊びをひとつにまとめる1日の活動フレームです。手遊び歌の研究が示すように、「手遊び歌と活動テーマが一致していること」が子どもの集中力を引き出すカギになります。
🐱 猫の日の保育丸ごと1日プラン(年齢別)
| 年齢 | ネコの歌・手遊び | 絵本 | 製作・遊び |
|---|---|---|---|
| 0〜2歳 | ねこのこ・あがりめさがりめ | 「こねこがにゃあ」「くろねこさん しろねこさん」 | 猫耳カチューシャ(空き箱で作る) |
| 3〜4歳 | ねこちゃんの帽子・ねこときどきらいおん | 「11ぴきのねこ」「ノラネコぐんだんきしゃぽっぽ」 | 折り紙でネコを折る・ポーズ合わせゲーム |
| 4〜5歳 | いっちょうめのどらねこ・ねこふんじゃった | 「ねことねずみ」「11ぴきのねこ」 | ねことねずみ鬼ごっこ・紙皿でネコバッグ |
製作で使う材料は、空き箱・折り紙・画用紙・毛糸など、どれも入手しやすいものばかりです。保育者が事前に枠組みを作っておき、子どもたちが色を選んだり顔を描いたりする工程を担当することで、2〜3歳でも達成感を得やすくなります。
ひとつのテーマで一日がつながると、子どもの理解も深まります。
「ねこときどきらいおん」(鈴木翼×福田翔)のように、ネコが突然別の動物に変身する曲は、子どもたちの想像力を刺激する独特の効果があります。「次は何になるの?」という期待感が持続するため、集中力が切れにくい工夫が含まれた曲として、4歳前後の子どもにとくに喜ばれます。
猫の日の保育活動アイデアと絵本の詳細はこちらでも確認できます。


