童謡ピアノ楽譜を無料で使う前に知っておきたいこと
「ぞうさん」の楽譜を無料でダウンロードすると、著作権侵害で最大1,000万円の罰金になることがあります。
童謡ピアノ楽譜が「無料」でも著作権が切れていない曲がある
「童謡は古い曲だから著作権は切れているだろう」と思う保育士は少なくありません。ところが実際には、有名な童謡の多くが現在も著作権保護期間内にあります。
2018年12月30日に発効したTPP11関連の著作権法改正により、著作権の保護期間がそれまでの「著作者の死後50年」から「死後70年」に延長されました。これは2018年以前に著作権が切れる予定だった楽曲の保護が、さらに20年延長されたことを意味します。
例えば「ぞうさん」(作詞:まど・みちお、作曲:團伊玖磨)の場合、まど・みちおが2014年に101歳で亡くなっているため、著作権が切れるのは2084年頃になります。「やぎさんゆうびん」も同じ作詞・作曲者のため、2080年代まで保護されます。保育の現場でよく使う「手をたたきましょう」(日本語詞)なども、意外と著作権保護期間内の場合があります。
つまり「無料ダウンロードサイトに掲載されている=使っていい楽譜」ではありません。著作権が切れた曲は無料、まだ切れていない曲はダウンロードが有料か、サイト運営者がJASRACへ利用料を支払って掲載しているケースがほとんどです。楽譜の著作権違反は、著作権者が訴えた場合、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。これが条件です。
「でも個人で使うだけなら大丈夫でしょ?」という疑問が湧くかもしれません。個人の練習目的であれば「私的使用」として許容される場合がありますが、保育園での業務上の使用は私的使用に該当しないと一般的に解釈されています。知らなかったでは済まない問題です。
参考:著作権保護期間の延長に関する文化庁の説明
童謡ピアノ楽譜の無料ダウンロード|保育士に人気の3大サイト比較
保育士が安心して使える無料楽譜サイトには、それぞれ異なる特徴があります。どのサイトを使うかを選ぶ際には、収録曲数・難易度・ダウンロードの可否を確認することが大切です。
| サイト名 | 特徴 | 楽譜数 | ドレミ付き |
|---|---|---|---|
| 🎵 ほいくis | 元保育士監修・弾き歌い動画つき | 30曲以上(随時追加) | あり |
| 🎵 ピアノ塾 | 800楽譜以上・難易度別3〜4段階 | 140曲以上(童謡・民謡) | ほぼ全曲あり |
| 🎵 こどもMusiQ | 音楽療法士監修・完全著作権フリー | 20曲以上(全PDFフリー) | あり |
ほいくisは保育士向け情報サイトとして運営されており、元保育士のピアノ講師が演奏する動画と、PDFの楽譜がセットで公開されています。「どんぐりころころ」「夕焼け小焼け」「証城寺の狸囃子」など、保育士試験の実技課題にもなった曲が網羅されているのが強みです。楽譜はシンプルなアレンジで、ピアノが苦手な保育士でも取り組みやすい内容になっています。無料会員登録でダウンロードできます。
ピアノ塾は楽譜数が800点以上と国内有数の無料楽譜サイトです。「どんぐりころころ」「かえるの合唱」「ちょうちょう」など、著作権が切れている童謡・民謡は楽譜のダウンロードまで無料で使えます。一方、著作権保護期間中の楽曲(例:「いるかはザンブラコ」など)はサイト閲覧のみ無料で、ダウンロードは有料です。これが原則です。難易度は入門・初級・中級の3〜4段階に分かれており、自分のレベルに合った楽譜を選べる点が保育士には嬉しいポイントです。
こどもMusiQは音楽療法士が監修した保育向け音楽情報サイトです。掲載している楽譜(PDF)はすべて著作権フリー・無料で利用できます。「キラキラぼし」「むすんでひらいて」「ぶんぶんぶん」など、著作権が消滅した定番曲が中心で、保育で安心して使えます。収録数はほかのサイトより少なめですが、著作権リスクがゼロな点は大きなメリットです。
参考:童謡・民謡の無料楽譜一覧
童謡ピアノ楽譜の無料サイトで「ダウンロード禁止」になっている曲の見分け方
「ダウンロード可能か?」の判断基準を知っておくと、著作権トラブルを未然に防げます。判断の鍵は「著作者の死後70年が経過しているか」です。
著作権が切れている(パブリックドメイン)代表的な童謡には次のようなものがあります。
- 「赤とんぼ」(山田耕筰 作曲、1930年没→2001年以降は著作権消滅)
- 「シャボン玉」「あめふり」(中山晋平 作曲、1952年没→2023年以降は著作権消滅)
- 「どんぐりころころ」(梁田 貞 作曲、1959年没→2030年以降に消滅予定)※経過期間確認が必要
- 「かたつむり」「春が来た」「春の小川」(文部省唱歌→作者不詳扱いで公表後70年で消滅)
- 「きらきら星」「ちょうちょう」「ぶんぶんぶん」(外国民謡・作者不詳→著作権消滅)
一方、著作権保護期間中の要注意な童謡はこちらです。
- 「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」(まど・みちお 作詞 / 2014年没→2085年まで保護)
- 「いるかはザンブラコ」「ニャニュニョのてんきよほう」(比較的新しい曲→長期保護)
- 「バスごっこ」「小鳥のうた」「ゆりかごのうた」(昭和中期以降の曲→多くが保護期間中)
これが基本です。判断が難しいときは、楽譜サイトの利用規約を確認するか、作詞者・作曲者の没年をJASRACの「J-WID(作品データベース検索)」で調べると確実です。著作権が残っている曲の楽譜を保育で使いたい場合は、JASRACへの手続きが不要なほいくisや、有料ダウンロードに対応しているサービスを使うのが安全です。
参考:JASRAC作品データベース検索サービス
童謡ピアノ楽譜の無料サイト活用術|ドレミ付き・初心者向けの選び方
ピアノが苦手な保育士にとって、「どの楽譜を選ぶか」は練習効率に直結します。特にドレミ付きの楽譜の存在は、読譜に自信がない方にとって大きな助けになります。
まず確認したいのが「難易度表記」です。ピアノ塾では「入門・初級・中級・上級」の4段階、ほいくisでは保育向けアレンジに特化した楽譜が掲載されています。入門楽譜はほぼ全音符にドレミのふりがなが付いており、音符が読めなくても練習できる設計です。これは使えそうです。
難易度選びの目安をまとめると次のとおりです。
- 🟢 入門〜初級:右手のみ、またはドレミ付きで左手はシンプルなコードのもの。バイエル前半〜中盤レベル。
- 🟡 初中級:両手でメロディと伴奏が付いているもの。バイエル修了〜ブルクミュラー前半レベル。
- 🔴 中級以上:前奏・後奏つき、または和音が複雑なもの。実技試験合格後に挑戦するイメージです。
保育士試験のピアノ実技では「バイエル修了程度」が多くの園の採用目安とされています。ただし試験本番では演奏の完璧さより、「明るく元気に歌いながら弾けるか」が重視されます。高難度の楽譜より、弾き歌いがしやすいシンプルな楽譜を選ぶのが正解です。
楽譜を印刷する際は、A4でそのまま印刷すると文字が小さくなりすぎることがあります。ピアノ塾の楽譜は「音のたまを大きく見やすくしたアレンジ」が売りで、A4サイズで見やすく作られています。実際の保育現場でピアノの譜面台に置いたとき、読みやすい大きさかどうかも確認するといいでしょう。
練習時間が取りにくい保育士には、「1日20〜30分の集中練習」を習慣にすることをおすすめします。毎日少しずつ続けることが最も効率的な上達の近道です。弱点の小節だけをくり返す「部分練習」が特に効果的で、全体を通して弾くよりも3倍速く定着するといわれています。
保育士試験のピアノ実技に使う童謡楽譜の無料入手と注意点
保育士試験の実技(音楽)では、課題曲が毎年指定されます。2025年(令和7年)の課題曲は「証城寺の狸囃子」と「ハッピーバースデートゥーユー」でした。これら課題曲の楽譜は「指定なし=自由に選んでよい」とされていますが、著作権がある曲も含まれるため、無料ダウンロードには注意が必要です。
ほいくisでは保育士試験の実技対策ページを設けており、令和7年度の課題曲2曲について弾き歌い動画と楽譜のセットを無料公開しています。元保育士のピアノ講師が監修した楽譜なので、難易度や伴奏パターンが実際の試験向けに最適化されている点が大きなメリットです。
試験対策として楽譜を選ぶ際のポイントは次の3つです。
- 🎵 弾き歌いができる難易度か:歌いながら弾ける程度のシンプルさが重要です。左手のコードが複雑すぎると、歌が止まります。
- 🎵 コードネームが記載されているか:伴奏の流れを把握しやすくなり、暗譜の助けになります。
- 🎵 前奏・後奏の有無:試験では前奏も評価対象です。シンプルな前奏パターンが付いている楽譜を選びましょう。
「証城寺の狸囃子」は跳ねるリズムが特徴的で、練習を重ねないとリズムが崩れやすい曲です。「ハッピーバースデートゥーユー」は3拍子の曲で、3拍子に慣れていない方は特に左手の練習を重点的に行うとよいでしょう。
なお、保育士試験の実技では「楽譜を見ながら演奏してOK」です。暗譜は必須ではありませんが、楽譜を見ながらでも表情豊かに歌えることが合格のカギです。ミスタッチがあっても、歌声が明るく安定していれば合格できる可能性は十分にあります。
参考:保育士試験の音楽実技概要と楽譜の選び方
童謡ピアノ楽譜の無料活用を深める|「聴かせる伴奏」になるアレンジの工夫
ここは検索上位ではあまり語られない、独自の視点からお伝えします。無料楽譜をそのまま弾くだけでは「音を出しているだけ」になりがちです。子どもが聴いて楽しい伴奏にするための工夫を、3点紹介します。
① テンポを「遅め」に設定する
保育士が陥りやすい失敗は、「早く弾こうとしてテンポが不安定になる」ことです。子どもが歌を合わせるためには、一定のテンポが何より大切です。楽譜に表記されているテンポより10〜20%ゆっくり弾く練習から始めると、安定感が格段に上がります。実際の保育現場では「子どもの歌いやすいテンポ」が正解です。
② 強弱を意識する
無料楽譜のほとんどは強弱(pやf)の指示が省略されています。そのため、すべて同じ音量で弾いてしまう保育士が多くいます。1番のサビを「少し音量を上げる」、歌詞の繰り返し部分を「少し静かにする」といった工夫をするだけで、演奏が一気に生き生きとします。強弱が付いていれば十分です。
③ 右手を歌声に、左手を伴奏に徹させる
初心者がやりがちなのが「右手と左手を同じ音量で弾く」ことです。保育のピアノ伴奏では、メロディを弾く右手より、コードを刻む左手をやや小さめに弾くことで、歌が前に出て子どもたちが歌いやすくなります。つまり「伴奏は添える音楽」という意識が基本です。
これら3つのポイントは、バイエル修了程度の技術でも今日から実践できます。楽譜の難易度を上げる前に、今弾いている曲のクオリティを上げることが、保育士としてのピアノスキルを磨く最短ルートといえます。
楽譜の種類や弾き方に悩んだときは、こどもMusiQやほいくisで公開されているピアノ演奏動画を参考にするとイメージがつかみやすくなります。実際に音を聴きながら楽譜を確認できるのは、動画付きの無料サービスならではのメリットです。
参考:保育向け定番曲の演奏動画と楽譜セット(ほいくis)


