落ち葉の歌・童謡を保育でもっと活かす方法
「落ち葉の歌をただ歌うだけ」では、子どもの感性は7割しか育たないと言われています。
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落ち葉の歌「おちばのうた」の童謡としての背景と歌詞のねらい
保育の現場で「落ち葉の歌」といえば、まず挙がるのが「おちばのうた」です。作詞は佐藤義美、作曲は團伊玖磨という、昭和を代表する二人の組み合わせで生まれた童謡です。
佐藤義美(1905〜1968年)は大分県竹田市出身で、「犬のおまわりさん」や「アイスクリームのうた」など、今も保育現場で歌い継がれる名曲を多数生み出した詩人・童謡作詞家です。早稲田大学在学中に雑誌『赤い鳥』へ投稿を始め、昭和の童謡文化を支えた第一人者のひとりでした。代表作「犬のおまわりさん」は2007年(平成19年)に「日本の歌百選」にも選出されています。
作曲を担当した團伊玖磨もまた、「ぞうさん」をはじめとする数多くの子ども向け楽曲を手がけた作曲家です。このふたりによって生まれた「おちばのうた」は、親しみやすいメロディーと、落ち葉の持つ温かみを自然に表現した歌詞が特徴的です。
つまり、豊かな文化的背景を持つ一曲です。「なあにがうれしい おちばでしょ」という問いかけの歌詞は、子どもたちが「どんなおちばかな?」と想像する余地を与えます。この「問いかけ→想像する」というプロセスが、子どもの感性と言語表現力を同時に育てる構造になっています。
実際に「おちばのうた」を歌う際は、歌詞の内容に合わせて本物の落ち葉を手に持って歌ったり、色の違う落ち葉(赤・黄・茶)を並べながら歌ったりすることで、歌詞が生きた言葉として子どもたちに届きます。歌を「聴く・歌う」だけで終わらせず、視覚や触覚とリンクさせるのが基本です。
参考:佐藤義美の作品一覧や生涯については、Wikipediaの詳細な情報が役立ちます。
佐藤義美 – Wikipedia(童謡作詞家・詩人としての経歴と代表作)
落ち葉の歌「ひらひらおちば」の童謡としての手遊び歌の特性と活用法
「ひらひらおちば」は作詞・作曲ともに荒巻シャケさんによる、保育現場で大人気の手遊び歌です。「おちばのうた」が情緒豊かな童謡であるのに対し、「ひらひらおちば」は動きと音の面白さで子どもを引きつけるタイプの歌遊びです。
この歌の最大の特徴は、シンプルさと拡張性の高さにあります。「ひらひら ひらひら おちば」という繰り返しフレーズと、「あたまに ぺったんこ」「ほっぺに ぺったんこ」という身体部位を変えていくパターンは、0歳児〜5歳児まで幅広く楽しめます。これは使えそうです。
特に0〜2歳児クラスでは、保育士が子どもの頭やほっぺにやさしく手をあてながら歌うことで、スキンシップによる安心感と愛着形成につながります。3〜5歳児クラスでは、「どこにぺったんこしようか?」と子どもたちにリクエストを募り、「おへそに ぺったんこ」「せなかに ぺったんこ」など、子ども発信で歌詞をアレンジしていく活動に発展できます。
折り紙や画用紙で作ったもみじやいちょうの落ち葉を実際に使いながら歌えば、視覚的な刺激と身体感覚が同時に加わり、さらに印象深い活動になります。
| 曲名 | タイプ | 対象年齢の目安 | 主なねらい |
|---|---|---|---|
| おちばのうた(佐藤義美・團伊玖磨) | 童謡(斉唱) | 3〜5歳児 | 情緒・言語表現・季節感 |
| ひらひらおちば(荒巻シャケ) | 手遊び歌 | 0〜5歳児 | スキンシップ・身体感覚・拡張性 |
| たきび(巽聖歌・渡辺茂) | 童謡(斉唱) | 3〜5歳児 | 季節感・温かさ・情景表現 |
| いちょうのはっぱ(さとうよしみ・溝上日出夫) | 歌遊び | 2〜5歳児 | 季節の移り変わり・言葉のリズム |
保育現場での活用においては、同じ「落ち葉」をテーマにした複数の曲を並べて使うのが効果的です。朝の会で「ひらひらおちば」の手遊びで導入し、落ち葉拾い散歩のあとに「おちばのうた」を歌う、という流れにすると、活動と歌がつながって子どもたちの記憶に深く刻まれます。
参考:保育現場で人気の秋の歌と手遊びについては、以下のサイトでも詳しくまとめられています。
保育求人ガイド|保育園で歌える秋の歌17曲(9月〜11月、ひらひらおちばの歌詞付き)
落ち葉の歌・童謡を年齢別に保育で取り入れるポイント
「落ち葉の歌をどの年齢でどう使えばいいか分からない」という声は、保育実習生だけでなく現場の保育士にも多く聞かれます。年齢別のアプローチを整理しておくことが大切です。
0〜2歳児(乳児クラス) では、歌の「内容理解」よりも「音とリズムの心地よさ」と「保育士との身体的なつながり」を優先します。「ひらひらおちば」のような繰り返しが多く、動作がシンプルな手遊び歌が最適です。特に0歳児は、保育士が抱っこしながら優しくゆっくりと歌うだけで、声の温かさと揺れのリズムが安心感を生みます。
- 🍼 0歳児:保育士が抱っこしながらゆっくり歌い、「ぺったんこ」で頬に手をあてるスキンシップ中心
- 🧸 1歳児:「ひらひら」のてのひらを振る動作をまねさせる。声が出たら大きく反応してあげる
- 🎈 2歳児:本物の落ち葉を1枚手に持ち、「ひらひら」と振りながら歌う。感触体験と歌をリンクさせる
3〜5歳児(幼児クラス) では、歌詞の意味を理解しながら「表現する」活動へと広げていきます。「おちばのうた」の「なあにがうれしい おちばでしょ」という問いかけに対し、「赤いおちばが うれしい!」「大きなかしわのは が うれしい!」と子ども自身の言葉で答えを作るアレンジ活動は、言語能力と創造性を同時に伸ばします。
- 🌿 3歳児:歌詞の意味を一緒に考えながら歌う。「これはなんていう木の葉っぱかな?」と会話をはさむ
- 🎵 4歳児:歌詞の一部を子どもオリジナルに替えて歌うアレンジ活動に挑戦
- 🎼 5歳児:グループごとに違う落ち葉の種類を担当し、「みんなのおちばのうた」を合唱する発表活動へ
大阪芸術大学が行った研究では、手遊び歌は「言葉の発達や数の理解を助け、旋律を記憶する・拍子を感じる・リズムを記憶する経験ができる」と報告されています。指先の細かい動きを使う手遊びは、知能発達にも有効とされています。
参考:手遊びの発達的効果については以下の論文が参考になります。
大阪芸術大学|保育における「手遊び」の効果(PDF:言語発達・知能発達との関係性)
落ち葉の歌・童謡と製作・自然遊びを組み合わせる保育のアイデア
「落ち葉の歌を歌って終わり」では、子どもの体験が浅くなってしまいます。歌を「起点」にして、製作や自然遊びへとつなげることで、保育活動が立体的になります。
🍂 散歩→歌→製作のセット活動(例)
落ち葉拾いの散歩前に「ひらひらおちば」を歌い、「今日はどんなおちばが見つかるかな?」と期待感を高めます。散歩で集めた落ち葉を園に持ち帰り、「おちばのうた」を歌いながら色や形を観察します。その後、落ち葉スタンプや落ち葉コラージュの製作につなげると、歌・自然体験・造形表現が一本の線でつながります。
🎨 落ち葉を使った年齢別製作アイデア
- 🌱 0〜1歳児:落ち葉の上から絵の具でローラーがけ(感触と色の体験)
- 🌾 2〜3歳児:落ち葉スタンプで秋の木を画用紙に描く
- 🍁 4〜5歳児:落ち葉の形を活かした「葉っぱのモンスター」コラージュアート
製作活動のねらいとして「落ち葉にふれ、秋らしさを感じる」「季節の移り変わりを感じて表現する楽しさを味わう」が挙げられています。これはまさに「おちばのうた」が問いかける「なあにがうれしい おちばでしょ」の精神と重なります。
🎵 リトミックとの組み合わせアイデア
「ひらひらおちば」をリトミック活動に取り入れる方法もあります。落ち葉が「ひらひら」と舞い落ちる動きをスカーフや薄い紙で表現し、「ぺったんこ」のタイミングで床にぺたっと伏せるゲームにすると、音楽のタイミング感覚と身体コントロール能力が同時に育ちます。
音楽に合わせて体を動かすリトミックは、3〜5歳児の協調性と集中力を伸ばすとされており、「たきび」「まつぼっくり」といった他の落ち葉・秋テーマの童謡と組み合わせて使うのも効果的です。
参考:落ち葉製作の年齢別アイデアとねらいについては以下が参考になります。
保育士バンク!|保育園・幼稚園の落ち葉製作(1歳〜5歳児の年齢別アイデアとねらい)
落ち葉の歌・童謡を深める!保育士だけが気づける歌詞の仕掛け
ここでは、検索上位の記事ではあまり語られていない視点をお伝えします。落ち葉の歌には、保育士が意識することで子どもの体験を何倍にも豊かにする「仕掛け」が隠れています。
「おちばのうた」の問いかけ構造という隠れた仕掛け
「なあにがうれしい おちばでしょ」という歌い出しは、一見すると単純な歌詞に見えます。しかし、これは「問いかけ」という構造を持った非常に教育的な設計です。子どもは問いかけられると、自然に答えを探し始めます。「なぜ落ち葉がうれしいの?」という思考プロセスが生まれ、これが観察力・想像力・言語化能力を刺激します。
佐藤義美が意図的にこの問いかけ構造を選んだかは定かではありませんが、彼が1924年から雑誌『赤い鳥』に童謡を投稿し始めた時代の童謡文学は、「子ども自身の感性を尊重する」という理念を持っていました。つまり、答えを与えず問いかける姿勢は、その時代の童謡の精神と一致しています。
「たきび」と落ち葉の深い関係
「たきびだ たきびだ おちばたき」という歌詞で知られる童謡「たきび」(作詞:巽聖歌、作曲:渡辺茂)も、落ち葉と深く結びついた名曲です。この歌は実は、放送禁止になったことがある童謡でもあります。戦時中、「たき火」が灯火管制に反するとされたためと言われており、昭和の時代背景を今に伝える貴重な記録でもあります。
保育士がこうした背景を知っておくことで、ただ「歌を教える」ではなく、「歌に込められた時代と感情を伝える」という深い関わりが生まれます。これが子どもの情操教育に厚みをもたらします。
歌詞の中の「秋の色」を視覚化する工夫
「まっかな秋」や「もみじ」などの落ち葉・紅葉テーマの童謡に出てくる「赤」「黄」「茶」「橙」などの色を、実際に色カードや本物の葉で見せながら歌う方法があります。これは「言葉と色を結びつける」認知的な学びになります。
3〜5歳児が「あかいはっぱ は もみじ、きいろいはっぱ は いちょう」と分類できるようになると、観察力と語彙力が同時に伸びます。言葉と感覚が結びつくということですね。これはただ歌うだけでは得られない体験です。
- 🔴 もみじ・ツタ → 赤系
- 🟡 いちょう・ポプラ → 黄色系
- 🟤 かしわ・くぬぎ → 茶系
- 🟠 ハナミズキ・ナナカマド → 橙系
このように、落ち葉の色を歌詞の言葉と照らし合わせながら学ぶ活動は、5歳児クラスの秋の総合活動として特に充実した内容になります。
落ち葉の歌・童謡を発表会や保育参観に活かすステップアップ実践
秋の歌や落ち葉の童謡は、日常保育での歌遊びだけでなく、発表会や保育参観などの「見せる場面」でも輝きます。ただ歌うだけでなく、視覚的な演出と組み合わせることで、保護者の心にも残る発表になります。
🌟 乳児クラス(0〜2歳)の発表アイデア
保育参観では、「ひらひらおちば」の手遊びを保護者と子どもが一緒に行うスタイルが人気です。保育士が見本を見せ、子どもが保護者の膝の上に座った状態で一緒に「ぺったんこ」するスキンシップ型の参観は、保護者からの満足度が高い傾向があります。
発表として特別な準備は不要です。普段の姿を見てもらうことが、乳児クラスの参観では最も大切です。
🌟 幼児クラス(3〜5歳)の発表アイデア
3〜5歳児クラスでは、「おちばのうた」と製作を組み合わせた「おちばコンサート」がおすすめです。
- 📌 ステップ①:子どもたちが拾った落ち葉を使った製作作品を壁面に飾る
- 📌 ステップ②:「おちばのうた」を斉唱で発表する
- 📌 ステップ③:落ち葉スタンプのプログラム用紙を子どもたちが作り、保護者に配る
- 📌 ステップ④:「ひらひらおちば」の手遊びを保護者も交えて全員で行う
この構成は、子どもたちにとって「自分たちが作ったものが役に立っている」という達成感と自尊感情の育ちにつながります。また保護者側も「子どもがどんな経験をしているか」を体感できます。
発表会で「おちばのうた」を使う際は、ピアノ伴奏の音量を控えめにして子どもの声が主役になるよう意識するのがポイントです。ピアノが大きすぎると、子どもたちが自分の声に自信を持ちにくくなります。これは音の面で大切な視点です。
音楽之友社の教材カタログには「おちばのうた」の楽譜(斉唱・ピアノ伴奏)が掲載されており、保育現場での教材として幅広く活用されています。


