東北民謡の有名な曲と保育に活かす歌い方

東北民謡の有名な曲を保育に活かす方法と基礎知識

東北民謡は「古いもの」だと思って、子どもたちへの導入を後回しにしていませんか?

この記事でわかること
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東北6県の有名な民謡を県別に解説

津軽じょんがら節・会津磐梯山・花笠音頭など、保育士なら押さえておきたい代表曲とその背景がわかります。

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幼児期に民謡に触れる科学的根拠

東京家政大学などの研究から、幼児期の民謡体験が感性・身体・言語発達に与えるプラスの効果を紹介します。

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保育現場ですぐ使える導入アイデア

年齢別の取り入れ方から、民謡を使った遊び・身体表現まで、明日の保育にすぐ役立つ実践的な方法を紹介します。

東北民謡の有名な曲を県別に一覧で知ろう

 

「東北民謡」と一口に言っても、青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県それぞれに個性豊かな民謡があります。保育士として子どもに紹介する際、どの曲がどの地域の文化を背景にしているかを知っておくと、説明に厚みが増します。

まず各県の代表曲をまとめると、以下のようになります。

都道府県 代表的な有名民謡 主な特徴
青森県 津軽じょんがら節 津軽三味線の代表曲。力強い節回しが印象的
岩手県 南部牛追唄 牛と共に山道を歩く牛飼いの労働歌
宮城県 大漁唄い込み(斉太郎節) 豊漁を祝う祝い唄。「エンヤードット」の掛け声が特徴的
秋田県 秋田おばこ 仙北地方の若い娘を主人公にした叙情的な唄
山形県 花笠音頭 大正時代の土木作業歌が起源。山形花笠まつりで有名
福島県 会津磐梯山 昭和9年に小唄勝太郎の録音で全国に普及した盆踊り唄

各曲の背景には、その土地の暮らし・季節・仕事が刻み込まれています。つまり、民謡は「生活の記録」です。子どもたちに聴かせるときも、「昔、この地域の人たちはこんな仕事をしていて、その時に歌っていたんだよ」と一言添えるだけで、聴き方が変わってきます。

保育の場で全6県の曲を扱う必要はありません。まずは1〜2曲選んで深く知ることが基本です。


参考:東北各県の民謡一覧(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)の詳細リストが確認できます。

よく歌われる東北の民謡の歌詞と歌い方(動画付き)- japason.net

東北民謡で有名な津軽じょんがら節・大漁唄い込みの歴史と背景

東北民謡の中でも特に知名度が高い2曲が、青森の「津軽じょんがら節」と宮城の「大漁唄い込み(斉太郎節)」です。保育士として文化的な背景を理解しておくと、保護者への説明や行事での活用がスムーズになります。

津軽じょんがら節は、青森県黒石市(旧・浅瀬石村)に伝わる発祥伝説があります。1597年(慶長2年)、浅瀬石城主・千徳政氏が大浦為信によって滅ぼされた際、その悲劇を悼んで家臣たちが歌い始めたのが起源とされています。「じょんから」という名前は、城主の墓地があった地名「上河原(じょうがわら)」に由来するという説が有力です。歴史はおよそ400年。現在は「旧節」「中節」「新節」と3種類のスタイルがあり、特に新節はスピード感あふれる三味線の曲弾きスタイルで、音楽番組などで目にする機会が多いです。

大漁唄い込み(斉太郎節)は、宮城県牡鹿半島の沿岸地域に伝わる櫓漕ぎ唄が元になっています。「エンヤードット」という独特の掛け声が耳に残りますね。この曲は「御祝」「斎太郎節」「遠島甚句」の3曲からなる組曲形式で、大正時代に後藤桃水によってまとめられ、全国的な知名度を得ました。本来は伴奏なしの無伴奏で歌われるもので、演奏会スタイルでは三味線や鳴物が加わります。子どもたちと一緒に「エンヤードット!」と掛け声を真似するだけでも、充分な音楽的体験になります。

これら2曲に共通するのは、「過酷な環境で生きた人々の心の叫び」が込められているという点です。たくましさと情感が同居するのが東北民謡の魅力と言えます。


参考:津軽じょんがら節の由来と歴史的背景が詳しく解説されています。

津軽じょんから節の解説 – 公益財団法人 日本民謡協会

有名な東北民謡が子どもの発達に与える効果とは

「民謡は大人向け」と思われがちですが、それは大きな誤解です。東京家政大学の梅谷千代子氏による研究「幼児期の民謡体験が心身に及ぼす効果について」(富山県南砺市立平みどり保育園を対象)では、幼児期に地域の民謡・民踊に触れることが幼児の豊かな感性と表現する力を養い、創造性の育みにつながるという結果がまとめられています。

では、なぜ民謡が幼児の発達に効果的なのでしょうか? いくつかの視点から整理します。

まず言語発達への効果があります。民謡には「エンヤードット」「ヤッショーマカショ」「チョイチョイ」といった特有の囃し言葉が多く含まれており、これらは発音の多様性・リズム感・口腔機能の発達に直接つながります。保育の場でよく使われる童謡と比べ、音域や抑揚の幅が広いため、声の使い方を自然に学ぶ機会になります。これは使えそうです。

次に身体リズム感の育成です。民謡は基本的に労働歌や踊り歌が起源で、身体を動かすためのテンポとリズムが内包されています。子どもが自然と体を揺らし、手拍子をしたくなる構造になっているため、リトミック的な活動にも応用できます。

さらに郷土への愛着形成という側面も見逃せません。地域の文化・歴史・自然を歌った民謡を耳にすることで、子どもたちは「自分たちの地域にはこんな物語がある」という感覚を持つようになります。文化的アイデンティティの育ちは、幼児教育の要領でも重視されている領域です。

民謡が発達に良いということですね。現場に取り入れる根拠として、保護者への説明にも活用できます。


参考:幼児期の民謡体験が身体的発達や健康に及ぼす効果を論じた学術論文です(東京家政大学)。

幼児期の民謡体験が心身に及ぼす効果について – 東京家政大学リポジトリ

保育現場で有名な東北民謡を取り入れる年齢別の導入アイデア

民謡を保育に取り入れたいと思っても、「どう導入すればいいかわからない」という声は多く聞かれます。年齢の発達段階に合わせて工夫することが、成功の鍵です。

0〜1歳児(乳児クラス)では、無理に歌わせようとする必要はまったくありません。保育士がゆったりしたテンポで民謡のメロディーを口ずさみながら、抱っこや体をさする動作をするだけで十分です。「斉太郎節」のように波のようなゆったりとした節のある曲は、子守歌的な使い方ができます。聴かせるだけでOKです。

2〜3歳児では、囃し言葉に反応させることから始めましょう。「エンヤードット!」「ドッコイショ!」「ヤッショーマカショ!」など、民謡に登場する短くリズミカルな言葉をゲーム感覚で繰り返すと、子どもたちはすぐに覚えます。保育士が大きな声でかけ声を出し、子どもたちが続いて叫ぶだけの簡単な活動でも、音楽的感性と発語の促進に十分効果があります。

4〜5歳児(幼児クラス)では、踊りとセットで民謡を取り入れるのが最も効果的です。「花笠音頭」は花笠の小道具を作るクラフト活動とセットにできますし、「南部牛追唄」は絵本を使って牛追いの仕事を想像させてから歌うと、子どもたちの理解が深まります。

年齢 おすすめの取り入れ方 おすすめの曲
0〜1歳 聴かせる・ゆったり体揺らし 大漁唄い込み(斉太郎節)
2〜3歳 囃し言葉のくり返しゲーム 会津磐梯山・花笠音頭
4〜5歳 踊り・クラフト・絵本との連携 花笠音頭・南部牛追唄・秋田おばこ

導入は「聴かせることから」が原則です。子どもが音に慣れ、自然と口ずさむようになってから歌の活動へ移行すると、無理のない定着が生まれます。一週間以上、BGMとして繰り返し流しておくのが一番簡単な最初のステップです。

民謡に特化した子ども向けのCD教材(例:「日本民謡 子どもが親しむ名曲集」など)を保育室に置いておくと、自由遊びの時間にも自然に耳に入る環境が作れます。環境を作ることが条件です。

保育士が東北民謡の有名曲を教える際の独自視点:「労働の記憶」を伝える意義

ここでは、一般的な民謡の解説記事にはあまり書かれていない視点をお伝えします。東北民謡の多くは「労働の場で生まれた唄」です。これは単なる音楽的な特徴ではなく、保育士が子どもに民謡を伝える際の核心的な価値につながります。

現代の子どもたちの生活環境は、「労働の風景」からほぼ切り離されています。田植えをしたことがない、魚を網で引いたことがない、牛を追ったことがない。そういった子どもたちに民謡を聴かせるとき、「これは昔の人が、体を使って働きながら歌っていた歌なんだよ」という説明を加えることで、民謡の意味が一気に豊かになります。

たとえば南部牛追唄には「田舎なれども南部の国は 西も東も金の山」という歌詞があります。これは南部藩(現在の岩手県)の豊かさを誇らしげに歌ったものです。牛を追いながら、自分たちの土地を誇りに思っていた。そのことを5歳児に話すと、「牛って何頭くらいいたの?」「山に金があるってどういうこと?」と子どもたちの問いが広がります。民謡は「問いを生む素材」になるということですね。

また、花笠音頭は1919年(大正8年)に山形県尾花沢市で行われた徳良湖の築堤工事の際、労働者たちが歌った土搗き唄が起源です。現在では「山形花笠まつり」の華やかな踊りとして知られますが、もとは汗をかきながら土を踏み固める重労働の歌でした。この背景を知ったうえで花笠踊りを踊ると、踊りに込められたものの重みが変わってきます。

保育士が「正しい知識」を持って伝えることが、子どもの文化的感受性を育てる第一歩になります。「なんとなく踊れるようにする」だけでは届かない深みを、民謡は持っています。意外ですね。

先ほど触れたわらべうたの研究でも「保育者から子どもへ」という形での伝承が、子どもの遊び文化の継続において最も重要な役割を担うと指摘されています。民謡も同様です。保育士自身が民謡を「生きた文化」として捉え直すことが、何よりも大切です。


参考:花笠音頭の発祥の地・尾花沢市による公式解説ページです。歌の起源と変遷が詳しく記されています。

花笠おどり – 尾花沢市公式サイト

参考:わらべうたの保育的価値と、保育者による伝承の重要性について詳しく解説されています。

「わらべうた」が子どもの発達を左右する – マイナビ保育士

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