鉄琴おもちゃの楽譜を使った保育の音遊び完全ガイド

鉄琴おもちゃと楽譜で広がる保育の音遊び

100円ショップの鉄琴おもちゃを使い続けると、子どもの音感が狂ったまま育ちます。

🎵 この記事でわかること
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鉄琴おもちゃの選び方と音程の重要性

安価な鉄琴おもちゃに多い「音程ずれ」の問題と、保育現場で選ぶべき楽器の基準を解説します。

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年齢別・楽譜の活用と指導アイデア

3歳〜5歳の年齢に応じた色シール楽譜の作り方、ドレミ表示の工夫など、現場で使えるメソッドを紹介します。

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鉄琴で弾けるおすすめ曲と無料楽譜の探し方

きらきら星、聖者の行進など鉄琴おもちゃで演奏しやすい曲一覧と、無料楽譜の入手方法をご案内します。

鉄琴おもちゃの「音程ずれ」が子どもの絶対音感を台無しにする理由

 

保育士さんの中には「おもちゃの鉄琴なら何でも大丈夫」と思っている方も多いかもしれません。しかし、市場に出回っている子ども向けの鉄琴おもちゃには、ドレミの音程設定が適当で、正しい音程から大きくずれているものが数多く存在します。これは単なる「音のクオリティ差」にとどまらず、子どもの音感発達に深刻な影響を与えます。

絶対音感は一般的に6〜7歳までの幼少期にしか習得できないとされています。これを「臨界期(音の敏感期)」と呼びます。この時期に音程がずれた楽器おもちゃを繰り返し聴かせると、「ドはこの音」という誤った音記憶が定着してしまうのです。つまり正しい音感を育てるどころか、むしろ音感を歪めるリスクがあります。

音楽専門家の調査では、子ども用楽器おもちゃ(ギター・木琴・鉄琴・ピアノ・笛など)には、ドレミの設定が適当なものが「数多く存在する」と報告されています。保育士として現場で使う鉄琴おもちゃを選ぶ際には、音程の正確さを必ず確認することが大前提です。

では、どう見分けるか? 実店舗で購入する場合は、スマートフォンの無料チューナーアプリを使って全音板を鳴らし、針が中央に集まるかどうかを確認しましょう。目盛りが左右に大きく振れるものは避けてください。ネットで購入する場合は、河合楽器(カワイ)などのピアノメーカーが手がける製品を選ぶのが安全策です。音のシナプスは3歳までに9割が出来上がり、6歳にはほぼ完成すると言われています。保育の現場で触れる楽器だからこそ、音質にはこだわりたいところです。

正しい音程が基本です。

子供に絶対音感を習得させるうえで質の低い楽器おもちゃは禁物(参考記事:楽器おもちゃの音質と絶対音感の関係)

鉄琴おもちゃの楽譜を子どもが読めるようにする「色シール方式」とは

保育現場で鉄琴おもちゃを使った演奏活動をスムーズに進めるうえで、最大のハードルが「楽譜をどう子どもに伝えるか」です。3〜5歳の子どもは五線譜を読むことはできません。そこで多くの保育士さんが実践しているのが「色シール方式」です。

色シール方式とは、ドから始まる各音板に色シールを貼り、楽譜の音符にも同じ色を使って印をつけるという方法です。たとえば「ドは赤・レは橙・ミは黄…」のように音階ごとに色を決め、楽譜と鉄琴の音板の両方にシールを貼ります。すると文字が読めない子どもでも「赤→橙→黄」という色のパターンを追うだけで演奏できるようになります。これは現場で広く使われている手法です。

さらに効果的なのが「大きな楽譜」の作成です。A4用紙ではなく画用紙(B2サイズほど)に音符を大きく書き、クラス全員で確認できるよう黒板や壁に貼ります。視覚情報が子どもの記憶に残りやすく、「次はどの音か」をクラス全体で確認しながら演奏できます。特に鉄琴や木琴などの有音程楽器では、この大型楽譜が指導の核になります。

楽譜は「色で視覚化する」が原則です。

もう一歩進んだ方法として、子どもと保育士が「一緒に楽譜を作る」という方法があります。白い紙にマスを書き、一緒に音符シールを貼ることで、子ども自身が楽譜の仕組みを理解するきっかけにもなります。これを実践した園では「楽譜への理解が明らかに早くなった」という声も多く聞かれます。

なお、ひらがなが読めない子どもには、色だけでなく「音板の位置(左から何番目か)」を数字で示す方法も効果的です。「ドは1番、レは2番…」と番号で覚えさせると、楽譜なしでも演奏できる子も出てきます。これは使えそうです。

4〜5歳児の合奏指導の進め方やアイデア(参考:有音程楽器の楽譜作成方法が詳しく解説されています)

鉄琴おもちゃで弾けるおすすめ曲と楽譜の選び方

鉄琴おもちゃで演奏できる曲を選ぶ際、「ドレミファソラシドの8音だけで弾ける曲」を選ぶのが鉄則です。半音(♯や♭)を多く含む曲は、子ども用の鉄琴では音板が足りないことがほとんどですし、指導の難易度も大幅に上がります。

以下は、鉄琴おもちゃ(8音)で演奏しやすい定番曲の例です。

難易度 曲名 ポイント
⭐☆☆(易しい) メリーさんのひつじ ドレミの3音が中心。初めての演奏に最適
⭐☆☆(易しい) ちょうちょう スペイン起源。低音も少なく弾きやすい
⭐⭐☆(普通) きらきら星 フランスのシャンソン。世界的な定番曲
⭐⭐☆(普通) 聖者の行進 リズムが明確でテンポを合わせやすい
⭐⭐☆(普通) かえるの合唱 輪唱にもアレンジできる人気曲
⭐⭐⭐(難しい) おおきな栗の木の下で 手遊びとセットで活動の幅が広がる
⭐⭐⭐(難しい) よろこびのうた ベートーヴェン第九」より。低いソに注意

楽譜の入手方法についても確認しておきましょう。保育向けの無料楽譜が充実しているサイトとして、「ほいくis」と「HoiClue(ほいくる)」が有名です。どちらも無料メンバー登録だけで多数の楽譜をダウンロードできます。「大きな栗の木の下で」「むすんでひらいて」などの定番曲は、アンサンブル対応の楽譜も揃っているので、鉄琴パートだけ印刷して使うことも可能です。

無料楽譜は要登録が条件です。

また、保育士向けには「ドレミ表記つき」の楽譜がとくに使いやすく、音符の下にドレミが書かれていれば、鉄琴の音板の色シールと照合しながら演奏の進行を確認できます。楽器の購入時に簡単な楽譜集が付属している鉄琴おもちゃも市販されており、特にボーネルンド・エドインターなどの知育玩具ブランドは楽譜の付属品が充実しています。

保育で使える無料楽譜一覧(ほいくisダウンロード:アンサンブル向けの楽譜が複数掲載)

年齢別・鉄琴おもちゃの楽譜を使った指導ステップ

同じ鉄琴おもちゃを使う活動でも、3歳・4歳・5歳では指導のアプローチがまったく異なります。年齢に合ったステップを踏まないと、子どもが混乱して楽器嫌いになるリスクもあります。年齢別に整理しておきましょう。

【3歳児の指導ステップ】

3歳児は「音を出して楽しむ段階」です。この時期は正確なリズムや音符の読み取りを求めないことが大切です。まず保育士が鉄琴を鳴らし、音の高さや違いを体で感じさせる「音当てクイズ」から始めましょう。「高い音かな?低い音かな?」と問いかけるだけで、子どもの耳が自然と音に向きます。

次に、音板の色シールを見ながら「赤はどこ?」と一緒に確認し、バチで叩いてみる体験を積み重ねます。この時期は1〜2音を叩けるだけで十分です。3歳でスズやカスタネットなどを使い始め、木琴・鉄琴は3歳後半から導入するのが保育の一般的な流れです。

【4歳児の指導ステップ】

4歳になると、「音の順番を覚える」ことが可能になってきます。色シール楽譜を見ながら3〜5音の短いフレーズを繰り返し演奏する練習を取り入れましょう。楽器を持たずに「ドレミ」と声に出してから演奏するのが効果的です。これを「声出し→演奏」のパターンで習慣化すると、音と指の動きが連動しやすくなります。

リズムを覚えるには、「きらきら星」など、歌詞が馴染みやすく音の跳躍が少ない曲が向いています。4歳児のクラスでは7〜8種類の楽器を組み合わせた合奏が一般的で、鉄琴は主にメロディパートを担当します。

【5歳児の指導ステップ】

5歳ではより本格的な楽譜活用が可能です。個人用の小型楽譜(A4サイズ)を子どもと一緒に作り、演奏しながら自分で確認できるようにします。「ドレミシール」+「番号」+「楽譜」を組み合わせた複合的なアプローチで、楽譜を読む力の基礎が育ちます。

5歳の発表会では9〜10種類の楽器が使われることも多く、鉄琴のほか鍵盤ハーモニカ、ビブラフォンなどの有音程楽器も加わります。これが条件です。楽譜も音符と色の両方で確認できるものを用意し、本番まで反復練習を繰り返します。

保育園での合奏指導の進め方(保育士バンク:年齢ごとの楽器の扱いと楽譜指導の実践情報が詳しく掲載)

保育士が知らないと損する!鉄琴おもちゃ活用の独自視点「ペンタトニック鉄琴」の実力

保育の現場で鉄琴おもちゃを選ぶとき、多くの保育士は「音板の数が多い方が良い」と思いがちです。しかし実は、「ペンタトニック(5音音階)仕様の鉄琴」の方が、子どもの自由な音楽表現を引き出すうえで優れているケースがあります。これは意外ですね。

ペンタトニックとは「ドレミソラ」の5音で構成される音階のことです。通常のドレミファソラシドから「ファ」と「シ」を除いた音列です。この音列の最大の特徴は、どの音を鳴らしてもお互いに調和するという点にあります。つまり子どもがランダムに叩いても不快な音の組み合わせが生まれにくく、「自分が演奏したら、ちゃんと音楽になった!」という成功体験を積み重ねやすいのです。

ペンタトニックは世界中の童謡・民謡に使われています。日本の「こいのぼり」「チューリップ」「とんぼのめがね」「夕焼け小焼け」などもすべてペンタトニック構成です。保育で親しまれている曲の多くがペンタトニックであることは、あまり知られていません。

市販のペンタトニック鉄琴として知られる「ペンタグロッケン(STUDIO49製)」は、プロの楽器も製造するメーカーが作っており、家庭でも正確な音楽体験ができます。モンテッソーリ教育の現場でも取り入れられており、「演奏後に目を閉じて音を聴く」という活動での使用例があります。心を落ち着かせる場面でも役立つ楽器です。

ペンタトニックなら失敗なしです。

一方で、発表会や合奏活動では「きらきら星」や「聖者の行進」のような8音フルスケールの曲を弾く必要があります。そのため保育室に「ペンタトニック鉄琴(自由遊び・音楽導入用)」と「8音ダイアトニック鉄琴(合奏・楽譜練習用)」の2種類を揃えておくと、活動の幅が大きく広がります。

また、ペンタトニックからダイアトニックへの切り替えができる可変式の鉄琴(音板を取り外して音階を変えられるもの)も市販されており、アウリス社の「シロホン ダイアトニック8音」はその代表例です。1台で2役をこなせるため、予算が限られる保育現場にも向いています。

鉄琴おもちゃを使った保育での音遊びの「ねらい」と月案への活かし方

鉄琴おもちゃを使った活動を保育計画に組み込む際、「ねらい」を明確に設定しておくことが、月案・指導案の作成を大幅にラクにします。ここをあいまいにすると、活動の評価もできず、保護者への説明にも困ります。これは押さえておきたいポイントです。

保育における音遊び・楽器遊びのねらいは、乳児クラスと幼児クラスで大きく分かれます。

🎵 乳児クラス(0〜2歳)のねらい

  • 音が鳴る楽しさや不思議さを味わう
  • 音楽に合わせて体を揺らすなど、リズム感の芽生えを促す
  • 鉄琴・木琴などのさまざまな楽器に興味を持つ

🎵 幼児クラス(3〜5歳)のねらい

  • 楽器を鳴らすことで音感・リズム感を育てる
  • 楽譜を見ながら演奏することで、記号と音の結びつきを理解する
  • 合奏を通じて友だちと協調して取り組む喜びを味わう

月案では「鉄琴を使った音遊びを取り入れ、音の高低に気づく経験を積む」のように、具体的な活動内容と子どもの姿をセットで記述すると評価しやすくなります。また、「楽器への親しみ」を生活発表会に向けた伏線として位置づけることで、年間の保育計画の流れがスムーズになります。

発表会の1〜2ヶ月前から鉄琴おもちゃと楽譜を使った練習を段階的に積み上げることで、子どもが「楽器は難しいもの」ではなく「楽しいもの」として向き合える環境を作れます。最初はリズム遊びで音楽に親しみ、次に色シール楽譜を導入し、最後に合奏という流れが定番です。

楽器活動は段階的に積み上げるが原則です。

なお、音が大きくて苦手な子どもへの配慮も忘れてはいけません。鉄琴のキンキンとした高音が苦手な子には、イヤーマフの準備や演奏場所を離れたコーナーに配置するなど、個別の配慮が必要です。どの子も楽しめる環境づくりが保育士の腕の見せどころです。


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