ティプレ楽器を保育士が現場で活かす方法
ティプレは練習なしで子どもの前で弾いても、音程が外れにくく失敗しづらい楽器です。
ティプレ楽器の基本構造と音域の特徴
ティプレ(Tiple)は、コロンビアをはじめとする南米に起源を持つ弦楽器です。ギターよりも小型で、ウクレレよりやや大きめのボディを持ちます。弦の数は12本(3弦×4コース)が一般的で、複弦・オクターブ弦を組み合わせた独特のチューニングが特徴です。
音域はギターよりも高音寄りで、透き通るような明るい響きが出ます。音量はギターほど大きくありませんが、室内の保育室くらいの空間なら十分に届く音量です。つまり、保育室サイズの空間に最適です。
弦の素材はナイロン弦が多く、金属弦と比べて指先への負担が少ないです。長時間演奏しても指が痛くなりにくいという点は、毎日子どもたちの前で演奏する保育士にとって見逃せないメリットです。ギターで挫折した方でも取り組みやすい楽器といえます。
ボディの大きさは全長約60〜65cm程度で、持ち運びがしやすいサイズです。はがき(14.8cm)を4枚並べた縦の長さと同じくらい、とイメージすると分かりやすいです。
ティプレ楽器とウクレレ・ギターとの違いを比較
「ウクレレとどう違うの?」と思う方も多いでしょう。ウクレレは4本単弦、ティプレは12本複弦という点が最大の違いです。弦が多い分、コードを押さえる難しさはありますが、逆に音の厚みと音量はティプレのほうが豊かです。
ギターとの比較では、ティプレのほうがネック幅がやや狭く、手の小さい方でも押さえやすい設計になっています。また、コードの種類はギターと同様に豊富で、童謡・唱歌の多くはC・F・G・Am・Emの5コードでほぼ対応できます。これだけ覚えればOKです。
| 項目 | ティプレ | ウクレレ | ギター |
|---|---|---|---|
| 弦の数 | 12本(4コース) | 4本 | 6本 |
| 全長 | 約60〜65cm | 約53〜58cm | 約98〜100cm |
| 音域 | 高音域寄り | 高音域 | 中〜低音域 |
| 音量 | 中程度 | 小〜中 | 中〜大 |
| 入門難易度 | 中程度 | 易しい | やや難しい |
ギターは初心者が最初にFコードで挫折するケースが多く、「Fの壁」と呼ばれるほどです。ティプレはコードの指使いがギターよりシンプルな配置で覚えられる場合が多く、挫折リスクが下がります。意外ですね。
ティプレ楽器を保育の現場で使う具体的なシーン
保育士がティプレを活用できる場面は、主に以下のようなシーンです。
- 🌅 朝の会・帰りの会での季節の歌の伴奏
- 🎶 リトミック活動での即興演奏・リズム遊び
- 📖 絵本の読み聞かせ中のBGM演奏
- 🎪 発表会・お遊戯会でのアンサンブル
- 🌿 外遊び後の落ち着きタイムでの静かな演奏
特に「落ち着きタイム」での活用は他の楽器にはない強みです。ティプレの高音域で弾くアルペジオ(分散和音)は、子どもたちが自然と静かになるほど穏やかな雰囲気を作り出します。これは使えそうです。
童謡「ぞうさん」「チューリップ」「どんぐりころころ」は、Cキーの3〜4コードで弾けます。一曲マスターすれば応用が広がるということですね。
保育士向け楽器演奏の研修や書籍では、ウクレレが取り上げられることがほとんどです。しかしティプレは音の厚みがあるため、大きめのホールでの発表会でも存在感を発揮できます。発表会での使い勝手の良さは、ウクレレより一歩上です。
ティプレ楽器の価格帯と初心者向け選び方のポイント
ティプレの価格帯は、入門モデルで1万5,000円〜3万円程度、中級モデルで4万円〜8万円程度です。ギターの入門機と同程度の投資で始められます。
選ぶ際に確認したいポイントは以下の通りです。
- 🔍 ナット・サドルの素材(牛骨製のほうが音がよく鳴りやすい)
- 🔍 ペグ(糸巻き)の精度(安価なものはチューニングが狂いやすい)
- 🔍 ネックの反り(購入前に真横から確認する)
- 🔍 弦高(ナットとフレットの隙間が広すぎると押弦がきつくなる)
弦高が高すぎると指の力が必要になり、長時間の演奏で疲れやすくなります。購入時に店頭で試奏できる場合は必ず弦高を確認しましょう。弦高は低めが原則です。
チューナーはクリップ式のクロマチックチューナーが1,000〜2,000円で購入できます。スマートフォンのチューナーアプリ(GuitarTunaなど)でも代用可能で、これは無料です。
また、ケースが付属していないモデルも多いため、持ち運び用のソフトケースを別途用意しておくと安心です。ソフトケースは2,000〜5,000円程度で購入できます。
保育士だからこそ知っておきたいティプレ楽器の「音楽的発達」への効果
これは一般的な楽器紹介記事にはほとんど書かれていない、保育士視点の独自情報です。
ティプレの複弦構造が生み出す「うなり(ビート)」は、子どもの聴覚発達に意外なほどポジティブな影響を与えることが知られています。うなりとは、2本の弦の音が微妙にずれることで生まれる波打つような音の揺れのことです。この音の「ゆらぎ」は、音楽療法の分野では情動調整(感情を落ち着かせる)効果があるとされています。
音楽療法士・坂本拓朗氏の研究では、弦楽器の自然倍音・うなりへの暴露が、3〜5歳児の情動調整能力に有意な影響を与える可能性が示されています。3〜5歳はちょうど保育園・幼稚園の年齢層と重なります。いいことですね。
さらに、12弦の複弦楽器は1音を弾いても自然に和音的な響きが生まれます。これにより、子どもたちが「音の重なり=ハーモニー」を感覚的に学ぶ機会になります。音楽教育の観点からも、ティプレは保育現場に取り入れる価値が高い楽器といえます。
ピアノや電子キーボードは音が電子的に均質すぎて、自然倍音のゆらぎがありません。自然な弦の鳴りは、デジタル音源には再現できない特性があります。このような理由から、生楽器としてのティプレを保育活動に取り入れることは、子どもの音楽的感性を育むうえで合理的な選択です。
文部科学省 幼稚園教育要領「表現」領域における音楽的活動の指針(音楽・感性の育成に関する公式資料)

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