ぺんぎんさんのあるき歌を保育で使う振り付けとねらい完全解説
「ぺんぎんさんのあるき」系の曲は冬限定だと思うと、子どもとの愛着形成チャンスを年間8か月も損しています。
ぺんぎんさんのあるき歌「ペンギンさんのやまのぼり」の歌詞と作詞作曲
「ぺんぎんさんのあるき」の歌として保育現場で広く使われているのが、阿部直美さん作詞・作曲の「ペンギンさんのやまのぼり」です。阿部直美さんは「おべんとバス」など保育の現場で親しまれる数多くの手遊び歌を生み出してきた作家であり、この曲も保育士の間での信頼度は非常に高い1曲です。
歌詞はシンプルで短く、以下の2番構成になっています。
| 番 | 歌詞 |
|---|---|
| 1番 | ペンギンさんが こおりのおやまを のぼります とーことっこ とことっこ しゅーっとすべって いいきもち |
| 2番 | しろくまさんが こおりのおやまを のぼります とーことっこ とことっこ しゅーっとすべって いいきもち |
「とーことっこ とことっこ」というオノマトペのリズムが聴き取りやすく、乳幼児が思わず声を出したくなる造りになっています。これが重要なポイントです。
言語発達の観点からも、オノマトペ(擬音語)は乳幼児が最も早く習得しやすい言葉のひとつとされています。「とことっこ」「しゅーっ」といった音は、聴いているだけで動作のイメージが浮かびます。このように、感覚と言葉が同時に結びつく体験が、語彙の定着を助けてくれるわけです。
歌詞の繰り返しも大きな強みです。1番と2番で主役が「ペンギン」から「しろくま」に変わるだけで、メロディも動きも同じ流れを踏めます。子どもにとっては「次の動きがわかる」という安心感が生まれ、期待感をもって遊びに参加できるようになります。
保育士にとっても、覚えやすく指導しやすいのが利点です。
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ぺんぎんさんのあるき歌の振り付けと具体的な遊び方
この曲の特徴は、子どもと保育士(または親子)が1対1でふれあいながら遊べる点です。道具も準備もまったく必要ありません。
基本的な遊び方は以下の流れになります。
- 👐 「こおりのおやまを のぼります」:保育士が片腕を縦に立てて”山”に見立てる。もう一方の手(または子どもの指)でペンギンを表現し、腕をゆっくりのぼっていく。
- 🐾 「とーことっこ とことっこ」:指を2本使って腕の上をトコトコと歩かせるように動かす。リズムに合わせてテンポよく。
- 🎿 「しゅーっとすべって」:手のひらを腕の上から下へ、すっと滑らせる。スピードをつけると子どもが喜びます。
- 😊 「いいきもち」:笑顔で子どもと目を合わせて終わる。
0歳の赤ちゃんには仰向けのまま遊べます。保育士が赤ちゃんの腕を優しく「山」に見立てて、自分の指を使ってペンギンを表現します。まだおすわりが難しい月齢でも十分に楽しめるのが利点です。
1〜2歳になると向かい合って遊べるようになります。2人で向かい合って、お互いの腕を使いあうスタイルが子どもに大人気です。くすぐったい感覚に笑い声が出て、自然と笑顔のやり取りが生まれます。
3歳以上になると、友だち同士のペアでも遊べます。子ども同士がお互いの腕でペンギンを登らせ合うことで、社会的なスキンシップや順番の感覚も自然に育まれます。このような場面での活用が意外と見落とされがちです。
振り付けのコツは「しゅーっ」の部分にあります。ここを大げさにゆっくり滑らせると、子どもが「まだかな?まだかな?」とドキドキしながら待つようになります。待つことへの期待感を育む体験になりますね。
参考:ふれあい遊びの遊び方と保育ねらいの一覧として参考になるページです。「ペンギンさんの山登り」の紹介も含まれています。
ぺんぎんさんのあるき歌の保育ねらいと発達への効果
手遊び歌は「楽しいだけの遊び」と思われがちです。しかし実際には、乳幼児の発達を多方面から支える重要な保育活動です。
0歳〜1歳のねらいとして特に重要なのは愛着形成です。保育士の手が赤ちゃんの皮膚に触れることで、オキシトシン(愛情ホルモン)が分泌されるとされています。オキシトシンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、ストレスを和らげる働きをします。繰り返しの心地よいスキンシップが、子どもに「この人は安全だ」という信頼感を植え付けていきます。これが愛着形成の核心部分です。
ある調査によれば、0歳児では1日約505分(約8時間)もの肌への接触があるとされる一方、7歳児になるとわずか1日平均3分にまで減るというデータがあります。乳児期のスキンシップ機会がいかに大切かがわかります。
2歳ではリズム感・模倣・語彙の発達もねらいに加わります。「とことっこ」というリズムを身体で感じながら聴き、それを自分で真似しようとする行為が、音感と運動協応を同時に発達させます。
年齢別のねらいをまとめると、次のように整理できます。
| 年齢 | 主なねらい |
|---|---|
| 0歳児 | 保育士との愛着関係の形成・触覚刺激による脳の発達 |
| 1歳児 | リズムへの親しみ・動きの模倣・安心感の獲得 |
| 2歳児 | 語彙の発達・友だちとのやり取りの楽しさ・期待感をもって待つ力 |
| 3歳以上 | 友だち同士のスキンシップ・社会性の芽生え・役割の理解 |
月案や指導案に書くときは、「ふれあい遊びを通して保育者との信頼関係を深める」「歌のリズムに合わせて体を動かす楽しさを知る」という文言がそのまま使えます。発達ねらいが明確なのが月案作成のうえでも大きなメリットです。
参考:手遊びのねらいの書き方と月案文例が丁寧にまとめられています。指導案に迷ったときに役立ちます。
【例文あり】手遊びのねらいに迷ったらこれ!指導案が書けるnote記事
ぺんぎんさんのあるき歌を通年で使うためのアレンジアイデア
「この歌は冬にしか使えない」と思っている保育士さんは少なくありません。確かに、ペンギンも白熊も「氷」のイメージが強く、冬の遊びという印象があります。しかし実際には、この歌は1年中活用できます。
夏に使う場合は、「冷たい氷の山が涼しくて気持ちいい!」というコンセプトで導入するとぴったりはまります。プール遊びや水遊びの前後のクールダウンとしても、ペンギンが氷の上を滑るイメージが涼しさを演出してくれます。夏こそ使えるのです。
アレンジのバリエーションとして以下のような応用例も効果的です。
- 🐻 動物を変える:しろくまの代わりに「うさぎさん」「ぞうさん」を登場させる。子どもに「次はだれが登るかな?」と問いかけることで、言葉を引き出す機会になります。
- 🏔️ 登る場所を変える:「こおりのおやま」を「ちきゅうのおやま」「あたたかいおやま」などにアレンジ。季節感をそのとき合わせて調整できます。
- 👶 身体の部位を変える:腕だけでなく、背中や足を山に見立てることで、全身を使ったふれあい遊びに発展します。くすぐりが加わりやすくなり、さらに子どもが喜びます。
- 👫 子ども同士ペアで:3歳以上では友だちの腕を使って遊ぶことで、「やさしくね」という気持ちが自然に育まれます。社会性や他者への配慮を学ぶ実践的な場になります。
また、この曲はリトミックの導入としても非常に向いています。「とことっこ」というリズムを身体で感じ、「しゅーっ」でテンポを変化させる体験が、リズムの緩急を理解する第一歩になります。これは意外と知られていないポイントです。
リトミックを保育に取り入れている園では、ピアノ伴奏のテンポを変えながら遊ぶ方法も人気です。ゆっくり・ふつう・速いの3段階でテンポを変えると、子どもたちの反応が一段と豊かになります。
参考:リトミックのねらいや保育への取り入れ方が詳しくまとめられています。
ぺんぎんさんのあるき歌でよくある失敗と保育士が意識すべき注意点
ふれあい遊びは「触れればいい」というわけではありません。安全に、かつ効果的に行うためのポイントを知らないと、せっかくの遊びが子どもにとって不快な体験になってしまうことがあります。注意が必要です。
0歳児に関しては首のすわりを必ず確認してください。 首がすわる前は、頭部を支えた状態を保ちながら行う必要があります。腕の力加減にも注意が必要で、関節部分を強く持つのは厳禁です。子どもの表情を常に確認しながら進めましょう。
表情の確認は特に重要です。泣いている・嫌がっているサインが出ているときは、すぐに中止するのが原則です。ただし、泣いている子にやさしく歌いかけながら行うことで落ち着くケースもあります。子どもによって反応は異なります。
保育士が心がけたい3つのポイントをまとめます。
- 👁️ 目を合わせる:始める前、遊んでいる途中、終わった後と、常に子どもと目を合わせて声かけをしながら行います。視線を合わせることが信頼関係を育てる基本動作です。
- 🎵 声の緩急をつける:「とことっこ」は明るく軽やかに、「しゅーっ」はゆっくりと溜めを作って歌います。声のメリハリが子どもの期待感と集中力を引き出します。
- 💪 力加減を意識する:特に滑らせる動作のとき、腕をなでる力は「やさしくさわる程度」が基本です。強く押しつけることがないよう、常に確認しながら行います。
また、保護者参観や保護者参加型の行事では、この遊び方を保護者にも紹介するのがおすすめです。「ぺんぎんさんのあるき」系の歌は親子で家でも簡単に再現できます。家庭での日常的なスキンシップにつながると、愛着形成の効果がさらに高まります。
保護者向けの説明の際は、「歌を覚えなくても大丈夫です。触れながら子どもの顔を見るだけで十分ですよ」と伝えると、親が構えずに取り組みやすくなります。これは使えそうです。
保育士や保護者向けに、ふれあい遊び全般の正しい実施方法を学べる講座も存在します。NPO法人 芸術と遊び協会が開講するWeb講座では、乳幼児向けのふれあい遊びを保育の専門的な観点から学べます。ふれあい遊びのレパートリーをさらに充実させたい方は参照してみるとよいでしょう。


