沖縄民謡の歌を保育士が活かす知識と実践ガイド

沖縄民謡の歌を保育で活かすための完全ガイド

沖縄民謡の歌を「子どもには難しそう」と思って避けると、情操教育の重要な機会を年間で複数回逃すことになります。

🌺 この記事でわかること
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沖縄民謡の歌の基礎知識

琉球音階・わらべうた・三線の特徴など、保育士が知っておきたい沖縄民謡の基本をわかりやすく解説します。

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保育で使えるおすすめ曲と遊び方

「赤田首里殿内」「いっちくたっちく」など、0歳から使えるわらべうたと手遊びを年齢別に紹介します。

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歌詞の意味と教訓を伝える方法

「てぃんさぐぬ花」などの教訓歌の意味を噛み砕いて、子どもたちへの伝え方まで具体的にお伝えします。

沖縄民謡の歌の基礎知識|琉球音階とは何か

 

沖縄民謡の歌を保育に取り入れる前に、まず「どんな音楽なのか」を知ることが大切です。

沖縄民謡の最大の特徴は、琉球音階(りゅうきゅうおんかい)にあります。これはドレミファソラシドの7音から「レ」と「ラ」を抜いた、「ド・ミ・ファ・ソ・シ」の5音構成の音階です。つまり5音だけで成り立つ音楽なのです。

この5音音階は、世界中の民族音楽に広く見られるペンタトニックスケールの一種で、人間の耳に自然になじみやすいという特性を持っています。琉球大学の研究によると、伝統的な沖縄のわらべうたの多くがこの琉球音階で歌われており、子どもたちが感覚的に受け取りやすい音楽構造になっていることが確認されています。

つまり、「沖縄民謡は難しい」が思い込みです。

実際、「てぃんさぐぬ花」や「安里屋ユンタ」「芭蕉布」といった代表曲もすべて、この5音で構成された旋律が軸になっています。大人が感じるような「複雑さ」は歌詞の言葉によるもので、メロディ自体は非常にシンプルです。保育士が楽器なしで「鼻歌」程度に歌っても、子どもが十分に反応できる音楽構造であることを覚えておくといいでしょう。

音階名 構成音 特徴
琉球音階(沖縄) ド・ミ・ファ・ソ・シ 沖縄らしい明るく独特の響き
民謡音階(本土) ラ・シ・ド・ミ・ファ 懐かしく哀愁ある響き
ペンタトニック(共通) 5音構成(種類による) 世界共通で親しみやすい

もう一つ重要なのが「後打ちリズム」です。沖縄民謡の伝統的なわらべうたの約6割に、オフビート(後打ち)のリズム構造が見られるとされています。このリズムは、子どもが体を自然に揺らしたり、ステップを踏んだりしやすい構造になっており、音楽活動と身体表現を組み合わせるのにも適しています。

また、三線(さんしん)という楽器の音色も重要なポイントです。三線は蛇皮を張った細長い弦楽器で、その素朴で温かみのある音色は聴いた瞬間に「沖縄らしさ」を感じさせます。保育現場でCDやYouTubeを活用する際も、三線の音色が入った音源を選ぶだけで子どもたちの反応が変わります。

文化デジタルライブラリー:琉球音階の解説と「てぃんさぐぬ花」の楽譜・音階図(独立行政法人日本芸術文化振興会)

沖縄民謡の歌おすすめ5曲|保育士が知っておきたい代表曲

保育現場で活用しやすい沖縄民謡の代表曲をまとめました。曲ごとにポイントが違うので、場面に応じて使い分けてみてください。

① てぃんさぐぬ花(ティンサグヌハナ)

沖縄県の愛唱歌であり、「沖縄三大教訓歌」のひとつです。「てぃんさぐ」とはホウセンカのこと。鳳仙花の赤い汁で爪を染めるように「親の教えを心に染めなさい」という教訓を歌った曲です。ゆいレール県庁前駅の駅メロにも採用されているほど、沖縄の人々に愛されています。保育では年長児(5〜6歳)向けに「親の言葉を大切にしよう」という道徳的なテーマで紹介するのに向いています。

② 赤田首里殿内(あかたすんどぅんち)

0〜4歳児の手遊びうたとして最適な曲です。囃子(ハヤシ)部分の「シーヤープー、シーヤープー」という掛け声が非常に印象的で、繰り返しのメロディが子どもの耳に残りやすい構造になっています。沖縄の信仰体系にゆかりのある場所をテーマにしたわらべうたで、首里のわらべうたとして古くから子どもたちに親しまれています。

③ じんじん

ホタルを呼ぶ歌です。「じんじん(ホタルよ)、酒屋の水を喰って、落ちろよホタル」という内容で、日本に生息する47種のホタルのうち約半数が沖縄に分布するという自然環境とも深く結びついています。三線の入門曲としても広く使われており、シンプルなメロディが覚えやすく保育現場への導入に向いています。

④ 安里屋ユンタ(あさどやゆんた)

石垣島・竹富島に伝わる労働歌です。実在の人物「安里屋クヤマ」という女性が主人公で、役人からの求婚を断った誇り高い女性の物語が歌われています。「ヤレユイユイ」という掛け声が印象的で、みんなで声を合わせる合唱活動やリトミックにも使いやすい曲です。

⑤ いっちくたっちく

沖縄のわらべうたで「鬼決め」に使われる数え歌です。「一つ(いっちく)、二つ(たっちく)」と指を折りながら歌い進め、最後に止まった指の子が鬼になるというルールで遊べます。じゃんけんのように子ども同士が役割を決める楽しさがあり、社会性を育む活動としても有効です。

これが基本です。

  • 🎵 0〜2歳向け:赤田首里殿内(シーヤープー)…繰り返しのリズムで体を揺らしてあやすのに最適
  • 🎵 3〜4歳向け:いっちくたっちく、じんじん…指遊び・鬼決めで社会的ルールを楽しく学べる
  • 🎵 5〜6歳向け:てぃんさぐぬ花、安里屋ユンタ…歌詞の意味を伝えながら文化への興味を育てる

琉球村 100 OKI SONG:「赤田首里殿内」の歌の由来と意味(沖縄観光テーマパーク琉球村)

沖縄民謡の歌詞の意味を子どもへ伝える実践方法

「てぃんさぐぬ花」に代表される教訓歌は、その歌詞の意味を子どもに伝えることで、保育の質が大きく変わります。

「てぃんさぐぬ花」の一番の歌詞は「てぃんさぐぬ花や 爪先に染みてぃ 親ぬゆし事や 肝に染みり」です。意味を噛み砕くと「ホウセンカが爪を赤く染めるように、親の言葉を心の奥まで染み込ませなさい」ということです。歌詞が難しいですね。

しかし、ここに保育士としての工夫の余地があります。例えば、実際にホウセンカの花を持ち込んで「こんな花だよ」と見せながら歌を聴かせるだけで、子どもの理解度と興味の深さが変わります。絵本や自然物と組み合わせることで、言葉が抽象的でも感覚的に伝わる場面が生まれます。

なお、「てぃんさぐぬ花」は全部で10番まで歌詞があります。これは意外ですね。

各番に込められたテーマは、親への感謝・星(ナビ)を道しるべにすること・旅先での教訓など、人生訓が幅広く盛り込まれています。保育では1番の歌詞だけを取り上げるのが現実的で、むしろ内容が絞れるため子どもに伝えやすいというメリットもあります。

沖縄三大教訓歌として知られているのは、沖縄本島の「てぃんさぐぬ花」、石垣島の「デンサー節」、宮古島の「なりやまあやぐ」の3曲です。地域ごとに異なる教訓が歌われており、沖縄の島々の多様性を知るきっかけにもなります。保育士が文化的背景を知っておくことで、「沖縄は一つではなく、島ごとに文化がある」という話を子どもに伝える視点を持てます。

歌詞を伝えるときは以下の手順が効果的です。

  • 📌 ステップ1:まずメロディだけを流し、体を揺らして聴かせる(音楽を「感じる」段階)
  • 📌 ステップ2:歌詞の中のキーワード(ホウセンカ・爪・親)を絵や実物で見せる
  • 📌 ステップ3:「どんな気持ちがする?」と問いかけ、子どもの言葉で感想を引き出す
  • 📌 ステップ4:保育士が短い言葉で意味を伝える(「大事な人の言葉を忘れないでね、という歌だよ」など)

この流れが条件です。

「てぃんさぐぬ花」の歌詞に込めた意味の詳細解説(chatamobi)

沖縄民謡の歌と手遊び|年齢別の保育活動アイデア

沖縄民謡のわらべうたは、手遊びと組み合わせることで保育活動としての幅が大きく広がります。

0〜2歳:みーみんめー(赤田首里殿内のハヤシ使用)

「みーみんめー」は赤田首里殿内の囃子部分から生まれた遊びうたです。「みーみんめー」で両耳をそれぞれの手でつまみながら上体を左右に振り、「いーゆぬみー」で手のひらを広げて指でそっとつつく動作をします。0歳児でもできる動作で、大人が動作をやりながらあやすことができます。繰り返しのメロディで、月齢が低い子でも表情で反応を示してくれます。

これは使えそうです。

3〜4歳:いっちくたっちく

指を順に折りながら「いっちくたっちく……すってんどん」と数え、最後に「どん」で止まった指の子が鬼になるという遊びです。沖縄の言葉で数字を数える感覚(「いっちく=一つ」「たっちく=二つ」)が自然に身につき、ウチナーグチ(沖縄語)の響きを楽しむことができます。じゃんけんと似た役割分担の仕組みなので、3歳から理解して楽しく遊べます。

5〜6歳:エイサーの歌に合わせた表現活動

エイサーは沖縄のお盆の伝統芸能で、太鼓を打ちながら踊る形式の集団演舞です。「唐船ドーイ」などのエイサー曲に合わせて、牛乳パックや缶などで手作りした簡易太鼓を持たせ、ステップを踏む活動にすると、身体表現・音楽・文化理解を同時に体験できます。発表会や文化活動として取り組む保育園も増えており、保護者からの反応も良いプログラムです。

なお、沖縄本島だけでなく離島(八重山諸島・宮古島)にはまた別のわらべうたや民謡文化があります。

地域の多様性を知ることは、保育士自身の文化的視野を広げることにもつながります。たとえば宮古島の「なりやまあやぐ」は、「なりやまやいらびてぃ(成る山は選んで)」という教訓を、子が親から受け継ぐ形で歌い継がれてきた伝統があります。こうした背景を知っていると、子どもへの伝え方に深みが増します。

  • 🥁 手作り楽器:牛乳パックや空き缶で簡易太鼓→エイサー体験に
  • 🌺 制作と組み合わせ:ホウセンカの絵を描きながら「てぃんさぐぬ花」を流す
  • 🎋 季節行事と連動:夏のお盆時期にエイサー、ホタルが出る季節に「じんじん」

「赤田首里殿内」の手遊びの遊び方・動作の具体的な解説(オヤサポ!)

沖縄民謡の歌を保育で使う際の著作権と音源選びの注意点

沖縄民謡を保育現場で活用する際に、見落としがちなのが著作権の問題です。保育活動で使う音源の選び方を間違えると、施設として著作権法上のリスクが生じる可能性があります。

まず大前提として、古くから伝承されてきた民謡・わらべうた(「てぃんさぐぬ花」「赤田首里殿内」「じんじん」など)のメロディ・歌詞そのものは、作詞作曲者が特定されないか、または保護期間が終了しているケースがほとんどです。著作権法上は「保護期間は著作者の死後70年」とされており、古来からの民謡であれば基本的に問題なく歌ったり演奏したりできます。

ただし、注意が必要です。

問題になるのは「音源(録音物)」の著作権です。CDや動画プラットフォームで配信されている演奏・録音には、それぞれの演奏者・制作会社の「著作隣接権」が発生します。保育現場でCDをかけたり、YouTubeを流したりする場合、学校教育の場では著作権法第35条による例外規定が適用されることもありますが、商業施設としての保育施設の場合はJASRACへの届け出が必要になるケースもあります。

音源を選ぶ際は「著作権フリー」「ロイヤリティフリー」と明記されているものを選ぶのが最も安全です。Audiostockなどの音楽素材サービスでは、沖縄民謡のアレンジ曲を1曲あたり1,210円から購入できる選択肢があります。

  • 安全な選択肢1:著作権フリー音源サービス(Audiostock等)で沖縄民謡を購入
  • 安全な選択肢2:保育士自身がピアノやアカペラで歌う(演奏者本人が歌う場合は音源の著作隣接権が発生しない)
  • 安全な選択肢3:JASRAC等の管理楽曲かどうかを事前に確認してから使用する
  • ⚠️ 注意が必要:YouTubeの動画をそのまま保護者参加イベント等で流す(公開演奏扱いになる可能性あり)

音源選びが条件です。

沖縄県立図書館の電子図書館などでは、沖縄の伝統音楽に関する資料が公開されており、文化的背景の学習にも活用できます。保育士自身が沖縄民謡の文化的文脈を理解しておくことが、現場での活動の質を高める最も確実な方法です。

公益社団法人著作権情報センター:民謡の著作権に関するQ&A(権威ある著作権情報源)

決定版 沖縄の民謡 島唄