キリンの歌童謡を保育で活かす全ガイド
「きりんさん」の童謡を歌いながら手遊びをするだけで、子どもの言語発達が約1.4倍速まると研究で示されています。
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キリンの歌童謡の代表曲と歌詞の特徴を比較する
保育の現場で「きりんさん」という歌を選ぼうとすると、実は同じタイトルで内容が異なる曲が複数存在することに気づきます。これは意外と知られていない事実で、知らずに楽譜を用意したら「あれ、違う曲だった」となりがちです。代表的な3曲を整理しておきましょう。
まず最も歴史が古いのが、戸倉ハル作詞・小谷肇作曲「きりんさん」です。「きりんさん きりんさん どうしてそのくびは ながいのでしょ」という問いかけで始まり、子ども自身がキリンに「なぜ?」と聞く構造になっています。戸倉ハルは昭和初期から活躍した作詞家で、チャイルド本社の楽譜集『続こどものうた200』にも収録されています。
次に、まど・みちお作詞・服部公一作曲「キリンさん」があります。まど・みちおは「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」などで知られる昭和を代表する童謡詩人で、1994年に菊池寛賞を受賞しています。この曲は「はじめまして ごきげんいかが きりんさん」という挨拶から始まる、ほのぼのとした雰囲気が特徴です。NHK教育テレビでも放送実績があり、保育の現場での認知度も高い1曲です。
3つ目が比較的新しい、山本雄二作詞・堀内孝雄作曲「キリンさん」です。「キリンさん キリンさん どうして お首が長いの」という問いかけに「あっちのお花も 見たいし こっちのお花も 見たい」という答えが返ってくる会話形式の構造で、1歳から4歳向けの手遊び歌として現在の保育現場で特に人気を集めています。NHK Eテレ「いないいないばあっ!」でも取り上げられた実績があります。
つまり3曲それぞれに対象年齢と使いどころが異なります。子どもの月齢と活動のねらいに合わせて選ぶのが基本です。
| 曲名 | 作詞 | 作曲 | 対象年齢の目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| きりんさん(旧) | 戸倉ハル | 小谷肇 | 2〜5歳 | 問いかけ形式・情緒的な歌詞 |
| キリンさん(まど版) | まど・みちお | 服部公一 | 3〜5歳 | 挨拶形式・詩的な表現 |
| キリンさん(山本版) | 山本雄二 | 堀内孝雄 | 1〜4歳 | 会話形式・手遊びに最適 |
参考:チャイルド本社の楽譜集はこちらで確認できます。
キリンの歌童謡の手遊び振り付けと年齢別の取り入れ方
「きりんさん」の手遊びを保育に取り入れる際、年齢に合わせた使い分けが大切です。これが基本です。
0〜1歳児(乳児クラス)では、まず保育士が大きくゆっくりとした動きを見せることから始めます。この時期の子どもは「見てまねをする」という段階にあり、完璧に動きを再現できなくても問題ありません。首を左右にゆっくり傾ける動作、手を高く伸ばしてキリンの首を表現する動作など、シンプルな1〜2動作のみに絞りましょう。保育士がにこにこと誇張して動いて見せることが、子どもの興味を引く最大のポイントです。
2〜3歳児(幼児クラス前期)になると、歌詞の言葉を少しずつ理解し始めます。「なんで首が長いの?」という問いかけに対して、「お花が見たいから」という答えを自分なりに考えられる年齢です。この時期は振り付けをキリンだけでなく、同じ歌の中に登場する「うさぎさん(耳が長い)」「ぞうさん(鼻が長い)」にも展開できます。動物の特徴を体で表現しながら歌うことで、3種類の動物の知識が自然に身につきます。
4〜5歳児(幼児クラス後期)では、二人組になって向かい合い、「キリン役」と「お花役」に分かれて演じる遊びへと発展させることができます。子どもが自分でルールを考えたり、新しい動物を追加したりするアレンジ力もこの時期から育ちます。表現の楽しさを深める段階です。
振り付けの基本は以下の通りです。
- 🦒 キリンの首:両手を重ねて頭の上に伸ばし、左右にゆっくりなびかせる
- 🌸 お花を見る:手のひらを花の形にして右・左と順番に見せる
- 👂 うさぎの耳:人差し指と中指を立てて頭の両脇で上下に動かす
- 🐘 ぞうの鼻:片手を顔の前に下げて左右にぶらぶらさせる
シンプルな動きほど月齢の低い子も参加しやすく、保育士の負担も少なくなります。手遊びが子どもの集中を引き出す「導入」として機能するため、絵本の読み聞かせや外遊びの前に使うと活動のスタートがスムーズになります。これは使えそうです。
参考:大阪芸術大学の研究論文「保育における手遊びの効果」では、手遊びが言葉の発達・数の理解・音楽的なリズム記憶に働きかけることが示されています。
大阪芸術大学|「保育における手遊びの効果」研究論文(PDF)
キリンの歌童謡が子どもの発達に与える教育的ねらい
童謡を保育に取り入れる最大の理由のひとつが「発達への複合的な効果」にあります。「きりんさん」という1曲に限っても、複数の発達領域に同時に働きかけることが確認されています。
まず言語・語彙の発達という観点では、歌詞の中に「くび(首)」「ながい(長い)」「おはな(お花)」など、子どもにとって親しみやすい言葉が繰り返し登場します。同じフレーズを何度も歌うことで、言葉の音とその意味が自然に結びついていきます。研究によると、「リズム感がよい子どもは言語の発達も早い傾向がある」と報告されており(愛知地球共育の会・2025年)、歌とリズムを組み合わせた活動が言語習得を後押しする効果があります。
次に身体・運動機能の発達です。手遊びでは両手を別々に動かしたり、体を大きく動かしたりします。こうした動作は手指の巧緻性やバランス感覚を育てます。特に「キリンの首を伸ばす」動作は、体の中心軸を意識した上半身の協調運動につながり、3歳以降の粗大運動発達とも関連しています。
情操・情緒の発達という点でも、童謡の穏やかなメロディーは子どもの心をリラックスさせる効果があります。「お花が見たいから首が長い」という歌詞は、物事に理由があることへの気づきを自然に促します。不思議を感じ、理由を考えるという思考の芽生えは、科学的探求心の土台になります。
さらに社会性・協調性の発達も見逃せません。友だちと向かい合って歌うことで、相手の動きを観察し、合わせようとする協調行動が育まれます。これは2人1組の手遊びや、グループ全員での合唱活動において特に顕著です。
保育のねらいに合わせると以下のように整理できます。
- 🧠 言語・認知:繰り返しの歌詞で語彙・音韻認識を強化する
- ✋ 身体・運動:手遊びで手指の巧緻性と上半身協調運動を育てる
- 💛 情操・思考:「なぜ?」という問いかけで探求心の土台を作る
- 👫 社会性:二人組・グループで歌うことで協調性を引き出す
保育の指導計画に落とし込む際は、この4つの観点から「この活動で何を育てるか」を明確にしておくと、日案・週案の「ねらい」欄への記載もスムーズになります。ねらいが明確なら計画も書きやすいですね。
キリンの歌童謡を6月の保育テーマに活かす独自アイデア
ここからは、検索上位の記事ではあまり取り上げられていない独自の視点をお伝えします。
6月21日は「世界キリンの日(World Giraffe Day)」です。これはキリン保全団体「Giraffe Conservation Foundation」が制定したもので、「1年で昼が最も長い夏至の日」=「地上で最も首が長い動物・キリン」をかけたユニークな記念日です。つまり「きりんさん」の歌は、6月の保育テーマと完璧にリンクします。
この時期の保育に「世界キリンの日」を組み込むことで、歌を歌う→キリンの絵を描く→キリンについて調べる→動物と環境について考えるという学びのつながりが自然に生まれます。5歳児クラスであれば「キリンはなぜ首が長くなったの?」という科学的な問いを絵本や図鑑と合わせて深めることも十分可能です。
また、「きりんさん」の歌をきっかけとした動物知識の導入としても活用できます。キリンの首は実は人間と同じ7個の頸椎(けいつい)でできており、1個の骨の長さが約30cm(はがきの縦の長さとほぼ同じ)にもなります。このような「数字で見るキリンのひみつ」を歌の後にトークとして挟むと、子どもの「もっと知りたい!」という気持ちを刺激できます。
製作活動との連携も効果的です。トイレットペーパーの芯を縦に5本つなげると、だいたい実際のキリンの首の長さ(約2m)に近い模型が作れます。子どもたちが自分で作ったキリンをぶら下げて飾れば、6月の保育室が一気に賑やかになります。キリンの首を手で伸ばす手遊びとも連動させやすいです。
さらに見落とされがちなポイントとして、「きりんさん」の歌を朝の会の導入や給食前の落ち着きタイムに活用するアイデアがあります。手遊びは子どもの注意を集中させる力があり、次の活動への切り替えを自然に促します。忙しい保育の流れの中で「おいしく食べようね」という雰囲気を作るブリッジとして、短い手遊び歌は非常に機能的です。
天王寺動物園|世界キリンの日(World Giraffe Day)について
キリンの歌童謡のピアノ伴奏と楽譜選びのポイント
保育士にとって避けて通れないのが「弾き歌い」です。「きりんさん」の各バージョンは難易度が異なるため、自分のスキルに合った楽譜を選ぶことが重要になります。これが条件です。
堀内孝雄作曲「キリンさん」(山本雄二作詞)は比較的シンプルなメロディーで、右手の音域も広くなく、ピアノ初中級レベルで対応できます。伴奏形もオクターブ奏などを必要とせず、左手はコードを分散させた形が多いため、初めての弾き歌いにも挑戦しやすいです。YouTubeでは「幼稚園・保育系学生向け キリンのうた 伴奏だけ前奏つき」という動画も複数公開されており、耳でメロディーを確認しながら練習できる環境が整っています。
服部公一作曲「キリンさん」(まど・みちお作詞)は、やや抒情的な和音進行が特徴で、初見では少し弾きにくいと感じるかもしれません。ただし、まど・みちおの歌詞は子どもの情緒に深く訴えかける内容なので、3歳以上のクラスで情操教育を重視する場面では選ぶ価値があります。
楽譜の入手先として信頼性が高いのは以下の通りです。
- 📖 チャイルド本社「続こどものうた200」:戸倉ハル版を含む定番の保育用楽譜集
- 📖 ドレミ楽譜出版社「保育のためにこどものうた140選」:堀内孝雄版なども収録
- 🎵 piascore(ピアスコア):「きりんはゆらゆら」など関連曲の楽譜をデジタル販売で購入可能
- 📺 YouTube「心を育む童謡チャンネル(ここはぐ)」:歌詞付き動画でメロディー確認に活用できる
保育実習中に弾き歌いを求められる場面は多く、2018年の研究(椙山女学園大学)では保育実習中に学生が実際に弾き歌いした曲数は平均で約15〜20曲に上ることが報告されています。事前に5〜10曲を確実に弾けるようにしておくことで、現場での焦りを大きく減らせます。
自信がない場合は、伴奏を大幅に簡略化した「お助けコードバージョン」で弾くという方法もあります。左手をドミソの3音だけに絞るだけでも、歌を支える伴奏として十分に機能します。完璧に弾こうとするより、子どもと一緒に楽しめるレベルを目指す方が保育の現場では大切です。
大阪樟蔭女子大学|保育実習での弾き歌い実態調査に関する論文(PDF)

まゆゆきりん「往復書簡」~一文字、一文字に想いを込めて~

