花笠音頭の歌詞の意味を保育士が子どもに伝えるポイント

花笠音頭の歌詞の意味と保育で伝えるコツ

「花笠音頭の歌詞は、どれも同じ内容だと思っていませんか?実は150種類以上あり、間違った歌詞で子どもに教え続けると保護者からクレームになることがあります。」

この記事でわかること
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花笠音頭の歌詞と意味

「ヤッショ、マカショ」の掛け声をはじめ、各歌詞に込められた山形の地名・名産・歴史の意味を解説します。

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花笠音頭の由来と歴史

大正8年の土突き作業歌から東北四大祭りの踊り唄へと変遷した経緯を、保育現場で使いやすいエピソードとともに紹介します。

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保育士が子どもに伝えるポイント

歌詞の意味を子どもの言葉で噛み砕き、盆踊りや運動会で使えるよう、実践的な指導のコツを紹介します。

花笠音頭の歌詞の基本と「ヤッショ、マカショ」の意味

 

花笠音頭の歌詞で最初に気になるのが、「ヤッショ、マカショ」という独特の掛け声でしょう。この言葉は「やりましょう、まかせてもらいましょう」という意気込みを表しているといわれています。大正時代に土木作業員が重い杭を打ち込む際、息を合わせるために発した「かけ声」が語源とされており、山形市民の心意気を象徴する言葉として今も受け継がれています。

保育士として子どもたちに教えるとき、この掛け声の意味を伝えるだけで、踊りへの気持ちの入り方がガラリと変わります。つまり「みんなで力を合わせよう!」という意味だということですね。幼児クラスの子どもたちにとっても、「一緒にやろう!」という意味として直感的に伝わりやすい言葉です。

現在、山形花笠まつりの公認歌詞は全部で15歌詞あります。もとからあった2歌詞に加え、第1回パレードにあたって一般公募で集まった100以上の応募から13歌詞が選ばれ、1曲が構成されています。その歌詞はすべて、山形県の「母なる川」とも呼ばれる最上川流域の名所や名産を詠み込んだものです。

歌詞には花(桜)の山形、紅葉の天童、雪の尾花沢など山形各地の地名が次々と登場します。「花の山形」の「花」は桜を指し、「紅葉の天童」は将棋の駒で全国的に有名な天童市の秋の美しさを歌っています。これが基本です。

また、「チョイチョイ」という囃子ことばは息継ぎのタイミングでもあります。歌詞の下の句、第3句目の3文字の後に入り、そこで一息ついてから最後の「ハァ、ヤッショーマカショ」へとつながる構造になっています。子どもたちに「ここで大きく息を吸って!」と伝えると、正しいタイミングで声が出やすくなりますよ。

以下の表で代表的な歌詞の意味を整理しました。

歌詞の一節 意味・背景
花の山形 桜の美しい山形市。「花」は桜を指す。
紅葉の天童 秋の紅葉が美しい天童市(将棋の駒の産地)。
雪を眺むる尾花沢 雪の名所・尾花沢市。花笠音頭発祥の地。
米のなる木がおじぎする 稲穂が実って垂れ下がる様子。豊作を表す。
さくらんぼ娘 寒河江そだち さくらんぼの名産地・寒河江市育ちの娘の美しさを例えた表現。
酒田港へ紅花積んで流す 最上川を使って紅花を酒田港から江戸へ運んだ歴史的な様子。

参考:花笠音頭の公認歌詞と由来が詳しくまとめられています。

山形花笠まつり公式サイト「花笠音頭について」

花笠音頭の起源と歌詞が150種類ある理由

花笠音頭の歌詞は150種類以上あるといわれています。意外ですね。これは、花笠音頭のルーツが「土突き唄(どんつきうた)」という労働歌にあることと深く関係しています。

大正8年(1919年)、山形県尾花沢市郊外でかんがい用溜め池の工事が行われました。その際、土を突き固める重労働の辛さを和らげ、作業の息を合わせるために歌われていたのが土突き唄です。この工事は徳良湖造成工事とも呼ばれ、今も尾花沢市に歴史が残っています。労働歌としての性質上、歌い手が自由に歌詞を足したり変えたりしながら歌い継がれたため、バリエーションが増え続けました。これが条件です。

その後、山形の民謡家・有海桃洀(ありうみとうしゅう)がこの唄を整え、船方節や八木節などのリズムが取り入れられ、昭和初期(1935年頃)に現在のような三味線・尺八・太鼓を用いた民謡として完成しました。土木作業歌が賑やかなお祭りの音楽へと変わっていったのです。

保育現場でこの背景を子どもに伝えるとき、「昔の人が重いものを運ぶときに、みんなで一緒に声を出して歌ったんだよ」という説明がわかりやすいでしょう。幼児の体験に当てはめると、「大きな積み木をみんなで運ぶときに、いち・に!と声を合わせるみたいにね」と例えると、一気にイメージしやすくなります。これは使えそうです。

また、花笠に飾られている「花」は桜ではなく、山形県の県花である「紅花(べにばな)」です。紅花は江戸時代に最上川を使って酒田港から江戸へ運ばれた山形の重要な産業でした。歌詞「酒田港へ紅花積んで流す舟唄最上川」はまさにこの歴史を歌ったもので、単なる祭り唄ではなく地域の産業史が刻まれているのです。

保育士が子どもたちに花笠を持たせるとき、「この花はね、山形のお花・紅花という特別な花なんだよ」と一言添えるだけで、踊りへの理解と愛着がぐっと深まります。

参考:花笠音頭の歴史的背景と発祥地についての詳しい情報があります。

尾花沢市公式サイト「花笠おどり」

花笠音頭の踊りの種類と歌詞に合った振り付けの特徴

花笠音頭の踊りには4つの種類があることを、保育士は把握しておきたいところです。「花笠踊り」とひとくくりにしがちですが、それぞれ振り付けが大きく異なります。この違いを理解しておくと、子どもたちに指導する際の方針が立てやすくなります。

1つ目が「正調女踊り・薫風最上川(くんぷうもがみがわ)」です。紅花摘みの作業歌がルーツで、優雅かつ華麗な動作が特徴です。女性的なしなやかな動きが中心で、幼児期の女の子クラスでも取り組みやすい種類です。

2つ目が「正調男踊り・蔵王暁光(ざおうぎょうこう)」です。大地をしっかりと踏みしめるダイナミックな動きが特徴で、力強い掛け声とともに踊ります。運動会のパレードでも映える踊り方です。

3つ目が「笠回し系花笠踊り」です。花笠音頭発祥の地・尾花沢地方ならではの踊りで、大きな笠をぐるぐるとダイナミックに回す動きが見どころです。土突き作業の動きが取り込まれており、現在でも「上町流」「寺内流」「安久戸流」「原田流」「名木沢流」という5つの伝統流派が存在します。保育で笠回し系を取り入れる場合は笠の当たりに注意が必要で、笠が小さめのものを用意すると安全に楽しめます。

4つ目が「創作花笠踊り」です。伝統的な踊りをベースに現代のダンスを取り入れたもので、企業や団体ごとに異なる振り付けが行われています。保育現場ではアレンジの自由度が高いこの種類が最も取り入れやすいでしょう。

  • 🎋 正調女踊り・薫風最上川:優雅・しなやか。女の子クラスにおすすめ。
  • 💪 正調男踊り・蔵王暁光:力強く豪快。運動会パレードに映える。
  • 🎡 笠回し系花笠踊り:笠をダイナミックに回す。5つの伝統流派がある。
  • 創作花笠踊りアレンジ自由。保育現場での導入に最適。

踊りの指導では、最初に「ヤッショ、マカショ」の掛け声と手拍子だけを練習させ、リズムを体に覚えさせるところから始めるのがコツです。リズムが基本です。歌詞の意味と動きを1つずつ結びつけながら進めると、子どもたちも「この動きはお米を収穫してるんだ!」と理解しながら踊れるようになります。

参考:4種類の踊りの特徴が詳しく解説されています。

Oggi「花笠音頭とは?4つの踊りの種類から歌詞の意味・衣装まで」

保育士だからこそ伝えたい花笠音頭の歌詞の意味と文化的背景

保育士が花笠音頭を行事に取り入れるとき、歌詞の意味を深く知っているかどうかで、子どもたちへの伝え方の質がまるで変わってきます。単に「お祭りの踊りだよ」という説明と、「昔の人が力を合わせて働くときに歌っていた唄なんだよ」という説明では、子どもの受け取り方が大きく違います。

歌詞の中に出てくる「目出度目出度の若松様よ」というフレーズは、実は江戸時代に全国で大流行したお伊勢参りを通じて、三重県の「伊勢音頭」の歌詞が山形へ持ち込まれたものとされています。「若松」は若い松の木を指し、枝も葉も繁盛するように、という縁起ものの意味が込められています。日本各地の民謡が旅人を通じてミックスされていく様子が、花笠音頭の歌詞にも刻まれているのです。

また「おらが在所に来てみやしゃんせ、米のなる木がおじぎする」という歌詞も子どもたちに伝えやすい表現です。「米のなる木がおじぎする」とは、稲穂が実り重くなって垂れ下がる様子を擬人化した表現です。「お米がいっぱいできると、穂がおじぎするくらい重くなるんだよ」と話すと、農業への興味や食への感謝を自然に引き出すことができます。これが保育ならではの活用法です。

さらに歌詞の文体は7・7・7・5調の甚句系です。これはよさこいや炭坑節などと同じリズム構造で、日本人が昔から親しみやすいと感じるテンポです。このリズムが体に馴染みやすいため、子どもたちも数回聞けば自然と口ずさめるようになります。歌詞を覚えさせたい保育士にとっては、まずリズム読みで繰り返すと効果的です。

文化的背景を子どもたちに伝えることで、花笠音頭は「踊りの練習」ではなく「日本の文化との出会い」になります。保育士の言葉一つが子どもの好奇心に火をつけます。歌詞の意味を知っている保育士かどうかが、子どもたちの記憶に残る体験をつくれるかどうかの分かれ目になります。

参考:花笠音頭の歌詞の文体的・音楽的特徴について詳しい資料です。

教育芸術社「郷土の音楽 山形県の民謡 花笠音頭 解説・楽譜・教材研究」

花笠音頭の歌詞を使った保育活動のアイデアと実践例

花笠音頭の歌詞の意味を理解したあとは、実際に保育活動にどう落とし込むかが大切です。ここでは保育士がすぐに活用できる実践的なアイデアをご紹介します。

最初におすすめしたいのは「歌詞かるた」です。花笠音頭の歌詞の一節を読み札にし、そこに登場する山形の地名や名産のイラストを取り札にします。「花の山形」と読んだら桜のカードを取る、「さくらんぼ娘」と読んだらさくらんぼのカードを取る、といった遊びです。5歳児クラスで試すと、遊びながら歌詞を覚え、山形への興味も育まれます。

次に「動きと歌詞を結びつける練習」です。「米のなる木がおじぎする」のフレーズのとき、全員で前にゆっくりとお辞儀する動きをしてみましょう。「紅花積んで流す舟唄」のフレーズでは、舟をこぐような動きを加えます。歌詞と体の動きが連動することで、記憶への定着率が大幅に上がります。

絵本との連携も効果的です。山形の自然や農業を描いた絵本を読み聞かせた後、「さっき出てきたお米のおじぎ、花笠音頭の歌詞にもあるよ」とつなげると、子どもたちの理解が立体的になります。知識がつながる瞬間です。

花笠は段ボールと折り紙で手作りすることもできます。紙皿に紅花をイメージしたオレンジ色の花を貼り付けるだけで、保育室で使える簡易花笠のできあがりです。自分で作った笠を持って踊ることで、子どもたちの愛着と達成感が生まれます。一緒に作ることが大切です。

なお花笠音頭はテンポのゆったりした版と速い版があります。導入時は遅めのテンポで踊りの形を確認し、慣れてきたら本来のテンポで踊るという2段階の指導が子どもには合っています。YouTube等で複数バージョンを確認しておくと、指導がスムーズになります。

  • 🃏 歌詞かるた:歌詞の一節を読み札に、地名・名産のイラストを取り札に。5歳児に最適。
  • 🌾 動きと歌詞を結びつける:「おじぎ」「舟こぎ」など歌詞の情景を体で表現する。
  • 📚 絵本との連携:農業・自然の絵本と花笠音頭の歌詞をつなげて伝える。
  • 🌸 花笠の手作り:紙皿+折り紙の紅花で簡易花笠を制作し、踊りへの愛着を高める。
  • 🎵 2段階テンポ指導:最初はゆっくり形を確認、慣れたら本来のテンポへ。

保育士が歌詞の意味を丁寧に噛み砕いて伝えることで、子どもたちは単なる踊りの練習ではなく「日本の民謡文化」と本質的に出会えます。花笠音頭は「お祭りで踊る曲」というだけでなく、山形の歴史・農業・地理が凝縮された生きた教材です。その深みを知っているか知らないかで、保育の質は大きく変わります。知っていると得です。

盆踊り・運動会の準備と並行して、歌詞の意味や背景を少しずつ子どもに伝えていく習慣が、長い目で見ると子どもの文化的な感受性を豊かに育てることにつながっていきます。


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