行事の歌を保育に活かす!季節別おすすめ曲と選び方ガイド
発表会の動画をSNSにあげると著作権違反になり、最悪10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられます。
行事の歌を保育に取り入れるねらいと効果
保育の現場では、歌は「楽しいから歌う」という以上の意味を持っています。厚生労働省の「保育所保育指針」においても、うたを含む音楽活動は「表現」領域の中心的な取り組みとして位置づけられており、子どもの発達を多面的に支える活動とされています。
行事の歌を取り入れる最も大きな効果は、季節感や文化への理解を自然に育むことです。たとえば、七夕前に「たなばたさま」を歌い始めると、子どもたちは笹飾りや短冊を「自分ごと」として楽しみに待てるようになります。これは絵本や説明だけでは得にくい感覚で、歌特有の情緒的な働きかけが生みだすものです。
加えて、歌には言語発達の支援という重要な側面があります。リズムに乗って言葉を繰り返すことで、子どもたちは自然と語彙を習得します。特に「サラサラ」「キラキラ」といった擬音語が豊富な曲は、低年齢でも声に出して楽しめるうえ、言葉のリズム感覚を鍛える効果があります。
集団で歌う活動は、協調性や社会性の発達にも直結します。音を合わせてひとつの歌をつくりあげる体験は、相手の声を聴き、タイミングを読み、全体の中での自分の役割を感じるという、非常に複合的な学びをもたらします。これはスポーツや制作活動にも共通する、保育の核心的なねらいです。
保育士として歌を選ぶ際には、こうしたねらいを意識することが重要です。「なんとなく季節に合っているから」ではなく、「この歌をこの時期にこのクラスで歌うことで、子どもに何を感じてほしいのか」という視点が選曲の質を大きく変えます。
| ねらい | 具体的な効果 |
|---|---|
| 感情表現の育成 | 歌詞の内容を通じて喜び・悲しみ・楽しさを表現する力が育つ |
| 言語能力の発達 | 繰り返しのフレーズや擬音語で語彙・音感が自然に身につく |
| 季節感・文化理解 | 行事の意味や四季の変化を歌を通して体感できる |
| 社会性・協調性 | みんなで声を合わせる体験が仲間意識・一体感を生む |
| 身体発達 | 腹式呼吸・リズム感・手遊びとの組み合わせで運動能力も向上 |
参考:厚生労働省「保育所保育指針」における「表現」領域の解説が掲載されています。
行事の歌の選び方:年齢・月齢で変わる3つのポイント
保育の現場では、「子どもが楽しそうに歌わない」「声がそろわない」という悩みを抱える保育士が少なくありません。その原因の多くは、曲そのものではなく選曲のミスマッチにあります。成長や発達に合わない歌を選んでしまうと、子どもは「うまく歌えない」と感じ、歌そのものへの苦手意識を持つことがあるのです。これは避けたいところです。
ポイント①:声域に合っているか
子どもの声域は年齢とともに広がります。3歳未満では、音程の高低差が小さく、繰り返し構造のシンプルなメロディーが最適です。4歳を過ぎると徐々に音域が広がり、少し複雑なリズムや音程変化も楽しめるようになります。つまり「大人が好きな行事の歌」と「子どもが歌いやすい行事の歌」は別物だということです。
ポイント②:歌詞の発音難易度は適切か
発音が未熟な低年齢のクラスでは、歌詞の内容より発音のしやすさを優先しましょう。「ぶんぶんぶん」「おはながわらった」のように、口の動きが少なくリズムで楽しめる曲が向いています。年齢が上がってくると、歌詞のストーリーを理解しながら感情を込めて歌えるようになるため、物語性のある曲も有効です。
ポイント③:行事とのタイミングは「少し前」が正解
これは多くの保育士が知らない重要な選曲の鉄則です。行事当日に歌えることを目指すなら、シーズン到来の2〜3週間前から導入するのが理想的です。「もうすぐクリスマスだ、あの歌を練習しているんだ」という期待感が、子どもたちの行事への関心をぐっと高めます。当日に間に合わせて詰め込み練習をしてしまうと、楽しいはずの歌が”義務”になってしまいかねません。
年齢別の選曲の目安をまとめると以下のとおりです。
- 🍼 0〜1歳児:擬音語・単語中心・ゆったりテンポ(例:ひげじいさん、おつかいありさん)
- 🐣 2〜3歳児:繰り返しフレーズ・全身運動と連動(例:やきいもグーチーパー、アンパンマンのマーチ)
- 🌸 4〜5歳児:歌詞の意味が理解できる・発表会用の曲にも挑戦可(例:にじ、勇気100%、さよならぼくたちのほいくえん)
参考:子どもの声域の発達と選曲の関係について参考になるページです。
保育に欠かせないうたはどうやって選べばいい?|てぶらtouen
行事の歌 保育:春夏秋冬・月別おすすめ曲ガイド
行事の歌を季節・月ごとに整理しておくことは、年間の保育計画を立てる際にとても役立ちます。以下では、各季節の代表的な行事とそれに合った定番曲に加え、保育士たちの間でも意外と知られていないおすすめ曲も紹介します。
🌸 春(3月〜5月)
春は卒園・入園・こどもの日と行事が続く忙しいシーズンです。新しい仲間や環境への期待と不安が混在するこの時期には、明るくシンプルな曲で場の雰囲気をほぐすことが大切です。
- 「チューリップ」:低年齢でも歌いやすく、製作活動との連携も広がる定番曲
- 「こいのぼり」:こどもの日に欠かせない1曲。現代では大きなこいのぼりを見たことのない子も多いので、製作と組み合わせると効果的
- 「せんせいとおともだち」:入園式・進級の時期にぴったりで、新しい友達との出会いを歌った曲
☀️ 夏(6月〜8月)
梅雨や猛暑で外遊びが制限される夏は、歌で自然のイメージや涼を感じさせる工夫が効果的です。七夕・お泊り保育・夏祭りなど行事も盛りだくさんです。
- 「たなばたさま」:2007年に「日本の唱歌100選」にも選ばれた夏の定番。行事当日の達成感につなげやすい
- 「うみ」:ゆったりした曲調で、海への想像を広げる1曲
- 「カレーライスのうた」:お泊り保育の時期に合わせた定番で、子どもたちのテンションを高める効果抜群
🍂 秋(9月〜11月)
運動会・お月見・発表会と続く秋は、歌のレパートリーが最も豊富な季節です。意外と見落とされがちですが、「とんぼのめがね」は長さが短く繰り返しが多いため、低年齢クラスへの導入にとても適した秋の隠れた名曲です。
- 「とんぼのめがね」:1番〜3番まで色が変わるだけで短い構造。低年齢にも最適
- 「やきいもグーチーパー」:2〜3歳児が特に楽しめるじゃんけん要素入り。10月のさつまいも掘りとも連動しやすい
- 「うんどうかい」:運動会への期待感を高める専用曲。練習開始と同時に導入すると効果的
⛄ 冬(12月〜2月)
クリスマス・お正月・節分と行事が集中する冬は、どの曲を優先するか計画が大切です。「赤鼻のトナカイ」は歌詞の意味が分からなくてもリズムでクリスマス気分が高まるため、全年齢で使える万能曲です。
- 「赤鼻のトナカイ」:全年齢対応・発表会での楽器演奏にも活用できる
- 「豆まき」:節分の行事と直結した定番曲。「鬼のパンツ」と組み合わせて使う保育士も多い
- 「お正月」:日本の伝統文化を歌で伝えられる機会として積極的に活用したい
参考:月別・季節別の行事の歌と保育アイデアが豊富にまとめられています。
行事の歌 保育の独自視点:「歌の導入」こそ発表会の質を決める
発表会を前に「歌がうまくそろわない」「子どもたちが楽しそうに歌ってくれない」と悩む保育士は多いものです。しかし実は、原因は練習量でも曲の難易度でもなく、歌の「導入のタイミングとやり方」にあるケースがほとんどです。
まず押さえておきたいのは、「歌の練習を始める」と「歌に親しませる」は別物だということです。発表会の曲は練習として教え込む前に、まず保育士が日常の中で自然に口ずさむことから始めるのが最も効果的です。子どもたちは興味を持つと自分から聞いてきます。それが最高の導入になります。
具体的な導入ステップとして、多くの経験豊富な保育士が実践しているのは次のような流れです。
- 保育士が歌いながら環境をつくる(行事の2〜3週間前から):部屋に歌詞を書いた紙や関連する絵を飾る。子どもが「あの歌なんだろう?」と気になる状況をつくる
- 1フレーズずつ小分けに教える:曲全体を通して練習するのは後半からでOK。最初は「サビだけ」「最初の1フレーズだけ」でも子どもは満足感を得やすい
- 「うまく歌わせよう」を一度手放す:音程のズレや歌詞の間違いを過度に修正すると、子どもは萎縮します。楽しそうにしている保育士の姿が一番の見本です
- 録音して聴かせる:自分たちの歌声を聞かせると驚くほど喜びます。「こんなに上手に歌えたんだ」という自信が次の意欲につながります
特に発表会という行事の場では、保護者の目を意識するあまり「完璧に歌わせること」が目的化してしまいがちです。しかし保育のねらいはあくまで「歌うことの楽しさを体験させること」です。発表会の本番でのびのびと歌える子どもの姿は、詰め込み練習ではなく、日常の中で歌を楽しんできた積み重ねからしか生まれません。これが基本です。
ピアノが苦手な保育士も、この点では心配いりません。音源CDや動画を活用することで、むしろ子どもたちと一緒に歌うことに集中できるというメリットがあります。大切なのは伴奏の質よりも、保育士が楽しそうに歌っている姿です。それが原則です。
行事の歌と保育で必ず知っておきたい著作権ルール
保育士が行事の歌を扱う際に、最も見落としやすいのが著作権のルールです。「子どものための非営利活動だから大丈夫」と思い込んでいる保育士が多いのですが、これは危険な誤解です。著作権法違反は、故意・過失に関わらず成立する場合があり、最悪のケースでは10年以下の懲役または1000万円以下の罰金という重い罰則が定められています。
園内での演奏・歌唱はほぼ問題なし
まず安心していただきたいのは、保育室や発表会会場での演奏・歌唱そのものは、一定の条件を満たせば著作権者の許諾が不要です。具体的には「①営利目的でない②入場料をもらっていない③演奏者に報酬を支払っていない」の3条件を満たせば、基本的に許諾は不要です。これなら問題ありません。
発表会の動画配信・SNS投稿は要注意
問題になるのは、歌や演奏を含む動画をインターネット上で配信・公開するケースです。特に近年の保護者向けライブ配信やYouTubeへの投稿、LINEグループへの共有などは、著作権法の「公衆送信権」に触れる可能性があります。
ただし、2020年の改正著作権法第35条により、条件を満たせばライブ配信も可能になっています。保育所は「学校その他の教育機関」に含まれ、運動会やおゆうぎ会は「特別活動」として「授業」に含まれると解釈されるため、保護者のみに限定したリアルタイム配信であれば許諾なしに(ただし補償金の支払いは必要)行うことができます。
厳しいところですね。では、どこまでがNGなのでしょうか?
以下の行為は著作権者の利益を不当に害するとして明確にNGとされています。
- ❌ 保護者以外の不特定多数が見られる状態での公開(YouTube公開設定など)
- ❌ 発表会の動画を後からオンデマンドで視聴できる状態にすること
- ❌ DVDに焼いて配布すること(JASRACへの申請が必要)
- ❌ 保護者がSNSに転載・再拡散すること(保護者への事前説明と同意取得が必要)
- ✅ 参観が認められた保護者のみへのリアルタイム限定配信(補償金支払い要)
- ✅ 園内での発表会演奏・歌唱(非営利・無料・報酬なしの3条件下)
保護者向けの動画配信を行う際は、主催者として保護者に事前説明・同意取得を行い、「ダウンロード禁止・SNS転載禁止」を明示することが求められます。これを怠ると、善意の配信が違反行為の温床になりかねません。保育士個人が動画を投稿する際も同様です。
著作権フリーの素材を活用する方法もある
日常の保育活動で使う歌として、著作権フリーの楽曲や、著作権の保護期間が終了した楽曲(作者死後70年以上経過したもの)を積極的に活用することも有効です。「ぞうさん」「チューリップ」「こいのぼり」などの昔から親しまれている童謡の多くは、保護期間が終了しており利用しやすい状況にあります。
参考:保育所・幼稚園のライブ配信と著作権法第35条の解釈が詳しく解説されています。
参考:JASRACの公式ページで、教育機関での音楽利用の具体的なケースが確認できます。


