幼稚園の歌人気ランキングと保育士が押さえるべき選曲のすべて
人気の歌を選ぶだけでは、子どもの発達に逆効果になることがあります。
幼稚園の歌人気ランキング|保育現場で選ばれる定番曲一覧
保育現場で長く愛されている歌には、共通した「選ばれる理由」があります。まずは実際に人気の高い曲を押さえておきましょう。
保育士・保護者アンケートや保育専門メディアのまとめによると、幼稚園・保育園で特に支持される手遊び歌ランキングTOP5は以下のとおりです。
| 順位 | 曲名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1位 | グーチョキパーでなにつくろう | アレンジ無限大、全年齢対応 |
| 2位 | パンやさんにおかいもの | 顔を使った表現が子どもに大ウケ |
| 3位 | ひげじいさん | シンプルな動きで低年齢でもOK |
| 4位 | おおきくなったら | 5歳児の将来の夢と連動させやすい |
| 5位 | アルプス一万尺 | 難易度高め、4〜5歳に最適 |
「人気」という切り口だけで選ぶのは実は危険です。なぜなら、曲の人気と子どもへの「適切さ」は別物だからです。たとえばアルプス一万尺は保育士には絶大な人気を誇りますが、左右の手が異なる動きをするため、3歳以下の子どもには難しすぎて挫折感を与えることがあります。
童謡の定番曲でも人気が高いのは、チューリップ・どんぐりころころ・さんぽ・おにのパンツなどです。季節感のある曲を計画的に取り入れると、子どもたちが歌に生活のリズムや季節の移ろいを感じる機会になります。これは保育指針でも「音楽に親しみ楽しめるような環境を工夫すること」として明記されている点です。
つまり「人気曲を知ること」と「適切な場面で使うこと」の両方が必要です。
幼稚園の歌の人気を左右する「声域」と年齢別選曲のポイント
保育士の多くは「子どもが知っている曲を選べばよい」と考えています。ところが、宮崎国際大学の研究(「幼児の歌唱声域と子どもの歌曲集の音域についての考察」)によると、3歳児の半数が歌いやすい音域はg⁰〜c²の範囲に限られており、この範囲を大幅に外れた曲を歌わせると、子どもに「歌えない」という苦手意識を植えつけてしまうリスクがあります。
国学院大学北海道短期大学部の穴澤彩佳氏による研究でも、年齢ごとの声域は次のように整理されています。
たとえば「チューリップ」は音域がドからソに収まり、4拍子で繰り返しが多い。つまり、3〜4歳児に非常に適しています。一方「さんぽ(となりのトトロ)」は転調を含み、音域も広めなので、5歳児向けの発表会での定番になっています。
ここで重要なのは、年齢にあわない曲を長期間歌わせ続けると、子どもが歌唱活動そのものを嫌いになるケースがあるという点です。保育現場で「歌が苦手な子ども」をつくりたくないなら、まず声域から考える選曲が基本です。
以下は年齢別おすすめ曲のまとめです。
| 年齢 | おすすめ定番曲 | 選曲の理由 |
|---|---|---|
| 0〜1歳 | おもちゃのチャチャチャ・ちょうちょ | リズムを体感するのが目的 |
| 2〜3歳 | かえるのうた・キャベツのなかから | 音程が離れず発音しやすい |
| 4〜5歳 | 世界中の子どもたちが・さんぽ | 転調・複雑なリズムへの挑戦 |
声域を把握することが条件です。子どもの「歌いにくそう」なサインを見逃さないようにしましょう。
保育現場における子どもの歌の選曲基準に関する一考察・子どもの声域に着目して(国学院大学北海道短期大学部紀要)
幼稚園の歌の人気ジャンル「わらべうた」が育む発達効果
「童謡や手遊び歌で十分」と思っている保育士も少なくありません。ところが、わらべうたには童謡や一般の手遊び歌では得られない独自の発達効果があることが、保育学・心理学の研究で明らかになっています。
マイナビ保育士の取材によると、保育・心理学の専門家はわらべうたが「触覚」「生命感覚」「運動感覚」「平衡感覚」という子どもの発達の土台となる4つの感覚を育てると指摘しています。具体的には次のとおりです。
- 👐 触覚:「いっぽんばし こちょこちょ♪」のように触れ合う歌遊びが、親子・友達への安心感と信頼感を育む
- 💃 運動感覚:繰り返されるシンプルなリズムが、体を動かす基本的な感覚を整える
- ⚖️ 平衡感覚:前後左右の揺れを伴う遊び歌が、体のバランス能力を自然に養う
- 🌱 生命感覚:保育者の声や温もりを通じて感じる安心感が、情緒の安定につながる
また、近年の研究では子どもの脳の発達は大人の10倍以上のスピードで進むとされており(白藤学院大学・杉山研究)、わらべうたで与えられる多感覚刺激がこの発達を効果的にサポートすることが分かっています。
これは使えそうです。現場でわらべうたを取り入れる際は、まず「いちじくにんじん」「あぶくたった」「かごめかごめ」といった定番から始めるのがスムーズです。わらべうたの最大のメリットは、特別な教材や道具が不要で、保育士の声と両手だけで実践できる点にあります。
保育計画にわらべうたを組み込む場合は、文部科学省が認定する保育士向け研修や、専門書「うたってあそぼうわらべうた保育実践集」(さくら・さくらんぼのわらべうた保育関連書籍)なども参考になります。
「わらべうた」が子どもの発達を左右する!保育学・心理学的視点からの解説(マイナビ保育士)
幼稚園の歌の人気曲で知らないとリスクになる著作権の基礎知識
「保育で歌っているだけだから著作権は関係ない」と思っている保育士が多いのが現実です。ところが、著作権の扱いを誤ると最悪の場合3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられるケースがあります。
特に注意が必要な場面は次の3つです。
- 📄 歌詞のコピーを子どもに配布する:楽譜や歌詞カードを印刷して配ることは「複製権の侵害」にあたる可能性があります。著作権の保護期間(作者の死後70年)が切れていない曲では特に注意が必要です。
- 📸 発表会の動画をSNSやYouTubeに投稿する:背景で流れているBGMや子どもたちが歌う曲が著作権管理楽曲の場合、公衆送信権の侵害になります。YouTubeはJASRACと包括契約をしていますが、他のSNSは異なります。
- 📢 園のホームページに歌動画を掲載する:保育士が子どもに歌を教える動画を外部公開すると、情報料・広告収入がなくても著作権侵害とみなされることがあります。
ただし、著作権法第38条のもと「営利を目的としない、料金を徴収しない」環境でのライブ演奏・歌唱は認められています。また作者・作曲者の没後70年を経過した曲(パブリックドメイン)は自由に利用できます。「チューリップ」「どんぐりころころ」「ちょうちょ」などの明治〜昭和初期の童謡の多くはすでにパブリックドメインに該当しています。
著作権フリーの楽曲を使いたい場合は、JASRACのデータベース「J-WID」で著作権の状態を確認するのが確実です。1件あたり数秒で調べられます。手間はかかりますが、300万円のリスクと比べれば圧倒的に小さな手間です。
著作権法に注意!学童や保育園で知らないとヤバい違反行為の具体例(学童クラブ運営サイト)
保育士が実践すべき幼稚園の歌の活用テクニックと独自アプローチ
多くの保育現場では、「有名な曲を覚えさせること」が歌活動のゴールになりがちです。しかし、歌の本来のねらいは「歌えるようになること」ではなく、歌を通じて子どもが何かを感じたり、友達とつながったりすることにあります。
鹿児島大学の「幼稚園における手遊び歌に関する実践的研究」でも、手遊び歌は「単に子どもを惹きつけるだけの教材にとどまらず、保育者の教材研究や保育計画によって教育的効果を一層高めることができる」と結論づけています。つまり同じ曲でも、保育士の使い方次第で効果が大きく変わるということです。
現場で試せる実践テクニックを以下にまとめます。
- 🎤 テンポを変えてみる:同じ手遊び歌でも、速く・遅くするだけで難易度と盛り上がり方が変わります。「すいかのめいさんち」を猛スピードで歌うと5歳児が夢中になります。
- 🌸 季節と連動させる:春に「チューリップ」、秋に「どんぐりころころ」のように季節感と歌を結びつけることで、子どもの生活体験と音楽がつながります。
- 🤝 活動の「橋渡し」として使う:食事の前・外遊びの前・製作の導入など、活動の切り替え時に短い手遊び歌を挟むと、子どもの気持ちをスムーズに切り替えられます。
- ✏️ 子どもと一緒に歌詞を作る:「グーチョキパーでなにつくろう」のアレンジを子どもたちに考えてもらうと、発言力・想像力の育ちにつながります。これは他の保育記事でほとんど取り上げられない視点です。
ここで注目したいのが「替え歌・アレンジ」の活用です。同じ曲でも歌詞を子どものリクエストで替えると、受け身になりがちな歌活動が一気に主体的な遊びに変わります。こうした参加型の歌活動は、5領域の「表現」だけでなく「言葉」「人間関係」の育ちにも貢献します。
活動中に歌が苦手な子どもを見つけたら、無理に声を出させるのではなく、手振りだけ・聴くだけでも参加とみなすことが大切です。歌に対する安心感が先にあってこそ、次第に自分から声が出るようになります。それが原則です。
保育士向けの音楽活動サポートとしては、全国どこからでも活用できる「保育士バンク!」や「ほいくis」のような保育専門メディアが、季節ごとの選曲例や手遊び動画を無料公開しており、日常の教材研究に役立ちます。
幼稚園における手遊び歌に関する実践的研究(鹿児島大学リポジトリ)

(令和KIDS)保育園・幼稚園・こども園で人気のどうよう&あそびうた100 ~どんどん歌える! 楽しい歌と遊びがどーーんと100曲大集合! ~(遊び歌解説つき)

