お盆の歌歌詞を保育士が子どもに伝える完全ガイド

お盆の歌の歌詞を保育士が子どもに伝える方法

実は、炭坑節の歌詞はお盆とは一切関係ない「恋愛の歌」です。

この記事でわかること
🎵

お盆の代表曲の歌詞と意味

炭坑節・東京音頭・子供盆おどり歌など定番曲の歌詞の背景と、子どもへの分かりやすい伝え方を解説します。

👶

年齢別おすすめ曲の選び方

1歳児〜5歳児まで、発達段階に合った盆踊り・お盆の歌の選び方と保育のねらいを整理しています。

⚠️

保育士が知るべき著作権の注意点

歌詞の掲載・SNS投稿・行事での使用で保育士が知っておくべき著作権の基本ルールをまとめています。


<% index %>

お盆の歌の歌詞を子どもに教える前に知るべきお盆の意味

 

お盆の歌や盆踊りを保育に取り入れるとき、歌詞を正確に教えることと同じくらい大切なのが「お盆とは何か」という背景の共有です。歌詞の意味は、お盆を理解していてはじめて深く伝わります。

お盆とは、毎年夏(主に8月13〜16日)の4日間に、ご先祖様の霊が家に帰ってくるとされる日本の伝統行事です。仏教の経典「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」が起源とされており、日本で初めて公式にお盆が行われたのは西暦606年、推古天皇の時代にさかのぼります。つまり約1400年もの歴史を持つ行事です。

子どもへの説明はシンプルにするのが基本です。「天国にいるおじいちゃん・おばあちゃん、そのまた昔のご先祖様が、年に一回夏に会いに来てくれる日だよ」と伝えると、幼児でもイメージしやすくなります。怖いイメージを与えないように「うれしいおでかけをしてきた人が帰ってくる日」というニュアンスで話すのもよい方法です。

盆踊りは、帰ってきたご先祖様をおもてなしし、一緒に楽しい時間を過ごすための踊りです。これはもともと平安時代の「念仏踊り」が起源とされており、踊りながら念仏を唱えることで先祖供養をしたのが始まりです。お祭りで楽しく踊る文化に変わった今も、根底には「ご先祖様への感謝」という心が込められています。

つまり、「お盆の歌=楽しいお祭りの歌」という認識だけでなく、その歌詞の奥にある感謝の心まで子どもに届けることが、保育士の役割と言えます。

参考:お盆の意味と由来・子どもへの伝え方(ほいくis)

保育士が押さえるお盆の歌の歌詞と代表曲3選

お盆の時期に保育園で使われる歌には、いくつかの定番曲があります。それぞれの歌詞には深い背景があり、知っておくと子どもへの説明がぐっと豊かになります。

① 炭坑節(たんこうぶし)

「月が出た出た 月が出た ヨイヨイ 三池炭坑の 上に出た」という書き出しで知られる炭坑節は、全国の盆踊りで最も使われる定番曲です。歌詞を読むと分かるのですが、実はお盆や先祖供養のことは一言も出てきません。「あなたがその気で言うのなら、思い切ります別れます」「サマちゃんが通わにゃ仇の花」など、炭鉱で働く女性の視点から描いた恋愛の歌詞が中心です。

炭坑節の原曲は「伊田場打選炭唄」という、福岡県三井田川炭鉱の女性労働者が選炭(炭の選別)作業中に歌っていた仕事唄です。その後花柳界で洗練され、1932年(昭和7年)に初めてレコード化されました。保育士として子どもに伝える際は、「昔、炭という燃料を掘っていた人たちが歌っていた歌だよ」と一言添えるだけで、歌詞への親しみが生まれます。

歌詞の「サノヨイヨイ」という囃し言葉は、掛け声の一種です。子どもたちが一番覚えやすい部分でもあるため、まずこの部分から一緒に歌うと盛り上がりやすいでしょう。

② 東京音頭(とうきょうおんど)

「踊り踊るなら チョイト東京音頭 ヨイヨイ 花の都の 真中で」という歌詞が有名な東京音頭。実はもともと「丸の内音頭」という名前で1932年に発表された曲です。昭和恐慌で景気が落ち込んでいた時代に、日比谷周辺の飲食店主たちが「みんなを元気づけたい」という思いでビクターに依頼して作られたのが起源です。

歌詞の「花の都の真中で」は東京の中心地・丸の内エリアを指しており、東京復興と経済振興を願う気持ちが込められていました。その後、歌詞に「隅田」「武蔵野」などの地名が盛り込まれ「東京音頭」として全国に広まった経緯があります。

子どもへの説明では「みんなが元気になるように作られた歌だよ」と伝えるのがシンプルでわかりやすいです。

③ 子供盆おどり歌(子供盆踊り唄)

「そよろそよ風牧場に街に 吹けばチラチラ灯がともる シャンコ シャンコ シャンコ シャシャンがシャン 手拍子そろえて シャシャンがシャン」という歌詞が特徴的な曲です。1952年(昭和27年)に北海道教育委員会が子ども向けに企画・制作したもので、作詞:坪松一郎、作曲:山本雅之によります。

この曲の「シャンコ」という歌詞は、馬そりの鈴の音を表現したものと言われています。北海道では「チャンコ」と歌われることが長年ありましたが、原曲の正しい表記は「シャンコ」です。実は平成に入ってから歌詞を「チャンコ」に変えたリメイク版が作られましたが、原作者に無断で行ったため著作権上のトラブルになり廃盤となった過去があります。

この3曲は2歳児以上であれば、お祭りの雰囲気を楽しみながら歌詞に親しめます。

参考:炭坑節の歌詞と解説(世界の民謡・童謡)
https://www.worldfolksong.com/songbook/japan/tankou.htm

年齢別・お盆の歌の歌詞を使った保育のねらいと選曲ポイント

お盆の歌を保育に取り入れるとき、年齢に合った選曲と保育のねらいを設定することが大切です。同じ「盆踊りの歌」でも、1歳児と5歳児ではアプローチが大きく変わります。

1歳児(0〜1歳)

この年齢ではまだ歌詞を言葉として理解するよりも、リズムや音の心地よさを全身で感じることが中心です。保育のねらいは「音楽のリズムに親しむ」「保育士や保護者と一緒に体を動かす楽しさを味わう」こと。ヒヨコ音頭・月夜のポンチャラリン・げんき音頭など、テンポがゆったりしたシンプルな曲がおすすめです。抱っこしながら一緒にリズムをとるだけでも立派な音楽活動になります。

2〜3歳児

徐々に歌詞の言葉を覚え始め、「よいよい」「シャンコ」などの繰り返しフレーズを一緒に口ずさむようになる時期です。保育のねらいは「歌詞のリズムや言葉の響きに興味を持つ」「簡単な動きを通じて身体表現を楽しむ」こと。アンパンマン音頭・しまじろう音頭・炭坑節振り付けアレンジして)などが向いています。特に「サノヨイヨイ」など繰り返しの囃し言葉は、この年齢の子どもが一番自然に覚えられる部分です。

4〜5歳児

歌詞の内容をある程度理解し始め、「この歌はどんな意味?」と質問できるようになる年齢です。保育のねらいは「お盆の文化や歴史に興味を持つ」「歌詞の意味を考えながら歌う楽しさを知る」「地域の伝統行事を体験する」こと。東京音頭・花笠音頭ソーラン節など、少し難易度が高い定番曲にも挑戦できます。

炭坑節の歌詞を5歳児に教えるとき「昔、石炭というものを地面の下から掘る大変な仕事をしていた人たちが、仕事の合間に歌っていた歌なんだよ」と伝えると、子どもたちが「石炭ってなに?」と興味を持ちやすくなります。歌詞が「仕事の歌」であるという文脈は、保育所保育指針の「身近な社会や地域への興味・関心」にも繋がる学びです。

年齢 おすすめ曲 ねらい
0〜1歳 ヒヨコ音頭・月夜のポンチャラリン リズムに親しむ・保育士と一緒に楽しむ
2〜3歳 アンパンマン音頭・炭坑節(簡略版) 歌詞の言葉の響きを楽しむ
4〜5歳 東京音頭・花笠音頭・炭坑節 歌詞の意味を知り、文化を学ぶ

年齢別の対応が基本です。無理に全員同じ曲を使わなくて大丈夫です。

お盆の歌の歌詞で保育士が注意すべき著作権のポイント

お盆の歌の歌詞を使う場面で、保育士が意外と見落としがちなのが著作権の問題です。「行事で歌うだけだから大丈夫」と思っていると、思わぬトラブルになることがあります。

まず、歌詞は著作物として保護されています。作詞家・作曲家が亡くなってから70年が経過するまでは著作権が存在するため、歌詞を無断でブログやSNSに全文掲載するのは著作権侵害になります。たとえば炭坑節は民謡であるため著作権が消滅しているケースが多いですが、アレンジ版・録音版には別途著作権が発生します。注意が必要ですね。

保育園の行事(夏祭り・盆踊り)での演奏・歌唱については、著作権法第38条により「入場料を徴収しない非営利の演奏」であれば原則として著作権者の許諾は不要です。つまり保育園のお祭りで炭坑節を演奏しても、JASRACへの申請は不要ということです。

一方、注意が必要なのはSNSへの動画投稿です。子どもが盆踊りを踊っている動画をYouTubeやInstagramにアップする場合、BGMとして使っている音楽の著作権が問題になります。これは「非営利の演奏」には当たらないためです。著作権フリーの音源を使用するか、YouTube上で著作権の管理が設定されているJ-POPや民謡のアレンジ版は使用を避けるのが安全です。

また、歌詞の一部を連絡帳や園だよりに引用する場合も同様です。民謡の原曲歌詞は問題ないケースがほとんどですが、現代の編曲・出版物に載っている歌詞はJASRAC管理下にある場合があります。判断に迷ったら、JASRACのウェブサイトで曲名を検索すると管理状況を確認できます。

著作権フリーの音源を探したい場合は「Audiostock(オーディオストック)」などの音源配信サービスで盆踊り音源を購入する方法が確実です。行事用の音源として1曲単位で購入でき、保育現場での使用許諾も含まれているため安心して使えます。

確認する習慣が大切です。使う前に一度調べるだけで、大きなトラブルを防げます。

参考:JASRACによる著作権管理・学校などの教育機関での音楽利用について
https://www.jasrac.or.jp/users/education/

独自視点:お盆の歌の歌詞に隠れた「方言・地域色」を保育に活かす方法

検索上位の記事ではほとんど触れられていませんが、お盆の歌の歌詞には日本各地の方言・地域の歴史が凝縮されています。これを保育のコンテンツとして活かすことで、歌が単なるお祭りの盛り上げ役を超えた「文化の入り口」になります。

たとえば炭坑節の「サマちゃん」という言葉は、福岡の炭坑地帯で働く女性が彼氏・旦那のことを「様ちゃん」と呼んだ愛称です。標準語の「あなた」が九州の花柳界文化と混じって生まれた表現で、現代の子どもには聞き慣れない言葉です。「昔の人は好きな人のことを”様ちゃん”って呼んでいたんだよ」と教えると、子どもたちは目をキラキラさせることが多いです。

また、子供盆おどり歌の「シャンコ」は北海道の馬そり文化を反映した言葉です。北海道では冬に馬そりが移動手段として使われており、その鈴の音「シャンシャン」が原型とされています。「昔の北海道では、馬が引くそりで荷物を運んでいたんだよ。その鈴の音がシャンコなんだ」と伝えると、子どもたちにとって歌詞が生き生きとした物語になります。

東京音頭も同様です。もともと「丸の内音頭」として百貨店が浴衣を売るために企画した曲だったという事実は、子どもよりも保護者に話すと「えっ!商業目的だったんですか?」と驚かれることが多いエピソードです。

このように、歌詞の背景を掘り下げることは「保育における言語活動の充実」にも直結します。難しい言葉を一緒に調べたり、地図で場所を確認したりするプロセスそのものが、5歳児の学びになります。歌詞の意味を覚えるのが目的ではなく、「なんで?」「どういう意味?」と疑問を持ち続けることが大切だということですね。

地域の先生に聞くのもおすすめです。たとえば北海道出身の保護者がいるクラスでは、その保護者に「子供盆おどり歌」の地元での思い出を話してもらうだけで、大人も子どもも盛り上がる特別な時間になります。家庭と園の文化的なつながりが生まれる瞬間です。

曲名 方言・地域色の要素 子どもへの伝え方のヒント
炭坑節 「サマちゃん」=九州の愛称表現 「昔の人の好きな人の呼び方」
子供盆おどり歌 「シャンコ」=北海道馬そりの鈴の音 「北海道の鈴の音だよ」
東京音頭 「丸の内」「隅田」=東京の地名 「東京のどんな場所か地図で見てみよう」

これは使えそうです。次のお盆の保育計画に、ぜひ一つ盛り込んでみてください。

参考:子供盆おどり歌の歌詞と解説(世界の民謡・童謡)
https://www.worldfolksong.com/songbook/japan/kodomo-bon-odori.htm

リメンバー・ミー (字幕版)