父の日の歌・童謡を保育士が選ぶポイントと定番曲まとめ
「すてきなパパ」は保育士に一番人気の童謡なのに、実は知らない保育士が約4割いる。
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父の日の歌・童謡を保育で使う意義とねらい
「父の日」は毎年6月の第3日曜日に設定されており、2026年は6月21日(日)です。保育園における父の日の活動には、子どもが自分を支えてくれる家族の存在に気づき、感謝の気持ちを育てるという明確なねらいがあります。
歌は、その感謝の気持ちをもっとも自然に引き出せるツールです。子どもは歌詞の意味を理解しながら歌うことで、「お父さんはすごい」「パパが大好き」という気持ちを言葉として体感できます。これは単なるイベントの一つではなく、情操教育として非常に価値が高い活動です。
実際、厚生労働省の「保育所保育指針」では、うたや音楽を通じた自己表現は「表現」領域として位置づけられています。歌を通じて子どもは想像力を高め、感情を表す言語力も育まれます。
また、歌を繰り返し歌うことは記憶力・集中力の向上にもつながるとされており、保育の現場では非認知能力を育む手段としても活用されています。つまり父の日の歌は、行事の盛り上がりだけでなく、子どもの発達支援という視点でも重要な意味を持つということです。
さらに保育士が「お父さんへの歌」を弾き歌いで届けることは、保護者との信頼関係を構築するうえでも大切な場面になります。父の日を「ただプレゼントを作る日」で終わらせず、歌をセットにすることで活動の深みが増します。歌が加わると、行事の記憶が子どもの心に長く残りやすくなります。
| ねらいの種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 感謝の気持ちを育む | 歌詞を通じて「パパ・お父さんへの感謝」を自然に体感する |
| 言語・表現力の発達 | 歌詞の言葉を繰り返すことで語彙が広がる |
| 記憶力・集中力の向上 | メロディーと歌詞を覚えることで認知機能が刺激される |
| 親子・保護者との連携 | 父の日に歌を贈ることで保護者との関係が深まる |
参考:保育所保育指針における「表現」領域の考え方
「父の日」の由来|子どもにわかりやすい解説(ほいくnote)
父の日の歌・童謡の定番「すてきなパパ」の特徴と歌い方
「すてきなパパ」は保育現場で父の日の歌といえば真っ先に名前が挙がる、知名度ナンバーワンの童謡です。作詞・作曲は前田恵子さんによるもので、明るくテンポよいメロディーが特徴です。
歌詞の内容は「パパ パパ えらいえらいパパ 世界のだれより えらいんだ」という子ども目線の無邪気な称賛で構成されており、聞いたお父さんが思わず笑顔になるような温かみがあります。これは使えそうです。
保育での導入のしやすさという点でも優れており、2〜3番の構成でテンポが速すぎず、2歳〜5歳幅広いクラスで活用できます。手遊びバージョンも多く発信されており、ピアノが苦手な保育士でも取り入れやすいのが強みです。
弾き歌いのポイントは次の3つに絞られます。
- 🎵 テンポはやや軽快に保つ:スローすぎると歌のかわいらしさが失われます。子どもが体を自然に動かせる速さが理想です。
- 🎹 伴奏はシンプルな和音進行が中心:初級〜中級のピアノレベルで対応可能です。左手2音だけのアレンジ楽譜も多く存在します。
- 👐 手遊びを組み合わせると定着しやすい:「パパ パパ」に合わせて手をたたく動作など、簡単な動きを加えると子どもの集中が高まります。
「すてきなパパ」の楽譜はいくつかの出版社から出ており、Gakken発行の「保育士・幼稚園教諭のための弾き歌い伴奏集」にも収録されています。楽譜の入手については参考リンクもあわせてご確認ください。
手遊びを含む弾き歌い参考動画(保育士向け)
父の日の歌・童謡「おとうさんのあしおと」の魅力と保育での使い方
「おとうさんのあしおと」は、阪田寛夫さんが作詞し湯山昭さんが作曲した童謡で、保育現場では比較的落ち着いたクラスや、5歳前後の年長クラスでとくに響く一曲です。意外ですね。
この歌の一番の特徴は、「廊下に聞こえるお父さんの足音でお父さんの帰りを待つ子どもの気持ち」を描いている点です。「とっとっとっと とっとっとっと おとうさんのあしおと」というフレーズは、足音だけでお父さんの存在を感じられる、情景描写が豊かな歌詞になっています。
絵が浮かぶ歌詞です。子どもたちは歌いながら「お父さんが帰ってくる情景」を頭の中に自然と描けます。これが情操教育としての価値を高めています。
また、この曲は3拍子のワルツリズムで構成されており、歌いやすいテンポ感が特徴です。「サッちゃん」などの童謡でも知られる阪田寛夫さんと、「おはなしゆびさん」でおなじみの湯山昭さんのコンビによる作品であり、子どもの心に届く言葉の選び方が絶妙な一曲です。
弾き歌いでは3拍子のリズムを崩さないことが最大のポイントです。ピアノの初中級レベルの楽譜が東京書籍から提供されており、at-elise(楽譜通販サイト)などでも入手できます。
参考:楽譜の入手先(初中級レベル)
おとうさんのあしおと ピアノ・伴奏譜(弾き語り)/ 初中級(at-elise)
父の日の歌・童謡「パパのせびろ」と他のおすすめ曲
「パパのせびろ」(パパの背広)は、浅田真知さん作詞・福田和禾子さん作曲で、NHK「おかあさんといっしょ」でも放送された馴染み深い童謡です。「パパの背広のポケットからいろんなものが出てくる」という夢のある歌詞で構成されており、子どもたちの想像力を刺激するユニークな一曲です。
この歌は乳児〜2歳クラスの「発語を促す手遊び歌」としても活用されています。「ポケットにはいった ものなあに?」という問いかけ形式の歌詞が子どもの言葉の発達に効果的です。つまり父の日の歌と発語促進の活動を兼ねられるという点で、一石二鳥の使い方ができます。
保育士の間で人気が高い「父の日の童謡」をまとめると、以下のとおりです。
- 🎵 すてきなパパ(前田恵子):定番中の定番。2〜5歳向き。手遊びバージョンあり。
- 🎵 おとうさんのあしおと(阪田寛夫・湯山昭):情景が豊かで年長クラスに◎。3拍子のワルツ。
- 🎵 パパのせびろ(浅田真知・福田和禾子):NHK「おかあさんといっしょ」発。0〜2歳向き。
- 🎵 おとうさん(は大きな大きなおてて)(古田花子・原賢一):シンプルな歌詞で乳児〜2歳に人気。
- 🎵 大好きお父さん:手遊び歌メドレーでも頻出の短い曲。0〜1歳の朝の会にも使いやすい。
大切なのは「子どものクラスの年齢と音域」に合わせて選ぶことです。0〜1歳クラスでは音の高低差が小さくシンプルな歌詞のもの、2〜3歳では手遊びで体を動かせるもの、4〜5歳では情景が描けて歌詞の意味を感じられるものが適しています。年齢に合わせた選曲が基本です。
参考:年齢別の歌の選び方について
父の日の歌・童謡を保育で使う際の「意外な落とし穴」と独自アドバイス
保育現場で父の日の歌を取り入れるとき、多くの保育士が「定番の歌を選んで練習すれば大丈夫」と考えがちです。ところが実は、ここに見落とされやすいポイントが存在します。
まず「家族構成への配慮」は欠かせません。保育所保育指針でも多様な家庭環境への配慮が求められており、父親がいない家庭・ひとり親家庭・養育者が祖父の家庭など、様々なケースが一つのクラスの中に存在します。父の日の歌を導入する際には「お父さんのように大好きな人を思いながら歌おう」という声かけをするだけで、すべての子どもが安心して参加できるようになります。
また、著作権の問題も見逃せません。「すてきなパパ」や「パパのせびろ」のような保育現場でよく使われる曲は、作曲者が比較的最近の方であるため著作権が存在します。JASRAC(日本音楽著作権協会)と施設が包括契約を結んでいる場合は問題ありませんが、保育園が演奏会やお便りで歌詞を掲載する際には確認が必要です。一方、作曲者の没後70年以上経過した明治・大正時代の唱歌はパブリックドメインとなっており、楽譜の無断コピーなどが可能です。
さらに独自の視点からおすすめしたいのが、「父の日の歌を保護者へのメッセージとして録音して渡す」という取り組みです。子どもたちが歌った声をスマートフォンで録音し、QRコードを作って「父の日カード」に貼り付けるだけで、プレゼントの価値が格段に上がります。これは通常のプレゼント製作にはない感動を生み出します。
- 🎤 録音はスマートフォンのボイスメモアプリで十分:特別な機材は不要です。静かな室内で録音するだけでOKです。
- 📲 QRコードはGoogleドライブ+無料QRコード生成サイトで簡単に作成可能:「QRのトラ」などの無料サービスが使いやすいです。
- 🖼️ カードに「QRコードを読んでね♪」と書いてパパへ渡す:子どもの生の歌声がそのまま届きます。
これはお金・時間のどちらも大きくかけずに実現できる工夫です。歌と製作をつなげるアイデアとして、ぜひ一度試してみてください。
参考:ファミリーデーのねらいと保育活動の取り組み
【保育園】ファミリーデーとは?ねらいやプレゼントを解説!(保育ラボ)
父の日の歌・童謡を取り入れた保育計画の立て方
父の日の活動は「歌を教えて終わり」にしてしまうと、子どもたちの心に残りにくくなります。歌を保育計画のどのタイミングで使うかを意識するだけで、活動の質が大きく変わります。
保育計画に組み込む場合のおすすめの流れは次のとおりです。
- 📅 2週間前〜10日前:導入として歌を初めて聴かせる。「今日はお父さんの歌を覚えよう!」と子どもへ声かけする。
- 🎵 1週間前〜5日前:歌詞を声に出して練習する。手遊びがある場合はこの段階で動作も覚える。
- 🎹 3〜4日前:ピアノ伴奏に合わせて歌う。リズムと音程を整える時期。
- 🎁 当日(発表・プレゼント渡し):プレゼント製作と合わせて歌を披露する。録音・録画もこのタイミングで行う。
歌の定着には「繰り返し」が何より大切です。朝の会や帰りの会に1日1回歌うだけで、1週間後にはほとんどの子が歌えるようになります。これが基本です。
年齢が低いクラス(0〜1歳)の場合は「歌えること」を目標にしないほうが無理がありません。保育士が歌いながら抱っこするなど「音楽の心地よさを体感する」時間として位置づけると、活動のねらいと実態が一致します。
また、父の日の歌は「母の日の歌」と歌詞が対応している曲も多く、「母の日バージョン」と「父の日バージョン」で使い分けることができます。たとえば「おとうさんとあそぼう」という手遊び歌は替え歌で「おかあさんとあそぼう」「おじいちゃんとあそぼう」に変えることができ、敬老の日や運動会でも活用できます。汎用性の高い曲を1つ覚えておくと便利です。
保育計画に歌を組み込む際は「音楽のねらい」と「行事のねらい」の両方を指導案に明記することをおすすめします。音楽のねらいとしては「リズム感の習得・言葉の発達」、行事のねらいとしては「家族への感謝を知る・感情を言葉で表現する」と書くと、保育の質の可視化にもつながります。
参考:保育園の歌の選び方・指導のポイント


