タンゴの歌で保育を豊かに!選曲から活用法まで
「タンゴの歌」は節分の時期だけに使うものだと思い込んでいると、子どもの音楽発達を育てるチャンスを年間10か月以上も逃すことになります。
タンゴ歌「赤鬼と青鬼のタンゴ」の歌詞と誕生の背景
「赤鬼と青鬼のタンゴ」は、作詞・加藤直、作曲・福田和禾子によって生まれ、1977年12月にNHKの歌番組『みんなのうた』で初めて放送されました。1978年1月にはキングレコードからシングルレコードとして発売され、翌1978年度のオリコン年間チャートのTVマンガ・童謡部門で48位に入るヒットを記録しています。
歌詞の内容は、山奥に住む角が1本の「赤鬼どん」と、角が2本の「青鬼どん」が月夜に心を浮かれ、タンゴのリズムに乗って踊りはじめるというストーリーです。途中に入る「白ウサギの合いの手」が子どもたちに特に人気で、保育の場でも一緒に声を合わせやすい構成になっています。
🎶 少し意外なポイントがあります。曲名は「タンゴ」ですが、実際の曲構成はすべてがタンゴ調というわけではありません。AメロとBメロは歌謡曲調になっており、サビの部分のみタンゴ調になっています。つまりタンゴが基本です——ただしサビだけというのが正確な表現です。
この構成こそが、子どもたちにとって「歌いやすさ」と「リズムの楽しさ」を両立させている理由のひとつです。歌謡曲調のパートで言葉を覚え、タンゴ調のサビでリズムに乗って体を動かす——自然とメリハリのある音楽体験が生まれます。
アニメーションはイラストレーターのひこねのりおが手がけており、赤鬼・青鬼・白ウサギのキャラクターが生き生きと描かれています。NHK『おかあさんといっしょ』でも長年にわたって放送され続け、現在も多くの保育士・保護者に親しまれています。
参考:赤鬼と青鬼のタンゴの詳細情報(Wikipedia)
タンゴ歌「黒ネコのタンゴ」の歌詞と保育での意外な使い方
「黒ネコのタンゴ」は、1969年にイタリアで開催された子ども向け童謡コンテスト「第11回ゼッキーノ・ドーロ」で第3位に入賞した「Volevo un gatto nero(黒ネコがほしかったのに)」が原曲です。当時4歳の少女ヴィンチェンツァ・パストレッリが歌ったそのレコードは、世界で900万枚を売り上げました。
日本では同年10月5日、当時6歳の皆川おさむがデビュー曲としてカバー。オリコンシングルチャートで14週連続1位を記録し、公称260万枚というミリオンセラーを達成しました。1970年度のオリコン年間シングルチャートでも第1位に輝き、昭和を代表する子どもの歌として今も語り継がれています。
原曲の歌詞の内容は「黒ネコをくれると言ったのに白ネコをよこした、嘘つきとはもう遊ばない」という子どもらしい怒りと正直さを描いたものです。一方、皆川おさむが歌った日本語版は原詞の翻訳ではなく、独自に作詞された内容になっています。これは原曲とのギャップとして意外ですね。
保育の場で「黒ネコのタンゴ」を取り入れる際の独自視点として注目したいのは、発語や言語発達の促進ツールとして活用できる点です。「タンゴ、タンゴ」というくり返しのフレーズや、「かわいい」「よく似合うよ」といった日常的な語彙が多く含まれているため、言葉が出始める2歳前後の子どもが音を模倣しやすい構造になっています。手遊び歌としてアレンジして使うと、より発語を引き出しやすくなります。
言語教育に特化した発達支援センターでも、くろねこのタンゴを発語を促す手遊び歌として実際に活用しており、評価を得ています。保育士として「どうも言葉が少ない子に何か働きかけたい」と感じたときの選択肢として、ぜひ手遊びアレンジ版を試してみてください。
参考:黒ネコのタンゴの詳細と歌詞情報
タンゴ歌のリズムが子どもの発達に与える効果とねらい
タンゴのリズムの最大の特徴は、4分の2拍子(または4分の4拍子)に基づく「チャチャッチャ」という独特のアクセントとシンコペーションにあります。このリズムパターンは、通常のマーチ(行進曲)のような単純な「1・2・1・2」よりも、わずかに複雑な体のグルーブ感を生み出します。
幼児期にこのリズムを体で感じる経験は、複数の発達領域に同時に働きかけます。保育における音楽教育の研究では、リズム遊びを通じて次のような力が育まれることが確認されています。
| 発達領域 | 期待できる効果 | 対象年齢の目安 |
|---|---|---|
| 🎵 音感・リズム感 | 拍子の感覚を身体で覚える、音楽への興味が広がる | 1歳〜 |
| 💬 言語発達 | くり返しフレーズで語彙を増やす、発語を促す | 2歳〜 |
| 🤸 運動能力 | リズムに合わせた全身運動、協調性の向上 | 2歳〜 |
| 😊 感情・表現力 | なりきり遊びで自己表現、感情の解放 | 3歳〜 |
| 🤝 社会性 | 2人組・グループで踊ることで協調性を育む | 3歳〜 |
保育現場でのリズム遊びの一番のねらいは、子どもたちの音感(リズム感)を高めることです。音感の発達は、楽器演奏や歌だけでなく、語学学習にも効果的だという研究結果もあります。つまりリズムを育てることは学びの基礎を育てることです。
さらに、「赤鬼と青鬼のタンゴ」のようななりきり要素のある歌は、歌詞の中の登場人物(鬼やウサギ)を体で表現することで、自己表現力と創造性が同時に育ちます。2人組で向かい合って踊る活動は、相手の動きを意識する社会性の芽生えにもつながります。これは使えそうです。
参考:保育における音楽が子どもの発達に与える影響(岡山大学研究紀要)
タンゴ歌を使った節分ダンス・振り付けの実践ポイント
節分の時期に「赤鬼と青鬼のタンゴ」を使ったダンスを取り入れる保育園は全国的に非常に多く、2歳児から5歳児まで幅広い年齢で実践されています。実際に愛知県の安城市立錦保育園では「子どもたちのお気に入りの体操」として全園的に定着しており、また秋田市の山王幼稚園・保育園でも2歳児の節分行事のフィナーレに取り入れられたという報告があります。
ダンスを現場で成功させるための実践ポイントを整理します。
🎭 年齢別の振り付け難易度の目安
- 1〜2歳児: 保育士の動きをまねるだけでOK。両手を上げ下げする、足踏みをするなど、動作を1〜2つに絞ります。
- 3〜4歳児: 「ドン・ドン」などのアクセントに合わせて手をたたく、2人組でクルクル回るなど、相手を意識した動きを加えます。
保育士が鬼のコスプレをして登場する演出は、子どもたちにとって「怖い鬼」という先入観を崩す絶好の機会です。普段の怖い鬼とのギャップが笑いと驚きを生み、情緒的な豊かさにつながります。厳しいところですね——ただし保育士にとっても工夫のやりがいがある場面でもあります。
振り付けを一から考えるのが難しい場合は、NHK『おかあさんといっしょ』の歴代お兄さん・お姉さんたちによる映像がYouTubeで複数公開されています。初級から中級レベルまで難易度別に演奏動画があるので、ピアノ伴奏と振り付けの両方を確認するのに便利です。
参考:節分行事での「赤鬼と青鬼のタンゴ」活用例(保育アイデアサイト)
保育園で豆まき!節分行事の進め方や出し物をご紹介(きらlike)
保育士が知っておきたい!タンゴ歌の選曲と活用の独自視点
保育士の多くが「タンゴ歌=節分の時期に使う曲」という認識を持っていますが、実はタンゴのリズムそのものは一年を通じて子どもの音楽体験を豊かにするツールとして有効です。節分が終わった3月以降も、以下のような切り口でタンゴ歌を保育に組み込むことができます。
🗓️ 季節を問わず使えるタンゴ歌の活用シーン
- 秋の発表会: 「赤鬼と青鬼のタンゴ」を既存の振り付けではなく、子ども自身がアレンジした動きで踊る「創作ダンス」として発展させる。
さらに、保育士が弾き歌いでタンゴ歌を提供する際のポイントも知っておくと実践に役立ちます。「赤鬼と青鬼のタンゴ」のピアノ伴奏は初級〜中級レベルで、保育用ピアノ曲集にも多く収録されています。
ポイントは「タンゴの跳ねるリズムを出しすぎない」ことです。プロの演奏のようにシンコペーションを強調しすぎると、子どもが拍を取りにくくなります。四分音符の拍感を安定させながら、スタッカートで軽快感を出す弾き方が保育現場では最適です。弾き方が基本です——ムリなテンポアップはしないように意識しましょう。
また、タンゴ歌を選曲する際に見落とされがちなのが歌詞の語彙レベルの確認です。「赤鬼と青鬼のタンゴ」の歌詞には「月夜」「嬉々として」などやや難しい表現も含まれますが、歌詞の意味を完全に理解できなくても、リズムと雰囲気で楽しめることが幼児期の歌の特性です。むしろ「聞きなれない言葉を自然に吸収できる」という点でも語彙獲得のチャンスになります。
参考:保育における歌のねらいと弾き歌いの重要性

