ゾウのうた歌の歌詞と意味・手遊び保育活用ガイド

ゾウのうた歌を保育で活かす完全ガイド

「ぞうさん」は単なる動物の歌ではなく、子どもへの差別禁止メッセージが込められた歌です。

🐘 ゾウのうた 保育活用3つのポイント
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歌詞の深い意味を知る

「おはながながいのね」は周囲からの偏見を表す言葉。作詞家まど・みちおが1948年に込めた「違いを誇れ」というメッセージを子どもに伝えられる。

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年齢別のねらいを把握する

2歳児はジェスチャー模倣・リズム感、3〜4歳児は問いかけへの応答と情緒共感、5歳児は即興表現へと段階的に発展できる。

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「ぞうさんとくもの巣」で集団遊びに発展

2〜4歳児向けの初めての集団遊びとして最適。繰り返し歌詞で数の概念も育ち、コミュニケーション能力の向上にもつながる定番遊び。

ゾウのうた「ぞうさん」の歌詞と作られた背景

 

ぞうさん」の歌詞はたった2番、合計4行という驚くほど短い構成です。しかし、その短さの中に、作詞家まど・みちお(本名:石田道雄、1909〜2014年)が戦中戦後に抱いた切実な願いが凝縮されています。

歌詞は以下の通りです。

歌詞
1番 ぞうさん ぞうさん おはながながいのね そうよ かあさんも ながいのよ
2番 ぞうさん ぞうさん だれが すきなの あのね かあさんが すきなのよ

この歌が世に出た経緯は、実は少し複雑です。まど・みちおが詩を書いたのは1948年(昭和23年)ですが、最初についた曲を「犬のおまわりさん」の作詞で知られる童謡作家・佐藤義美が気に入らず、1953年(昭和28年)にクラシック作曲家團伊玖磨(だんいくま)に改めて作曲を依頼したという経緯があります。つまり、詩と曲の間には5年ものタイムラグがあるのです。意外ですね。

NHKラジオで放送されて以降、国民的童謡として定着しました。まど・みちおは2014年に104歳で逝去するまで、数百編の詩や童謡を世に送り出した”存在の詩人”と称される人物で、1994年には国際アンデルセン賞・作家賞を日本人として初めて受賞しています。

冒頭の「おはながながいのね」は、一見ほのぼのとした問いかけのようです。しかし、まど・みちお自身が語っているように、これは周囲の生き物からゾウの子への「あなたは私たちと違う」という偏見の言葉です。戦時中に外国人への差別を目撃したまど・みちおは、その理不尽さをこの1フレーズに込めました。

つまり「ぞうさん」の歌詞が伝えているのは、差別への反論です。ゾウの子は卑屈になるどころか、「そうよ、かあさんも ながいのよ」と胸を張る。大好きなお母さんも同じだから誇りに思うのだ、という自己肯定と個性の尊重が歌のテーマです。この背景を知ったうえで子どもたちに歌うと、保育士の声のトーンも自然と変わります。それが保育の質を高める土台になります。

参考:ぞうさんの歌詞に込められた差別への思いについての校長先生のお話

ぞうさんの歌詞に込められた思いは? ~ 校長先生のお話 ~ – 上分小学校ブログ

ゾウのうた「ぞうさん」の年齢別ねらいと導入方法

「ぞうさん」は対象年齢2〜5歳と幅広く使えます。ただし、同じ歌を使っても、年齢によってねらいが大きく変わります。ここが原則です。

🟡 2歳児は、「ぞうさんの鼻、長いね。真似してみよう!」と声をかけ、両手で鼻を作るジェスチャーから入るのが王道です。歌詞は追えなくてもOKで、保育士の動きを見て真似することでリズム感と運動感覚を育みます。

🟠 3歳児は、「だれが好き?」という問いかけの部分に反応し始めます。「誰が好き?って聞かれたら、なんて答える?」と事前に問いかけてみましょう。問いと答えのやりとり構造を体感し、自己表現の芽が育ちます。

🔵 4歳児は親子象の関係性を理解できるため、「お母さんぞうってどんな気持ちかな?」と感情を掘り下げる導入が効果的です。「優しくうたってみよう」と声をかけると、情緒面への共感が深まります。

🟢 5歳児は応用へ進めます。「別の動物だったらどうなる?誰かが好き、って言葉を変えてみたら?」と促すと、オリジナルの替え歌をつくる即興表現遊びに発展します。創造力が一気に広がります。

保育士が意識したいのは、歌い出しのテンポです。「ぞうさん ぞうさん」の冒頭はのんびりと、焦らずに歌い始めることで、子どもたちに安心感が生まれます。上手く歌おうとするよりも、ゾウさんの特徴やお母さんへの愛情という”歌詞の中身”を届けることを意識するだけで、空間の雰囲気が変わります。

また、「ぞうさん」のメロディには付点4分音符が特徴的に使われており、これがゆったりした揺れ感を生み出しています。ピアノで弾き歌いをする際は、伴奏のリズムをあえてゆるやかに保つと、歌詞の語りかけ調がより際立ちます。2009年度の保育士試験でも課題曲として採用された実績があるほど、保育の現場で実用性の高い曲です。

参考:「ぞうさん」の振り付きや年齢別ねらいの詳細

ぞうさん|近藤夏子による振り付き動画 – ほいくnote

ゾウのうた「ぞうさんとくもの巣」の歌詞・遊び方・ねらい

「ぞうさんとくもの巣」は、ぞうさんが1匹ずつ仲間を呼んで、最終的に10匹全員がくもの巣にかかって重くなり、ぷつりと巣が切れる、というストーリー仕立ての集団遊びです。歌詞の繰り返し構造がとても覚えやすく、2〜4歳児の初めての集団遊びとして非常に使いやすい一曲です。

遊び方の基本手順は以下のとおりです。

  • 🐘 最初に「ぞうさん役」を1人決め、他の子は自由に座って待つ
  • 🎵 「ぞうさんとくもの巣」の歌に合わせてぞうさん役の子が座っている子たちの周りを歩く
  • 📣 「もひとりおいでと よびました」の歌詞が終わったら、お友達の名前を1人呼ぶ
  • 🚃 呼ばれた子は電車ごっこのように肩に手をかけてつながる
  • 🔁 2番以降も同様に繰り返し、人数を増やしていく
  • 💥 全員つながったら「ぱちんとくものす きれました」で手を離し、みんなでごろんと寝転がる

なお、最後の「くもの巣が切れる」場面の歌詞は、保育現場や地域によって少しずつ異なります。「ぞうさん あんまりふえたので いとが ぷつりと きれました」「あんまりおそく なったので おうちにかえろと いいました」など複数バージョンがあるため、クラス担当の先生どうしで歌詞を事前に合わせておくことが重要です。先生の間で歌詞がバラバラだと、子どもが混乱します。

ねらいは「友だちと一緒に遊ぶ楽しさを知ること」と「簡単なルールを理解すること」の2点です。自分以外の子を意識し始める2〜3歳児の時期に、名前を呼んで繋がる体験は、コミュニケーション能力を育てる上で大きな意味を持ちます。

人数が多いクラスで行う場合は、列を2〜3本に増やして同時進行するのが現実的です。「先頭になりたい!」という子が複数出てきたときにも、この方法で全員に活躍の場を与えられます。

肩に触れることを嫌がる子がいる場合は、腰に手をあてるか、裾をつかむ方法に変えましょう。この配慮が行き届くと、全員が安心して参加できます。

参考:「ぞうさんとくもの巣」の遊び方・ねらいの完全解説

ゾウのうた「ぞうさんのぼうし」で数遊びと表現遊びを広げる

「ぞうのうた」関連の手遊び歌として、もう一曲知っておくと保育の引き出しが格段に増えます。それが「ぞうさんのぼうし」(作詞:遠藤幸三・作曲:中村弘明)です。

歌のストーリーは、ぞうさんが忘れていった大きな帽子に、こねこ・こぶた・こだぬきなどの動物が次々に入り、最後はぎゅうぎゅうになるというもの。

  • 🐱 こねこが入って「ニャン・ニャン」
  • 🐷 こぶたが入って「ブー・ブー」
  • 🦝 こだぬきが入って「ポン・ポン」
  • 🤗 全員入って「ギュー・ギュー!」

動物が増えるたびに擬声語が重なっていくため、子どもは自然にリズムに乗りながら記憶力と模倣力を同時に鍛えられます。これは使えそうです。

年齢別のねらいは「ぞうさん」本曲とほぼ同じ流れで応用できます。2歳児は声まねを楽しむ段階、3歳児は動物の順番を覚える記憶遊び、4歳児は動物の特徴を自分なりに表現する段階、5歳児は「自分ならどんな動物を加える?」と創作に発展させる段階です。

パネルシアターやペープサートと組み合わせると、視覚的な刺激が加わり集中力が増します。特に雨の日の室内遊びや、朝の会の導入活動として重宝します。「ぞうさんのぼうし」は絵本版も存在するため、読み聞かせの後に手遊びへ移行するという流れも作りやすい一曲です。

また、この歌は1〜5(または1〜10)の数が登場するため、数の概念を育てる教育的なねらいも組み込めます。3〜4歳のころに「いち・に・さん…」という数え方が定着し始めるタイミングで導入すると、遊びながら数の順序が頭に入ります。数遊びが自然に身につくということですね。

参考:「ぞうさんのぼうし」の振り付きや年齢別活用法

ぞうさんのぼうし|まな&ゆうによる振り付き動画 – ほいくnote

ゾウのうた歌が子どもの自己肯定感を育てる保育士だけが知る視点

「ぞうさん」「ぞうさんとくもの巣」「ぞうさんのぼうし」の3曲には、一見バラバラに見える特徴があります。しかし保育の視点で見ると、共通して「自分はここにいていい」という安心感を子どもに届ける構造を持っています。

「ぞうさん」では、「違う」ことを「誇り」に変える主人公のゾウの子が、まるで子ども自身の代弁者のように機能します。保育の現場でよく起きる「他の子と違う」「うまくできない」という場面で、この歌を歌うだけで空気が変わることがあります。保育士がこの背景を知っているかどうかで、歌の届け方が180度変わります。

「ぞうさんとくもの巣」では、名前を呼ばれて列に加わるという体験が、「自分は選ばれた・必要とされた」という実感を生みます。名前を呼んでもらえる喜びは、子どもの存在肯定に直結します。呼ばれる順番が来るまで待てない子、人前に出ることが苦手な子にとっても、この遊びは少しずつ参加する勇気を育てる機会になります。

「ぞうさんのぼうし」では、全員が帽子の中に「入れてもらえる」という終わり方がポイントです。一人も取り残されないストーリーは、クラスの一体感を育てます。どの子も帽子に招き入れられるというメタファーが、「あなたも仲間だよ」というメッセージになるのです。

保育士がこの3曲を計画的に組み合わせて使うと、4月の新クラス発足期から5月の緊張ほぐし期にかけて、子どもたちの安心感を段階的に積み上げることができます。4月の最初の集団活動で「ぞうさん」を導入として使い、5月に入ったら「ぞうさんとくもの巣」で集団の一体感を作る。そして6〜7月に「ぞうさんのぼうし」で創造的表現へ移行する、という3ステップの設計が可能です。

子どもが自己肯定感を高めるために必要なのは、特別なプログラムより「毎日の歌」かもしれません。ゾウのうたは、保育士にとって最もコストパフォーマンスの高い自己肯定感教育ツールのひとつです。このことが、ゾウのうた3曲の最大の価値です。

参考:童謡「ぞうさん」の歌詞に込められたメッセージ

みんなに親しまれている「ぞうさん」の歌詞にこめられた深い意味 – chiik!

ゾウのひみつ (飼育員さんおしえて!)