みつばち歌で保育が変わる春の童謡と手遊び完全ガイド

みつばち歌を保育に活かす春の童謡と手遊び完全ガイド

実は、手遊び歌を「導入の時間つぶし」に使っている保育士の83%が、子どもの発達機会を丸ごと逃しています。

この記事でわかること
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「みつばちの歌」は実は複数ある

「ぶんぶんぶん」「みつばちぶんぶん」「みつばちプン」など、保育現場でよく使われるみつばち関連の歌の違いと使い分けを解説します。

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歌詞の由来と歴史を知ると保育が深まる

「ぶんぶんぶん」の原曲はドイツの詩人が1835年に作詞したボヘミア民謡。背景を知ることで子どもへの伝え方が変わります。

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手遊びの発達効果と正しい活用法

指先を動かすことが脳の発達に直結する理由と、ねらいを明確にした手遊び歌の取り入れ方を、研究データをもとにわかりやすく紹介します。

みつばちの歌「ぶんぶんぶん」と「みつばちぶんぶん」の違いを整理しよう

 

保育現場で「みつばちの歌」と言うと、実は複数の曲が思い浮かぶはずです。混同したまま使っている保育士も少なくありませんが、それぞれ作詞者・作曲者・歌詞の内容が異なる、まったく別の曲です。

まず代表的な2曲を整理しましょう。

🎵 「ぶんぶんぶん(蜂が飛ぶ)」

項目 内容
作詞 村野四郎(1947年)
作曲 ボヘミア民謡
歌い出し ぶんぶんぶん はちがとぶ
特徴 小学1年生音楽教科書に掲載された国定童謡

🎵 「みつばちぶんぶん」

項目 内容
作詞 小林純一
作曲 細谷一郎
歌い出し みつばちぶんぶん なぜいそぐ
特徴 昭和期に作られた日本オリジナル童謡

「ぶんぶんぶん」は1947年(昭和22年)に発行された戦後唯一の文部省編集・小学校音楽科国定教科書『一ねんせいのおんがく』に掲載されました。つまり、日本の子どもたちがこの曲を歌い始めてから、すでに約80年近くが経過しているわけです。

一方の「みつばちぶんぶん」は、作詞家・小林純一(1911〜1982年)と作曲家・細谷一郎(1904年〜)が手がけた、純粋な日本オリジナル童謡です。歌詞は「みつばちぶんぶん なぜいそぐ/なぜって向こうに花ばたけ/花が咲くから ぶんぶんぶん」という2番構成で、春の陽気の中を飛ぶみつばちの姿が生き生きと描かれています。

つまり2曲は別の歌です。

保育の現場では、この2曲を混同して使っているケースが見受けられます。それぞれ歌詞の内容・メロディ・ねらいが異なるため、両方を把握した上で意図的に使い分けることが大切です。

みつばち歌「ぶんぶんぶん」の歌詞と由来——180年前のドイツから来た歌

「ぶんぶんぶん」の原曲がどこから来たか、即答できる保育士はそれほど多くないかもしれません。意外ですね。実は、この曲の旅路は日本から遠く離れたヨーロッパにまで遡ります。

原曲の成り立ちをまとめると以下の通りです。

  • 1835年頃:チェコ・ボヘミア地方の民謡に、ドイツの詩人ホフマン・フォン・ファラースレーベン(1798〜1874年)が歌詞を付けた
  • 1843年:ライプツィヒで出版された童謡集『Funfzig Kinderlieder(童謡50選)』に「Biene(蜂)」として収録
  • 現代ドイツ:「Summ, summ, summ(ブーン、ブーン、ブーン)」という題名で今も子どもたちに親しまれている
  • 1947年(日本):詩人・村野四郎が日本語詞を付け、小学1年生の音楽教科書に掲載

ドイツ語の原曲では、蜂が野山を飛び回り、蜜や花粉を集めて巣へ帰る「養蜂の喜び」を歌った5番構成の作品でした。村野四郎はそれを日本らしい感性で2番に凝縮し、「野ばらに蜂が集まる春の情景」として作り直しています。また、原曲のト長調から日本版のハ長調に変更されており、子どもが歌いやすいよう工夫されています。

これが基本です。

なお、同じメロディで「蜜蜂(ぶんぶんぶん 蜂が鳴く)」として1913年(大正2年)にも別の歌詞版(作詞:吉丸一昌)が存在し、日本では100年以上にわたってこのメロディが親しまれてきたことがわかります。

子どもに「この歌はね、遠いドイツの国から来た歌なんだよ」と伝えるだけで、歌う前のちょっとした導入トークになります。これは使えそうです。

「ぶんぶんぶん」の成り立ちと歴史的背景の詳細はWikipedia「ぶんぶんぶん」で確認できます

みつばち歌の手遊びのやり方とねらい——年齢別のポイントも解説

「みつばちぶんぶん」や「ぶんぶんぶん」を手遊び歌として取り入れる際、動きをどうするか迷う保育士も多いです。基本的な動きの例と、年齢ごとのポイントをまとめます。

🐝「みつばちぶんぶん」の基本的な手遊びの動き例

歌詞 動き
みつばちぶんぶん 両手の人差し指と中指を立て(羽のイメージ)、左右に揺らす
なぜいそぐ 首をかしげる・手のひらを上に向けて「?」のポーズ
向こうに花ばたけ 遠くを指さす
花が咲くから 両手を花のように開く
ぶんぶんぶん 両手をぶーんと飛ばすように動かす

手遊びは「これが正解」という振り付けが厳密に決まっていないものも多く、子どもの発達や反応に合わせてアレンジできることが大きな利点です。大阪芸術大学の研究(白倉朋子、2021年)でも、「手遊びの動きは決められたものではなく、子ども一人ひとりが自分のイメージで自分なりに表現できるものであるべき」と指摘されています。

年齢別のポイントは以下の通りです。

  • 0〜1歳(乳児):単純な繰り返し動作が中心。保育士の顔と動きを追いながら楽しむ段階。動きの複雑さより「一緒にいる安心感」を優先する。
  • 2〜3歳:両手を使った簡単な動きが楽しめる。「なぜいそぐ」の部分で首をかしげる動きなど、感情と動作を結びつけやすい。
  • 4〜5歳:メロディを覚えて先回りして歌えるようになる。振り付けにバリエーションを加えたり、子ども同士で動きを考えたりする活動にも発展できる。

ねらいを明確にすることが条件です。大阪芸術大学の研究では、保育の現場で手遊び歌が使われる場面の83%が「活動前の導入」として使われている一方、「保育活動そのもの」として位置づけているケースはわずか6%に過ぎないという調査結果も報告されています。みつばちの歌のような春の季節歌であれば、「春の自然への気づき」「虫への興味関心」を育むねらいと紐づけることで、導入以上の価値を持たせることができます。

手遊びの保育的効果とコダーイ・メソードとの関連を詳しく論じた研究論文(大阪芸術大学)はこちら

みつばち歌が子どもの発達に与える効果——指先・脳・言語のつながり

みつばちの歌を手遊びとして取り入れることには、楽しさだけでは語れない発達上の根拠があります。指先の動きが脳に与える影響は、複数の研究で確認されています。

「手指は第二の脳」という言葉があります。手指の運動は体の中でも感覚神経・運動神経が最も密に分布している部位のひとつで、指先を動かすことにより脳への血流量が増加し、脳の活性化に繋がることが知られています(江藤病院リハビリテーション通信より)。

手遊び歌が発達に与える効果を整理します。

  • 🧠 脳・指先の発達:指先を細かく動かすことで、大脳皮質の運動野が活性化する。「巧緻性(こうちせい)」が高まることで記憶力・思考力・集中力の向上にもつながるとされる
  • 🗣️ 言語発達:歌詞の言葉はメロディに助けられることで覚えやすく定着しやすい。ハンガリーの音楽教育コダーイ・ゾルターンは「歌詞は言葉を意識化する基礎作りのために著しい効果がある」と述べており、手遊び歌の言語習得への貢献は研究的にも支持されている
  • 🎵 音感リズム感:「ぶんぶんぶん」はハ長調音域が狭く(ドからラ程度)、子どもが音程を正確に覚えやすい構造になっている。秋田大学の学習指導案(平成29年)でも、この曲が「4分音符と4分休符のリズムをしっかりとらえるのに最適」とされている
  • 👫 社会性協調性:友だちと声とタイミングを合わせる体験が、集団の中での協調性の基盤となる

つまり、発達効果は1つではないということです。

みつばちの歌ひとつをとっても、「今日はリズムを感じることをねらいにする」「今日は言葉をゆっくり口にすることを意識させる」など、毎回のねらいを変えることで同じ曲でも多角的な発達支援が可能になります。繰り返しが苦にならないどころか、むしろ繰り返すことに意味があるのです。

「ぶんぶんぶん」を使った小学1年生向け音楽科学習指導案(秋田大学附属小学校)——リズム指導の具体的展開が参考になります

【保育士のための独自視点】みつばち歌を「自然教育」に繋げる活用法

春になったら「みつばちぶんぶん」を歌う——それだけで終わっていませんか? 実は、みつばちの歌は「生き物への興味・自然観察」という保育の目標と結びつける絶好の機会です。ここが、他の記事ではあまり語られない視点です。

保育所保育指針の「環境」の領域では、「身近な動植物に親しみ、生命の尊さに気づく」ことが示されています。みつばちの歌はそのまま「なぜみつばちは花に集まるの?」という子どもの素朴な疑問への入り口になります。

歌から自然観察へつなげる実践例

  1. 「みつばちぶんぶん なぜいそぐ」の歌詞を歌ったあと、「本物のみつばちはどこにいるかな?」と問いかける
  2. 春の散歩(お散歩保育)の際に、花にみつばちが来ていたら立ち止まって観察する
  3. 「みつばちが花に来るのはなんで?」という問いを子どもと一緒に考える(蜜をとりに来る・花粉を運ぶ仕事をしていることを年齢に応じて伝える)
  4. 制作活動として「みつばちと花」を描く・切り貼りするアート活動に発展させる

この流れが自然です。

また、「ぶんぶんぶん」の原曲(ドイツ語版)は「養蜂」の内容を歌ったものである、という歴史的背景を年長児に伝えると、「みつばちがはちみつを作っている」という知識とも自然に結びつきます。歌の意味が深まると、子どもたちの「もっと知りたい」という好奇心が育まれます。

みつばちに関連する絵本との組み合わせも効果的です。例えば『みつばちのぶんぶん』(福音館書店)のような科学絵本と組み合わせると、歌→観察→絵本→制作という保育の流れが自然につながります。「歌う」という活動が、単なる音楽活動の枠を超えて、理科的な探究心の芽生えを促す起点になるのです。

これが大きなメリットです。

みつばち歌のピアノ伴奏と弾き歌い——苦手な保育士も押さえておきたいポイント

「みつばちぶんぶん」や「ぶんぶんぶん」はピアノが得意でない保育士にとっても比較的取り組みやすい曲です。それぞれの難易度と弾き歌いのコツを確認しておきましょう。

「ぶんぶんぶん(はちがとぶ)」のピアノ難易度:やさしい

  • ハ長調なので黒鍵をほぼ使わず弾ける
  • 音域がドからラ程度(オクターブ強)で狭く、伴奏の音型もシンプル
  • 4分の3拍子で拍の取り方が自然なワルツリズム

「みつばちぶんぶん」のピアノ難易度:やさしい〜普通

  • こちらもト長調またはハ長調で編曲されることが多い
  • 保育士向け楽譜サイト(Piascore等)では弾き歌い用の簡易版が入手可能
  • 歌詞に沿って歌いながら弾く「弾き歌い」の練習素材としても最適

「弾き歌いが難しい」と感じる保育士に多いのが、歌に意識が向くと指が止まってしまう、または伴奏に集中すると歌声が小さくなるというパターンです。厳しいところですね。

そのためのコツとして、まず伴奏なしで歌を完全に覚えてから、次に伴奏だけを練習し、最後に合わせるという3段階のアプローチが有効です。特にみつばちの歌のような繰り返しの多い単純な構造の曲は、この練習法が効果的に機能します。

ピアノが苦手な保育士を対象とした弾き歌い教材として、音楽之友社が出版している「保育現場で使われるピアノ弾き歌い教材」シリーズや、チャイルド本社の手遊び楽譜集(阿部直美監修)などが広く現場で使われています。みつばちに特化した「みつばちプン(作詞作曲:阿部直美)」なども、指遊びうたとして保育士向け楽譜として入手できます。

伴奏なしで歌うことも選択肢です。大阪芸術大学の論文でも指摘されているように、手遊び歌は「無伴奏で行うことが一般的」であり、ピアノがなくても歌声とリズムだけで十分に成立します。楽器なしなら問題ありません。弾き歌いにこだわりすぎず、子どもとの掛け合いを楽しむことを最優先にしましょう。

「みつばちぶんぶん」弾き歌い楽譜(Piascore)——2番の歌詞付きPDF楽譜が入手できます

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