なにがたべたい歌を保育で活かす手遊び完全ガイド
食べ物の手遊び歌を給食前に歌っても、子どもの好き嫌いはほぼ変わらないと思っていませんか?
「なにがたべたい」歌の代表曲と歌詞・振り付けの基本
「なにがたべたい」というテーマで真っ先に思い浮かぶ手遊び歌といえば、『ピクニック』です。アメリカ民謡「10人のインディアン」でおなじみのメロディーに乗せて、たこ焼き・やきそば・スパゲティ・カレーライス・おにぎりと、食べ物が次々に登場する構成です。作詞は萩原英一さんで、数え歌形式で1~5の数字が順番に出てくる点が大きな特徴となっています。
歌詞と振り付けの基本をおさえておきましょう。
| 歌詞 | 指の数 | 動き |
|---|---|---|
| 1と5でたこやきたべて | 1本指 | 片手をお皿に、1本指で食べるマネ |
| 2と5でやきそばたべて | 2本指 | 2本指でフォークのように動かす |
| 3と5でスパゲティたべて | 3本指 | 3本指でくるくる巻くマネ |
| 4と5でカレーライスたべて | 4本指 | 4本指でスプーンのように動かす |
| 5と5でおにぎりつくって | 両手グー | 両手でおにぎりをにぎるマネ |
| ピクニック HEY! | 両手グー→上に突き上げ | 両腕をぐるぐる回してから突き上げ |
この曲の面白いところは、「1と5」「2と5」と常に5が加わる構造になっているため、子どもが数の組み合わせを自然に感じ取れる点です。つまり数の学習にもなっています。
同じ食べ物テーマで人気の手遊び歌として、以下のものも現場でよく使われています。
- 🍛 カレーライスのうた:材料を切るところから完成まで、ストーリー仕立てで1曲丸ごとカレー作りが楽しめる
- 🍞 パンやさんにおかいもの:体を大きく使い、あっかんべーや鼻をつまむ動作が加わる表情豊かな歌
- 🥦 やさいのうた:たくさんの野菜が出てくる食育にも直結した歌で、苦手な野菜への親しみが生まれやすい
- 🍹 ミックスジュース:りんご・ぶどう・いちごなどのフルーツが出てくるかわいらしい歌で、アレンジもしやすい
これらは共通して、歌いながら「何が食べたいか」「何の食べ物があるか」を体全体で表現できる構造になっています。歌詞を覚えるだけでなく、動作と食べ物のイメージが結びつくのが最大の強みです。
HoiClue(ほいくる):ピクニックの振り付け詳細と解説イラスト付き
なにがたべたい歌が給食前の導入に向いている理由
手遊び歌を給食前に使うことで、子どもの食への関心が高まりやすいとされています。これは単なる「気分転換」ではありません。
大阪芸術大学の研究論文(2021年)によると、手遊びは「言葉の発達や数の理解を助け、旋律を記憶する・拍子を感じる・リズムを記憶するといった多面的な経験」をもたらすと述べられています。食べ物の名前が歌詞に含まれる曲ならば、繰り返しの中でその食材の名前を自然に学べます。
給食前の導入として効果的な理由は次の3点に整理できます。
① 食べ物への「見立て」が働く
手遊びの最中は映像も絵も使いません。子どもは「タコ焼きを食べるマネ」をする際、頭の中でタコ焼きを想像します。この「見立て」の力が想像力を育て、同時に食べ物へのポジティブなイメージを先に作ります。
② 体を動かしながらお腹が空いてくる
リズムに合わせて腕・指・体幹を動かすと、自然と身体が温まります。適度な身体活動は消化酵素の分泌を促し、食欲につながりやすいのです。「思わずお腹がすいてくる」という現場からの声は、あながち感覚的な話ではありません。
③ 子どもの注意を切り替えやすい
遊びから食事への切り替えは、子どもにとって難しい場面のひとつです。手遊び歌は「この歌が終わったらごはんの時間」という合図になり、気持ちの切り替えをスムーズにします。保育士にとっても「声で呼びかける」より子どもが集まりやすいという実用的なメリットがあります。
実際に保育専門メディア「ほいくis」でも、「給食やおやつの前の導入に歌うと、子どもたちの食べ物への関心を高められておすすめ」と現役保育士が実演しながら紹介しています。これは日々の保育の中で積み重ねられてきた実践知です。
なにがたべたい歌の手遊びが子どもの発達に与える5つの効果
「楽しいから歌う」だけではもったいない。手遊び歌には、保育士として知っておくべき発達上の効果が複数あります。
🧠 効果1:脳の活性化と左右バランスの向上
手は「外部の脳」とも呼ばれています。手遊びでは左右の手を交互に・または同時に動かすため、脳全体を均等に刺激することができます。国士舘大学の研究(手遊び歌の使用法における一考察)でも「手の動き、リズム感、反射機能などが発達し、脳の働きが活発になる」と報告されています。
🗣️ 効果2:語彙・言語力の自然な習得
食べ物の手遊び歌には「たこやき」「スパゲティ」「カレーライス」など、日常でよく使う食べ物の言葉が豊富に出てきます。歌詞を繰り返し口にすることで、その言葉と動作(食べるマネ)・イメージ(想像上の食べ物)が同時に結びつき、語彙として定着しやすくなります。
✋ 効果3:手先の器用さと微細運動の発達
1本指・2本指・3本指と、指の数が増えていく動作は、指の分離運動(一本ずつ独立して動かす力)のよい練習になります。箸の扱いや鉛筆を持つ準備段階として、就学前の子どもにとって非常に有益です。
❤️ 効果4:スキンシップによる心の安定
手遊びの際、保育士が子どもの手を取ったり目線を合わせたりすることで、オキシトシン(愛情ホルモン)が分泌されます。これは子どもだけでなく保育士にも起こる変化です。信頼関係が深まり、保育士と子どもの間の安心感が育まれます。
🤝 効果5:コミュニケーション力・社会性の土台
みんなで呼吸を合わせて手遊びをする行為は、集団活動の原体験です。「相手と同じことをする楽しさ」「気持ちを共有する喜び」が、自然とコミュニケーション欲求を引き出します。「自分の気持ちを伝えたい」という欲求が芽生え、それが言語発達・社会性の土台につながります。
これが基本です。効果を最大化するには、子どもの年齢に合った曲選びと、繰り返し実施することが条件です。
国士舘大学:手遊び歌の使用法における一考察(幼児の発達段階をふまえて)
なにがたべたい歌の年齢別の取り入れ方と保育のねらい
手遊び歌を保育に活かすうえで、年齢に合った使い方を知っておくことが重要です。発達段階によって、楽しめる動作の複雑さや、ねらいとすべき内容が変わってきます。
🍼 0〜1歳児向け:シンプルな動作・ゆったりしたテンポで
この年齢では、手遊びの「意味」よりも「リズムと音の心地よさ」が重要です。「カレーライスのうた」や「やさいのうた」のような、ゆったりとした歌でまずは耳から楽しませましょう。保育士が大げさなくらいにっこり笑って見せることで、子どもはその表情から安心感を受け取ります。指を細かく動かすことはまだ難しいため、腕全体を動かす大きな振り付けを優先します。
🐥 2〜3歳児向け:簡単な振り付け+繰り返しで楽しむ
「1と5でたこやき」など、数字と食べ物をセットで覚えられる曲が向いています。まだ1〜5の指分けが難しい子もいるので、「何本でも好きな指で食べるマネをする」くらい自由度を持たせておくと、参加のハードルが下がります。大切なのは「正確にやる」ことより「一緒にやる楽しさ」を体験させることです。
🌟 4〜5歳児向け:数の理解・ゲーム性・アレンジで発展させる
4歳以上になると、1〜5の数字の意味、指の分け方、テンポの変化にも対応できるようになります。「ピクニック」の振り付けを正確にこなし、さらに「今日の食べ物にアレンジしてみよう」と声をかけると、子どもが「カレーじゃなくてラーメンにしたい!」とオリジナルを提案してくれることもあります。これが自己表現の機会になります。
保育計画でのねらいの書き方例
| 年齢 | ねらい |
|---|---|
| 0〜1歳 | 音やリズムを体で感じ、保育士との一体感を楽しむ |
| 2〜3歳 | 食べ物の名前を歌詞から覚え、食への関心を高める |
| 4〜5歳 | 数字・順序・仲間との協調を意識しながら楽しむ |
ねらいを意識した上で手遊び歌を選ぶと、記録や保育計画書にも書きやすくなります。この流れが基本です。
なにがたべたい歌は替え歌アレンジで保育の質が上がる独自の使い方
多くの保育士が手遊び歌を「決まった歌詞のまま」使っています。しかしここに、保育の質を上げる大きなチャンスがあります。
「ピクニック」を例にすると、歌詞の食べ物を「今日の給食メニュー」に差し替えるだけで、まったく違う学習体験になります。たとえば、その日の給食に「にんじんのグラッセ」「鮭のちゃんちゃん焼き」「わかめスープ」が出るなら、それをそのまま歌詞にしてしまうのです。
> ♪ 1と5で にんじん たべて
> ♪ 2と5で しゃけ たべて
> ♪ 3と5で わかめスープ たべて
子どもはその後の給食で「あ!さっき歌で歌ったやつだ!」と感じます。これが食への親しみを生む具体的なルートです。「野菜が出てくる音楽を流すと、リズムに乗って思わず食べてしまった」という現場の声があるように、「知っている・歌ったことがある」という体験が食べる意欲につながります。
さらに一歩進んだ使い方として、「食べられないものを入れる」バリエーションもあります。「つくえ?ノーノー!」「りんご!わーぉ!」という応答型の手遊び(「パクッとたべましょう」スタイル)は、判断力と反応速度を遊びの中で自然に鍛えます。
意外なアレンジとして使えるのが「季節の食べ物バージョン」です。春なら「いちご・たけのこ」、秋なら「さつまいも・きのこ」と、旬の食材を意識した歌詞にすると、食育と季節感を同時に伝えられます。これは使えそうです。
ポイントは、一度定番の歌詞を子どもが覚えてから替え歌を提案することです。まず「知っている曲」になってから変化を加えると、子どもは「あれ?違う!」という驚きを楽しみながら応用力を育てます。


