きんぎょの歌を保育で活かす歌詞・手遊び・ねらい完全ガイド
きんぎょの歌を「なんとなく歌っているだけ」では、実は子どもの発達支援の機会を半分以上損しています。
きんぎょの歌「きんぎょのひるね」の歌詞と意味を知る
「きんぎょのひるね」は、作詞:鹿島鳴秋、作曲:弘田龍太郎によって大正8年(1919年)に生まれた童謡です。実に100年以上にわたって保育現場で歌い継がれてきた名曲で、幼稚園・保育園で長く親しまれてきた歴史を持っています。歌詞は次の2番で構成されています。
| 番号 | 歌詞 | 意味 |
|---|---|---|
| 1番 | 赤いべべ着た かわいい金魚 おめめをさませば ごちそうするぞ |
赤い着物を着た可愛い金魚、目を覚ませばご飯をあげるよ |
| 2番 | 赤い金魚は あぶくを一つ 昼寝 うとうと 夢からさめた |
赤い金魚は泡を一つ出した、うとうとしていたお昼寝の夢からさめたようだ |
歌詞中の「べべ」とは幼児語で着物のことを指し、紅色(べに)が転じた言葉だとされています。子どもたちになじみのない言葉ですが、保育士が「赤いお洋服だよ」とひと言添えるだけで、子どもたちのイメージが広がります。
この歌で多くの保育士が疑問に思う点が「金魚は本当に昼寝をするのか?」という問いです。結論はこうです。魚にはまぶたがないため目を閉じることはできませんが、水草や岩陰でじっと動かなくなる休息時間があります。これが金魚の昼寝の正体で、水面に浮かんでほとんど動かない状態がそれにあたります。子どもたちに聞かれたときのために、ぜひ覚えておきたい豆知識です。
意外なことに、金魚は自然界には生息していません。もともと中国のフナ(ギベリオブナ)が突然変異で生まれたオレンジ色のヒブナを改良したものが金魚の起源で、人間が品種改良で作り上げた魚なのです。日本に金魚が伝わったのは室町時代で、本格的に養殖が広まったのは江戸時代からです。歌の導入前にこうした雑学を子どもに話してあげると、歌への興味がぐっと増します。
歌唱時のポイントは、優しく穏やかに、やわらかい声で歌うことです。寝ている金魚を起こさないように、というイメージで歌いましょう。「あかいべべきた かわいいきんぎょ」とワンフレーズを途切れずに歌う点がやや難しく感じるかもしれませんが、息をしっかり吸って力を抜くと自然に歌えます。ロングトーンの曲なので、大きな声ではなく穏やかな伸びのある声が子どもたちにも伝わりやすいです。
歌詞の情報と背景については以下の参考ページも詳しいです。
歌詞の意味・弘田龍太郎と鹿島鳴秋の作品背景が詳しくまとめられています。
きんぎょの歌「きんぎょさんとめだかさん」の歌詞と振り付け
手遊び「きんぎょさんとめだかさん」は、夏の保育現場で特に人気の高い手遊び歌です。金魚さんとメダカさんの泳ぎ方の違いをそれぞれの動きで表現する、爽やかな遊びで知られています。
歌詞はシンプルでリズムよく、子どもたちが自然に一緒に体を動かせるように設計されています。金魚はゆったりとしたスローな動き、メダカは素早い細かい動きというコントラストが、子どもたちの心に心地よい刺激を与えます。振り付けの概要は以下のとおりです。
- 🐠 きんぎょさんのパート:両手を重ね、左右にゆったりと波打たせながら泳ぐ動きを表現する
- 🐡 めだかさんのパート:両手の指先を小刻みに細かく動かし、すばやく泳ぐようにツイツイと表現する
- ☀️ 最後の「今日も晴れ♪」:両腕を広げて空を表し、平和でのびやかな気持ちを表現する
この手遊びの最大のポイントは「静と動のコントラスト」にあります。ゆったりした金魚の動きで集中を高め、メダカの素早い動きで期待感を盛り上げ、最後の「今日も晴れ」で気持ちよく締めくくる、という流れが子どもたちのリズム感覚を養います。
特に読み聞かせの導入として使うと効果的です。絵本「きんぎょがにげた」(作:五味太郎)を読む前にこの手遊びを取り入れることで、「これからきんぎょのお話が始まるんだ」という心の準備ができ、子どもたちが自然と集中してきます。保育の場でこの手遊びを始めると子どもたちが「何が始まるの?」と興味津々で集まってくる光景は多くの保育士が経験していることです。
また「きんぎょさんとめだかさん」の振り付けは、一見シンプルに見えますが、ゆったり動かすパートと素早く動かすパートの切り替えをきれいに表現するのは意外と難しいと感じる保育士も少なくありません。歌いながら動くうちに自然とリズムがつかめるので、最初は動画を参考にしながら練習するのがおすすめです。
手遊びの動画や歌詞の詳細はこちらで確認できます。
保育士・幼稚園教諭向けの手遊び情報が2400件以上集約されている専門サイトです。
きんぎょの歌を保育で使うねらいと年齢別の活用法
保育においてきんぎょの歌を取り入れるには、「ただ歌う」だけでなく、年齢に応じたねらいを意識することが重要です。これが基本です。
まず0〜1歳児クラスでは、「音とリズムを感じる」ことが主なねらいになります。「きんぎょのひるね」の穏やかでゆったりとしたメロディーは、特に情緒の落ち着きや安心感の醸成に向いています。保育士が優しい声で歌い続けることで、子どもの脳内でリズムのパターンが形成されはじめ、これが将来の言語発達の土台になります。歌い聞かせだけで十分効果があります。
2〜3歳児になると、「模倣を楽しみながら手指を動かす」というねらいが中心になります。手遊び「きんぎょさんとめだかさん」はこの年齢に特に向いており、大人の動きをまねることで微細運動の発達が促されます。完璧にまねられなくても問題ありません。まねしようとする気持ち自体が大切なのです。
4〜5歳児では、「歌詞の意味を理解しながら表現する」ことへのねらいに移行します。「べべって何?」「金魚は本当に昼寝するの?」という疑問を引き出すことで、好奇心と語彙力の両方が育ちます。つまり年齢が上がるにつれて、歌は感覚体験から知的探求へと深まっていくということです。
以下にまとめます。
| 年齢 | 主なねらい | 活動の例 |
|---|---|---|
| 0〜1歳 | 音・リズムへの感覚体験 | 保育士が膝に乗せてゆっくり歌い聞かせる |
| 2〜3歳 | 模倣・微細運動の発達 | 手遊び「きんぎょさんとめだかさん」を一緒に楽しむ |
| 4〜5歳 | 歌詞の意味理解・表現力 | 「べべって何だろう?」と問いかけながら歌う |
手遊び歌全般の保育における効果についての詳細は、以下の記事が参考になります。
手遊びのねらいや期待できる効果、演じるときのコツを専門的にまとめています。
きんぎょの歌が育てる子どもの発達効果:脳・言語・運動
きんぎょの歌を保育に取り入れることで期待できる発達効果は、大きく3つの領域にまたがっています。これを知っていると保育計画の説得力が増します。
第一に「脳の発達」です。手遊び歌は、歌詞を処理する左脳と、音楽的なリズムを感じる右脳の両方を同時に使うため、脳全体への刺激になります。さらに手先を動かすことで、手は「外部の脳」と言われるほど神経が密集しており、左右の手指を動かす動作が前頭前野の活性化に繋がると芦屋大学の研究でも示されています。意外なことに、単に歌うだけよりも手を動かしながら歌う方が、脳への刺激量が大幅に増えるのです。
第二に「言語発達」です。きんぎょの歌には「べべ」「うとうと」「あぶく」といった独特の表現や擬態語が含まれており、これらをリズムに乗せて繰り返すことで、語彙が自然に増えていきます。音楽とリズムは脳の言語処理に深く関連することが知られており、手遊び歌が子どもの聴覚と発話の発達を後押しします。歌詞の「べべ」を機会に「昔の言葉」を話題にするだけでも、4〜5歳児の語彙教育として十分機能します。
第三に「運動能力の発達」です。「きんぎょさんとめだかさん」の手遊びでは、ゆったりした大きな動きと、小刻みで素早い動きを交互に行います。この緩急の切り替えが反射機能やリズム感覚の発達につながります。鹿児島大学の研究では、手遊びは「指先を使うことで知能の発達に有効であること」「集団活動時の導入として有用であること」が明らかにされています。
これは使えそうです。歌1曲を丁寧に扱うだけで、脳・言語・運動という3つの発達軸を同時にカバーできるのです。
手遊び歌と発達の関係については、以下のPDF資料も参考になります。
幼稚園における手遊び歌の実践研究で、指先使用と知能発達の関係が論文形式で記述されています。
鹿児島大学リポジトリ「幼稚園における手遊び歌に関する実践的研究」
保育士だけが知るきんぎょの歌の「発展的な活用法」
一般的な保育サイトでは紹介されない、きんぎょの歌の深い活用法があります。それは「歌と製作・読み聞かせ・環境設定を組み合わせたユニット活動」として展開する方法です。
たとえば、次のような流れで1日の保育活動をつなげると、子どもたちの没入感が格段に高まります。
- 🎵 朝の会:手遊び「きんぎょさんとめだかさん」でその日の活動のスイッチを入れる
- 📖 読み聞かせ:絵本「きんぎょがにげた」(五味太郎)を読み、きんぎょを一緒に探す
- ✂️ 製作活動:赤い折り紙のちぎり絵でオリジナルきんぎょを作る
- 🎶 帰りの会:童謡「きんぎょのひるね」をゆったり歌い、一日を落ち着いて締める
こうした「きんぎょでつなぐ一日」の活動は、子どもたちに一貫したテーマを提供することで、1つの体験が深く記憶に残ります。特に保育実習生や新人保育士にとっては、「きんぎょ」というテーマ1つで1日のプログラムを構成できるため、計画を立てやすいというメリットもあります。
また、環境設定も有効です。製作したきんぎょの作品を保育室の壁面に飾り、「どこに逃げたかな?」とランダムに貼り替えるだけで、絵本の世界が保育室全体に広がります。子どもたちは登園するたびに「今日はどこにいる?」と意欲的に探しはじめ、自発的な探索活動が生まれます。これが言語発達と観察力の育成に直結するのです。
さらに独自の発展として「季節のアレンジ」も試してみてください。夏は「きんぎょすくいごっこ」として水遊びと連動させたり、冬は「きんぎょが氷の下で昼寝してるね」と「きんぎょのひるね」の歌詞と季節の自然を結びつけたりすることができます。歌が季節の感覚や自然への興味をつなぐ橋渡し役になります。
手遊びの後に絵本を読む流れについての参考情報はこちらです。
きんぎょがにげたの読み聞かせと手遊びの組み合わせ方が詳しく解説されています。


