弦楽四重奏の楽器と構成を保育士が学ぶ完全ガイド

弦楽四重奏の楽器を保育士が徹底解説

「弦楽四重奏はバイオリンしか使わない」と思っているなら、あなたは試験で1問確実に落としています。

この記事でわかること
🎻

弦楽四重奏の楽器構成

第1・第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの4楽器の役割と特徴を整理します。

📚

保育士試験への活用

保育実習理論の問6で出題される楽器分類・特徴の覚え方をポイントを絞って解説します。

🎶

保育現場での活かし方

弦楽四重奏の知識を音楽活動や子どもへの働きかけにどう応用するか紹介します。

弦楽四重奏とは何か|楽器の基本構成を正確に把握する

 

弦楽四重奏(げんがくしじゅうそう)とは、ヴァイオリン属の弦楽器4本によって演奏される合奏形態のことです。英語では「String Quartet(ストリング・カルテット)」とも呼ばれます。具体的な編成は、第1ヴァイオリン・第2ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの4種類で、コントラバスは含まれません。

つまり「弦楽器4人なら弦楽四重奏」ではないということですね。

「4本すべてがヴァイオリンでは?」と思われがちですが、実際にはヴァイオリンは2本のみで、残りはヴィオラとチェロが1本ずつ担当します。この違いが保育士試験の選択問題でも問われるポイントのひとつです。4つの楽器がそれぞれ異なる音域を担当するため、まるで4声の合唱(ソプラノアルトテノール・バス)に対応するような豊かな音の広がりが生まれます。

音域の広さが基本です。

弦楽四重奏は「室内楽(しつないがく)」の代表的な形態でもあります。室内楽とは、少人数で演奏する器楽合奏の総称で、オーケストラのような大編成とは区別されます。弦楽四重奏はその中でも最もスタンダードな構成とされており、現代に至るまで常設で活動する団体が世界中に存在する唯一の室内楽形態といわれています。保育士として楽器知識を深める際、まずこの基本構成を頭に入れておくことが第一歩です。

楽器名 位置づけ 主な役割
第1ヴァイオリン ヴァイオリン属で最小・最高音 主旋律(メロディー)を担当
第2ヴァイオリン 同じくヴァイオリン 内声部(ハーモニー)を支える
ヴィオラ ヴァイオリン属で小さい方から2番目 内声部の中間音域を担う
チェロ ヴァイオリン属で大きい方から2番目 低音の土台(伴奏)を担当

保育士試験では「弦楽四重奏はヴァイオリン属4本で構成される」という点が出題されることがあります。コントラバスが含まれるかどうかも頻出の引っかけポイントですので、「コントラバスは弦楽四重奏に含まれない」という点はしっかり覚えておきましょう。

保育実習理論・いろいろな楽器の覚え方まとめ(保育士試験対応)|保育士試験対策サイト

弦楽四重奏の各楽器の特徴|ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロを比較する

弦楽四重奏を構成する4つの楽器は、どれもヴァイオリン属に分類されますが、サイズ・音域・調弦(チューニング)の方法が大きく異なります。それぞれの楽器の特徴を正確に理解しておくことが、保育士試験でのミスを防ぐ鍵です。

まずヴァイオリンは、ヴァイオリン属の中で最も小さく、最も高い音が出る楽器です。弦の数は基本4弦で、下から「ソ・レ・ラ・ミ」の順に調弦されます。馬の尻尾の毛を張った弓で弦を擦って音を鳴らします。弦楽四重奏では2本使用し、第1ヴァイオリンが主旋律を、第2ヴァイオリンが内声部を担います。第1と第2は同じ楽器ですが、担う役割が異なる点を混同しないようにしましょう。

これが基本です。

次にヴィオラは、ヴァイオリンよりも一回り大きい楽器で、全長がヴァイオリンより約10cm長く(はがきの縦一枚分ほど長い)、音域はヴァイオリンより低く設定されています。調弦は下から「ド・ソ・レ・ラ」です。弦楽四重奏の中では内声部の要として、ヴァイオリンとチェロのつなぎ役を担います。人の声に最も近い音域を持つといわれており、保育の場で「温かみのある音色」として子どもたちに伝えやすい楽器の一つです。

そしてチェロは、ヴィオラよりさらに大きく、全長は約125cm(小学生の身長ほどの大きさ)です。調弦はヴィオラと同じく「ド・ソ・レ・ラ」ですが、音域はヴィオラよりさらに1オクターブ低くなります。演奏する際には床にエンドピン(石突き)を立て、椅子に座って楽器を立てかけるように構えます。弦楽四重奏における「音の土台」として、低音の伴奏を主に受け持ちます。

コントラバスとの違いは押さえておきたいですね。

楽器 大きさの目安 調弦(下から) 音域の位置
ヴァイオリン 全長約60cm ソ・レ・ラ・ミ 最高音
ヴィオラ ヴァイオリンより約10cm大 ド・ソ・レ・ラ 中高音
チェロ 全長約125cm(小学生の身長ほど) ド・ソ・レ・ラ 中低音
(参考)コントラバス 全長約185cm(成人男性の身長ほど) ミ・ラ・レ・ソ(5度ではなく4度) 最低音(四重奏には不含)

なお、コントラバスはヴァイオリン属で最も大きく最低音が出る楽器ですが、弦楽四重奏には含まれません。立奏(立ったまま演奏)が基本で、調弦の間隔も他の3楽器(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ)が5度調弦なのに対し、コントラバスは4度調弦という違いがあります。この違いは試験でも問われる可能性があるため、まとめて押さえておくと安心です。

弦楽器4種類(バイオリン・ビオラ・チェロ・コントラバス)の違いを詳しく解説|小林音楽教室

弦楽四重奏の歴史と楽器の役割|ハイドンから始まった室内楽の王道

弦楽四重奏の歴史は、18世紀ヨーロッパにさかのぼります。最初の弦楽四重奏曲はイタリアの作曲家アレッサンドロ・スカルラッティ(1660〜1725年)の「2つのバイオリン、ヴィオレッタとチェロのためのソナタ」とされており、現在の構成に近い形で書かれた作品です。

その後、このスタイルを世界中に広めたのが「弦楽四重奏曲の父」と呼ばれるフランツ・ヨーゼフ・ハイドンです。ハイドンは生涯で68曲もの弦楽四重奏曲を作曲しており、特に1781年に出版した「作品33」の際に「弦楽四重奏曲」という呼称を積極的に使ったことで、このジャンルの名称が定着しました。68曲というのは、1年に1曲ペースで書き続けたとしても約70年かかる膨大な数です。

かなりの数ですね。

ハイドンの活躍に刺激を受けたモーツァルトは26曲、その後のベートーヴェンは16曲の弦楽四重奏曲を残し、交響曲と並ぶ重要なジャンルとして確立されました。現在に至るまで多くの作曲家がこの形式に挑戦し続けており、世界中に常設の弦楽四重奏団が存在します。日本の著名な団体としては「クァルテット・エクセルシオ(1994年〜)」や「モルゴーア・クァルテット」などが知られています。

では、なぜこの「4人構成」が長く愛されてきたのでしょうか? 音楽的に言えば、第1ヴァイオリン(主旋律)・第2ヴァイオリン(内声1)・ヴィオラ(内声2)・チェロ(低音)という4声の構造が、人の声による4声合唱(ソプラノ・アルト・テノール・バス)と対応しているためです。これが「聴いていて自然に心地よく感じる」理由のひとつとされています。保育の場でも、弦楽四重奏の音楽を子どもたちに聴かせると落ち着いた雰囲気が生まれやすいといわれているのは、この音域バランスと無関係ではありません。

弦楽四重奏の歴史・著名な弦楽四重奏団の一覧(Wikipedia)

弦楽四重奏の楽器が保育士試験に出る理由|保育実習理論の攻略ポイント

保育士試験の「保育実習理論」では、問6の選択問題で楽器に関する出題が約3回に2回の割合で登場します。その中でも頻出なのが「楽器の分類」「楽器のサイズや音域」「演奏方法」の3パターンです。弦楽四重奏に関わる楽器は、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスがすべて「弦楽器」かつ「ヴァイオリン属」に分類されるため、このグループをまとめて覚えることが効率的です。

楽器の分類が最頻出です。

試験対策として特に注意したいのが、次の3点です。

  • 🎻 ヴィオラとチェロの調弦は同じ「ド・ソ・レ・ラ」ですが、音域が異なります。ヴィオラはチェロより1オクターブ高い音域です。
  • 📏 コントラバスは弦楽四重奏に含まれないこと。コントラバスはオーケストラには登場しますが、弦楽四重奏の編成外の楽器です。
  • 🎵 弦楽器の分類は「ヴァイオリン属」という上位グループで統一されています。ギターや三味線も弦楽器ですが、ヴァイオリン属ではありません。

過去に出題された楽器問題では「ヴァイオリンは最も高音のヴァイオリン属楽器である」「コントラバスは立って演奏する」などの正誤問題が登場しています。これらはすべて弦楽四重奏の楽器知識が基礎になっています。ひとつひとつの楽器を独立して覚えるのではなく、「ヴァイオリン属という家族」としてサイズ順に並べて覚えることで、音域・調弦・役割がセットで整理されます。

ヴァイオリン属をサイズ順に並べると次のようになります。

  • 🥇 最小・最高音:ヴァイオリン(全長約60cm)
  • 🥈 小さい方から2番目:ヴィオラ(全長約68〜70cm程度)
  • 🥉 大きい方から2番目:チェロ(全長約125cm)
  • 🏆 最大・最低音:コントラバス(全長約185cm)

なお、保育士試験の実技試験(音楽)で使える楽器はピアノ・ギター・アコーディオンの3種類のみです。弦楽四重奏の楽器(ヴァイオリンなど)は実技試験の選択肢にはありませんが、筆記試験の知識問題として問われることがあるため、知識として押さえておく価値は十分あります。

弦楽四重奏の楽器を保育現場で活かす独自視点|音の「高さ」が子どもの反応を変える

保育士が弦楽四重奏の楽器知識を持つことは、試験対策にとどまりません。実は、各楽器の音域の違いを意識することで、保育現場での音楽活動がより豊かになります。

弦楽四重奏が持つ「4つの異なる音域」は、子どもたちが聴いたときの反応にも影響します。高音域のヴァイオリンは子どもの注意を引きやすく、動きを促す効果があります。一方で、チェロの低音は落ち着きをもたらし、お昼寝前のBGMや絵本の読み聞かせのバックグラウンドとして子どもを穏やかな気持ちにさせやすいとされています。音域によって子どもの気分が変わるということですね。

ヴィオラの音域は「人の声に最も近い」といわれています。保育の場でよく使われる語りかけや歌の音域とほぼ重なるため、弦楽四重奏の中でヴィオラの音が聞こえているとき、子どもは安心感を覚えやすいともいわれています。これは意外ですね。

保育室でクラシックのBGMを流す機会がある場合、弦楽四重奏曲を選ぶのはとても合理的な選択です。ピアノ独奏に比べると音のダイナミクス(大小の変化)が穏やかで、弦の音色が空間に馴染みやすいという特性があります。室内楽なので大編成のオーケストラのような迫力はなく、子どもたちが驚かずに耳を傾けやすいサイズ感です。

これは使えそうです。

保育現場で子どもたちに弦楽器を「見せる」機会を作ることも効果的です。たとえば保護者や地域のアマチュア奏者を招いて弦楽器の音を生で聴かせるイベントを検討する際、弦楽四重奏の楽器構成を知っていれば、どの楽器を組み合わせて来てもらうかを判断できます。ヴァイオリンとチェロだけでも2声の演奏は可能ですが、弦楽四重奏すべてが揃えば4声の豊かなハーモニーが生まれ、子どもたちの表情が変わる瞬間を生み出せます。

子どもに弦楽器を紹介する際は、サイズを並べて比較するとわかりやすいです。「一番小さいのがヴァイオリン、一番大きいのがコントラバス」という直感的な説明は、幼児にも届きやすい言葉かけです。ヴァイオリンは「だいたい45cm〜60cm(子どもの腕くらいの長さ)」、チェロは「125cm(小学生の身長とほぼ同じくらい)」という具体的なたとえを使うと、子どもが実感を持って楽器に興味を持ちやすくなります。

弦楽四重奏の知識は試験だけのものではありません。

なお、子どもたちに弦楽四重奏の音楽を体験させることに関心がある場合は、文化庁が推進する「文化芸術による子供の育成事業(芸術家の派遣)」という無償または低額で専門奏者を保育・教育施設に派遣してもらえる制度があります。費用の負担なく本物の弦楽四重奏を子どもたちに届けられる可能性がある制度ですので、自園での利用を検討する価値があります。


Complete String Quartets