大きな栗の木の下での歌詞「なかよく」「たのしく」を保育士が知っておくべき理由
この曲の「なかよく」は、もともと日本語の歌詞ではありません。
大きな栗の木の下での歌詞「なかよく」と「たのしく」が生まれた背景
「大きな栗の木の下で」(英題:Under the spreading chestnut tree)は、イギリス民謡をもとにした童謡です。作詞者・作曲者はともに不詳で、日本へは太平洋戦争後にGHQ関係者が歌っていたのを聞き伝えで広まったとされています。つまり、楽曲のルーツはイギリスにあり、もともとは日本語の歌ではありませんでした。
原曲の英語歌詞は “There we sit both you and me / Oh how happy we will be”(二人で座る、君と僕 / ああなんて幸せなんだ)という内容で、「仲よく」でも「たのしく」でもなく、「幸せ」を表現するものでした。この歌詞が日本語に翻訳される際に、複数のバージョンが生まれた結果、「なかよく遊びましょう」と「たのしく遊びましょう」という2つの表現が並立するようになったのです。
Wikipediaをはじめとする資料によると、1番の歌詞の訳詞者は不詳(平多正於説もあり)、2番・3番の訳詞者は阪田寛夫とされています。一部では寺島尚彦とする説もあり、著作権的にも複数の記録が混在している状況です。
「たのしく」が広まったきっかけの一つが、1975年に発売されたシングル「大きなくりの木の下で/にんにんにんじゃ」(山田美也子・こおろぎ’73・コロムビアゆりかご会、補作詞:香山美子)で、ここでは「たのしく〜」バージョンが採用されました。一方、NHKテレビ「うたのおじさん」で友竹正則が振り付きで歌い広めたバージョンでは「なかよく〜」が使われました。このNHKでの放送が手遊び歌としての全国的な普及のきっかけになっていることから、現在でも保育現場では「なかよく」の方がやや多く使われています。
つまり「なかよく」が基本です。ただし「たのしく」も誤りではなく、どちらも長年にわたり保育の場で歌われてきた正当なバリエーションといえます。
この曲は2007年(平成19年)に日本の歌百選の1曲にも選ばれており、その文化的・保育的な価値は公的にも認められています。
「大きな栗の木の下で」の由来・歌詞・録音歴について詳しく解説(Wikipedia)
大きな栗の木の下での歌詞の内容と3番まで全文を確認しよう
保育現場でよく歌われる「大きな栗の木の下で」には、全部で3番まで歌詞があります。ただし、多くの保育士が1番しか知らないという現実があります。2番・3番は阪田寛夫氏が追加したもので、歌い継ぐ価値のある内容が含まれています。
3番まで把握しておくと、季節行事や発表会での活用の幅がぐっと広がります。全文はこちらです。
| 番号 | 歌詞 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1番 | 大きな栗の木の下で/あなたとわたし/なかよく(たのしく)遊びましょう/大きな栗の木の下で | 2人(あなたとわたし)が主語。「なかよく」か「たのしく」のどちらかで歌う。 |
| 2番 | 大きな栗の木の下で/おはなししましょ/みんなでわになって/大きな栗の木の下で | 「みんなで輪になって」と登場人物が増え、集団活動にぴったりな内容。 |
| 3番 | 大きな栗の木の下で/大きな夢を/大きく育てましょう/大きな栗の木の下で | 「大きな」が繰り返され、夢を育てるポジティブなメッセージで締めくくる。 |
1番の「あなたとわたし」という対比は、自分と他者を意識させる最初のきっかけになります。2番では「みんなで輪になって」と集団への広がりが生まれ、3番では「大きな夢を大きく育てましょう」という未来へのメッセージで締めくくられます。この流れは、保育のねらいとしての「自己と他者の認識」→「集団への参加」→「夢や希望の育成」という発達段階にきれいに対応しています。3番まで活用することで、より豊かな保育活動に発展させられますね。
また、おすすめの季節は10〜11月です。栗の実が落ちる時期に合わせて歌うことで、実際の栗を手に取って見せたり、散歩中に木の実を探したりという自然体験との連動もしやすくなります。
歌詞の和訳・原曲との比較についての詳しい解説(世界の民謡・童謡)
大きな栗の木の下での手遊び振り付けと年齢別のねらい
「大きな栗の木の下で」の手遊びは、身体部位(頭・肩・ひざなど)に触れながら行う動作が特徴で、0歳から3歳まで幅広く取り入れられます。年齢によってねらいが異なるため、発達段階を意識した関わり方が重要です。
基本的な振り付け手順は以下のとおりです。
| フレーズ | 動作 |
|---|---|
| おおきなくりの(大きな) | 両手を大きく広げる |
| きのしたで(木) | 両手を頭の上で合わせ、木の形を作る |
| あなたと(あなた) | 相手を指差す |
| わたし(わたし) | 自分を指差す |
| なかよく(たのしく) | 両手を握り合う・またはにっこり笑顔で手を振る |
| あそびましょう(遊ぼう) | 両手をひらひらと動かす |
実演のポイントは、表情を豊かにし、ゆっくりとしたテンポで行うことです。特に「あなたとわたし」「なかよくあそびましょう」の部分では、子どもとアイコンタクトをとるよう意識すると安心感と信頼関係を育みやすくなります。
年齢別のねらいを整理するとこうなります。
- 🍼 0〜1歳児:保育者との抱っこやひざの上でのスキンシップを通じて安心感を得ること、音やリズムへの親しみを積むことがねらいです。アカペラでやさしく歌いかけ、身体部位に触れながら行います。
これは使えそうです。「なかよく」を歌う場面で、子ども同士が手をつなぐよう促すだけで、自然な触れ合いが生まれます。クラス全体の雰囲気が緩んでいるときやトラブルの後のリセットにも効果的です。
繰り返しが多い曲のため、動作を明確にゆっくり見せることで低年齢児も模倣しやすくなります。保育者自身が楽しんで歌う姿勢が、子どもたちの参加意欲を引き出すのが原則です。
「大きなくりの木の下で」実演動画・年齢別ねらいと導入方法(ほいくnote)
大きな栗の木の下での手遊びが子どもの脳と心に与える科学的効果
手遊びはシンプルな遊びに見えますが、子どもの発達に対して複数の科学的根拠のある効果があります。保育士として知っておくと、保護者への説明や保育計画の立案にも役立ちます。
手は「外部の脳」とも呼ばれる器官で、脳の大部分を刺激します。「大きな栗の木の下で」のように左右の手をバランスよく使う動作は、右脳・左脳の両方を活性化させ、脳の発達を促すとされています。
手遊びが子どもに与える主な効果は次のとおりです。
- 🧠 脳の発達促進:左右の手を動かすことで、神経回路の形成が活発になる。手先の細かい動きは、脳全体の活動量を高める。
- ✋ 手先の器用さ:歌詞に合わせた指・腕の動作を繰り返すことで、手先の巧緻性(こうちせい)が向上する。
- 🎵 リズム感・反射機能の習得:歌と動作が一致した手遊びを繰り返すことで、リズム感や音楽的感覚が自然と身につく。
- 💬 言語・語彙力の発達:歌詞の言葉を繰り返し聴き、口ずさむことで語彙が増える。「あなた」と「わたし」の区別のような社会的な言語表現も習得できる。
- 💕 情緒の安定・オキシトシン分泌:スキンシップを伴う手遊びは「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンを脳内に分泌させ、子どもの情緒を安定させる。これは保育士にも同様に働く。
- 👥 コミュニケーション力・協調性:みんなで呼吸を合わせる経験が、「気持ちを共有する楽しさ」を生み、自発的なコミュニケーションへとつながる。
特に注目したいのは、オキシトシンの効果です。触れ合いがある遊びでスキンシップをとると、子どもだけでなく保育士側にもオキシトシンが分泌されます。つまり「大きな栗の木の下で」を子どもと一緒に笑顔で歌うことは、子どもの心を安定させると同時に、保育士自身の精神的なゆとりにもつながる活動です。
大阪芸術大学の研究では、手遊びを通じて「旋律を記憶する・拍子を感じる・リズムを記憶する」といった音楽的体験が、動きを伴う表現によって子どもにとってより確かなものになることが示されています。つまり楽しみながら習得できる、非常に効率的な学びの場でもあります。
手遊びの効果(脳・言語・心の発達)に関する保育現場向け解説(保育のお仕事)
大きな栗の木の下でを保育士試験でも使える!弾き歌いと活用アイデア
「大きな栗の木の下で」は2020年度(令和2年度)の保育士実技試験の課題曲にも選ばれた実績のある曲です。これは保育現場での活用頻度の高さ・子どもへの教育効果・弾き歌いのしやすさが高く評価されている証拠といえます。
保育士試験の音楽実技(弾き歌い)では、ただ演奏するだけでなく、「子どもを惹きつける表情や声の出し方」「子どもを想定したテンポ感」なども審査対象です。声が小さかったり表情が硬かったりすると評価が下がるため、実際の保育を想定した練習が重要です。
弾き歌いの実践ポイントをまとめます。
- 🎹 コードは3種類でOK:「ドミソ(C)」「ファラド(F)」「ソシレ(G)」の3和音で伴奏できるため、ピアノ初心者にも比較的取り組みやすい曲です。
- 🎤 テンポは子どもに合わせてゆっくりに:子どもが一緒に歌うことを想定し、通常の演奏テンポよりやや遅めに設定します。
- 😊 顔を上げて子どもを見ながら歌う:ピアノを見続けずに顔を上げる練習をしておくと、実際の保育でも子どもとのアイコンタクトがとりやすくなります。
また、保育現場でのアレンジ活用も豊かです。元保育士のミュージシャン・藤本ちかさんが提唱するリトミック活用の方法として、「大きな栗」と「小さな栗」でオクターブを変えて弾き、音の高低に合わせて動作の大きさを変える遊びがあります。ピアノの高い音が聞こえたら動作を小さく、低い音のときは動作を大きく、というルールにするだけで、子どもの「聞く力」と「集中力」を育てる活動に発展します。
さらに「悲しい栗(短調)」アレンジでは、長調・短調の聞き分けと表現遊びを同時に体験させることができます。ハロウィンシーズンに「おばけの栗」としてアレンジするなど、季節行事との連動もしやすいのが特徴です。
「短調バージョン」のような感情表現を取り入れた歌い方をすることで、子どもの感情語彙(かなしい・こわい・うれしい)の習得にも一役買います。これが条件です。この積み重ねが、子どもたちの豊かな感情表現力の土台になります。
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