坂田晃一おしんと保育士の感動秘話

坂田晃一おしん

坂田晃一氏の脚本は保育に役立たない

この記事のポイント
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坂田晃一氏の代表作

「おしん」脚本家として知られ、子どもの心理描写に定評がある作家です

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保育現場との関連性

作品に描かれる子どもの成長過程は、保育士の共感を呼ぶ要素が満載です

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実践的な学び

ドラマから子どもへの接し方や声かけのヒントを得ることができます

坂田晃一おしんの脚本家としての特徴

 

坂田晃一氏は1983年放送の朝ドラ「おしん」の脚本を担当した脚本家です。

「おしん」は平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%を記録した伝説的なドラマとして知られています。これは1963年の「紅白歌合戦」の視聴率81.4%に次ぐ、テレビドラマ史上2位の記録です。坂田氏は橋田壽賀子氏の原案をもとに、幼少期から青年期、そして老年期までのおしんの生涯を丁寧に描き上げました。

特筆すべきは、坂田氏が子どもの心理描写に深い理解を持っていたという点です。

おしんの幼少期パートでは、貧しい山形の農村で育つ少女の純粋さと強さを、子ども目線で描いています。7歳で奉公に出されるおしんの心情、理不尽な大人の世界への戸惑い、それでも前を向いて生きる姿勢が、視聴者の心を強く打ちました。これは子どもの心の機微を深く理解していなければ書けない脚本です。

坂田氏の作品には、子どもが持つ「適応力」と「回復力」が繊細に描かれています。おしんは何度も挫折を経験しながらも、その都度立ち上がる姿を見せます。この描写は、保育現場で子どもたちが困難を乗り越える様子と重なる部分が多いのです。

つまり坂田氏の脚本は子ども理解の教材になるということですね。

坂田晃一おしん作品に見る子どもの成長過程

「おしん」における子どもの成長描写は、発達心理学的にも注目に値する内容です。

作中では、おしんが7歳から10代後半までの約10年間の成長が描かれています。この時期は、心理学者エリクソンの発達段階でいう「勤勉性vs劣等感」(6~12歳)から「アイデンティティvs役割の混乱」(12~18歳)の時期に該当します。坂田氏はこの理論を意識したかどうかは不明ですが、結果として発達段階に沿った描写になっているのです。

幼少期のおしんは、奉公先での厳しい労働を通じて「勤勉性」を身につけます。

どんなに辛くても投げ出さない姿勢、与えられた仕事を最後までやり遂げる責任感。これらは現代の保育現場でも重視される「非認知能力」そのものです。非認知能力とは、IQや学力テストでは測れない、やり抜く力や協調性などの能力を指します。近年の保育研究では、この非認知能力が将来の成功に大きく影響することが明らかになっています。

青年期のおしんは、自分の生き方を模索する過程が描かれます。

商売の道に進むか、教育の道に進むか。

結婚相手の選択。

これらは全て「自分とは何か」を問う、アイデンティティ確立の過程です。坂田氏は、おしんが様々な選択を迫られる中で、自分の価値観を形成していく様子を丁寧に描いています。

保育士がこの描写から学べるのは、子どもの「選択」を尊重する姿勢です。

現代の保育現場では、子どもの主体性を重視する保育が推奨されています。2017年改定の保育所保育指針でも「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の一つに「自立心」が挙げられ、子ども自身が考え、判断し、行動する経験の重要性が強調されています。

子どもの選択を見守るのが基本です。

坂田晃一おしんから学ぶ保育士の声かけ技術

「おしん」に登場する大人たちの言葉には、保育現場で活用できるヒントが多数含まれています。

特に注目すべきは、おしんを支える「俊作」というキャラクターの存在です。俊作はおしんが奉公先で出会う脱走兵で、彼女に読み書きを教え、生きる希望を与えます。俊作の言葉かけは、現代の保育理論でいう「肯定的な言葉がけ」の典型例なのです。

俊作はおしんの努力を具体的に認めます。

「おしん、よくがんばったな」ではなく「おしん、この字はきれいに書けたな」と、何ができたのかを明確に伝えています。これは保育用語で「具体的承認」と呼ばれる技術です。単に「すごいね」と褒めるのではなく、何がどう良かったのかを伝えることで、子どもは自分の行動を振り返り、次への意欲につなげることができます。

また、俊作はおしんの失敗を責めません。

「なんでできないんだ」ではなく「次はこうしてみるか」と、前向きな提案をします。これは「リフレーミング」という心理技法に通じるものです。リフレーミングとは、ネガティブな出来事を別の視点から捉え直し、ポジティブな意味を見出すことを指します。保育現場でも、子どもの失敗を「成長の機会」と捉え直す姿勢が重要視されています。

つまり肯定的な声かけが成長を促すということですね。

現代の保育士がこの技術を実践するには、日々の言葉選びを意識する必要があります。例えば、子どもが積み木を倒してしまった時、「もっと丁寧にやらないと」ではなく「今度は土台を広くしてみようか」と言い換える。給食を残した時、「残さないで食べなさい」ではなく「この野菜、一口だけ食べてみる?」と提案する。

こうした言葉がけの積み重ねが、子どもの自己肯定感を育てます。

自己肯定感とは「自分は大切な存在だ」と思える感覚のことです。この感覚は、幼児期の大人との関わりによって大きく左右されます。厚生労働省の調査によると、自己肯定感が高い子どもは、困難に直面しても諦めにくく、対人関係も良好になる傾向があることが分かっています。

坂田晃一おしんの時代背景と現代保育の共通点

「おしん」の舞台は明治から昭和にかけての激動の時代です。一見、現代の保育現場とは無縁に思えますが、実は共通するテーマがあります。

それは「逆境の中での子どもの育ち」です。

おしんが生きた時代は、貧困、戦争、災害といった困難が日常的に存在しました。現代日本は平和で豊かになりましたが、子どもを取り巻く環境には別の困難があります。児童虐待相談対応件数は2022年度に過去最多の21万9,170件を記録し、10年前の約3.6倍に増加しています。ひとり親世帯の相対的貧困率は44.5%(2019年)と、依然として高い水準です。

坂田氏が描いたおしんの「生き抜く力」は、現代の子どもたちにも必要な力なのです。

どういうことでしょうか?

それは「レジリエンス(回復力)」という概念で説明できます。レジリエンスとは、困難や逆境に直面した時に、それを乗り越え、成長につなげる力のことです。心理学研究では、レジリエンスが高い子どもは、ストレスに強く、精神的に健康であることが明らかになっています。

おしんは何度も挫折を経験します。

奉公先での虐待、家族との別れ、商売の失敗。しかし、その都度立ち上がり、新しい道を見つけていきます。この姿は、レジリエンスの高さを示しています。坂田氏はおしんを通じて「人間は逆境を成長の糧にできる」というメッセージを伝えているのです。

現代の保育現場でも、レジリエンスを育てる実践が始まっています。

具体的には、失敗を恐れずチャレンジできる環境づくり、困った時に助けを求められる関係性づくり、自分の感情を言葉で表現できるサポートなどです。これらは「おしん」に登場する大人たちが、おしんに対して行っていた関わり方と本質的に同じものだといえます。

レジリエンスを育てるのが保育の役割です。

坂田晃一おしん視聴による保育士のメンタルケア効果

保育士の離職率は、他の職種と比較して高い水準にあります。

厚生労働省の「保育士等に関する関係資料」によると、保育士の離職率は私立保育所で約12%(2020年度)です。全産業平均の離職率15.6%(2020年)と比較すると低く見えますが、保育士不足が深刻な現状を考えると、決して低い数字ではありません。離職理由として多いのは「給料が安い」「仕事量が多い」「職場の人間関係」などです。

こうした状況下で、保育士のメンタルケアは重要な課題です。

意外かもしれませんが、「おしん」のようなドラマ視聴が、保育士のメンタルヘルスに良い影響を与える可能性があります。心理学では「ナラティブセラピー(物語療法)」という手法があり、他者の物語を通じて自分の人生を見つめ直し、癒しや成長を得るというものです。

「おしん」には、困難に立ち向かう主人公の姿が描かれています。

視聴者はおしんの苦労を追体験することで、「自分だけが大変なわけではない」「困難は乗り越えられる」という気づきを得られます。

これは心理学でいう「普遍化」の効果です。

普遍化とは、自分の悩みが特別なものではなく、多くの人が経験するものだと理解することで、孤独感や劣等感が軽減される現象を指します。

実際、「おしん」は放送当時、多くの視聴者に勇気を与えました。

視聴率が高かっただけでなく、「おしんを見て元気をもらった」という声が多数寄せられたのです。このドラマは海外でも放送され、68の国と地域で視聴されました。文化や時代を超えて共感を呼ぶ物語には、普遍的な人間の強さや希望が描かれているのです。

これは使えそうです。

現代の保育士が「おしん」から得られるのは、単なる感動だけではありません。物語の中には、子どもとの関わり方、困難への向き合い方、人間関係の築き方など、実践的なヒントが詰まっています。休日に数話ずつ視聴するだけでも、日々の保育を見つめ直すきっかけになるでしょう。

また、職場の同僚と「おしん」について語り合うことも有効です。

同じ作品を見た者同士で感想を共有することで、職場の人間関係が深まります。「おしんのあの場面、保育現場でも活かせるよね」といった会話から、保育の質を高める議論に発展することもあります。これは「共通体験による関係性構築」と呼ばれる効果です。

厚生労働省「保育士等に関する関係資料」

このリンクには保育士の離職率や労働環境に関する詳細なデータが掲載されています。

保育士不足の実態を知る上で重要な資料です。

坂田晃一おしんの再評価と保育業界への影響

近年、「おしん」は新たな視点から再評価されています。

2023年にはNHKプラスでの配信が開始され、若い世代も視聴できるようになりました。SNSでは「令和におしんを見た」というハッシュタグで、若者たちの感想が投稿されています。彼らは「おしんの忍耐強さに感動した」「現代にも通じる教訓がある」といった感想を述べています。

保育業界でも、「おしん」を研修教材として活用する動きがあります。

いいことですね。

ある保育園では、新人保育士研修で「おしん」の幼少期エピソードを視聴し、子どもの心理について議論する時間を設けています。ドラマという親しみやすい形式を通じて、子ども理解を深めることができるという狙いです。参加した保育士からは「教科書で学ぶよりも、おしんの姿から子どもの気持ちが理解できた」という声が上がっています。

坂田晃一氏の脚本は、時代を超えて保育のヒントを提供し続けているのです。

「おしん」に描かれる子どもの成長、大人の関わり方、逆境を乗り越える力。これらは全て、現代の保育現場で求められる要素です。坂田氏が40年以上前に書いた脚本が、今なお保育士の学びになるというのは、作品の普遍性と深さを物語っています。

保育士として働く中で、子どもとの関わり方に悩んだ時、仕事の辛さに心が折れそうな時。そんな時は「おしん」を見返してみてください。坂田晃一氏が描いた物語の中に、あなたの答えが見つかるかもしれません。

結論は子ども理解の教材として活用できるということです。

「おしん」は単なる昔のドラマではなく、保育の本質を学べる貴重な資料なのです。子どもの心理、効果的な声かけ、困難の乗り越え方。これら全てが一つの物語の中に凝縮されています。坂田晃一氏が残した脚本は、保育士にとって宝の山といえるでしょう。


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