歌と踊り モンポウ 保育と声楽教育

歌と踊り モンポウ 保育の実践アイデア

歌と踊りとモンポウを保育に活かす
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モンポウの世界観を知る

ピアノ曲集「歌と踊り」の特徴を押さえ、声楽・ソルフェージュの感性を広げる視点を整理します。

🩰

保育での歌と踊りの工夫

幼児の身体表現に合わせて、難しい和声をやさしく解きほぐすアクティビティ例を紹介します。

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声楽を学ぶ大人の学び直し

自分の発声技術や表現力を、子どもへの音楽・保育の場へ橋渡しする方法を考えます。

歌と踊り モンポウ 保育に生かせる作品の特徴

 

モンポウの「歌と踊り(Canciones y danzas)」は、もともとピアノやギターのために書かれた全15曲からなる小品集で、シンプルな素材の中に静かな情感が凝縮された作品群です。

1921年頃から1960年代にかけて断続的に作曲され、スペイン内戦や家族の死といった作曲者の人生と重なりながら、素朴さと内省的な沈黙が同居する独特の世界を形作っています。

一般的な保育現場で扱われる童謡やわらべうたに比べ、「歌と踊り」は和声が繊細で、テンポもゆらぎや静寂を多く含むため、そのまま幼児に弾き聞かせるというより、保育者や声楽を学ぶ大人の感性トレーニングとして活用しやすいレパートリーです。

モンポウは鐘の鋳造業の家系に生まれ、金属音をイメージした独自和音「金属和音」を用いたことで知られており、この響きの透明感が「歌と踊り」の静謐さと、子どもの耳をひきつける澄んだ音色の両方に通じています。

声楽を学ぶ人にとっては、メロディラインの歌心をピアノで聴き取り、それを自分のレガートやフレージングに移し替えてから、保育での歌唱や簡単な身体表現にアレンジしていくと、専門性と実践が自然に結びついていきます。

歌と踊り モンポウ 保育と子どものための曲集

モンポウには「3つのあそび歌(Trois Comptines)」や「子供の情景(Scenes d’enfants)」といった、子どもの心象をテーマにしたピアノ作品もあり、これらは「歌と踊り」と並べて保育の視点から眺めると興味深い教材になります。

「3つのあそび歌」には「馬車の上にはお人形」「月のなかの3匹の子ウサギ」といったタイトルの小品が含まれ、明快な調性と軽やかなリズムが特徴で、物語を想像しやすいため、簡単な即興歌詞をつけて子どもと一緒に口ずさむ活動にも応用できます。

一方「子供の情景」は、ストレートな童謡風ではなく、子どもの繊細な心模様をシンプルな書法と澄んだ和声で描いた連作で、直接歌いやすいメロディではないものの、保育者自身が「子どもの視点」を感じ取るためのイメージトレーニングとして効果的です。

声楽の学習者がこれらのピアノ曲を聴きながら、手遊びやステップ、呼吸の変化を伴う「小さな踊り」を自作していくと、「歌と踊り」というタイトルにふさわしい、音と身体が一体化した保育プログラムを組み立てやすくなります。

モンポウの子ども向け作品は、日本の保育現場ではまだあまり知られていないため、発表会の前後に「耳を澄ます時間」として短く取り入れるだけでも、保護者にとって印象的な音楽体験となり、園の個性づくりにもつながります。

このセクションでは、モンポウの子ども向け作品と「歌と踊り」の基礎情報と作品解説がまとまっています。

参考)歌と踊り (モンポウ) – Wikipedia

「3つのあそび歌」作品解説(各曲の雰囲気の参考)
「子供の情景」作品解説(曲想とタイトルの参考)
モンポウ概説記事(作風と背景理解に有用)

歌と踊り モンポウ 保育と声楽・身体表現の指導ポイント

保育現場で「歌と踊り」の要素を扱うとき、声楽を学んでいる人にとっての強みは、呼吸と身体のつながりをすでに体験的に理解していることにあります。

民謡教育の実践報告でも「地声を用い、口を大きく開け、言葉をはっきり発音し、喉の奥を開いて声を前に出す」といった指導が強調されており、これは幼児の歌唱指導にもそのまま応用できる基本姿勢です。

モンポウの「歌と踊り」第6番では、歌の部分がカンタービレ・エスプレッシーヴォと記され、自問自答のようなフレーズが続くと解説されていますが、この「問いかけるようなレガート」は、保育で子どもに語りかける声色の変化としても応用しやすい感覚です。

例えば、次のようなステップでレッスンと保育をつなげていくと、専門性を保ちつつ現場で使える体験が増えていきます。

  • モンポウの「歌と踊り」を自分の発声イメージで口ずさみながらスコアを読む(歌のフレーズを息の流れとして感じる)。

    参考)歌と踊り 第5番/Canciones y danzas …

  • レッスンで学んだ支えや共鳴の感覚を、やさしい日本語の歌詞に置き換え、小さなフレーズごとに「話すように歌う」練習をする。

    参考)https://senzoku.repo.nii.ac.jp/record/1094/files/kyoushoku_03_04.pdf

  • 保育の場では、子どもの名前や好きなものを即興歌詞に挿入し、簡単なステップや手振りをつけて「歌と踊り」に変換する。​
  • 子どもの反応を観察し、息が止まりやすい子には揺れるリズムで歩く活動、落ち着かない子には静かなロングトーンを聴かせるなど、身体の状態と音の性格を対応させていく。

    参考)http://www.educ.juen.ac.jp/educ/wp-content/uploads/200711.pdf

このように、声楽のテクニックをそのまま教えるのではなく、モンポウの楽曲を手がかりに「どう息を流し、どう身体を動かすと心が落ち着くか」を一緒に探ることが、保育者・音楽家としての説得力につながります。

歌と踊り モンポウ 保育と日本の伝統的な歌唱・わらべうたの橋渡し

日本の学習指導要領では、わらべうたや民謡など「我が国の伝統的な歌唱」を重視する流れが続いており、口唱歌の活用や身体の使い方にも配慮することが求められています。

秋田民謡の教育実践では、地声をいかした発声や、歌い手と囃子手に分かれて交代で歌うスタイルが紹介されており、子どもたちが互いの歌唱を聴き合い、共感し合う場が重視されています。

モンポウの「歌と踊り」はスペイン・カタルーニャの民謡的要素を背景にもつ作品であり、日本のわらべうたと同様、素朴な旋律と小規模な構成の中に地域文化のエッセンスが凝縮されている点が共通しています。

この共通点を活かして、次のような活動を組み合わせると、異文化理解と伝統音楽の学びを同時に深められます。

  • 日本のわらべうた(例:「かごめかごめ」など)を子どもと輪になって歌い、簡単な鬼ごっこや回る動きで遊ぶ。​
  • その後、保育者がモンポウの「歌と踊り」や「子供の情景」を短く演奏し、「外国にも、子どもが遊ぶときの音楽があるよ」と紹介する。

    参考)子供の情景/Scenes d’enfants – モンポ…

  • 子どもたちに「この音楽でどんな遊びができそう?」と問いかけ、歩く・止まる・ジャンプするなどの動きを一緒に考える。
  • 声楽を学ぶ大人は、自分のレパートリーの中から、民謡風の歌曲や子どもにも聴かせやすいアリアの一節を選び、「歌と踊り」のリズム感との共通点を感じながら披露する。

    参考)はじめてのモンポウ~極限の音数で珠玉のピアノ小品を生んだカタ…

日本の伝統的な歌唱とモンポウの世界を行き来することで、子どもたちは「音楽にはいろいろな言葉や踊り方がある」という事実を体感し、声楽を学ぶ側にとっても、発声技術を文化的な文脈の中で再確認する機会になります。

参考)https://saigaku.repo.nii.ac.jp/record/163/files/05_terada-yamada.pdf

このセクションで扱った日本の伝統的な歌唱と学校教育に関する論考は、指導方針を考える際の根拠として有用です。

民謡と伝統芸能の学校教育での扱い(声楽・保育指導の参考)
音楽教育におけるわらべうたと身体表現の実践報告

歌と踊り モンポウ 保育と声楽家のキャリア・独自視点の展開

ここでは、検索上位にはあまり出てこない視点として、「歌と踊り モンポウ 保育」を軸にした声楽家・音大生のキャリア展開を考えてみます。

日本では、モンポウの「歌と踊り」は主にピアノレパートリーとして知られ、楽譜や録音もピアニスト向けに紹介されていることが多い一方で、保育・子どもの歌カテゴリと並べて扱われることはほとんどありません。

しかし、ピアノ曲としての「歌と踊り」を、声楽家が自らのレッスンに取り込み、その感覚を保育現場の歌と身体表現に翻訳することで、「歌える音楽家」でありながら「音を聴かせる保育者」としての新しいポジションを築くことができます。

具体的には、次のような活動が考えられます。

  • 声楽の専門性を活かした「大人向けのモンポウ講座」を開き、後半を「保育者のための歌と踊りワークショップ」として、子どもに向けたアレンジ例を紹介する。​
  • 保育園・こども園・幼稚園に出向き、「静かに耳をすますコンサート」として「歌と踊り」や子どものための小品を短く演奏し、そのあと簡単な歌とステップを一緒に体験してもらう。

    参考)3つのあそび歌/Trois Comptines – モン…

  • 音大での卒業研究・実践研究として、モンポウ作品を用いた幼児向け音楽プログラムを試作し、アンケートや観察をもとに効果を検証する。
  • 自身の発声トレーニングにおいても、歌のないピアノ曲「歌と踊り」をもとに、息の流れ・フレーズ感・間の取り方を研究し、それを歌曲やオペラへの応用としてまとめる。

このような独自の取り組みは、単に「クラシック曲を弾き歌いする保育者」という枠を超え、「子どもの心に寄り添う、静けさをデザインできる音楽家」としてのブランド形成にもつながり、結果的に声楽を学ぶモチベーションや仕事の幅を大きく広げるきっかけになります。

参考)https://crescendoalle.com/products/umea16

参考として、モンポウ作品の概要や代表的な曲を把握するためのリンクを挙げておきます。

参考)歌と踊り 第6番/Canciones y danzas …

モンポウ「歌と踊り」概要(作品全体像の確認)
「歌と踊り」第5番 解説(曲の構成と雰囲気の参考)
「歌と踊り」第6番 解説(カンタービレの具体的イメージ)

外道 おとこ唄