スラーの意味を音楽指導に活かす保育士の実践ガイド

スラーの意味と音楽での使い方を保育士が徹底解説

スラーを「ただのなめらかな演奏記号」と思い込むと、子どもへの音楽指導で誤った説明を3年以上続けるリスクがあります。

この記事でわかること
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スラーの正確な意味と定義

音楽記号としてのスラーが何を指示しているのか、タイとの違いも含めて解説します。

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保育現場でのスラーの使い場面

子どもへの歌唱指導・ピアノ伴奏でスラーをどう活かすか、具体的な場面を紹介します。

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スラーとタイの見分け方

混同しがちなスラーとタイの違いを、形・位置・機能の3点で整理します。

スラーの意味とは何か:音楽記号としての基本定義

 

スラー(slur)とは、2つ以上の異なる音符をなめらかにつなげて演奏することを指示する音楽記号です。楽譜上では、音符の上または下に弧を描いた曲線(アーチ状の線)として表記されます。

「なめらかに」という言葉だけ聞くと漠然としていますね。具体的には、音と音の間を切らずに、息や弓・指の動きを滑らかにつなぐことを意味します。声楽・ピアノ・弦楽器・管楽器など、ほぼすべての楽器ジャンルで使われる普遍的な記号です。

スラーが示す奏法は「レガート(legato)」と呼ばれます。イタリア語で「つながれた」を意味し、音符と音符の間に隙間を作らないのが原則です。保育士ピアノ伴奏をする場面では、スラーの範囲内で指をなめらかに移動させ、音が途切れないようにすることが求められます。

つまりスラーは「音をつなぐ指示」です。

楽器を習った経験がある保育士でも、「なんとなくなめらかに弾く」という感覚的な理解にとどまっているケースが多いといわれています。しかし正確な定義を知っておくと、子どもへの説明や自分自身の演奏精度が格段に上がります。これは使えそうです。

スラーと音楽記号タイの違い:保育士が混同しやすい2つの記号

スラーとタイは、楽譜上で見た目がほぼ同じ「弧線」として描かれます。そのため、多くの人が混同します。しかし機能はまったく別物です。

違いを3点で整理します。

比較項目 スラー タイ
対象の音符 異なる音高の音符をつなぐ 同じ音高の音符をつなぐ
演奏上の意味 なめらかに演奏する(レガート) 音を伸ばす(音価を足し合わせる)
弾くタイミング 各音符を発音しながらつなぐ 後の音符は新たに発音しない

最大のポイントは「音が同じかどうか」です。

たとえば「ソ→ラ→シ」という異なる音が弧線でつながれていればスラー。「ソ→ソ」という同じ音がつながれていればタイ。この判断基準だけ覚えておけばOKです。

保育士向けの音楽指導テキストでも「スラーとタイを混同して教えてしまうと、子どもが楽譜読解でつまずく原因になる」と指摘されています。正しく区別して子どもに伝えることは、楽譜読みの土台作りに直結します。

スラーの音楽的な効果:保育の歌唱指導でなぜ重要なのか

スラーが重要な理由は、音楽的な表現と歌詞の自然さに深く関わるからです。

歌唱において、スラーは「一つの音節に複数の音をなめらかに乗せる」場面でよく登場します。これを「メリスマ(melisma)」と呼び、「は〜な〜」のように一つの母音を複数の音で歌い上げる日本の童謡にも多く見られます。

保育の現場でよく歌われる「さんぽ」(となりのトトロ主題歌)や「にじ」などの童謡でも、スラーが記譜されている箇所があります。その部分で音を切ってしまうと、歌詞が不自然に聞こえ、子どもたちが言葉として認識しにくくなります。

歌は言葉のつながりが命です。

実際、幼児音楽教育の研究では、スラーを意識した歌唱指導を受けた子どもは、そうでない子どもに比べて「歌の言葉をより正確に覚えやすい」という傾向が報告されています。音楽記号の一つにすぎないスラーが、言語発達にも間接的に関わっているということですね。

保育士が伴奏する際も同様です。ピアノのスラー部分を乱雑に弾くと、子どもが歌いにくくなります。伴奏者として、スラーの区間は指を鍵盤から離さないよう意識するだけで、子どもの歌声が安定しやすくなります。

スラーの書き方と楽譜上の位置:読み方を保育士が正確に把握するコツ

楽譜上のスラーには、書かれる位置にルールがあります。

基本的には以下の場所に描かれます。

  • 音符の符頭(たまの部分)が上向きの場合 → 弧線は音符の下側に書く
  • 音符の符頭が下向きの場合 → 弧線は音符の上側に書く
  • 声楽譜では、歌詞との関係から上側に書くことが多い

スラーの開始点と終了点を確認するのが読み方の基本です。

複数のスラーが重なって書かれている楽譜では、どのスラーがどこで終わるのかを見極めるのが難しくなります。保育士が使うピアノ楽譜で複雑なスラーに出くわした場合は、まず鉛筆でスラーの開始・終了に印をつけてから練習するのが効率的です。

スラーの長さも重要な情報です。2音だけをつなぐ短いスラーもあれば、フレーズ全体(8小節以上)にわたる長いスラーもあります。長いスラーはフレーズ全体をひとつの息・ひとつの流れで演奏することを意味します。

ヤマハ|楽器解説・音楽記号の基礎知識ページ

(スラーを含む音楽記号の基本的な読み方・意味を確認するのに役立ちます)

保育士の視点から見たスラー活用の独自ポイント:子どもの「聴く耳」を育てる使い方

ここからは、検索上位記事にはあまり書かれていない独自の視点です。

スラーは「弾き方・歌い方の指示」として捉えられがちですが、保育士の立場では「子どもが音のつながりを耳で感じる体験」を作るためのツールとして活用できます。

たとえば、スラーの区間とスラーなしの区間を交互に手拍子で表現する活動があります。スラーの部分では手を空中でなめらかに滑らせ、スラーのない部分では1音ずつリズムよく叩く。この動きを体験させることで、音のつながりとアーティキュレーションの違いを幼児が身体感覚で理解できます。

3〜5歳の子どもはまだ楽譜が読めません。だからこそ、言葉や視覚より「体の動き」でスラーの概念を伝える方が定着しやすいのです。

音楽療法の分野でも、レガートの動きと身体動作を結びつけたアプローチが、感情調整や集中力向上に効果的とされています。保育の音楽活動にこの視点を取り入れると、単なる音楽指導を超えた発達支援にもなります。これは使えそうです。

スラーを「楽譜の記号」として教えるのではなく、「音楽の流れを体で感じるきっかけ」として使う。これが保育士ならではのスラー活用の本質です。

スラーの概念が体に入ると、子どもが自然と「フレーズ感」を持って歌えるようになります。そうなると歌唱の質だけでなく、表現の豊かさも育っていきます。

保育士向けの音楽活動教材として、以下のような参考情報も役立ちます。

保育士バンク|保育士向け音楽活動・指導案のヒント集

(保育現場で使える音楽指導のアイデアや楽譜の活用法について参考になります)

なお、スラーをより深く理解したい保育士には、音楽理論の入門書として『楽典 理論と実習』(音楽之友社)が定番です。スラー・タイ・アーティキュレーション記号が体系的に解説されており、楽器経験が少なくても読み進めやすい構成になっています。

スラーの意味を正確に理解することは、保育士としての音楽スキルの底上げに直接つながります。知っているのと知らないのでは、日々の歌唱指導の質に確実な差が生まれます。

スラーが基本です。ここを押さえてから、より高度な音楽記号の習得に進むと効率的です。


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