卒園式の歌を保育園で選ぶ完全ガイド
卒園式のDVDに好きな曲を入れると、著作権侵害で損害賠償が発生することがあります。
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卒園式の歌を保育園で選ぶ3つの基準
卒園式で歌う曲を選ぶとき、「感動できそうな曲」という直感だけで決めてしまう保育士さんは少なくありません。しかし実際の現場では、3つの基準を意識して選ぶと、練習段階から本番まで格段にスムーズになります。
①テーマを先に決める
最初に「どんな式にしたいか」というテーマを決めるのが基本です。「思い出を振り返る式にしたい」「保護者への感謝を伝えたい」「小学校への期待感を高めたい」など、テーマを一言で絞ることで候補曲がぐっと絞られます。テーマが決まれば選曲は半分終わりです。
②子どもの歌いやすさで絞る
次に「子どもたちが本当に歌えるか」を確認します。確認すべき点は、音域の広さ(音程の上下が激しくないか)、歌詞の長さ(短時間で覚えられるか)、リズムの複雑さの3点です。例えば「旅立ちの日に」は音域が広く練習期間が3〜4週間必要ですが、「ね」は難易度★1で1週間程度で仕上げられます。
③歌詞のメッセージで最終決定する
保育園生活を振り返る歌詞が含まれているか、子どもたちにとって身近なシーンが登場するかを確認します。また、歌詞の一部をその年のクラスの思い出に替えてアレンジすると、より感動的になる場合があります。ただし歌詞の改変には著作権上の注意点もあるため、後のセクションで詳しく解説します。
つまり「テーマ→歌いやすさ→メッセージ」の順で選ぶのが原則です。この流れを守るだけで、練習中に「曲が難しすぎた」「保護者の反応が薄かった」というトラブルを減らせます。
卒園式の歌 保育園定番ソングランキングと特徴まとめ
現役保育者116名を対象にしたアンケート(ほいくis公式Instagram、2021年1月実施)では、「さよならぼくたちのほいくえん・ようちえん」が25票を獲得し、ダントツの1位でした。意外ですね。2位以下の曲はいずれも7票以下に留まり、いかにこの曲が現場で支持されているかがわかります。
以下に、保育士の間で人気の定番ソングをテーマ別にまとめました。選曲の参考にしてください。
| テーマ | 曲名 | 特徴・難易度 |
|---|---|---|
| 定番・感動系 | さよならぼくたちのほいくえん | 難易度★★ / 練習1〜2週間 |
| 定番・感動系 | 思い出のアルバム | 難易度★★★ / 入退場BGMにも◎ |
| 定番・感動系 | ビリーブ(BELIEVE) | 難易度★★★ / 大人数の合唱向け |
| 振り返り系 | こころのねっこ | 難易度★★★ / 繰り返し多く覚えやすい |
| 振り返り系 | おおきくなったよ | 難易度★★★ / 成長を感じる歌詞 |
| 友情・別れ系 | ね | 難易度★ / 練習1週間 / 入退場にも最適 |
| 友情・別れ系 | みんなともだち | 難易度★★ / 在園児からの贈り歌にも◎ |
| 感謝系 | ありがとうこころをこめて | 難易度★★★ / 保護者が涙する歌詞 |
| 感謝系 | ありがとうの花 | 難易度★★ / 手話と合わせると◎ |
| 前向き系 | ドキドキドン!一年生 | 難易度★★ / 35年以上愛される名曲 |
| 前向き系 | はじめの一歩 | 難易度★★★ / 力強い前向きな歌詞 |
特に注目なのは2018年に現役保育士・三浦香南子さんが作った「6才のうた」です。完全オリジナルソングにもかかわらず感動した人の口コミで広がり、今では新定番曲として保育園で広く歌われています。数字で言うと、この曲は作られてから7年あまりで全国の卒園式に広まった異例のスピード曲です。
参考リンクとして、現役保育者の卒園ソングアンケート結果と全28曲の詳細は以下のサイトで確認できます。
卒園式の歌の練習スケジュールと子どもへの伝え方
卒園式の歌の練習は、1ヶ月前の開始が目安です。これは単純に歌詞を覚える時間だけでなく、感情を込めて歌えるようになるまでの熟成期間として必要です。
練習を段階的に組むと、以下のような流れが効果的です。
- 🎵 1ヶ月前〜3週間前:BGMとして保育室でさりげなく流し、子どもたちが曲に親しむ期間
- 🎵 3週間前〜1週間前:歌詞を覚え、メロディと合わせて歌い込む練習
- 🎵 1週間前〜前日:全体のリハーサルを行い、立ち位置や動線も確認
難易度の高い「旅立ちの日に」「切手のないおくりもの」は3〜4週間必要ですが、「ね」や「たいせつなたからもの」なら1〜2週間で十分仕上がります。つまり難易度によって開始時期を逆算するのが鉄則です。
子どもたちへの伝え方にも工夫が必要です。まずは保育園での思い出を一緒に振り返ることが大切で、写真やビデオを見ながら「あの日楽しかったね」という会話を経てから歌に入ると、感情が乗った歌い方になります。次に「誰に届けたい歌か」を子どもたちに問いかけてみましょう。お父さんお母さん、先生、お友だちなど、具体的な相手を思い浮かべながら歌うことで、声のトーンや表情が自然に変わります。これは使えそうです。
また、長い練習期間の途中で子どもたちが飽きてしまうことは珍しくありません。そのためには、週ごとに「今週は歌詞を全部覚えよう」「来週は大きな声で歌おう」などの小さな目標を設定し、達成感を積み重ねる方法が有効です。
保育士が見落としがちな卒園式の歌と著作権の関係
「式典で無料で歌うなら著作権は関係ない」と思っている保育士さんは、実はリスクを抱えています。これは多くの保育現場で広まっている誤解です。
著作権法第38条では、「営利目的がなく入場料もとらず、出演者に報酬も払わない」という3条件を満たす演奏は許諾不要とされています。卒園式の歌声そのものについては、この条件を満たせば問題ありません。しかし注意が必要なのはDVDや動画を制作する場合です。
卒園式の様子を録画してDVDや動画を保護者に配布する場合は、歌や演奏している楽曲についてJASRACへの利用許諾申請が別途必要になります。許諾なしに配布すると著作権侵害となり、損害賠償が発生するリスクがあります。費用はJASRACと利用許諾契約を締結している業者に依頼することで手続きを代行してもらえます。
さらに、替え歌・歌詞アレンジも注意が必要です。JASRACは「編曲権」と「同一性保持権」を預かっていないため、歌詞を一部変えることについてJASRACは許諾できません。歌詞の改変は著作者または音楽出版社に直接許諾を得る必要があります。「おおきくなったよ」を園の思い出に合わせて替え歌にする際は、法的には著作者への確認が必要です。厳しいところですね。
一方、式典での生の演奏・歌唱そのものは、前述の3条件を守れば許諾は不要です。また著作権の保護期間が終了している楽曲(著作者の死後70年が経過した作品)も許諾なしで使えます。
著作権の具体的なケース別の取り扱いはJASRACの公式サイトで確認できます。
【JASRAC公式】学校など教育機関での音楽利用についての手続き一覧
卒園式の歌を保育園で映える演出にする独自アイデア
どの保育園でも同じ曲を同じように歌うだけでは、印象に残る卒園式にはなりません。歌の演出に少し手を加えるだけで、保護者の記憶に深く残る式になります。
手話を組み合わせる
「ありがとうの花」や「ビリーブ」は、簡単な手話を組み合わせる演出と相性が抜群です。手話付きで歌うことで、歌詞の意味が視覚的に伝わり、歌の感動が2倍近く増すと現場では言われています。手話は振り付けと違い、歌詞のメッセージを直接的に表現するため、保護者の心に刺さりやすいのです。
スライドショーとの連動
「はじめてのさよなら」「こころのねっこ」などの振り返り系の曲を歌う際に、入園からの写真スライドショーを同時に流すと効果的です。写真の枚数は曲の長さに合わせて15〜20枚程度が視覚的にも見やすく、保護者も置いてきぼりになりません。
卒園児と在園児の2曲構成にする
卒園式では1曲だけでなく、「卒園児が歌う曲」と「在園児が卒園児に贈る曲」の2曲構成にすると、式に流れができます。在園児からの曲には「みんなともだち」「ありがとうの花」が歌いやすくておすすめです。2曲構成が基本と考えておくと、式の設計が組みやすくなります。
ピアノ伴奏の選び方
担任保育士がピアノを弾く場合、難易度が高すぎる曲は本番での失敗リスクが上がります。「ね」「たいせつなたからもの」は伴奏の難易度が★1〜★2と低く、初級〜中級のピアノ技術でも十分本番に臨めます。ピアノの技術に自信がない保育士さんは、まず伴奏難易度を基準に候補を絞ることをおすすめします。伴奏の難易度確認は楽譜購入前に必ずやっておくべきことです。
現役保育士のピアノ伴奏の練習方法や楽譜入手先については、以下のサイトにも詳しい情報があります。


