正月遊び・室内で小学生と楽しむ伝統遊びの全ガイド
「かるたは低学年には難しい」と思っていたら、実は3歳児も夢中になれる遊びです。
正月遊びを室内で行う保育のねらいと小学生への効果
正月遊びをただ「季節のイベント」として流してしまうのは、大きな機会損失です。これは保育現場においてよく起こりがちなことですが、伝統遊びには現代の知育玩具に負けない認知発達への効果が詰まっています。
保育活動での正月遊びのねらいは、大きく分けて3つの軸で考えると整理しやすいです。
- 日本の文化・伝統への親しみ:凧あげ・かるた・福笑いなど、いずれの遊びにも「無病息災を願う」「新年の運を試す」といった意味が込められており、子どもたちが日本の季節行事を体感的に理解するきっかけになります。
小学生の場合は特に、ルールの理解・戦略的思考・協力プレーのバリエーションを加えると、より高い知的関与が生まれます。つまり「小学生には簡単すぎる」は思い込みです。
たとえばかるたなら、読み手を子ども自身が担当する・オリジナルの読み札を作る・百人一首の下の句も覚えるといった発展形があります。すごろくも、マス目の指示を子どもが考えてオリジナルボードを制作する課題として取り組めば、国語・算数・アートが交差する総合的な学習体験になります。これは使えそうです。
保育のねらいとしては、月案・指導案に以下のように書き込むと具体性が高まります。
- お正月遊びを通して日本の伝統行事に興味を持つ
- かるた・すごろく等のルールを理解して、友だちと一緒に楽しむ
- 勝ち負けを経験し、感情をコントロールしながらゲームに参加する
- 伝統遊びの意味や由来を知り、自分の言葉で説明しようとする
「ねらい」が固まることで、活動前の導入の言葉や活動後の振り返りの問いかけも自然と決まってきます。ねらいを先に決めるのが基本です。
正月遊びの定番・室内かるたで小学生の脳を鍛える方法
かるたは正月遊びの中でも最もシンプルな道具構成でありながら、その効果は非常に多岐にわたります。遊んでいる間、子どもは読み札を「聴く」「理解する」「記憶された位置と照合する」「素早く手を動かす」という4ステップを0.2〜0.5秒以内に実行しています。
これを読み解くと、一枚の札を取るだけで「聴覚処理」「意味理解」「空間記憶」「運動制御」という4つの異なる脳機能が連動していることになります。学研「こそだてmap」の解説によれば、かるたの読み札は「知識の宝庫」でもあり、内容を聞くことで好奇心・学習意欲の向上にも繋がるとされています。
小学生へのかるた導入でよくある失敗が「全員にいきなりフルセットを広げる」ことです。1年生と6年生では語彙量・読解速度が大きく異なるため、学年ごとの難易度設定が重要です。
| 対象学年 | おすすめかるたの種類 | 発展アレンジ |
|---|---|---|
| 低学年(1〜2年) | 絵中心・ひらがなかるた | 読み手を保育士が担当、1音目を強調 |
| 中学年(3〜4年) | いろはかるた・ことわざかるた | 読んだことわざの意味を説明させる |
| 高学年(5〜6年) | 百人一首・坊主めくり | 下の句まで暗記を目標に設定 |
特に「坊主めくり」は、ひらがなが読めなくても遊べる百人一首のアレンジ版です。姫の絵札が出ると捨て山を全部もらえる、坊主が出ると全部失うというシンプルなルールで、低学年・高学年混合のグループでも同じ土俵で楽しめます。これは混合年齢活動への活用に最適です。
かるた遊びのさらなる発展として、子どもたちが「オリジナルかるた」を作ること自体を保育活動に組み込む方法もあります。読み札の文章を考えることで語彙・表現力・文章構成力が育ち、絵札を描くことで表現活動とも統合できます。制作後に全員で遊ぶという流れにすると、制作への動機づけが高まります。
かるた遊び中は、同時に複数の子が絵札に手を触れるケンカが起きやすいです。事前に「一番下に手があった子のもの」「同時はじゃんけん」などのルールを明示しておくことが、トラブル防止の第一歩です。ルール説明は必須です。
学研こそだてmap|かるたってこんなにすごい!知識・集中力・空間認知が育つ理由
正月遊びの室内定番・けん玉が小学生の集中力を高める科学的根拠
「けん玉は運動遊び」と思われがちですが、実は脳への作用がとりわけ注目されています。愛知県清須市の広報資料(広報きよす2020年9月号)によると、けん玉には「集中力モード」と「脳活性モード」という2つの異なる脳の状態を作り出す効果があります。
慣れた技を繰り返す場合は「集中力モード」となり、持続的注意力が高まります。慣れない技に挑戦する場合は「脳活性モード」となり、思考・記憶・判断を司る前頭前野が活発に働きます。この2つを交互に体験できるのが、けん玉の大きな特徴です。
また身体的な側面でも、けん玉は単純な「手先の遊び」ではありません。玉をお皿に乗せるには膝の屈伸が不可欠で、自然とスクワット動作が生まれます。腹筋が常に働くため姿勢も改善されます。つまり全身運動です。
小学生がけん玉に取り組む際の指導ステップとしては、次のように段階を設けると挫折が少なくなります。
- ステップ1:大皿乗せ(成功体験を最初に作る)
- ステップ2:小皿乗せ(バランス感覚が鍛えられる)
- ステップ3:もしかめ(大皿・小皿を交互に繰り返す連続技)
- ステップ4:けん先刺し(集中力と瞬発力の総合技)
「もしかめ」は特に人気が高く、何回連続できるかを記録していくと子ども自身が目標設定をしやすくなります。クラス内で記録表を作ると「昨日より2回多くできた!」という小さな達成感の積み重ねが生まれます。この仕組みが継続的な挑戦を支えます。
けん玉の費用は一般的に1,000円前後と手頃です。保育施設で数個購入しておけば、正月だけでなく通年の室内自由遊びにも使えます。廃材でもガチャガチャのカプセルと紙コップ・タコ糸で簡単に手作りできるため、制作活動と組み合わせることも可能です。
正月遊びの室内版・手作りすごろくで小学生の数的思考を育てる
すごろくは、サイコロを振って出た目の数だけコマを進める、というシンプルなルールが持ち味です。しかし、保育活動においてすごろくの真の価値は「制作プロセス」にあります。
ただ市販のすごろくで遊ぶだけでなく、子どもたちが自分たちでボードを作る「手作りすごろく」に挑戦すると、活動の教育的価値が格段に高まります。マスに書く指示を考える段階で、子どもたちは「3マス進む」「1回休み」「スタートに戻る」など数の概念を自然に使います。
手作りすごろくの制作ステップは以下の通りです。
- 大きな模造紙や色画用紙を用意し、スタートとゴールを設定する
- サイコロの目(1〜6)が分かる数のマスを設ける(15〜25マス程度が小学生には適当)
- 各マスに絵や文字で指示を書く(高学年なら「好きな食べ物を言う」などコミュニケーション課題も面白い)
- 完成後、グループで実際に遊ぶ
すごろく遊びが育てる能力をまとめると、数の大小・順序概念(算数的思考)、自分の番まで待つ忍耐力、ルールを守ってゲームに参加する社会性、勝ち負けの感情調節という点が挙げられます。これらは小学校入学後の学習・生活に直結するスキルです。
保育士として導入する際のコツは、最初に「同じ数だけコマを動かすゲームをやってみよう」と別の簡単な体験を挟むことです。たとえばサイコロを2個振って合計を当てるクイズを先にやると、数の合算への意識が高まり、すごろく本体への移行がスムーズになります。
サイコロも手作りできます。牛乳パックを正方形に折りたたんでテープで固定し、各面に1〜6の点を描くだけで完成です。制作コストはほぼゼロ。
保育士バンク!コラム|お正月にすごろくをするのはなぜ?保育園での手作り方法
正月遊びの室内アレンジ・福笑い・だるま落としの小学生向け発展バリエーション
かるた・けん玉・すごろくが「メイン種目」だとすれば、福笑いやだるま落とし・めんこは「盛り上げ種目」として組み合わせると、活動にメリハリが生まれます。特に小学生には「単純すぎる」と感じさせない工夫が必要です。
福笑いの発展バリエーション
通常の福笑いは「おかめ・ひょっとこの顔を完成させる」ですが、小学生向けにはいくつかの発展形があります。
- タイムアタック版:目隠し後、何秒で全パーツを置けるかタイムを計る。スポーツの要素が加わり高学年でも燃えます。
- オリジナルキャラ版:事前に子どもたちが自分でデザインしたキャラクターの顔を福笑いに使う。制作と遊びを統合できます。
- チームリレー版:チームで順番に1パーツずつ置いていく。チームワークが問われる協力型ゲームに変わります。
福笑いは元々、江戸時代後期に遊ばれるようになり、明治時代にお正月の遊びとして定着したとされています。「笑う門には福来る」のことわざのとおり、笑いが絶えない遊びです。笑いこそが目的です。
だるま落としの活用ポイント
だるま落としは「だるまを落とさずにパーツを抜く」という直感的な物理ゲームで、コツがつかめると夢中になります。小槌を水平に持って素早く打つ、という基本を押さえれば小学1年生でも成功体験を得やすいです。
保育現場でだるま落としを導入する際は、まず保育士が1回見本を見せることが大切です。「どうやったら成功するんだろう?」という探究心が、その後の子どもの集中度を大きく変えます。見本は1回で十分です。
めんこの現代アレンジ
めんこは床に叩きつけて相手のめんこを裏返す遊びです。小学生には相手のめんこに狙いを定める戦略性があり、意外なほど盛り上がります。画用紙でも手作りできるため、制作→対戦という流れが作れます。
キャラクターを自分で描いたオリジナルめんこは、「自分が作ったものを賭けて戦う」という特別な感情を生み出します。負けた悔しさも「もっと強いめんこを作ろう」という改善意欲に変わりやすいです。これが伝統遊びの持つ学習サイクルです。
正月遊びの由来を小学生にわかりやすく伝える保育士のための解説法
正月遊びの由来を子どもたちに伝えることは、単なる「知識の注入」ではありません。遊びに「意味」が加わることで、子どもたちの遊びへの関与度が大きく変わります。「なんでお正月に凧を揚げるの?」という問いに答えられると、子どもの目が輝く瞬間があります。
保育士として覚えておきたい、各遊びの由来エッセンスをまとめると次のようになります。
| 遊び | 由来のポイント | 子どもへの伝え方ヒント |
|---|---|---|
| 凧あげ | 平安時代に中国から伝来。願い事を天に届けるとされた | 「お願いごとを空に飛ばそう!」 |
| かるた | ポルトガル語の「carta(カード)」が語源 | 「外国から来た遊びだよ」 |
| すごろく | 奈良時代から。「その年の運試し」として正月に定着 | 「さいころがその年の運を決める!」 |
| けん玉 | 江戸時代にシルクロードを経て長崎から伝来 | 「世界中にあった遊びなんだよ」 |
| 羽根つき | 羽に使われる「無患子(むくろじ)」の実は「子が患わない」の意 | 「羽根に病気を追い払う力があるんだって」 |
| 福笑い | 「笑う門には福来る」から明治時代に定着 | 「笑えば笑うほどいいことが来る!」 |
| コマ回し | 「物事が円滑に回る」縁起物として定着 | 「グルグル回り続けるから縁起がいい」 |
由来を伝える際のコツは、まず「なぜだと思う?」と子どもに問いかけることです。自分で考えさせてから答えを伝えることで、記憶への定着が格段に高まります。一方的に話すのは避けましょう。
また「江戸時代」「平安時代」という言葉は、小学生でも「めちゃくちゃ昔」「お侍さんの時代」と言い換えるだけで理解度が大きく変わります。お侍さんもかるたをしていた、というイメージは子どもの心に残ります。
さらに進んだ活動として、「正月遊びクイズ大会」を設けることも効果的です。「けん玉はどの国から来たでしょう?」「かるたはポルトガル語で何という意味?」など、由来をクイズ形式にするだけで学びがゲーム化されます。由来の理解が遊びの深みになります。
保育士バンク!コラム|【総まとめ】お正月遊びの由来。けん玉や福笑いなどの遊び8選

CINECE 福笑い お正月遊びセット おかめとひょっとこ柄 (福笑い, 2セット)

