視唱練習で保育士の採用試験を突破する正しい方法
視唱の練習をピアノだけでやると、採用試験で音を外して不合格になります。
視唱練習とは何か?保育士が押さえるべき基礎知識
視唱(しょうしょう)とは、楽譜を見て音程・リズムを正しくドレミ(音名や階名)で歌えるようにするトレーニングのことです。ピアノを弾く技術とは別の能力であり、「楽譜を読んで即座に歌声で再現する力」と言い換えることができます。
保育士の養成課程や採用試験で出題される「新曲視唱」は、まさにこの視唱力を試すものです。試験当日、初めて見る楽譜を数十秒~1分程度の予見時間でチェックし、その場で歌います。「課題曲」のように事前に練習できる曲ではなく、完全に初見の楽譜が渡されます。これは才能の問題ではありません。
大阪音楽大学のソルフェージュ教材では「一日に数曲ずつ練習し、取りにくい音程やリズムは繰り返し練習してください」と明記されており、訓練量が視唱力を決めると断言されています。視唱は継続的な訓練で必ず伸ばせるスキルです。
視唱を練習するメリットは試験対策だけに留まりません。視唱力が上がると、初めて受け取った楽譜をほぼリアルタイムで歌えるようになります。保育現場では、突然「この曲を子どもたちに歌ってあげて」と楽譜を渡されることも珍しくありません。そういった場面で慌てず対応できることは、保育士としての現場力に直結するのです。
視唱力の土台となるのは「音程感覚」と「読譜力」の2つです。音程感覚とは音の高低を正確に把握する力、読譜力とは楽譜上の音符をすばやく音名に変換する力のこと。つまり、この2つを鍛えれば鍛えるほど、視唱の精度が高まっていきます。
視唱練習でまず使うべき教材「コールユーブンゲン」の使い方
保育士養成課程における視唱練習で最も頻繁に用いられる教材が「コールユーブンゲン」です。これは19世紀にドイツの音楽家フランツ・ヴュルナーがミュンヘン音楽学校の合唱練習書として作成したもので、現在も音大・保育士養成校の双方で使われ続けています。音程とリズムを同時に訓練できる構成になっており、音感の安定に非常に有効と評価されています。
国立音楽大学に合格した生徒を指導した音楽教室の講師は「コールユーブンゲン1冊を完璧に歌えれば、視唱は怖くない。音感と音程が安定する効果が得られる」と明言しています。半年間の練習でも技術がメキメキ向上した実績があるほど、効果の高い教材です。
コールユーブンゲンを使った具体的な練習手順は以下のとおりです。
- 🎼 No.1から順番に取り組む:最初は単純な音型から始まり、徐々に音程幅や複雑さが増す構成になっています。
- 👂 1音1音、正確な音程で歌う:なんとなく歌い流さず、少しでも音程がずれたら止めて修正します。
- 🔁 取れなかった音程は繰り返す:特に3度・6度音程は苦手な人が多いため、重点的に練習します。
- 📅 毎日少しずつ進める:1日数曲ずつ継続することが重要で、一気に進めても定着しません。
「保育士資格試験 音楽実技対策」サイトでは、コールユーブンゲンの視聴音源を無料公開しており、独学でも自分の音程が合っているかを確認しながら練習できます。これは使えそうです。
青森明の星短期大学の保育者養成課程でも、授業の中でコールユーブンゲンや子どもの歌による視唱練習が毎時間組み込まれています。学術的な裏付けのある練習法だということです。
参考:保育者養成課程の音楽授業における視唱練習の位置づけ(青森明の星短期大学紀要)
https://www.aomori-akenohoshi.ac.jp/wp-content/uploads/2022/05/kiyo26.pdf
視唱練習で音程が取れない保育士に多い2つの原因と対処法
視唱が苦手な保育士には、大きく2つのタイプが存在します。この2タイプを混同したまま練習を続けると、練習時間をかけても成果が出にくくなります。どちらのタイプかを先に見極めることが原則です。
タイプ①:出すべき音がそもそもわからない(音感の問題)
このタイプは、音程の基準がまだ耳の中に形成されていない状態です。楽譜上のドやミを見ても、その音がどの高さかをイメージできません。対処法は「ラ・ラ・ラ」「ラーン」などのハミングで歌詞をなくし、音程だけに意識を集中させる練習です。ボイストレーナーの玉置彩音先生(オンライン歌唱指導Marsy所属)によると、片耳を押さえながら歌うと自分の声が聴き取りやすくなり、音程のズレに気づく力が上がるとのことです。
タイプ②:出すべき音はわかるが声で再現できない(発声の問題)
このタイプは音感はあるものの、声帯のコントロールが追いついていない状態です。腹式呼吸を使った正しい発声が身についていないことが原因になりがちです。お腹に手を当てて少し前屈し、声を出したときにお腹がへこむ感覚を確認しながら発声練習をするのが効果的です。また、眉間に指を軽く添えながらハミングし、ビリビリと振動する感覚を探すことで「共鳴腔(きょうめいくう)」の使い方が身につきます。喉の負担も軽くなりますね。
どちらのタイプか判断に迷う場合は、「知っている曲をハミングで歌ったとき、音程が合うかどうか」を確認してみてください。合うならタイプ②、合わないならタイプ①の可能性が高いです。
なお、音程が取れない原因として「自分の声を聴けていない」ことも見落とされがちです。周囲の音が大きい保育室で練習していたり、ピアノの音量が大きすぎたりすると、自分の歌声を正確にモニタリングできません。静かな環境で録音しながら練習する習慣をつけることも効果的な対処法の一つです。
参考:保育士の歌の悩みへのボイストレーナーによるアドバイス(ほいく&ようちえんis)
https://hoiku-is.jp/column/detail/784/
視唱練習を毎日5分で続けるためのステップ別メニュー
視唱力は「1日2時間まとめてやる練習」よりも「毎日5〜10分の積み重ね」の方が伸びやすいことが音楽教育の現場で繰り返し確認されています。「新曲視唱が止まる人は日常練習が足りない。初見力は才能ではなく訓練量」という指摘のとおり、習慣化が最重要です。以下のステップで無理なく毎日続けることができます。
| ステップ | 内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| ①音階確認 | ドレミファソラシドを1往復ハミングまたは声に出す | 1分 |
| ②音程トレーニング | ドミ・ドソ・ドオク(3度・5度・8度)の音程を声で当てる | 2分 |
| ③コールユーブンゲン | 前日の曲を確認してから新しい曲を1〜2曲歌う | 3〜5分 |
| ④録音チェック | スマホで録音して、音程のズレがないか聴き直す | 2分 |
音程トレーニングの具体的なやり方を補足します。例えばピアノのドの音を鳴らし(またはアプリで音を出し)、次にミの音をハミングで当てます。当てた後に実際のミの音を鳴らして比較することで、音程感覚が少しずつ正確になっていきます。これが「音を一発で当てる」訓練であり、視唱の核心部分です。
ステップ④の録音チェックは多くの保育士が省きがちですが、実は最も効果的な工程です。人は自分の声を骨伝導でも聴いているため、リアルタイムでは正確な音程判断が難しいことがあります。録音して客観的に聴き返すことで、自分では気づかなかった音程のズレが見えてきます。毎日の録音を継続していくと、数週間後の自分の音程が明らかに安定しているのが確認できるはずです。
また、視唱練習には「次の小節を見ながら歌う」方法も効果的です。今歌っている小節を手や紙で隠し、次の小節を先読みしながら歌うトレーニングです。これにより、試験本番で慌てずに次の音を準備する「余裕」が生まれます。焦らず歌えるということですね。
視唱の採用試験「予見」で差がつく7つのチェックポイント
保育士の採用試験で新曲視唱が課される場合、多くの試験で「予見時間」と呼ばれる事前確認の時間が設けられます。桐朋学園大学の音大入試では20秒程度、東京音楽大学では1〜2分程度です。保育士採用試験でも同様に短い予見時間が与えられる場合があります。この短い時間に何を確認するかで、歌の出来が大きく変わります。
以下の7点を優先順位の高い順に確認することが基本です。
- 🔑 ①調号・音部記号・拍子:最初に必ず確認。これがわからないと音名が確定できず、すべてが狂います。
- 🎚️ ②テンポ指示:AllegroやAdagioなどのテンポ語があれば従う。メトロノーム指定がある場合は体内時計で把握します。
- 📝 ③発想用語:Dolce(甘く)やForte(強く)など、表現の指示を読み取ります。
- 🔍 ④全体の構造をザッと把握:似たリズムパターンの繰り返しや転調箇所がないか確認します。
- 🌬️ ⑤フレーズの切れ目(息継ぎ場所):歌の場合は息継ぎ場所=フレーズの切れ目です。大まかに把握しておきます。
- ⚠️ ⑥難しそうな音程・リズムの場所:臨時記号がある箇所や付点リズムなど、つまずきやすい場所を先に確認します。
- 🎶 ⑦残り時間で頭の中で歌ってみる:声は出せませんが、心の中でメロディを辿ることで本番のミスが減ります。
簡単そうな部分は後回しで構いません。時間を上手に使うのも実力のうちです。
なお、「移動ド」と「固定ド」の使い分けも視唱力に影響します。固定ドは音名(ハ長調のドがC)を基準とし、移動ドは調の第1音を常にドとして読む方法です。視唱において、特に保育士の採用試験レベルでは移動ドを使った方が音程関係を直感的に把握しやすいとされています。音大受験経験者の中でも「移動ドに切り替えて初めて視唱が安定した」という声は少なくありません。これは意外ですね。
参考:新曲視唱の攻略法(予見のポイントを詳しく解説)
https://fumi-music.com/sight-singing-training/
視唱練習をピアノなしで進めるアプリ活用の独自メソッド
保育士をめざす人の中には、自宅にピアノがなかったり、夜間に練習できる環境がなかったりする方も多くいます。実は、スマホアプリを活用することで、ピアノがなくても視唱練習を十分に行うことができます。しかも、アプリを使った練習にはピアノ練習にはない「即時フィードバック」という強みがあります。
代表的なアプリとして「新曲視唱 Pro」(iOS・Android対応)があります。このアプリは楽譜を読む力(読譜力)と正しい音程で歌う技術を同時に鍛えるために設計されており、歌声をマイクで拾って音程の正確さをリアルタイムで判定してくれます。自分が出した音が正しい音程かどうかを「数値」で確認できる点が、独学者にとって大きなメリットです。
もう一つ活用したいのが「コールユーブンゲン視聴音源」です。前述の「保育士資格試験 音楽実技対策」サイトでは、コールユーブンゲンの全曲音源が無料公開されています。楽譜を見ながら音源を聴き、自分が歌ってみて比べる、この3ステップをアプリの録音機能と組み合わせれば、ほぼ完全な独学環境が整います。
- 📱 新曲視唱 Pro(iOS・Android):自動採点機能付き。音程のズレをリアルタイムで視覚化。無料版と有料版あり。
- 🎵 ソルフェージュ系アプリ:マイクで歌声を分析し、音程・リズムのフィードバックを即座に表示。
- 🔊 コールユーブンゲン無料音源サイト:保育士試験用に整備されており、全番号に対応した音源が揃っています。
アプリを使った練習の際は「アプリ頼りすぎない」ことも意識してください。アプリの判定に依存しすぎると、「採点を見てから正解を知る」受動的な練習になりがちです。まず自分の耳で判断し、その後にアプリで確認するという順番で使うと、より音感が鍛えられます。「歌う→判定確認→修正して再度歌う」がアプリ練習の基本サイクルです。これが条件です。
保育現場では突然アカペラで歌うことを求められる場面があります。ピアノ伴奏に頼らず、自分の耳と声だけで正確な音程を維持できる力は、実際の保育士業務にも直結するスキルです。アプリはあくまで道具として活用しつつ、最終的には「ピアノなしでも正確に歌える」状態をめざすことが重要です。
参考:保育士の音感トレーニングに関するガイド(相対音感と移動ド唱法)


共2本法国视唱教程1A+1B法国亨利.雷蒙恩视唱练耳基础教程人民音乐出版社经典教材音符高低音歌曲目练习第一册

