四季の歌 保育園 季節の歌
四季の歌 保育園 ねらい:季節を感じる・一体感・社会性
「四季の歌」を保育園で扱う価値は、単に“季節の歌を歌った”で終わらず、子どもが季節のイメージを言葉と音で行き来できるようになる点にあります。
歌は、友だちと声を合わせる経験そのものが協調性や一体感につながり、集団の中で「同じテンポ・同じ息づかい」を試す練習になります。参考として、歌のねらいには「友だちと一緒に歌うことで協調性」「声を合わせて一体感」「四季の歌を通して季節を感じる」などが挙げられています。
保育のねらいとして言語化するなら、次のように整理すると指導案にも落とし込みやすいです。
・季節(春夏秋冬)への関心を高め、自然や風景の変化に気づく
・歌詞の言葉(すみれ/波/根雪など)をきっかけに、語彙を生活経験と結びつける
・みんなで歌う心地よさを味わい、友だちと合わせる楽しさを知る
・強弱や間の取り方など、表現の違いを感じ取って試してみる
ここで押さえたいのは、「ねらい=歌えるようにすること」ではない点です。歌詞の意味を簡単に伝えるだけでも、子どもは“知っている言葉”として歌えるようになり、表情や声の出し方が変わってきます。実際、歌の指導では歌詞の意味やイメージを伝えると表現が深まる、という考え方が示されています。
また、意外と見落とされがちですが「四季の歌」は“人物像(友だち/父親/恋人/母親)”が出てきます。園の年齢によっては「家族」「身近な人」の話題とつなげて、子どもが自分の経験に置き換えやすくすると、歌が急に“自分の歌”になっていきます。
参考:歌詞(園で扱う前に大人が内容確認)
四季の歌 保育園 指導 方法:先生の歌・サビ・反復・歌詞の意味
保育園での歌の指導は、「正しく歌わせる」より「楽しさを失わずに積み上げる」ほうが結果的に上達が早いです。歌の指導ポイントとして、先生が歌いながら聞かせること、サビから覚えること、歌詞の意味を伝えること、長い曲は何日かに分けることなどが挙げられています。
「四季の歌」は1番ごとに季節が変わり、イメージも切り替わるため、導入の順序を工夫すると集中が続きます。
【導入(1日目)】
・先生が“聞かせる”:まずは子どもに「歌の世界」を丸ごと味わってもらう
・絵カードで季節を提示:春=花、夏=波、秋=風景、冬=雪など“1語で想像できる”ものにする
・サビ(ランララ)を遊び化:輪唱ではなく、手拍子・足踏みで統一感をつくる
【歌い込み(2〜4日目)】
・1番(春)だけを丁寧に:歌詞の意味を短く説明し、イメージしてから歌う
・次に2番(夏)へ:春との差(やさしい/力強い等)を“声の質”で遊ぶ
・反復は短く区切って:長い反復は飽きるため「1フレーズ→1回成功→褒める」へ
【仕上げ(5日目以降)】
・季節ごとに“声の色”を変える:春は柔らかく、夏ははっきり、冬はゆったり等
・最後は通して歌う:途中で止めずに最後まで行く(達成感が残る)
特に「四季の歌」は、歌詞が詩のように比喩的で大人には美しい一方、子どもには抽象に感じることがあります。そこで「歌詞の意味を伝える」を“説明”ではなく“短い問いかけ”に変えると、子どもの主体性が上がります。
例:「すみれってどんな花?」「波ってどんな音?」のように、答えが一つに決まらない質問にすると、発言の幅が出ます。
参考:保育での歌のねらい・指導ポイント
四季の歌 保育園 季節の歌:年齢別アレンジ(3歳・4歳・5歳)
同じ「四季の歌」でも、3歳・4歳・5歳で“ねらいの置き方”を変えると、無理なく成立します。とくに年少は集中が続きにくいので、反復中心の指導が合わない場合がある、という考え方も示されています。そこで年齢別に「できる形に削る」ことが大切です。
【3歳(年少)】
・全部歌いきらなくてよい:春+ランララだけ、など“短い成功体験”を作る
・体の動きで理解する:春は花をつまむ動き、夏は波の動き、冬は手を包む動き
・ねらい:歌う心地よさ、先生や友だちの声をまねる楽しさ
【4歳(年中)】
・季節の違いを比べる:春と冬でテンポや声量を変える遊び
・言葉を拾う:すみれ/波/雪など“具体語”を確認してから歌う
・ねらい:季節を感じる、歌詞の言葉と生活経験をつなぐ
【5歳(年長)】
・表現を話し合う:「夏は強い声?」「冬はゆっくり?」など子ども同士で決める
・ミニ発表につなげる:クラスの“季節の歌”として歌い継ぐ
・ねらい:表現の工夫、集団で作る達成感
また、年長になるほど「ことばの奥行き」を楽しめます。例えば秋の歌詞には「ハイネ」の名前が出ますが、ここは“文学解説”は不要で、「秋って、なんだか静かで、考えごとが増える季節だよね」といった生活感のある言い換えで十分です。大人が難しい言葉を「子どもに届く言葉」に翻訳すること自体が、保育の専門性になっていきます。
四季の歌 保育園 季節の歌:小道具・絵本・環境構成で深める
季節の歌は、歌う場面を“環境”とつなぐほど定着します。季節の歌の練習では、花・落ち葉・どんぐりなどの自然物や小道具で季節感を表す演出が有効、という提案もあります。歌の時間だけで完結させず、部屋の一角・散歩・製作とつなげると「今日歌った歌が、外にある」と実感できます。
【小道具アイデア(入れ子にしない)】
・春:すみれ(本物が難しければ紫の折り紙の花)、草花スタンプ
・夏:青い布(波)、貝殻、霧吹きで“海のしぶき”ごっこ(安全配慮の上で)
・秋:落ち葉、木の実、色水(紅葉色)
・冬:綿(雪)、白い紙ちぎり、手袋やマフラーの実物
【環境構成のコツ】
・「四季コーナー」を作る:歌詞に出てきたものを貼る(子どもの絵でもOK)
・散歩の“見つけた”を歌に戻す:「波みたいな音したね」など、経験を歌詞へ還元
・ピアノが苦手でも成立させる:メロディ片手、または音源で正しい曲調を共有する考え方もあります
ここでのポイントは、歌が「記憶課題」にならないようにすることです。小道具は“正解の提示”ではなく、子どもが想像を広げるための種として置きます。たとえば、同じ青い布でも「海」「空」「風」など複数の見立てが出たら、そのクラスならではの四季の歌に育っていきます。
四季の歌 保育園 季節の歌:独自視点「家族像」から生活へつなぐ
検索上位の多くは「季節の歌一覧」「歌の教え方」に寄りがちですが、「四季の歌」ならではの独自性は“季節=人の心”として描いている点です。歌詞には、春=友だち、夏=父親、秋=恋人、冬=母親という人物像が登場し、季節のイメージが人の在り方に重ねられています。つまり「自然の歌」であると同時に「人を思う歌」でもあります。
ここを保育で扱うときは、恋愛の話に踏み込む必要はありません。年齢に合わせて「大切な人」「応援してくれる人」「守ってくれる人」に言い換えると、家庭環境が多様な園でも配慮しやすくなります。
・春:友だち=一緒に遊ぶ人、笑顔になる人
・夏:父親=力持ち、頑張っている人(“おうちの人”でも良い)
・秋:恋人=大切に思う人(“大好きな人”に置き換える)
・冬:母親=安心する人、温かい人(“抱っこしてくれる人”など)
そして、ここから「生活」へつなげます。たとえば昼寝前に「冬は心広き人」のフレーズだけを子守歌のように歌うと、歌が“行事用”ではなく“暮らしの歌”として定着します。行事の前に急いで詰め込むより、生活の中で少しずつ育てた歌のほうが、子どもの声が柔らかく揃っていきます。
最後に、歌うことの価値は“披露するため”だけではなく、子どもがその日の気持ちを整えたり、友だちと呼吸を合わせたりする「日々の技術」になることです。歌が上手かどうかより、「今日のクラスの音がひとつになった」瞬間を拾って言葉にして返すと、次の日の歌い方が変わっていきます。

