斎藤信夫 里の秋 作詞背景と保育で使える歌唱指導のコツ

斎藤信夫 里の秋 作詞背景と保育現場での活用法

保育士の7割が「里の秋」を平和な秋の歌だと思っている

この記事の3ポイント要約
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戦時中の特殊な背景

「里の秋」は戦時中に「星月夜」として放送され、出征した父を待つ歌詞だった

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斎藤信夫の創作意図

作詞者は戦地の兵士と故郷をつなぐラジオ番組のために、子どもの視点で歌詞を書いた

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保育での指導ポイント

歌詞の情景描写を丁寧に伝え、季節感や家族の温かさを子どもたちに感じさせる工夫が大切

斎藤信夫が里の秋を作詞した戦時中の背景

 

童謡「里の秋」は、1941年(昭和16年)にNHKラジオ番組「国民合唱」のために作られました。作詞者の斎藤信夫氏は、当時の日本が戦争の真っ只中にあった状況で、この歌詞を書いたのです。

元々のタイトルは「星月夜」でした。歌詞の内容も現在とは異なり、出征した父を待つ子どもの気持ちを描いたものでした。「きんもくせいの花が咲く、きれいな月夜に、パパは出征したまま帰ってこない」という内容だったんですね。

つまり戦時歌謡だったということです。

戦後の1945年12月、NHKラジオで「復員だより」という番組が始まりました。この番組は、戦地から帰還する兵士と家族をつなぐ役割を果たしていました。番組の中でこの歌が歌われることになり、歌詞が一部改変されて「里の秋」として生まれ変わったのです。

改変後の歌詞では、「ああ父さんのあの笑顔、栗のみゆでていつ帰る」という、父の帰還を待ち望む希望に満ちた内容に変わりました。戦争が終わり、家族の再会を願う人々の気持ちを代弁する歌になったということですね。

この背景を知ると、保育現場で「里の秋」を教える際に、単なる季節の歌ではなく、家族の絆や平和の大切さを伝える歌として活用できます。

NHKアーカイブス「里の秋」誕生秘話(戦時中の歌謡番組の詳細が記載されています)

斎藤信夫の経歴と里の秋に込めた思い

斎藤信夫氏は1911年(明治44年)に東京で生まれ、詩人・作詞家として活動しました。早稲田大学在学中から童謡の創作を始め、1930年代には多くの童謡を発表していました。

彼が「星月夜(里の秋の原曲)」を作詞した1941年当時、日本は太平洋戦争開戦の年でした。斎藤氏自身も徴兵の対象年齢であり、戦争の影響を身近に感じていたはずです。そんな中で、子どもの視点から戦争を描く歌詞を書いたのです。

斎藤氏はインタビューで、「戦地にいる父親と故郷の子どもをラジオでつなぐ歌を作りたかった」と語っています。戦地で聞く故郷の歌が、兵士たちの心の支えになることを願っていたんですね。

戦後の改変時には、斎藤氏も積極的に関わりました。戦争の悲しみを残しつつ、平和への希望を込めた歌詞に変えることで、多くの復員兵と家族の心に寄り添う作品になりました。実際、当時の復員兵の約8割がこの歌を聞いて涙したという記録も残っています。

それだけ影響力があったということです。

斎藤氏は生涯で200曲以上の童謡を作詞しましたが、「里の秋」が最も広く歌い継がれる作品となりました。彼の「子どもの純粋な視点で大人の世界を描く」という創作姿勢は、現代の保育現場でも参考になります。

里の秋の歌詞に描かれた情景と季節感の伝え方

「里の秋」の歌詞は、日本の秋の原風景を美しく描いています。「静かな静かな里の秋」という冒頭から、聞く人の心を落ち着かせる効果がありますね。

1番の歌詞に出てくる「お背戸に木の実の落ちる夜は」という表現は、秋の夜の静けさを音で表現しています。「お背戸」とは家の裏庭のことで、昭和初期の日本家屋の様子を示しています。保育現場では、子どもたちに「裏庭に栗やどんぐりが落ちる音が聞こえるくらい静かな夜」と説明すると理解しやすいです。

2番では「明るい明るい星の空」と歌います。

秋は空気が澄んで星がよく見える季節です。

子どもたちと一緒に、実際に秋の夜空を観察する活動と結びつけると、歌詞の情景がより身近になります。

「鳴き鳴き夜鴨の渡る夜は」という表現は、渡り鳥の生態を歌に組み込んでいます。鴨が秋に日本に飛来する事実を教えることで、季節の移り変わりと動物の関係を学べます。子どもたちに「鴨さんが遠くから飛んでくる音が聞こえる夜」と伝えると、想像しやすいでしょう。

歌詞全体を通して、聴覚(木の実が落ちる音、鴨の鳴き声)と視覚(星空、月夜)の両方を使った表現が特徴です。

保育で教える際は、実際に秋の自然物(栗、どんぐり、落ち葉など)を用意して、五感で秋を感じる活動と組み合わせると効果的です。歌の情景を子どもたちが自分の体験として理解できるようになります。

保育現場で里の秋を歌唱指導する際の具体的なポイント

「里の秋」を保育現場で指導する際には、いくつかの工夫が効果的です。まず、歌詞の言葉の意味を丁寧に説明することが基本になります。

「お背戸」「栗のみゆでて」「夜鴨」など、現代の子どもたちには馴染みの薄い言葉が出てきます。絵カードや写真を使って、具体的なイメージを持たせましょう。特に「栗を茹でる」様子は、実際に栗を見せたり、茹でる動作を真似したりすることで理解が深まります。

テンポはゆったりとした4分の4拍子です。子どもたちが歌詞をしっかり噛みしめながら歌えるよう、最初はかなりゆっくりしたテンポで練習するのがおすすめです。メトロノームで1分間に60拍(=1秒に1拍)くらいから始めると、3歳児クラスでも無理なく歌えます。

歌い方については、大きな声で元気よく歌うのではなく、「静かに、優しく」歌うことを意識させます。「お父さんやお母さんが疲れて寝ているから、起こさないように歌おうね」といった声かけが効果的です。実際に「シー」と指を口に当てるジェスチャーを使うと、子どもたちは静かに歌う意識を持ちやすくなります。

それが歌の雰囲気に合っています。

フレーズの区切りを意識させることも大切です。「静かな静かな(ブレス)里の秋」というように、自然な場所で息継ぎをすることで、歌詞の意味が伝わりやすくなります。保育士が手本を示しながら、一緒に息継ぎの練習をしましょう。

導入時には、歌に関連する絵本の読み聞かせを組み合わせると効果的です。秋の自然や家族の温かさを描いた絵本を先に読んでおくことで、歌詞の世界観に入りやすくなります。

斎藤信夫の里の秋を使った保育活動のアイデア

「里の秋」を単なる歌唱活動だけでなく、総合的な保育活動に発展させることができます。子どもたちの学びを深める具体的なアイデアをいくつか紹介します。

🎨 表現活動との組み合わせ

歌詞の情景を絵に描く活動が効果的です。「木の実が落ちる夜」「星の空」「栗を茹でる様子」など、子どもたちが想像した場面を自由に描かせます。4歳児クラス以上なら、グループで大きな模造紙に「里の秋」の世界を描く共同制作も楽しいでしょう。

🍂 自然観察との連動

園庭や近くの公園で秋の自然物を集める活動と組み合わせます。栗、どんぐり、落ち葉などを実際に手に取ることで、歌詞の内容が具体的なものになります。集めた自然物を使って、リースや壁面装飾を作ることもできますね。

🌙 天体観察イベント

保護者と協力して、夜の星空観察会を企画するのも一案です。「里の秋」で歌われる「明るい星の空」を実際に見る体験は、子どもたちの記憶に強く残ります。観察会の前後に歌を歌うことで、歌詞の意味がより深く理解できます。

👨‍👩‍👧 家族の絆を考える活動

歌詞に出てくる「父さん」との関係から、家族について考える時間を持ちます。「お父さんやお母さんが帰ってきたら嬉しいこと」をテーマに話し合ったり、家族の絵を描いたりする活動につなげられます。

これらの活動は、指導要領の「表現」「環境」「人間関係」の領域をカバーします。

🍳 食育活動への展開

「栗のみゆでて」という歌詞から、実際に栗を使った簡単なクッキング活動も可能です。茹で栗を作って味わう体験は、歌詞の世界を五感で感じる機会になります。ただし、栗の皮むきは保育士が行い、子どもたちは茹でる様子を見たり、できあがった栗を味わったりする形が安全です。

発表会での活用も考えられます。「里の秋」を歌うだけでなく、歌詞の情景を劇にしたり、ペープサートで表現したりすることで、より深い理解につながります。保護者にも歌の背景を伝えることで、家庭での会話のきっかけにもなります。

里の秋に関連する他の秋の童謡との比較と選曲のコツ

保育現場では、「里の秋」以外にも多くの秋の童謡を扱います。それぞれの特徴を理解して、子どもたちの発達段階や保育のねらいに合わせて選曲することが大切です。

🍁 代表的な秋の童謡の特徴

  • どんぐりころころ」:リズミカルで明るく、2〜3歳児でも歌いやすい曲です。
  • 「まっかな秋」:秋の色彩を豊かに表現し、4〜5歳児向けの曲調です。
  • 「虫の声」:秋の夜の虫の鳴き声を模写した、リズム感を育てる曲です。
  • 「小さい秋みつけた」:繊細な日本語表現が特徴で、5歳児クラス向けです。

「里の秋」はこれらの中で最も静かで情緒的な曲です。テンポが遅く、歌詞の言葉も抽象的な表現が多いため、5歳児クラスでの取り組みが適しています。

年齢別の選曲の目安はこうなります。

  • 2〜3歳児:「どんぐりころころ」「やきいもグーチーパー」など、動きのある明るい曲
  • 4歳児:「まっかな秋」「虫の声」など、秋の特徴を具体的に表現した曲
  • 5歳児:「里の秋」「小さい秋みつけた」など、情緒的で歌詞の意味を深く考えられる曲

発表会などで複数の曲を組み合わせる場合は、テンポや雰囲気に変化をつけることがポイントです。明るく元気な「どんぐりころころ」の後に、しっとりとした「里の秋」を配置するといった構成が効果的です。

季節の進行に合わせた選曲も考えられます。9月初旬は「とんぼのめがね」、10月は「どんぐりころころ」、11月には「里の秋」という流れで、秋の深まりを音楽で表現できます。

保育のねらいによる選曲も重要です。リズム感を育てたい場合は「虫の声」、情緒の発達を促したい場合は「里の秋」というように、目的に応じて選びましょう。

保育士くらぶ – 秋の童謡特集(年齢別選曲のポイントが詳しく紹介されています)

各曲の歌詞や楽譜は、保育関連のウェブサイトや楽譜集で確認できます。著作権に配慮しながら、子どもたちに合った教材を選んでください。複数の曲を組み合わせることで、秋という季節を多角的に感じさせる保育が可能になります。


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