ピアノ協奏曲の有名な名曲を保育士が現場で活かすガイド
実は、子どもがもっとも集中して聴けるピアノ協奏曲の長さは「第1楽章の最初の3分以内」だけです。
ピアノ協奏曲とは何か:保育士が知っておきたい基礎知識
ピアノ協奏曲とは、ピアノ独奏とオーケストラが共演する形式の楽曲です。「協奏」という言葉はイタリア語の「コンチェルト(Concerto)」に由来し、「競い合いながら共演する」という意味を持っています。
一般的に3つの楽章で構成されており、第1楽章は速め、第2楽章は緩やかで叙情的、第3楽章は再び速いテンポで締めくくるのが基本です。保育士として知っておくと、曲をどの場面に使うか判断しやすくなります。
クラシック音楽に詳しくない方でも、耳にしたことがある曲は多いはずです。たとえばモーツァルトのピアノ協奏曲第21番は、映画『みじかくも美しく燃え』(1967年)のサウンドトラックに使われ、世界的に有名になりました。このように、ピアノ協奏曲はドラマや映画でも頻繁に採用されています。
保育現場では「クラシックは難しそう」と敬遠されがちです。それは少しもったいないことですね。実は幼児の脳は繰り返しのリズムや旋律のパターンに反応しやすく、協奏曲の「ピアノとオーケストラの掛け合い」は自然と子どもの注意を引きつける効果があります。
曲の形式を理解するのが第一歩です。
世界的に有名なピアノ協奏曲トップ5:定番の名曲リスト
まず、世界中で演奏回数が多く、保育士にも親しみやすい定番曲を押さえておきましょう。以下の5曲は、クラシック音楽のランキングサイトや演奏頻度データでも常に上位にランクインしています。
- 🎹 モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467 第2楽章の旋律は「エルヴィラ・マディガンのテーマ」として世界中で有名。穏やかで温かみのある音色が特徴。
- 🎹 ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11 ロマンチックで叙情的。第2楽章は静かでお昼寝BGMに最適。
- 🎹 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18 映画・テレビでも多用される、壮大で感情豊かな名曲。冒頭のピアノソロは誰もが聴いたことのある音楽です。
- 🎹 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」変ホ長調 Op.73 力強くスケールの大きな曲。発表会や行事のオープニングBGMにぴったり。
- 🎹 グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16 冒頭のティンパニとピアノの掛け合いが印象的。北欧の自然を感じる透明感のある曲。
これが定番の5曲です。
それぞれの「第2楽章」は総じてゆったりとした旋律を持つため、保育士がBGMとして流す場面では特に使いやすい部分です。フル演奏は30〜40分かかることも多いですが、第2楽章だけなら8〜12分程度。保育の隙間時間にちょうど良い長さです。
参考になる国内クラシック情報サイト(ピアノ協奏曲の解説・楽曲紹介)。
ピアノ協奏曲の有名な曲を子どもに聴かせるときの3つのポイント
子どもにクラシックを聴かせるとき、多くの保育士が「ただ流せばいい」と思いがちです。ただ、効果を高めるには3つのポイントを意識すると違いが出ます。
①音量は控えめに設定する
幼児の聴覚は大人より敏感で、70dB(デシベル)以上の音が続くと集中力が低下するという研究があります。保育室でのBGMは、会話が普通に聞こえる50〜60dB程度が適切です。スマートフォンのデシベル計測アプリ(無料のものが多数あります)を使えば簡単に確認できます。
②テンポの速い第1楽章・第3楽章は活動時間に
ピアノ協奏曲の第1・第3楽章はテンポが速く、動きたくなるリズムを持っています。自由遊びや制作活動のBGMとして流すと、子どもが自然と体を動かしたり、手先を活発に使ったりするきっかけになります。これは使えそうです。
③第2楽章はお昼寝・落ち着きタイムに
テンポが60〜70BPM前後のゆったりした旋律は、人間の心拍数に近いリズムです。安心感を与えるため、お昼寝前の落ち着きタイムや絵本読み聞かせのBGMに非常に向いています。ショパンのピアノ協奏曲第1番・第2楽章やモーツァルトの第21番・第2楽章がとくにおすすめです。
場面と楽章を合わせるのが条件です。
保育の場面別おすすめ有名ピアノ協奏曲リスト
実際の保育現場では「どの場面にどの曲を使えばいいか」が一番の悩みどころです。場面ごとに整理すると選びやすくなります。
| 場面 | おすすめ曲 | 楽章・ポイント |
|---|---|---|
| 🛌 お昼寝BGM | ショパン:協奏曲第1番 | 第2楽章・60BPM・静かで安心感がある |
| 🎨 制作活動・自由遊び | モーツァルト:協奏曲第21番 | 第1楽章・明るくリズムが軽快 |
| 📖 絵本読み聞かせ | グリーグ:協奏曲 イ短調 | 第2楽章・透明感があり物語を邪魔しない |
| 🎉 発表会・行事オープニング | ベートーヴェン:「皇帝」 | 第1楽章冒頭・華やかで場が引き締まる |
| 🌅 登園・朝のあいさつ | ラフマニノフ:協奏曲第2番 | 第2楽章・温かみがあり一日の始まりに最適 |
つまり、場面に合わせて楽章を選ぶのが基本です。
どの曲もYouTubeやSpotify、Apple Musicなどで無料または月額数百円で聴けます。ストリーミングサービスは保育現場での著作権問題も比較的クリアしやすい(BGM利用の場合はJASRACの「店舗用BGM利用」手続きが必要な場合もあるため要確認)ですが、著作権保護期間が終了しているクラシック作品の録音物は多くがパブリックドメインとして無料公開されています。
JASRAC:音楽の利用に関するライセンス情報(BGM利用の手続き方法)
保育士だけが知るべき視点:ピアノ協奏曲の「指揮者・演奏者」で曲の印象が変わる理由
これは一般的な紹介記事にはあまり書かれていない、保育士に特有の視点です。
同じ「モーツァルト ピアノ協奏曲第21番」でも、演奏者によってテンポ・音量・雰囲気が大きく変わります。たとえば、マレイ・ペライア(Murray Perahia)が演奏するバージョンはテンポが落ち着いていて穏やか、アルゲリッチ(Martha Argerich)版はエネルギッシュで生き生きとしています。同じ曲名でも選ぶ演奏者を間違えると、意図した「落ち着き効果」が出ないことがあります。
意外ですね。
保育士がBGMを選ぶとき「曲名だけで選ぶ」のは実は不十分です。YouTubeやSpotifyで試し聴きをして、実際の「速さ」「音の大きさのバランス」「オーケストラとピアノの比率」を耳で確認する習慣をつけると、現場でのBGM選びの失敗が減ります。
お昼寝用なら「テンポ60〜72BPM・ピアノが前に出ていない・残響が少ない録音」を選ぶのが条件です。目安として、曲の冒頭30秒を聴いて「静かな図書館で流しても違和感ないか」をチェックするだけで十分です。
演奏者まで確認するのが原則です。
参考として、クラシック音楽の演奏者・指揮者情報が詳しい以下のサイトが役立ちます。

Beethoven, Piano Concerto No. 1 – Daniel Barenboim – Staatskapelle Berlin

