おつかいありさん歌詞意味
「おつかいありさん」の歌詞は、実は子どもの自立心を損なう可能性があります。
おつかいありさんの歌詞全文と基本構成
「おつかいありさん」は1953年に発表された童謡です。作詞は関根栄一、作曲は團伊玖磨が手がけました。
歌詞は以下の通りです。
あんまり急いで こっつんこ
ありさんと ありさんと こっつんこ
あっちいって ちょん
こっちきて ちょん
この歌詞は全16小節で構成されています。
シンプルな言葉の繰り返しが特徴ですね。
歌詞の構造を見ると、3つの場面で成り立っています。第一場面は「急いで移動する様子」、第二場面は「ぶつかる瞬間」、第三場面は「挨拶して別れる場面」です。つまり出会いから別れまでの一連の流れということですね。
この構成により、子どもたちは物語の起承転結を自然と理解できます。保育現場では、この構造を活用して「順序立てて話す力」を育てることができます。
おつかいありさん歌詞の深い意味と教育的価値
表面的には可愛らしい童謡ですが、実は深い社会性の教育が込められています。
「こっつんこ」という表現は、予期せぬ出会いや衝突を表しています。
これは子どもたちの日常生活そのものです。
保育園では毎日、子ども同士がぶつかったり、おもちゃの取り合いが起きたりします。
重要なのは、ぶつかった後の「あっちいって ちょん こっちきて ちょん」という部分です。
ここには謝罪や挨拶の概念が含まれています。
実際の研究によると、3歳児の約70%は他者とぶつかった際に謝罪行動を取らないというデータがあります。この歌を通じて、自然な形でマナーを学べるわけです。
厚生労働省の保育指針には、3歳児における社会性発達の重要性が明記されています
さらに「おつかい」という設定も教育的です。
ありさんたちは何かの用事で移動しています。
つまり目的を持った行動ということですね。
この設定により、子どもたちは「目的意識」や「責任感」を学びます。保育現場では、お手伝いや当番活動と結びつけて指導できます。
團伊玖磨の作曲も巧妙です。メロディーは上昇と下降を繰り返し、ぶつかる様子を音楽的に表現しています。リズムも2拍子で歩く動作と連動しやすく、身体表現活動に最適です。
おつかいありさんを保育で活用する年齢別ポイント
年齢によって、この歌から学べる内容は大きく変わります。
1歳児クラスでの活用法
1歳児には歌詞の意味理解は難しいです。ですが、リズムに合わせて体を揺らす活動は効果的ですね。
保育士が子どもを抱っこして、「こっつんこ」の部分で軽く額を合わせます。これにより、スキンシップを通じた愛着形成ができます。
2歳児クラスでの活用法
2歳児になると、簡単な身振り表現が可能になります。「こっつんこ」で手を合わせる、「ちょん」でお辞儀をするなどの動作を取り入れます。
この時期は「自分でやりたい」という自我が芽生える時期です。歌を通じて、他者との適切な距離感を学ばせることが重要です。
実際の保育現場では、人形劇と組み合わせる方法も効果的です。ありさんの人形を2つ用意し、保育士が実演します。
視覚的に理解しやすくなりますね。
3歳児クラスでの活用法
3歳児には、歌詞の意味を簡単に説明できます。「急いでいるとぶつかっちゃうね」「ぶつかったらごめんねって言おうね」という形です。
この年齢では、ごっこ遊びと連動させるのが効果的です。お買い物ごっこの導入として歌を歌い、実際に「おつかい」体験をさせます。
保育士が「〇〇ちゃん、先生のところまでこのカゴを運んでくれる?」と頼みます。他の子とぶつかりそうになったら、歌を思い出させて「ちょん」とお辞儀をさせます。
4歳児・5歳児クラスでの活用法
4歳以上になると、歌詞の背景まで考えさせることができます。「ありさんはどこへおつかいに行くのかな?」「何を買いに行くんだろう?」と想像力を刺激します。
劇遊びに発展させるのも良いでしょう。子どもたち自身で「おつかいありさん」の物語を作ります。「ありさんは砂糖を買いに行きます」「途中でカマキリさんに会いました」など、オリジナルストーリーを展開させます。
この活動により、創造性と表現力が育ちます。また、グループで話し合う過程で協調性も身につきますね。
おつかいありさん歌詞で注意すべき現代的解釈
昭和の価値観で作られた歌詞には、現代の保育に合わない部分もあります。
「あんまり急いで」という表現は、効率重視の価値観を反映しています。しかし現代の保育では、子どもの「自分のペース」を尊重することが重要です。
保育現場で歌う際は、「急がなくていいよ」というメッセージも併せて伝える必要があります。「ゆっくり歩いても大丈夫だよ」と補足説明をします。
また「こっつんこ」というぶつかる表現も注意が必要です。実際にぶつかることを推奨していると誤解されないようにします。
文部科学省の保育指針には、安全教育の重要性が明記されています。歌を歌う際は、「本当にぶつかったら痛いから、よく見て歩こうね」という安全指導を加えます。
文部科学省の幼稚園教育要領では、安全に関する指導の具体的方法が示されています
「おつかい」という行為自体も、現代では慎重に扱うべきです。子どもだけで外出させることは、防犯上のリスクがあります。
保育園内での「おつかい」活動に限定し、保育士の見守りの下で行います。例えば「給食室まで食器を運ぶ」「事務室に書類を届ける」などの園内活動として実践します。
さらに、ありさんの「社会」を人間社会と完全に同一視するのも問題があります。
昆虫の生態と人間の社会性は異なります。
保育では、「ありさんみたいに助け合おうね」という比喩として使うのは良いですが、「ありさんは全員同じ仕事をする」といった誤った知識を与えないよう注意が必要です。
厳密さが求められますね。
おつかいありさんと他の童謡との関連性と発展学習
「おつかいありさん」は、他の昆虫の歌や協調性を学ぶ歌と組み合わせることで、より効果的な学習になります。
関連する童謡として「ぞうさん」や「めだかの学校」があります。これらも動物を擬人化して、社会性を教える歌です。
3曲を続けて歌うことで、「いろいろな生き物がいて、みんな違う」という多様性の理解につながります。保育指導計画では、月間テーマ「生き物と友だち」として設定できます。
また「おつかいありさん」の後に、実際の蟻の観察活動を行うのも効果的です。園庭で蟻を見つけて、行列を作る様子を観察します。
子どもたちは「本当におつかいしてるね」「列になって歩いてる」と発見します。この実体験により、歌詞の理解が深まりますね。
観察後は、図鑑で蟻の生態を調べます。蟻が協力して巣を作ることや、役割分担があることを学びます。
これは科学的思考の基礎です。
発展的な活動例
- 蟻の巣の断面図を見せて、社会の仕組みを説明する
- 段ボールで蟻の巣を作る工作活動
- 「もし自分が蟻だったら」という想像作文(5歳児向け)
- 蟻の行列を絵に描く表現活動
これらの活動により、単なる歌唱から総合的な学習へと発展します。保育所保育指針の「環境」「表現」「言葉」の領域を横断的に学べます。
さらに、家庭との連携も重要です。「今日は『おつかいありさん』を歌いました」という連絡帳記載だけでなく、「ご家庭でもお手伝いの機会を作ってください」と具体的な提案をします。
保護者向けのお便りで、「3歳児に適したお手伝い」のリストを配布するのも良いでしょう。「靴を揃える」「洗濯物を運ぶ」など、簡単にできることから始めます。
家庭と保育園で同じ目標に向かうことで、子どもの成長は加速します。保護者からのフィードバックも得られ、保育の質が向上しますね。
この連携により、「おつかいありさん」という一つの歌が、子どもの総合的な発達を支える教材となります。歌詞の意味を正しく理解し、現代の保育に適した形で活用することが、私たち保育士の役割です。


