ねこふんじゃった歌の歌詞・世界の謎と保育活用法

ねこふんじゃった歌の全解説:歌詞・謎・保育での活用

「ねこふんじゃった」は日本の童謡だと思い込んでいると、子どもの質問に正しく答えられず信頼を失います。

🐱 この記事でわかること
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歌詞と作詞者の話

日本語歌詞は2種類存在し、阪田寛夫と丘灯至夫それぞれの歌詞の違いを解説します。

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世界26種類のタイトル

ドイツでは「ノミのワルツ」、フランスでは「カツレツ」など、国ごとに全く異なる名前が付いています。

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保育での活用ポイント

子どもの言語発達・リズム感・ピアノへの興味づけに、この曲をどう活かすかを具体的に紹介します。

ねこふんじゃった歌の歌詞:日本に2つの「正版」がある理由

 

保育の現場で子どもに「ねこふんじゃった」を歌って聞かせるとき、どちらの歌詞を使っているか、意識したことはあるでしょうか。実は日本語版の「ねこふんじゃった」には、正式に認められた歌詞が2種類存在します。

1つ目は、1954年に作詞家丘灯至夫(おかとしお) が作った歌詞です。「ねこふんじゃった ねこふんじゃったほら ひるねのこねこ ねこふんじゃった…」という内容で、日本でこの曲に歌詞をつけた最初の人物とされています。丘灯至夫は「高校三年生」などで知られる作詞家で、昭和期を代表する人物の一人です。

2つ目は、今日最もよく知られている 阪田寛夫(さかたひろお) による歌詞です。1966年にNHK「みんなのうた」で放送され、「ねこふんじゃった ねこふんじゃった ねこふんづけちゃったらひっかいた」という冒頭が印象的なバージョンです。阪田寛夫は「サッちゃん」「おなかのへるうた」なども手掛けた童謡作家であり、芥川賞受賞の小説家でもありました。

つまり2種類の歌詞が同時に流通しているわけですね。

実は過去に著作権をめぐる審査申請もありました。丘灯至夫が「阪田の歌詞が自分の歌詞と類似している」として日本音楽著作権協会(JASRAC)に審査を申請したのです。1969年10月に協会は「両者の歌詞はそれぞれ別個のものである」と判定を下し、問題はいったん決着しています。保育士として現場でこの曲を使う際は、どちらの歌詞を使っているかを把握しておくと、保護者や同僚からの質問にも自信を持って答えられます。

歌詞バージョン 作詞者 発表年 代表的なフレーズ
丘バージョン 丘灯至夫 1954年 「ひるねのこねこ ねこふんじゃった」
阪田バージョン(NHK) 阪田寛夫 1966年 「ねこふんづけちゃったらひっかいた」

保育現場では阪田バージョンが圧倒的に広まっています。「みんなのうた」で放送されたことがその理由でしょう。どちらも著作権は現在も保護期間中ですので、保育園での発表会やCD配布などに使う際は注意が必要です。

参考:ねこふんじゃった歌詞ページ(阪田寛夫作詞バージョン)

童謡・唱歌「ねこふんじゃった」歌詞 – 歌ネット(作詞:阪田寛夫)

ねこふんじゃった歌の作曲者:世界が26年以上解決できていない謎

この曲の最大の謎が、作曲者が完全に不明であるという事実です。多くの保育士が「日本の童謡だから日本人が作ったもの」と思っているかもしれませんが、実はどこの国で、誰が、いつ作ったのかが一切わかっていません。

世界で広く流通している楽譜の多くには「作曲者不詳」と記載されています。一説では、ロシアの作曲家ニコライ・ルビンシュタインまたはアントン・ルビンシュタインが作曲したのではという説が浮上したこともあります。また、ドイツ語で「ノミのワルツ(Flohwalzer)」と呼ばれるこの曲の作曲者として、「フェルディナント・ロー(Ferdinand Loh)」という人物が挙がったこともありましたが、その名前はドイツ語の略記「F.Loh」から来ており、一部の研究者によれば「この人物は実在せず、ジョークとして紹介された説である」とも言われています。

意外ですね。

現在も決定的な証拠が見つかっておらず、音楽界最大のミステリーの一つと言っても過言ではありません。楽譜は世界各国で60種類以上出版されているにもかかわらず、作曲者に関する手がかりは皆無に等しい状態が続いています。

これが逆に、世界中の人々がこの曲を「自分の国の曲」として親しみ、各地で独自のタイトルや歌詞が生まれる背景になったと考えられています。保育士がこのエピソードを子どもたちに伝えると「えー、誰が作ったかわからないの?」と大きな反応が得られることが多く、音楽への好奇心を引き出すきっかけにもなります。

参考:ねこふんじゃったの作曲者・歴史に関する詳細情報

猫踏んじゃった – Wikipedia(作曲者の謎・世界の曲名一覧など収録)

ねこふんじゃった歌のタイトル:世界で26種類もある理由

「ねこふんじゃった」という名前は日本だけのものです。同じメロディが世界中で独自に受け入れられ、現在確認されているだけで約26種類のタイトルがつけられています。これほどの数のタイトルを持つ曲は音楽史上でも非常に珍しく、この曲のユニークな普及ぶりを示しています。

各国のタイトルを眺めると、動物・食べ物・生き物など、バラバラなカテゴリに属しているのがわかります。

  • 🇩🇪 ドイツ・ベルギー:ノミのワルツ(Flohwalzer)
  • 🇷🇺 ロシア:犬のワルツ
  • 🇫🇷 フランス:コトレット(カツレツ)
  • 🇬🇧 イギリス・🇺🇸 アメリカ:サーカスソング / チョップスティックス
  • 🇪🇸 スペイン:チョコレート
  • 🇰🇷 韓国:猫の踊り
  • 🇹🇼 台湾:子猫之舞
  • 🇨🇳 中国:泥棒行進曲
  • 🇨🇺 キューバ:アヒルの子たち
  • 🇩🇰 デンマーク:公爵夫人 / 三女の足

「カツレツ」や「チョコレート」など、猫とはまったく関係のないタイトルも多い点が面白いところです。これは各国の子どもや演奏者が、独自のリズム感やユーモアからタイトルをつけたためと考えられています。

保育士がこの「国際版リスト」を使うメリットは大きいです。たとえば年長クラスの子どもたちに「韓国では猫の踊りって呼ばれているよ」「フランスではカツレツって名前なんだって」と伝えると、子どもたちが「なんで?」「おかしい!」と笑いながら異文化に触れる機会になります。絵本の読み聞かせや国際理解の活動とも組み合わせやすく、保育の幅が広がります。

参考:世界各国のタイトル一覧を収録したページ

ねこふんじゃった 歌詞と解説 – 世界の民謡・童謡(各国タイトル・歌詞を網羅)

ねこふんじゃった歌のピアノの特徴:黒鍵だらけなのに弾ける不思議

「ねこふんじゃった」はピアノ初心者が最初に弾ける曲として定番ですが、その構造には意外な難しさが隠れています。楽譜を正式に見てみると、冒頭からフラットが6つ並ぶ「変ト長調(♭×6)」の調で書かれており、ピアノ学習者が「心が折れそうになる」と表現するほど難解に見える楽譜です。

曲全体を通じて黒鍵を多用し、白鍵の「ド」すら1回も出てこないとも言われています。これは初心者が真っ先に習う「ハ長調(白鍵だけ)」の対極に位置する調であり、教本の観点からいえば「上級者向けの調」に当たります。

それなのに弾ける。これが基本です。

その理由は、指の動きのパターンが反復されていることと、曲のリズムが歌詞と完全に連動していることにあります。「ね-こ-ふん-じゃ-った」という歌詞を口に出しながら弾くと、どこを弾けばいいか耳と身体が自然に覚えてしまうのです。楽譜を見て弾くより、人の演奏を見て耳で覚えるほうが圧倒的に速く習得できる構造になっています。

また、中盤のサビでは左右の手が交差する「クロスハンド奏法」が登場します。右手の上を左手が飛び越えていく動きで、これが視覚的にカッコよく、子どもたちが「早く弾けるようになりたい!」と感じる最大の見せ場にもなっています。音域は2オクターブ以上にわたり、鍵盤の広い範囲を使いこなす必要があります。

  • 🎵 調性:変ト長調(フラット6個)
  • 🎵 音域:2オクターブ以上
  • 🎵 拍子:4分の2拍子
  • 🎵 特徴:黒鍵主体・クロスハンド奏法あり・楽譜より耳コピが速い

保育士として子どもたちにピアノ曲への興味を育てるとき、「ねこふんじゃった」を入口にする方法は非常に有効です。楽譜を渡すよりも、まず実際に弾いている様子を見せて「やってみたい!」という気持ちを引き出すことが先決です。

参考:ねこふんじゃったの楽譜と構造の詳細解説

猫ふんじゃったを弾いてみよう – EYS-KIDS音楽教室(楽譜・弾き方・豆知識を解説)

ねこふんじゃった歌を保育で活用する5つの視点

「ねこふんじゃった」は「子どもが勝手に楽しむ曲」と受け取られがちですが、保育士が意図を持って活用すると、子どもの発達を多面的に支援できる教材に変わります。ここでは、保育現場での活用視点を5つ整理します。

① 言語発達への効果

「ふんじゃった」「ひっかいた」「とんじゃった」など、オノマトペや動詞の語尾変化が繰り返し登場します。歌いながら自然に語彙が増え、言葉のリズム感(音節数・アクセント)を無意識に学ぶことができます。発語を促したい1〜2歳児クラスでも手遊びと組み合わせて使われており、実際に「発語を促す手遊び歌」として保育士が活用している事例が多く見られます。

② リズム感・音感の育成

4分の2拍子という比較的シンプルな拍子感が、身体を動かしながら拍を感じる練習に適しています。黒鍵を多用した独特の音色は、子どもたちの耳に「色のある音」として印象深く残ります。楽器として認識する前の「音遊び」段階から、この曲を通じて鍵盤への興味を育てることができます。リズム感が育つということですね。

③ 手遊び・身体表現との連携

YouTubeやリトミック教材でも「ねこふんじゃった」を使った手遊びバージョンが多く公開されています。両手を交互に動かす動作・猫の真似をする動作など、粗大運動・微細運動の両方を含む活動に発展させやすい曲です。

④ 国際理解・文化比較のきっかけ

前述のように、世界では26種類以上の名前でこの曲が親しまれています。年長クラスであれば「どこの国ではどんな名前なの?」と自ら調べたいと思わせる導入として使えます。「音楽は国境を越える」という体験的な理解につながります。

⑤ ピアノ自由遊びの開放

自由遊び時間にピアノを開放している保育園では、子どもたちが自発的に「ねこふんじゃった」を弾き始め、周囲の子どもたちが自然と集まる光景がよく見られます。これは「音楽を楽しむ集団文化」の自然な育ちです。保育士が「弾けた!」という場面を温かく認めることで、音楽への自己効力感が育ちます。

  • 🐱 言語発達:オノマトペや動詞変化で語彙が育つ
  • 🎵 リズム感:2拍子の身体感覚を楽しく習得
  • 🙌 手遊び:微細・粗大運動の両方に活用できる
  • 🌍 国際理解:26ヵ国のタイトル比較が文化学習になる
  • 🎹 自由遊び:ピアノ開放で自発的な音楽文化が育つ

保育活動の中でどの発達領域に焦点を当てるかによって、この1曲が複数の役割を担えます。曲の背景を知っている保育士ほど、この曲の使い方が豊かになるということです。

参考:幼児期の音楽表現活動における歌唱の意義(学術論文)

幼児期の音楽表現活動における歌唱の役割 – 岡山大学学術成果リポジトリ(PDF)

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