夏の童謡一覧|保育士が使える年齢別おすすめ曲と選び方

夏の童謡一覧|保育に使える歌の選び方と年齢別おすすめ曲

「夏の童謡はどれも安全にプリントして配れる」と思っているなら、JASRACが管理する童謡の70%以上は現在も著作権保護中で、無断コピーは100万円以下の罰金対象です。

🎵 この記事でわかること
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夏の童謡一覧(7月・8月)

定番から意外と知らない曲まで、保育現場で使いやすい夏の歌をまとめて紹介します。

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年齢別の選び方と使い方

0歳児〜5歳児まで、発達段階に合わせた曲選びのポイントと導入のコツを解説します。

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著作権と歌詞プリントの注意点

保育士が知らずにやりがちな著作権違反のリスクと、安全な歌詞の扱い方を説明します。

夏の童謡一覧|7月・8月の定番曲まとめ

 

夏の保育で歌われる童謡は、大きく「7月向け」と「8月向け」に分けられます。毎月の歌選びに迷う保育士は少なくありませんが、まずは定番をおさえておくと計画が立てやすくなります。

以下が保育現場でよく使われる夏の童謡・唱歌の代表曲です。

曲名 月・テーマ 対象年齢 作詞/作曲
たなばたさま 7月・七夕 3〜5歳 権藤はなよ林柳波下総皖一
うみ(海はひろいな) 7月・海 0〜3歳 林柳波/井上武士
かもめの水兵さん 7月・海 0〜3歳 武内俊子/河村光陽
アイスクリームのうた 7〜8月・夏の食べ物 3〜5歳 佐藤義美服部公一
みずあそび 7〜8月・水遊び 1〜3歳 東くめ滝廉太郎
とんでったバナナ 7〜8月・ユーモア 4〜5歳 片岡輝/櫻井順
キャンプだホイ 8月・キャンプ・お泊まり 4〜5歳 マイク真木
おばけなんてないさ 8月・肝試し 3〜5歳 まきみのり/峯陽
花火 8月・夏祭り 3〜5歳 まど・みちお小林亜星
すいかの名産地 7〜8月・夏の食べ物 3〜5歳 アメリカ民謡/高田三九三訳詞
手のひらを太陽に 7〜8月・いのち 3〜5歳 やなせたかし/いずみたく
さかながはねて(手遊び) 7〜8月・手遊び 0〜2歳 中川ひろたか
三ツ矢サイダー(手遊び) 7〜8月・手遊び 2〜5歳 伊藤アキラ/多羅尾伴内
ほたるこい 7月・夏の虫 3〜5歳 わらべうた(民謡)

定番曲が一覧で見えると、どの月に何を取り入れるかを逆算して準備できます。これが基本です。

7月は七夕や水遊びに関連した歌が中心で、「たなばたさま」「うみ」が鉄板曲として挙げられます。8月はお泊まり保育・肝試し・夏祭りと行事が多いため、「キャンプだホイ」「おばけなんてないさ」「花火」が活躍します。手遊び歌も組み合わせると、導入からクラス活動まで自然な流れが作りやすいです。

「うみ(海はひろいな)」は文部省唱歌で、作曲は瀧廉太郎と同世代の井上武士(1895〜1974)によるものです。多くの保育士が「古い曲だから著作権は切れている」と考えがちですが、作曲者の死後70年が経過していない場合は保護期間中の曲もある点は後述のとおり注意が必要です。

参考:7月の歌・年齢別おすすめ手遊び歌&童謡を詳しく解説した保育情報サイト

夏の童謡を年齢別に選ぶコツ|0歳〜5歳児対応

夏の童謡を取り入れる際、「どのクラスにどの曲が合うか」の判断が保育士には欠かせません。曲の難易度や歌詞の長さだけでなく、子どもの発達段階に合った選び方が大切です。

【0〜2歳児(乳児クラス)向けの選び方】

乳児クラスでは、短くてシンプルなメロディ、繰り返しフレーズが入った曲が向いています。言葉の理解がまだ発達段階にある0〜1歳児にとって、音楽はコミュニケーションそのものです。保育士が歌いかけることで安心感が生まれ、親子の絆に近い情緒的なつながりが育まれます。

おすすめは「さかながはねて」「うみ」「みずあそび」の3曲です。いずれも1番が短く、動きをつけやすいという共通点があります。「うみ」ではバスタオルを使ったハンモック遊びと組み合わせると、子どもたちが特に喜びます。

【3〜5歳児(幼児クラス)向けの選び方】

幼児クラスになると、ストーリー性のある歌詞や少し長い曲でも楽しめるようになります。「とんでったバナナ」はパネルシアターと組み合わせることで5歳児クラスでも盛り上がります。「たなばたさま」は4〜5歳児が歌詞の意味を理解できるようになる時期に合っており、七夕の製作活動とセットで使うと季節感が深まります。

発達段階が合っていれば問題ありません。無理に難しい曲を全クラスで歌わせるよりも、年齢に見合った歌で「歌う楽しさ」を体感させることが先決です。

年齢 向いている曲の特徴 代表例
0〜1歳 繰り返し・短い・ゆったり うみ、さかながはねて
2〜3歳 擬音・動作つき・短〜中程度 みずあそび、アイスクリーム(手遊び)
4〜5歳 ストーリー性・少し長い・行事と連動 キャンプだホイ、とんでったバナナ、たなばたさま

東京藝術大学の資料によれば、音楽活動を通してコミュニケーション能力・主体性・自己表現能力・集中力・社会性といった多様な能力を育むことができると報告されています。つまり夏の歌を歌うことは、音楽の楽しさだけではなく子どもの総合的な発達にもつながっているということです。

参考:東京藝術大学が公開している子どもの音楽活動と発達に関する資料

子どもの心を育む音楽活動|東京藝術大学(PDF)

夏の童謡が子どもの発達に与える効果|情操教育と語彙力

夏の童謡には、子どもの発達を多方面から支える力があります。これは意外ですね。単に「季節感を楽しむ曲」ではなく、語彙力・情操・身体機能など複数の発達領域に働きかける教材でもあるからです。

まず注目したいのが語彙力への効果です。「たなばたさま」の歌詞には「きんぎん砂子(すなご)」「五しきのたんざく」といった日常ではなかなか使わない表現が登場します。これが3〜5歳児の豊かな日本語感覚を育てる素地になります。日常会話の中で使われない言葉に自然な形で触れられる点は、唱歌・童謡ならではの強みです。

次に身体(生理)的な効果として、歌を歌う行為そのものが肺機能の強化と深い呼吸の訓練になります。歌は意識的に呼吸をコントロールする必要があるため、集中力にも直結しています。夏の水遊びや暑い環境で疲れやすい子どもたちに、歌う時間が「落ち着きのスイッチ」になるケースも保育士から多く報告されています。

社会的な効果も見逃せません。クラス全員で声を合わせて歌う経験は、「一緒に何かをやり遂げる」という感覚を育てます。「キャンプだホイ」のような掛け合いがある曲では、友だちとのやり取りを通じて自然なコミュニケーション力も育まれます。これは使えそうです。

また、保護者にも夏の童謡を伝えることで、家庭での親子のふれ合いに活用してもらうこともできます。おたよりやクラスだよりで「今月の歌」を紹介するだけで、歌の広がりが園外にも及びます。その際には歌の題名やYouTubeリンクを案内する形にとどめておくと、著作権上も安心です(歌詞の全文プリントは後述の注意点を参照)。

参考:童謡・唱歌を歌うことの生理的・心理的・社会的メリットをまとめた音楽療法サイト

【音楽療法】童謡・唱歌を歌おう!こども向けの歌・音楽のメリット|こどもmusiq

夏の童謡の歌詞プリント・掲示で知っておくべき著作権の注意点

保育士の多くが「園内でコピーするくらいなら大丈夫」と思っています。しかし現実は違います。

JASRACが管理する童謡の70%以上は現在も著作権保護期間中であり、著作権法の原則は「著作者の死後70年」まで保護されます。「むすんでひらいて」のような非常に古い童謡はパブリックドメイン(著作権消滅)ですが、「キャンプだホイ」(マイク真木・1967年)や「手のひらを太陽に」(やなせたかし・1961年)などは現在も保護中です。

歌詞をプリントして子どもたちに配布したり、保育室の壁に全文掲示したりする行為は「複製」にあたります。これはJASRACへの使用申請と使用料の支払いが必要になる行為です。著作権を侵害した場合、著作権法に基づき2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

ただし、教育機関においては著作権法第35条により、一定の要件を満たせば著作権者の許諾なく利用できる場合もあります。これは必須の知識です。具体的には「授業の過程での使用」「授業を担当する教員・学生等による使用」「必要と認められる限度内」の3条件を満たす場合に限られます。保育園の場合も教育機関として認められるケースがありますが、保護者向けの印刷物や掲示物は対象外です。

安全な歌詞の扱い方のポイント:

  • ✅ JASRACに使用申請をして正規に許諾を得る
  • ✅ 著作権切れ(パブリックドメイン)の曲の歌詞を使う(例:「うみ」「たなばたさま」など明治〜昭和初期の文部省唱歌は曲によって異なるため要確認)
  • ✅ 著作権フリーの保育向け楽曲サービスを活用する(「Music8」など)
  • ✅ 保護者に曲名だけを案内し、YouTubeの公式チャンネルへリンクする
  • ❌ 市販の歌詞集を無断コピーして配布
  • ❌ 保護者向けのおたよりに歌詞を全文転載

参考:JASRAC公式サイトの学校・教育機関における音楽利用の解説ページ

学校など教育機関での音楽利用|JASRAC公式

文化庁が公開している楽譜・歌詞の著作権に関するわかりやすいPDF

楽譜の無断コピーが音楽の未来にピンチをまねいています|文化庁(PDF)

夏の童謡の選び方|保育士だけが知る”ねらい”の立て方

夏の童謡を選ぶとき、「好きな曲」「知っている曲」から選ぶ保育士は少なくありません。しかし保育指針の観点からいえば、曲選びには「ねらい」が必要です。ねらいが先にあると曲も決まります。

厚生労働省が定める「保育所保育指針」では、歌や音楽は「表現」領域に位置づけられています。歌を通じて「感じたことや考えたことを自分なりに表現する楽しさを味わう」ことがねらいの核心です。保育士が「子どもに季節の変化を感じてほしい」というねらいを立てれば、「うみ」「たなばたさま」が自然に候補に挙がります。「友だちと声を合わせる楽しさを感じてほしい」というねらいなら、「キャンプだホイ」や「すいかの名産地」のような掛け合い・リズム系の曲が向いています。

ねらいと曲がセットで決まれば、月案・週案・日案への落とし込みもスムーズです。

また、歌の選択において見落とされがちな観点として「導入のしやすさ」があります。曲を初めて紹介する際の導入として、絵本・ペープサート・製作活動・戸外遊びと連動させると子どもたちの興味が一気に広がります。たとえば「すいかの名産地」を歌う前に、本物のスイカを見せる・割る体験と組み合わせると、歌詞の意味と実体験が結びついて記憶に残りやすくなります。

以下に行事・テーマごとの曲の使い方をまとめました。

行事・場面 おすすめ曲 連動できる活動
七夕製作・飾り付け たなばたさま 短冊づくり・笹飾り
プール・水遊び みずあそび、うみ タオルぶらんこ遊び
お泊まり保育 キャンプだホイ、カレーライスのうた カレーづくり体験
夏祭り・花火 花火、盆踊り曲 手作り浴衣・団扇製作
肝試し おばけなんてないさ おばけの絵本・影絵
クラス発表・運動会 手のひらを太陽に 身体表現・振付け

同じ夏の曲でも使い方次第でねらいが変わる点がポイントです。月案の文章に「歌を歌う」と書くだけでは不十分で、「何のために歌うのか」を1行添えるだけで保護者への伝わり方も大きく変わります。

参考:保育所保育指針における「表現」領域の解説(厚生労働省)

保育所保育指針(全文)|厚生労働省(PDF)

青と夏(通常盤)