仲間の歌の歌詞を保育士が子どもへ伝える方法とポイント
歌詞を保育でそのままコピーして配ると、最大1,000万円の罰金リスクがあります。
仲間の歌「ともだちはいいもんだ」の歌詞の全体像と誕生の背景
保育現場で「仲間の歌」として広く愛されている代表曲のひとつが、「ともだちはいいもんだ」です。作詞は岩谷時子さん、作曲は三木たかしさんによるもので、1977年に劇団四季のミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』の劇中歌として誕生しました。初演から約50年が経つ今も、保育園・幼稚園の卒園ソングや合唱曲として現場で歌い継がれています。
歌詞の内容は、大きく2番構成になっています。
1番の歌詞は「ともだちはいいもんだ 目と目でものが言えるんだ 困ったときは力をかそう えんりょはいらない」という書き出しから始まり、「みんなはひとりのために ひとりはみんなのために」というフレーズで締めくくられます。2番では「言いたいことが言えるんだ 悲しいときははげましあおう 心はひとつさ」と続き、「おとなになっても忘れはしない 夢をだいじに きみと進もう」という言葉で友情の永続性を歌い上げます。
つまり「仲間がいれば何でも乗り越えられる」というメッセージです。
この歌詞が保育現場でこれほど長く愛される理由は、友情の本質を過不足なく言語化しているからです。「目と目でものが言える」という表現は、言葉を超えた信頼関係を指しており、5〜6歳の子どもが集団生活の中で実感として理解できる内容になっています。「えんりょはいらない」という直接的な表現も、子どもの言葉感覚にフィットしていますね。
ミュージカルの背景を知るとさらに深く理解できます。『ユタと不思議な仲間たち』は、東北の農村に引っ越してきた転入生ユタが、座敷わらしたちと友情を築き、たくましく成長していく物語です。この歌は1幕ラストで、生きたくても生きられなかった座敷わらしたちによって歌われる場面に使われており、「仲間でいられることの尊さ」という深いテーマが背景にあります。
保育士にとって重要なのが原典の理解です。歌詞の解説をする際に、「この歌には転校生の男の子と不思議な仲間たちの物語がある」と一言添えるだけで、子どもたちの歌への向き合い方がぐっと変わります。
【参考】Wikipedia「友だちはいいもんだ」:歌の誕生背景とミュージカルの詳細情報
仲間の歌の歌詞が子どもの発達に与える効果と保育のねらい
「仲間の歌」を保育活動に取り入れることは、単に音楽を楽しませる以上の発達的な意義を持ちます。これが核心です。
まず、協調性と社会性の育成が期待できます。学研教室の音楽教育研究によると、みんなで一緒に歌を歌ったり合奏をしたりするときには、呼吸を合わせたり互いの音をよく聴いたりする必要があり、これが協調性を自然な形で育む環境になるとされています。特に「みんなはひとりのために ひとりはみんなのために」という歌詞は、集団のルールや助け合いの精神を歌いながら学ぶ教材として非常に優れています。
次に、感情表現力の発達です。「悲しいときははげましあおう」「愛を心にきみと歩こう」といった感情を表す言葉が含まれているため、子どもが「悲しい」「嬉しい」といった感情と言語を結びつける練習になります。5歳前後の子どもは感情の語彙が急速に増える時期であり、歌詞を通じて感情表現の幅が広がっていきます。
言語発達にも好影響があります。歌詞は反復リズムを持っており、歌うことで自然と語彙が定着します。「えんりょはいらない」「おとなになっても忘れはしない」といった表現は、日常会話ではやや難しい語句ですが、メロディに乗せることで3〜4歳の子どもでも自然に覚えてしまいます。これは保育現場でよく実感できることです。
| 発達領域 | 効果 | 主な歌詞フレーズ |
|---|---|---|
| 社会性・協調性 | 集団での助け合い精神を育む | 「みんなはひとりのために」 |
| 感情表現 | 感情語彙の習得 | 「悲しいときははげましあおう」 |
| 言語発達 | 語彙の定着と表現力の向上 | 「えんりょはいらない」 |
| 情緒の安定 | 歌う喜び・安心感を得る | 「愛を心にきみと歩こう」 |
保育のねらいとしては、「友だちとの絆を意識させること」「歌詞の意味を体験と結びつけること」の2点が中心になります。ただ歌うのではなく、「お友達が困っていたとき、あなたはどうした?」という問いかけと組み合わせると、歌詞が子どもの実体験と結びつき、より深く心に残ります。
【参考】EYS音楽教室「歌や音楽が子どもに与える影響とは?」:協調性・社会性の育成効果が詳しく解説されています
仲間の歌の歌詞を保育士が子どもに伝える指導のポイントと導入方法
歌詞の内容を子どもに深く伝えるためには、「ただ練習させる」だけでは不十分です。保育士がどう関わるかで、子どもの歌への向き合い方が大きく変わります。
まず選曲と導入のタイミングが重要です。「ともだちはいいもんだ」は5歳児クラス(年長)の3月の歌として定番化しており、卒園前の人間関係が深まる時期に歌うことで、歌詞の意味がより実感を伴います。4歳児クラスでも、クラスの仲間意識が高まってきた秋〜冬に取り入れると効果的です。
具体的な導入手順は以下のようにするとスムーズです。
- 🎶 第1ステップ:お話と結びつける 「今日、誰かに助けてもらったことある?」と問いかけてから歌詞を紹介する
- 🎶 第2ステップ:メロディを先に覚える 歌詞なしで口ずさみ、リズムに慣れさせてから言葉を乗せる
- 🎶 第3ステップ:フレーズごとに意味を確認する 「えんりょはいらないって、どういう意味だと思う?」と問いかけながら進める
- 🎶 第4ステップ:繰り返し歌い込む 1日5分程度を1か月続けると、年長児であれば全歌詞が定着する
指導で特に意識したいのが、「体の動作と連動させること」です。「みんなはひとりのために」では仲間を指さし、「ひとりはみんなのために」では自分を指さすなど、歌詞に合った簡単な動きをつけると、言葉の意味が身体感覚として定着します。特に3〜4歳児は動作と言語の結びつきが強い時期なので効果的です。
保育士が注意したいのが、技術面ばかりを気にしすぎることです。音程が合っているか・歌詞が正確かよりも、「楽しく歌えているか」「友達と一緒に歌う喜びを感じているか」を優先させましょう。子どもが歌を好きになることが最優先です。
発表会に向けた指導では、「歌詞の意味を体験させてから歌う」アプローチが感動を生みます。例えば、劇遊びやごっこ遊びで「困った友達を助ける」という体験をした後に「ともだちはいいもんだ」を歌わせると、子どもたちの声に深みが出ます。この流れは実際の保育現場でも取り入れられている手法です。
【参考】保育士バンク「子どもが歌いたくなる!保育園での歌の教え方」:選曲基準から指導の流れまで詳しく解説されています
仲間の歌の歌詞と著作権——保育士が知らないと損する法的リスク
「仲間の歌」の歌詞を保育現場で活用する際、多くの保育士が見落としているのが著作権の問題です。知らないと大きな損をする内容です。
まず基本的な原則を確認します。「ともだちはいいもんだ」は作詞:岩谷時子さん、作曲:三木たかしさんによる著作物であり、JASRACが著作権を管理しています。著作権法では、著作権・出版権・著作隣接権の侵害に対して、10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金が定められています。
具体的に問題になる行動を整理します。
- ❌ 歌詞をコピーして子どもに配布する → 複製権の侵害にあたる可能性があります
- ❌ 保育の発表会の動画をSNSにアップする → 公衆送信権の侵害にあたる可能性があります
- ❌ 園のブログに歌詞を全文掲載する → 著作権法上、著作権者の許諾が必要です
- ✅ クラス内での歌唱練習 → 営利目的でなく授業等の教育活動の一環であれば問題ありません
- ✅ 卒園式や発表会での演奏・歌唱 → 非営利・無料での実演であれば著作権法38条により許容される範囲です
注意が必要なのが「紙の歌詞カードの配布」です。保育士の間では「子どもに覚えさせるために歌詞プリントを配るのは当然」という認識が広まっています。しかし、著作権法第35条の教育目的での利用は「授業の過程における利用」に限定されており、単純な配布が許容されるかどうかはグレーな部分があります。確実に安全なのは、出版社の正規の楽譜集を購入してそこに掲載された歌詞カードを使う方法です。
発表会の動画をSNSにアップするケースも増えています。「子どもたちの晴れ姿を保護者に見せたい」という気持ちはよく分かりますが、背景に著作権管理楽曲が流れている動画を無断でインターネット上に公開すると、公衆送信権の侵害になります。YOUTUBEなど一部のプラットフォームはJASRACと包括契約を結んでいますが、園独自のウェブサイトやLINEグループ配信は対象外です。
安全に歌詞を活用するための具体的な手順としては、JASRACのウェブサイトで楽曲の管理状況を確認し、必要に応じて利用許諾を申請する方法があります。教育機関向けの優遇措置も設けられているため、保育所の管理者が一度確認しておくことをおすすめします。
【参考】JASRAC公式「学校で音楽を使うときには」:教育機関での音楽利用ルールが分かりやすくまとめられています
仲間の歌の歌詞を活かした保育活動のアイデア——卒園式・発表会の選曲と独自活用法
「仲間の歌」の歌詞を保育活動にどう落とし込むか、具体的なアイデアを紹介します。これを知っているだけで、歌の指導の質が大きく変わります。
卒園ソングとしての活用では、「ともだちはいいもんだ」は年長クラスの3月を中心に、卒園式や謝恩会で歌われることが多い定番曲です。保育士の調査(ほいくis)によると、卒園式の歌人気ランキングでも上位に名前が挙がる曲です。
卒園ソングとして選ぶ際のポイントは3つあります。1つ目は歌詞の難易度です。5〜6歳が理解できる語彙レベルで書かれており、難解な言葉がないため子ども自身が感情を込めて歌いやすい曲です。2つ目は音域のバランスです。三木たかしさんの作曲は子どもの声域に合った音域で設計されており、無理なく歌い切れます。3つ目は二部合唱への対応です。年長クラスであれば簡単な二部合唱に編曲することが可能で、発表に深みを出せます。
行事以外での日常的な活用法として、朝の会や帰りの会でのルーティン化が効果的です。月・水・金の朝の会に歌う曲として定着させると、約2か月で全歌詞が定着します。毎日繰り返すことで、歌詞の内容が子どもたちの生活習慣の言葉になっていきます。
独自の活用法として注目したいのが「トラブル解決ソング」としての使い方です。クラスでケンカやトラブルが起きた後、仲直りのタイミングで「ともだちはいいもんだ」をみんなで歌うという使い方があります。特に「えんりょはいらない」のフレーズは、謝れない・言い出せない子どもへのメッセージとして機能します。歌うという行為を通じて、言葉にしにくい感情を解放するきっかけになります。
連携活動への発展として、「仲間の歌」を中心にした劇遊びに発展させる方法もあります。『ユタと不思議な仲間たち』のストーリーをやさしくアレンジして、「転校してきた子が仲間に助けてもらう」というシンプルな設定で劇遊びを作り、最後にみんなで「ともだちはいいもんだ」を歌う構成にすると、卒園発表会のプログラムとして完成度が高くなります。
歌詞の学習用楽譜については、市販の楽譜集「年齢別こどものうた12ヶ月」(井上勝義 著)に収録されており、声域配慮版のピアノ伴奏付きで保育の現場で使いやすい形になっています。練習環境の整備という観点で、一冊用意しておくと便利です。


