昔の歌の有名な男と保育士が知るべき活用ガイド
「昔の歌は古いから著作権が切れている」と思って保育園の動画をSNSに投稿すると、損害賠償リクエストが届くことがあります。
昔の歌の有名な男性作者とは?滝廉太郎・やなせたかしを知る
保育の現場で毎日のように歌われている「昔の歌」の多くは、特定の男性作家・作曲家によって生み出されたものです。その背景を知っておくと、歌を教えるときの言葉の質がまるで変わってきます。
まず外せないのが、作曲家・滝廉太郎(1879〜1903年)です。「荒城の月」(作詞:土井晩翠)や「花」(作詞:武島羽衣)、「お正月」(作詞:東くめ)など、今も保育の場で歌い継がれる名曲を数多く作りました。驚くべきことに、滝廉太郎が活動したのはわずか20代前半の数年間で、23歳という若さで結核により亡くなっています。
「荒城の月」が生まれたのは1901年(明治34年)のことです。明治時代に書かれた曲とは思えないほど洗練されたメロディーは、今も小学校の教科書に掲載されており、100年以上歌い継がれています。滝廉太郎が没後70年以上が経過しているため、この作品の著作権はすでに消滅しており、保育活動でも自由に活用できます。これは大きなメリットです。
一方で、やなせたかし(1919〜2013年)が作詞した「手のひらを太陽に」(作曲:いずみたく)は、やなせさんが42歳のときに書いた作品です。「ぼくらはみんな生きている」という歌詞は、手を透かすと毛細血管が見えることから着想を得たもので、「生きている証」を歌詞にしたと伝えられています。
やなせたかしさんは2013年に没したため、著作権の保護期間は2083年まで続きます。「昔の歌だから自由に使える」が原則ではありません。「手のひらを太陽に」を保育SNSに動画投稿する場合は、別途手続きが必要になるということです。
中田喜直(1923〜2000年)は「めだかの学校」(作詞:茶木滋)や「ちいさい秋みつけた」(作詞:サトウハチロー)を作曲した人物で、保育現場では最もよく使われる昔の歌の一人です。中田喜直さんは2000年に没しているため、著作権の保護期間は2070年まで有効です。つまりこれらの曲も「古い歌=著作権フリー」ではないということです。
| 男性作家名 | 代表曲(保育向け) | 没年 | 著作権終了の目安 |
|---|---|---|---|
| 滝廉太郎 | 荒城の月、花、お正月 | 1903年 | すでに終了(自由利用可) |
| やなせたかし | 手のひらを太陽に(作詞) | 2013年 | 2083年頃まで |
| 中田喜直 | めだかの学校、ちいさい秋みつけた | 2000年 | 2070年頃まで |
| 山田耕筰 | 赤とんぼ(作曲)、ペチカ | 1965年 | すでに終了(自由利用可) |
著作権が終了しているかどうかは、JASRACの作品データベース「J-WID」で確認するのが確実です。まず曲名と作曲者名を調べる、という習慣をもつことが保育士にとっての安全策です。
JASRAC公式:学校など教育機関での音楽利用についての詳細ルール
昔の歌の有名な男の作品が子供の発達に与える5つの効果
昔の有名な男性作家・作曲家が生み出した楽曲を保育に取り入れる理由は「なんとなく懐かしいから」ではありません。発達心理学や保育研究の観点から、複数の具体的な効果が確認されています。
① 語彙力・想像力の向上
昔の歌の歌詞には、現代の子どもがほとんど聞かない豊かな言葉が含まれています。「ちいさい秋みつけた」(中田喜直・作曲)には「もず」「はぜの葉」「枯れ木」といった語彙が登場し、これらを歌を通じて自然に耳にすることで語彙の吸収が促されます。特に3〜5歳児は耳から言葉を覚える時期であるため、メロディーに乗った言葉は記憶に残りやすい特性があります。
② リズム感・音感の発達
滝廉太郎や山田耕筰が作った楽曲は、日本語のアクセントと音楽のリズムが丁寧に合わせられています。「めだかの学校」のように4分の4拍子でシンプルな構成の曲は、3〜4歳の幼児でもリズムを感じながら自然に歌えます。リズムが安定しているということですね。
③ 情緒の安定と安心感
保育士が穏やかな声で昔の歌を歌うと、子どもたちの緊張がほぐれることが保育現場でも経験的に知られています。保育者の78%が日常的に童謡を活用しているというデータ(ほいくisの調査)があり、その継続的な音楽体験がクラスの安心感の形成に役立つとされています。
④ 協調性・一体感の育成
みんなで声をそろえて同じ歌を歌う体験は、自分と他者の呼吸を合わせる練習です。友だちと歌声を重ねる体験が、協調性や共感力を育む基礎になります。これが保育における歌唱活動の本質的な価値です。
⑤ 日本の文化・季節への親しみ
「赤とんぼ」(山田耕筰・作曲、三木露風・作詞)や「春の小川」(文部省唱歌)といった楽曲は、日本の四季を豊かに描いています。歌いながら季節の変化を感じる体験は、自然への感受性をはぐくむ保育の柱の一つです。文化への親しみを育てることが条件です。
これら5つの効果は、個別ではなく複合的に働くのが昔の歌の強みです。保育活動に取り入れる際は、「この曲で何を育てたいか」という意識をもつと、選曲の質がぐっと上がります。
音楽療法・こども向け音楽のメリット:童謡・唱歌を活用した発達効果の詳細解説
昔の歌の有名な男の名曲を季節別に保育活動で使う実践法
昔の歌を「なんとなく歌う」のではなく、季節と発達に合わせて意図的に使うことで保育の密度が上がります。ここでは春夏秋冬ごとに、有名な男性作者の楽曲と保育での具体的な活用ポイントを整理します。
🌸 春:めだかの学校・春の小川
「めだかの学校」(1951年・作曲:中田喜直、作詞:茶木滋)は、終戦直後の混乱期に作詞者が息子と川を歩きながら交わした会話から生まれた曲です。「あの川がめだかの学校だ」というひと言が出発点でした。春の散歩や自然観察と組み合わせると、子どもたちの興味が倍増します。対象年齢は3〜5歳が目安で、シンプルなメロディーが歌いやすいです。
文部省唱歌「春の小川」は、かつて渋谷区代々木に実在した小川の情景を歌ったとされています。現在は暗渠化されてその小川は見えませんが、歌詞の世界は今でも豊かです。
☀️ 夏:うみ・幸せなら手をたたこう
「うみ(うみはひろいな)」(文部省唱歌)は音域が非常に狭く、2〜3歳の乳児クラスでも無理なく歌えます。水遊びや遠足の前に歌うと、子どもたちのテンションが自然に上がります。これは使えそうです。
「幸せなら手をたたこう」は1964年(昭和39年)に坂本九が歌ってヒットした曲で、元はアメリカ民謡(作者はピート・シーガー説が有力)です。身体表現と一緒に楽しめるため、1〜5歳まで幅広い年齢で活用できます。
🍂 秋:ちいさい秋みつけた・赤とんぼ
「ちいさい秋みつけた」(1955年・作曲:中田喜直、作詞:サトウハチロー)は、4〜5歳の幼児クラスに特に向いています。歌詞に登場する「もず」「はぜの葉」は、散歩時に実物を探す活動とセットにすると語彙体験が深まります。
「赤とんぼ」(1927年・作曲:山田耕筰、作詞:三木露風)は、夕暮れ時の郷愁を美しく描いた名曲です。山田耕筰は1965年に没しているため著作権はすでに消滅しており、録音配付やSNS投稿にも利用しやすい曲の一つです。
❄️ 冬:たき火・お正月
「たき火」(1941年・作詞:巽聖歌、作曲:渡辺茂)は、冬の保育活動の定番です。「かきねのかきねのまがりかど」という歌詞は、子どもたちが絵として頭に浮かべやすい情景描写で、想像力を刺激します。
「お正月」(1901年・作詞:東くめ、作曲:滝廉太郎)は、明治時代に書かれた曲ながらリズムが明るく、正月の行事前に歌うと子どもたちが季節の行事に親しみやすくなります。滝廉太郎の作品のため著作権は消滅しており、使いやすさという面でも優れています。
| 季節 | おすすめ曲 | 有名な男性作者 | 対象年齢の目安 | 活用場面 |
|---|---|---|---|---|
| 春 | めだかの学校 | 中田喜直(作曲) | 3〜5歳 | 自然観察・朝の会 |
| 夏 | うみ | 文部省唱歌 | 2〜5歳 | 水遊び前・遠足 |
| 秋 | ちいさい秋みつけた | 中田喜直(作曲) | 4〜5歳 | 散歩・制作活動 |
| 冬 | お正月 | 滝廉太郎(作曲) | 2〜5歳 | 行事前・帰りの会 |
季節に合った昔の歌を選ぶことが基本です。月の行事計画に1〜2曲ずつ意図的に組み込む習慣をもつと、保育の場の音楽体験がぐっと豊かになります。
昔の歌の有名な男の作品に隠された意外な誕生秘話と豆知識
保育士として昔の歌を深く知っておくと、歌う際の表情や声のトーンが変わります。そしてそれが子どもたちへの「感動の伝わりやすさ」に直結するのです。知っている人だけが得をする情報ですね。
「手のひらを太陽に」の知られざる秘密
やなせたかしが「手のひらを太陽に」を書いたのは1961年(昭和36年)、彼が42歳のときです。この歌は、やなせさんが自分の手を日光に透かしたときに毛細血管が透けて見えたことから着想を得ました。「生きている証」がそのまま歌詞になったと本人が語っています。
驚くべきことに、やなせたかしが「アンパンマン」の原型を作ったのは1967年で、「手のひらを太陽に」が生まれたのはその6年も前のことです。「アンパンマンの作者」という印象が強すぎますが、彼の保育における代表作はこの歌の方が先でした。意外ですね。
「手のひらを太陽に」誕生の意外なひみつ:作詞の背景と制作秘話
「めだかの学校」のモデルは神奈川県小田原市にある
「めだかの学校」(1951年)には実際のモデルとなった場所があります。神奈川県小田原市の荻窪用水付近がそのモデルとされており、現地には「めだかの学校」の記念碑が立っています。作詞者・茶木滋が終戦後の混乱期に息子と買い出しの帰り道に「あの川がめだかの学校だ」と語りかけたひと言が歌の出発点でした。
戦後の厳しい時代に、父と子の温かい交流から生まれた歌という背景を知ると、歌詞の「みんなでおよいでる」というフレーズの温かさが、また別の色に見えてきます。
「荒城の月」は実は2人の男性の共同作業
「荒城の月」(1901年)は、作詞者・土井晩翠(とい ばんすい)と作曲者・滝廉太郎がそれぞれ東京と大分で別々に制作し、後から組み合わせた作品です。2人が直接会って一緒に作ったわけではありません。当時、全国の音楽教科書のために曲を公募したところ、この2人の作品が選ばれて組み合わされたという経緯があります。
土井晩翠は詩人・英文学者として活躍した男性で、「荒城の月」以外にも「星落秋風五丈原」などの漢詩的な作風の詩を多く残しています。作詞当初は「春高楼(しゅんこうろう)の花の宴」という情景を、自分の故郷・仙台の青葉城から着想を得て書いたとされています。
「赤とんぼ」の作詞者・三木露風は波乱の人生を送った
「赤とんぼ」の作詞者・三木露風(みき ろふう)は、明治時代の詩人で、幼い頃に両親が離婚し祖父に育てられた経験を持ちます。「夕焼け小焼けの赤とんぼ 負われて見たのはいつの日か」という歌詞は、乳母に背負われて見た幼少期の夕焼け空の記憶を詩にしたものだといわれています。
生き方や環境は異なりますが、昔の有名な男性たちが残した名曲には、その人の人生経験や時代の空気がそのまま刻まれています。こうした「歌の背景」を保育士が知っておくことで、歌を教える場面のコトバが豊かになります。
保育士が必ず確認すべき昔の歌の著作権の正しい知識と対処法
「昔の歌は著作権が切れている」という思い込みは、保育の現場で最もリスクの高い誤解の一つです。著作権が切れているかどうかは「曲の古さ」ではなく、「作詞者・作曲者の没後70年が経過しているか」で決まります。これが原則です。
たとえば「手のひらを太陽に」の作詞者・やなせたかしは2013年没、著作権は2083年まで有効です。「めだかの学校」の作曲者・中田喜直は2000年没、著作権は2070年まで有効です。これらを昔の歌だからといって無断でSNSに投稿すると、著作権侵害になる可能性があります。
保育園で「問題なし」の行為
著作権法第38条によると、以下の3条件を満たす場合、保育園での歌唱演奏はJASRACへの申請なしで行えます。
- 営利目的ではないこと
- 入場料・参加費をとらないこと
- 演奏者・指揮者など出演者への報酬の支払いがないこと
つまり毎朝の朝の会で歌ったり、お遊戯会で子どもたちが歌うことは、この3条件を満たせば問題ありません。
保育園で「申請が必要」な行為
一方で、以下のケースでは著作権が残っている曲については手続きが必要です。
- 🎥 発表会・お遊戯会をDVDに録音・録画して保護者に配付する場合 → JASRACへの申請と使用料の支払いが必要
- 📱 保育園のSNSやホームページで子どもたちが歌っている動画を公開する場合 → 著作権管理団体への申請が必要
- 📝 著作権が残っている楽譜をコピーして園内で配付する場合 → JASRACへの申請が必要
「演奏・歌唱すること」と「録音・録画・配信すること」は別ルールが適用されるというのが重要な区別です。知らずにSNS投稿を続けていると、ある日突然著作権侵害の通知が届くケースも現実に起きています。これは痛いですね。
著作権が切れているかどうかは、JASRACの「J-WID(作品データベース検索システム)」で曲名や作詞・作曲者名を入力するだけで確認できます。無料で使えるツールですので、SNS投稿前に一度確認する習慣をつけることが、保育士としてのリスク管理の第一歩です。
JASRAC公式:学校など教育機関での音楽利用ルール(保育園にも適用されます)
著作権が消滅している代表的な昔の名曲(男性作者)
保育で安心して使いやすい曲として、著作権がすでに消滅している作品を把握しておくことも有効です。滝廉太郎(1903年没)の「荒城の月」「花」「お正月」、山田耕筰(1965年没)の「赤とんぼ」「この道」「ペチカ」などは、没後70年をすでに超えており、JASRACへの申請なしでの利用が可能です。
ただし、アレンジ版(編曲物)については別途アレンジャーの権利が発生する場合があります。市販のCDに収録されているアレンジバージョンを使用する際は、原曲の著作権だけでなく、音源そのものの著作隣接権にも注意が必要です。「原曲の著作権は切れているが、このCD音源は使えない」というケースがあることを覚えておけば安心です。
昔の歌の有名な男の作品を活かした保育士だけの独自アイデア4選
昔の歌を「ただ歌う時間」で終わらせてしまうのはもったいないです。滝廉太郎ややなせたかしなど有名な男性作者の名曲は、保育活動の様々な場面に組み込むことで子どもたちの体験を何倍にも豊かにできます。
🎨 「歌詞から制作活動へ」絵本化アプローチ
「ちいさい秋みつけた」や「赤とんぼ」の歌詞を歌って聴かせた後、「あなただけの秋を見つけて絵を描こう」という制作活動につなぐ方法です。歌詞の中のキーワード(もず・はぜの葉・夕焼け空など)をカードにして掲示し、子どもたちが描いた絵と合わせてクラスオリジナルの「絵本」を制作します。5歳クラスでは言葉を添えることもでき、語彙力と表現力を同時に育てられます。
🔍 「言葉あてクイズ」で語彙を広げる
昔の名曲の歌詞には、現代の子どもが耳にしない言葉が豊富に含まれています。「たき火」の「かきね(垣根)」、「春の小川」の「れんげ(蓮華)」、「ちいさい秋みつけた」の「はぜ」といった語彙を、保育士が「これって何だろう?」とクイズ形式で問いかけると子どもたちの好奇心が刺激されます。いいことですね。絵カードや実物の写真を合わせて見せると、言葉が体験と結びついて定着します。
🎭 「歌詞の情景を体で表現する」音楽表現活動
昔の有名な男性作者の曲は情景描写が豊かなため、「曲を聴きながら歌詞の場面を体で表現する」活動が非常に効果的です。「めだかの学校」ではめだかになって泳ぐ動作を、「うみ」では波のように体を揺らすといった形で、音楽と身体表現を組み合わせることができます。音楽と身体の連携が条件です。この活動は表現力だけでなく、曲への愛着と理解を深めます。
📣 祖父母参観で「歌い継ぎ」世代間交流を実現
昔の歌の有名な男性作者の楽曲は、現在の祖父母世代(60〜80代)が幼少期に歌っていた曲と一致するものが多いです。祖父母参観や世代間交流のイベントで昭和の童謡・唱歌を取り上げると、祖父母が自然と一緒に歌い出す場面が生まれます。
「おじいちゃんおばあちゃんと同じ歌を歌っている」という体験は、子どもたちにとって世代を超えた繋がりを感じさせる特別な瞬間です。これは昔の歌の有名な男性作者の楽曲だけが持てる独自の保育価値といえます。
昔の歌を「歌う時間」で終わらせず、制作・言語・身体表現・世代交流の4つの軸で活用することで、日々の保育が大きく豊かになります。保育士が歌の背景を知ってこそ、子どもたちへの伝わり方は何倍にもなります。


