水あそびの歌を保育で活かす手遊び・振り付けガイド
水あそびの歌は、夏の活動でしか使えないと思い込んでいると、保育の引き出しを年間9ヶ月も封印していることになります。
水あそびの歌の歌詞・作詞者・作曲者を知る
「水あそび」は、明治34年(1901年)に出版された日本初の口語童謡集『幼稚園唱歌』に収録された作品です。作詞は童謡作家の東くめ、作曲は「荒城の月」で知られる滝廉太郎。日本で初めて話し言葉(口語体)で書かれた子ども向けの歌集に収められており、その意義は非常に大きなものがあります。
それ以前の子ども向けの歌は文語体(書き言葉)で書かれていたため、子どもには意味が理解しにくいものが大半でした。東くめはこの状況を改善しようと、子どもたちが日常で使う言葉そのままで歌詞を書き、滝廉太郎がそこに親しみやすいメロディをつけました。つまり「水あそび」は、日本の保育音楽史において革命的な一曲なのです。
歌詞の中心となるのは、水鉄砲で遊ぶ子どもの姿と、水の音を表す豊かなオノマトペです。「ちゃぷちゃぷ」「ちゅっちゅっちゅっ」「ざぶんざぶん」など、聴くだけで水のイメージが広がる表現が随所に盛り込まれています。これが現代まで歌い継がれる理由のひとつです。
なお、歌詞は音楽著作権の管理上、全文の掲載ができないケースがほとんどです。実際の歌詞は以下のサイトや公式YouTubeチャンネルで確認できます。
保育現場でよく参照される「みずあそび」の歌詞・振り付け動画はこちら。
短い曲で繰り返しも少なく、1コーラスで完結する構成が特徴です。覚えやすい点が、1歳児から5歳児まで幅広い年齢で使える大きな理由になっています。
水あそびの歌の振り付け・手遊びのポイント
振り付けの基本は「水を汲む動作」と「水鉄砲を撃つ動作」の2種類を軸に構成されます。この2つさえ覚えれば、あとは歌詞に合わせてアレンジを加えるだけです。
🎯 振り付けの基本パターン(3ステップ)
- 🖐️ 水を汲む:両手を重ねてお椀の形をつくり、下からすくい上げる動作。
- 💦 水をかける:指を広げて斜め前方にパッと振り払う動作。「ざぶん」などの音に合わせる。
- 🔫 水鉄砲を撃つ:人差し指を立てて親指を上に、手首でぱっと前方へ向ける動作。「ちゅっちゅっ」の音節に合わせる。
保育者が水の動きを誇張しながら歌うことで、子どもたちの模倣力や表現力が自然に引き出されます。表情も大切です。「水が冷たくて気持ちいい!」という顔を保育者が先に作ると、子どもたちは感情ごと模倣しようとするため、活動全体がぐっと盛り上がります。
「ちゃぷちゃぷ」「ばしゃばしゃ」といったオノマトペ(擬音語)の部分は、あえてテンポを少し落として、音を楽しむ間を作るのがコツです。早く歌い切ることが目的ではありません。
ほいくnoteによる振り付き動画では、実演者が年齢ごとの動作のバリエーションを丁寧に説明しています。振り付けの参考として活用できます。
ほいくnote|みずあそび 振り付き動画・年齢別ねらいと導入方法
また、数字を使うアレンジ(「1・2・3・4」と指で数えながら歌う)も取り入れると、数の学習につながる場面展開ができます。これは数の概念が芽生え始める2歳後半〜3歳児クラスで特に効果的です。
水あそびの歌の年齢別ねらいと導入アイデア
手遊び歌「水あそび」は、対象年齢が2歳〜5歳とされています。ただし、年齢ごとにねらいと導入の工夫を変えることで、同じ一曲がまったく違う深さで機能します。
🍼 2歳児|音と模倣を楽しむ
「ちゃぷちゃぷ」という音が耳に心地よく、まず”聴いて楽しむ”段階から始められます。導入では「お水ってちゃぷちゃぷって言うよね?」と音に注目させ、音あそびとして始めるのが自然です。振り付けは一部だけで問題なく、保育者の動きを見て真似できた時点で十分な達成感があります。
🌱 3歳児|言葉と動作をつなぐ
3歳になると、言葉と動作が結びついてきます。「お水をすくってみよう」「鉄砲でかけてみよう」など、動作の意味を少し言語化してから始めると理解が深まります。この年齢では「自分もできた!」という達成感が活動意欲を引き上げる原動力になります。
🌿 4歳児|感覚とイメージを広げる
「水はどんなふうに動くかな?」と問いかけることで、子どもたちが自分の経験から動きを考えるようになります。「流れる水」「跳ねる水」「揺れる水」など、同じ水でも動き方が違うことに気づかせる問いかけが、表現の幅を広げます。リズム感が育つ時期なので、テンポを変えて歌うアレンジも有効です。
🌳 5歳児|創作・発展へ
5歳児では「水あそび劇場」として、歌に合わせた即興劇に発展させることもできます。「水鉄砲で何をねらっているか」「どこで水遊びしているのか」といった設定を子どもたち自身が作り、歌を物語の中に位置づける活動です。表現力・想像力・協調性が同時に育まれる実践になります。
年齢別のねらいについて詳しくは以下を参照してください。
水あそびの歌がプール・水遊び活動の導入に最適な理由
プール活動や水遊びの前に、保育者が何の準備もなくいきなり「さあ、入りましょう!」と始めてしまうと、水が苦手な子どもにとっては心理的なハードルがぐっと上がります。これは、子どもの情動と活動準備のズレによるものです。
「水あそび」の歌を事前に歌うことで、子どもたちの脳に「水」のイメージが先にインプットされます。「ちゃぷちゃぷ」「ざぶんざぶん」といった擬音語が、楽しい体験と結びついた記憶として形成されるのです。これがいわゆる「期待感の醸成」であり、導入として機能するメカニズムです。
特に重要なのが、水が怖い子どもへの配慮です。歌であれば実際に水に触れる必要がなく、音と動作だけで「水は楽しいもの」という感覚的なイメージを先に植え付けることができます。
| 導入前に歌う | 導入なしで入水 |
|---|---|
| 水への期待感が高まる | 不安・緊張が先立ちやすい |
| 水が苦手な子も笑顔で参加しやすい | 嫌がる子どもが出やすい |
| クラス全体の雰囲気が統一される | 個人差が活動のムラにつながる |
| 保育者への信頼感が増す | 活動の始まりが不安定になりがち |
実際に、梅花女子大学の研究(保育活動に対する幼児の集中力に及ぼす導入としての手遊びの効果)では、「活動内容に関連した手遊びを導入に使うと、その後の活動開始直後の集中力が有意に高まる」という結果が出ています。つまり水あそびの活動前には、関係性のある「水あそびの歌」を使うことが、集中力の面でも理にかなっています。
この研究が要約されています。
保育士バンク!|保育園で手遊びをするねらいとは?期待できる効果や演じるときのポイント
水あそびの歌がもたらす子どもの発達効果【独自視点:オノマトペ習得と語彙爆発の関係】
一般的に手遊び歌の効果として紹介されるのは「リズム感の向上」「手指の発達」「集中力のアップ」です。もちろんこれらも確かな効果ですが、「水あそびの歌」で特筆すべき点がもう一つあります。それはオノマトペ習得を通じた語彙爆発のきっかけになるという点です。
語彙爆発とは、1歳半〜2歳ごろの幼児が突然数十〜数百の言葉を短期間に習得する現象です。この時期に子どもが覚えやすいのは「ワンワン」「バイバイ」のような音の繰り返し構造を持つ言葉、すなわちオノマトペです。
「水あそびの歌」には「ちゃぷちゃぷ」「ちゅっちゅっちゅっ」「ざぶんざぶん」などのオノマトペが集中的に含まれており、このような繰り返しの音節は幼児が模倣・記憶しやすい構造を持っています。歌を通じてオノマトペを繰り返し聴き・発声することで、言葉の習得を自然に後押しします。
オノマトペは聴覚だけでなく、体感覚(水のひんやりした感触、跳ねる感覚)と言葉を結びつける「感覚と言語の橋渡し」をする働きがあります。実際に水遊びを体験した翌日に「水あそびの歌」を歌うことで、体験の記憶と言葉が結びつき、語彙として定着しやすくなります。
つまり、このような活用が理想的です。
- 🌊 水遊び前に歌う → 期待感の醸成・水慣れの補助
- 🏊 水遊び中に口ずさむ → 体験と言語の同時進行
- 🧺 水遊び後の着替え時間などに歌う → 体験を言語として定着させる
このサイクルを意識するだけで、「水あそびの歌」は単なる手遊び以上の発達支援ツールになります。これは他の手遊び歌にはない、水という実体験と直接結びつく歌ならではの強みです。
オノマトペの保育活用については以下が参考になります。
保育ラボ|保育にオノマトペを使うとどんな効果がある?子どもと楽しむ方法

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