コマの歌を保育で使う歌遊び・手遊びの選び方とねらい
「お正月」の歌詞に著作権が残っており、2039年まで無断商用利用はできません。
コマの歌「おててごま」の歌詞・遊び方と保育での活かし方
コマの歌として保育の現場でいま特に人気を集めているのが、「ぼくときみ。」が作った手遊び歌「おててごま」です。この歌は1歳児から5歳児まで幅広い年齢に対応しており、テンポを変えるだけで乳児クラスでも幼児クラスでも楽しめる汎用性の高さが特徴です。
「おててごま」の歌詞はシンプルで、体のどこかがコマになるという設定が子どもの想像力を刺激します。
| 歌詞の流れ | 振り付けのポイント |
|---|---|
| からだのどこかがこまになる | 体のどこかをぐるぐると回す準備動作 |
| さいしょはおてて おててごま | 手首や腕をくるくると回す |
| おつぎはおひざ おひざごま | ひざをぐるぐると回す |
| さいごはおかた おかたごま | 肩をくるくると回す |
保育士にとって大事なポイントは、「ぐるぐる」のフレーズの前後でテンション感を変えることです。それまで淡々と進め、「ぐるぐる」の部分になったら思いっきり弾けてみましょう。子どもたちはそのギャップがたまらなく好きで、「先生がはしゃいでいる姿を見ること」自体がモチベーションになります。これは使えそうです。
また、基本の「おてて・おひざ・おかた」から「おしりごま」「おやゆびごま」「からだごま」へのアレンジも自由自在です。保育士が「次は何ごまにしようか?」と問いかけると、子どもたちが「〇〇ごまにしよ!」と自発的に発言する場面が生まれます。つまり、保育士の一言が主体的な参加を引き出す起爆剤になるということです。
この歌はアカペラで十分に遊べるのも魅力で、ピアノが苦手な先生でも気軽に取り入れられます。ただし、「おててごま」の著作権は作者「スタジオぼくときみ。」が管理しているため、SNSや保育園の公式サイトに動画を投稿する際は著作権ページを必ず確認することが必要です。
コマの歌「こまこままわれ」と「コマンカコマンカ」のリズム遊びへの使い方
コマの歌を使ったリズム遊びとして、さくら・さくらんぼ保育で知られる「こまこままわれ」という楽曲があります。「こ~ま~ こ~ま~ ま~わ~れ~」という繰り返しのフレーズに合わせ、子どもたちが体全体でくるくると回る運動遊びです。目が回ってどて~んと倒れてしまう様子がかわいく、子ども同士の笑いと一体感を生みます。
同じく「コマンカコマンカ」という乳幼児向けのわらべうたも保育現場で使われており、コマ回しのしぐさをやさしくなぞる「しぐさ遊び」として0歳児から楽しめます。リズムが非常にゆっくりで音域も狭いため、月齢の低い子どもが保育士と目を合わせながら楽しめるのが特徴です。
「こまこままわれ」はほかのリズム遊びと組み合わせて使うのが効果的です。たとえば「ゆりかご」のゆったりした曲との組み合わせや、「三輪車」の動きと交互に行うパターンが保育士の間で人気を集めています。
| 曲名 | 対象年齢の目安 | 動きの特徴 |
|---|---|---|
| コマンカコマンカ | 0〜2歳児 | ゆっくりしたしぐさ遊び・膝の上でのふれあい |
| こまこままわれ | 2〜5歳児 | 体全体でくるくる回転・全身運動 |
| おててごま | 1〜5歳児 | 体の部位をコマに見立てたぐるぐる動作 |
リズム遊びでコマの歌を使う際の大切な観点は「速さの調整」です。2歳児クラスではゆっくりしたテンポから始め、徐々に速くするだけで難易度と盛り上がりを段階的にコントロールできます。慣れてきたら子どもたちにテンポをリードさせる場面を作ると、さらに主体性が育まれます。これが基本です。
なお、「こまこままわれ」はさくら・さくらんぼ保育のリズムに由来しており、元の楽曲の扱いについては著作権的な確認が必要な場合もあります。動画として外部に配信する場合は、各楽曲の著作権管理状況を事前に調べることが原則です。
コマの歌「お正月」の活用と著作権・歌詞の意外な落とし穴
「もういくつ寝るとお正月、お正月には凧あげてこまをまわして遊びましょう」という歌詞でおなじみの童謡「お正月」は、保育の1月の定番曲の一つです。作曲は瀧廉太郎(1879〜1903年)、作詞は東くめ(1877〜1969年)です。
ここで多くの保育士が見落としがちな重要な事実があります。瀧廉太郎は1903年に亡くなっており、作曲部分の著作権はすでに消滅しパブリックドメインになっています。ところが作詞者の東くめは1969年まで存命だったため、歌詞の著作権は「死後70年」である2039年まで存続しています。著作権が残っていることが条件です。
つまり、「お正月」の曲のみのピアノ伴奏や器楽演奏は著作権の問題がありませんが、歌詞を印刷して配布したり、歌詞付きで動画をSNSに投稿したりする場合には、依然として著作権の管理下に置かれています。
| 「お正月」の権利状況 | 現状 |
|---|---|
| 作曲(瀧廉太郎) | 著作権消滅済(パブリックドメイン) |
| 作詞(東くめ) | 著作権存続中(2039年まで) |
| 楽器演奏のみ | 問題なし |
| 歌詞印刷・外部公開 | 要確認・管理者への確認が必要 |
保育現場での「お正月」の歌の使い方として、保育室内でピアノを弾きながら子どもたちと歌う場合は非営利・教育目的として扱われます。ただしお便りに歌詞を印刷して保護者に配布する、YouTubeやInstagramに歌の動画をアップするといった行為は慎重に対応することが必要です。
「わかっていなかった」では済まないのが著作権の怖いところです。歌詞の権利はJASRACが管理している場合が多く、教育機関向けの利用条件はJASRACの公式サイトで確認できます。日常の保育での使用と、外部公開とでは扱いが異なる点をしっかり押さえておきましょう。
JASRACの教育機関向け著作権利用についての情報はこちらから確認できます。
コマ製作の導入にコマの歌を使う効果と年齢別の進め方
コマの歌を歌ってから製作活動に入ると、子どもたちのモチベーションが格段に変わります。「さっき歌ったコマを自分で作る」という流れが、製作への自然な興味につながるからです。これは効果的な導入手順です。
年齢別に使えるコマの種類と製作の目安をまとめると以下の通りです。
- 🍼 0〜1歳児:製作よりも「コマが回る様子を見る」体験が中心。ペットボトルのキャップを軸にしたシンプルなひねりゴマを保育士が作り、子どもの前で回して見せましょう。コマの歌に合わせて見せると視覚と聴覚が同時に刺激されます。
- 🎨 2〜3歳児:ペットボトルキャップや紙皿を使ったひねりゴマの製作が可能です。丸いシールを貼るだけでカラフルなコマができ、達成感を味わいやすい工程です。
- ✂️ 4〜5歳児:牛乳パックや厚紙でのブンブンゴマ製作が楽しめます。自分で描いた模様が回転したときに変化する「ベンハムのコマ」的な視覚効果を体験させると、科学への好奇心にもつながります。
製作前の導入として歌遊びを使う手順としては、まず「おててごま」や「こまこままわれ」で体を使って遊んだあと、「今日は本物のコマを作ろう!」と声かけするのがおすすめです。製作中もコマの歌をBGMとして流すと、集中しながらも楽しい雰囲気が続きます。
紙皿コマのねらいと年齢別の製作ポイントについての詳細はこちらも参考になります。
実際に作ったコマを使って「長回し競争」や「けんかゴマ」に発展させると、製作後の達成感と遊びの楽しさが同時に生まれます。コマが長く回ればどの子も「もっとうまくなりたい」という気持ちが自然に湧き、繰り返し遊ぶ意欲も高まります。これがコマ遊びの面白さです。
コマの歌が育てる発達効果と保育士が知っておきたい独自の視点
コマの歌を使った歌遊びやリズム遊びには、見落とされがちな発達上の大きなメリットがあります。それは「回転」という動作が、前庭感覚(平衡感覚)を直接刺激するという点です。
感覚統合の観点から見ると、「こまこままわれ」のようにくるくると体を回す動きは、前庭感覚・固有感覚・触覚の3つの感覚を同時に使います。これらは子どもの発達の土台となる感覚とされており、特に多動気味な子や感覚処理に課題のある子に対しても有効だと考えられています。くるくる回って「どて~ん」と倒れる動きは、子ども自身が感覚入力をコントロールする練習にもなっています。
一見ただの楽しい歌遊びに見えますが、実は「自分の体の軸を感じる遊び」でもあるということです。
さらに注目したい点として、コマの「回転」は視覚系の刺激にもなります。回るコマの模様を目で追うことで、滑動性追跡眼球運動(スムーズパーシュート)のトレーニングになるとされています。これは後の読み書きの基礎にもなる動眼能力に関わる動きです。小学校に上がってから「文字が読みにくい」「行が飛んでしまう」という子の多くに、この追跡眼球運動の弱さが背景にあることが指摘されています。
わらべうたとコマ遊びの発達的意義については、文部科学省認定の研究でも言及されています。
北陸学院大学「保育におけるわらべうたの教育的効果」(PDF)
コマの歌を単なる「1月の活動のネタ」として使うだけでなく、なぜその遊びが子どもの発達に良いのかを理解した上で保育に取り入れることが、保育士としての専門性を深めることにもつながります。保護者への説明や月案の記録にも自信を持って書けるようになるでしょう。それが大きなメリットです。
感覚統合と遊びの関係についてより深く知りたい場合は、作業療法士や感覚統合の専門家が書いた書籍をあわせて参考にするのが効果的です。ひとつの遊びの中に複数の発達的意義が重なっていることを知ると、保育の見え方が大きく変わります。


