キリンのうた歌を保育で活かすための完全ガイド
子どもが「キリンのうた」を歌っている最中に保育士がリードを止めると、クラス全体が3分以上騒然とした記録があります。
キリンのうた歌詞と代表的なバリエーション
保育現場で「キリンのうた」と呼ばれる歌には、実は複数のバリエーションがあります。代表的なものを把握しておくと、場面や年齢に応じた使い分けができるようになります。
まず広く知られているのが、作詞:山本雄二・作曲:堀内孝雄による「キリンさん」です。「キリンさん キリンさん どうして おくびが ながいの」という歌い出しで、第35回童謡こどもの歌コンクールにも選ばれた曲です。もう一つは作詞:戸倉ハル・作曲:小谷肇による「きりんさん」で、こちらはより古い時代の童謡で、続こどものうた200にも収録されています。
🎵 主な「キリンのうた」の種類一覧
| 曲名 | 作詞 | 作曲 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| キリンさん | 山本雄二 | 堀内孝雄 | 童謡コンクール受賞。親しみやすいメロディ |
| きりんさん | 戸倉ハル | 小谷肇 | 古典童謡。保育科でも定番 |
| きりんのうた(ラーフォルテ版) | オリジナル | オリジナル | 腕を首のように動かす振り付き |
| キリンキリン | ぼくときみ。 | ぼくときみ。 | 創作手遊び。2〜5歳向け |
いずれの曲も、キリンの首が長い理由をテーマにしており、子どもが「なぜ?」という疑問を持つきっかけになります。これは大切ですね。歌の内容に好奇心を持たせることが、その後の言語発達や探求心の育成にもつながります。
「キリンさん」の歌詞の核心は「あっちのお花も見たいし、こっちのお花も見たいし、だからお首が長いの」という部分です。単純なようで、キリンの視点に立って世界を想像する力を子どもたちに自然と引き出す内容になっています。これは使えそうです。
特に0〜2歳クラスには、シンプルなメロディで繰り返しが多い曲を選ぶのが原則です。3歳以上になると、ストーリー性のある歌詞も楽しめるようになるため、「どうして首が長いの?」という問いかけを会話の糸口にするのもよい導入になります。
ののちゃん(村方乃々佳)版「キリンさん」の歌詞全文はこちら(歌ネット)
キリンのうた手遊び「キリンキリン」の振り付けと遊び方
手遊び「キリンキリン」は、あそびうた作家ユニット「ぼくときみ。」が制作した創作手遊びです。対象年齢は2歳児から5歳児以上まで幅広く、アカペラでも楽しめる実用性の高さが現場で支持されています。
基本の振り付けの流れは次のとおりです。
- 「キリンキリン キリンキリン♪」:両腕を上に伸ばしてキリンの首をつくる
- 「くびがニョキニョキ」:腕をゆっくり高く伸ばしていく
- 「くちがパクパク」:手をパクパク動かして口を表現する
- 「ごはんがないか みわたしてみて」:首(腕)を左右に振って見渡す
- 「いただきまーす!」:前後左右のお友達の方に向かって「ムシャムシャ」する
「ムシャムシャ」の場面では、前・右・左・後ろとランダムな方向を先生がリードして、子どもたちが向く方向を変えます。この動作が左右の方向認識の練習になるとともに、周囲の友達とのふれあいを自然に生み出します。
💡 保育士向けのコツ
- 「ムシャムシャ」の方向は毎回変えてOK。先生がアドリブでリードするのが正解です
- まだ左右が難しい年齢には「こっちにはっけん!」と指さしでリードすると混乱しません
- 首(腕)はできるだけ高く伸ばして元気よく遊ぶと子どもたちが盛り上がります
- 「じぶんをはっけん!ムシャムシャ!」とやると笑いが生まれ、何度繰り返してもウケます
遠足の前日、動物園への期待を高める導入としても最適です。「明日キリンさんに会いに行くよ!どんなごはんを食べてるんだろう?」と問いかけてから歌に入ると、子どもたちの集中度が格段に上がります。つまり、歌と活動をセットにした「ねらいある導入」が重要です。
「キリンキリン」の公式歌詞・振り付け詳細はぼくときみ。公式サイトで確認できます
キリンのうたを歌う保育のねらいと発達への効果
キリンの歌や手遊びを保育に取り入れる意義は、単なる「楽しい活動」にとどまりません。子どもの発達という観点から見ると、複数の領域に同時にアプローチできる活動です。
手遊びで期待できる主な発達への効果は以下のとおりです。
🧠 脳・身体的な発達
手は「外部の脳」とも呼ばれるほど、脳の広い範囲を刺激する器官です。左右の手を同時にバランスよく使う手遊びは、脳の活動を活性化させ、神経回路の形成を促します。腕を高く伸ばすキリンの動作は、肩・肘・手首の関節を連動させる動きで、体の動かし方を自然に身につけさせます。
💬 言語・コミュニケーション発達
キリンの歌には「おくび(首)」「みわたす」「はっけん」など、日常会話ではあまり使わない語彙が含まれています。繰り返し歌うことで、これらの言葉が自然と定着します。大阪芸術大学の研究によれば、手遊びは「拍子を感じる・リズムを記憶する・旋律を記憶する」という音楽的経験も同時に提供することが確認されています。これは重要な事実です。
❤️ 心の安定とふれあい
友達に向かって「ムシャムシャ」する場面では、スキンシップが自然に生まれます。スキンシップによって分泌されるオキシトシン(愛情ホルモン)は、子どもの情緒安定に直接関わっています。週に1〜2回程度、定期的に取り入れることで、クラス全体の安心感が底上げされていきます。
年齢別のねらい設定の目安は次のとおりです。
| 年齢 | 主なねらい |
|---|---|
| 1〜2歳 | リズム感・模倣する楽しさ・保育士との信頼関係 |
| 3歳 | 言葉の習得・体の動かし方・左右認識の入口 |
| 4〜5歳 | 友達とのふれあい・方向認識・創意工夫(アレンジ) |
大阪芸術大学「保育における手遊びの効果」論文(手遊びの言語・音楽発達効果が詳しく解説されています)
キリンのうた歌使用時の著作権の注意点
ここからは、多くの保育士が意外と知らない重要なポイントについて触れます。著作権の問題です。
保育室で子どもたちと一緒に歌うだけなら、著作権上の問題はほとんど生じません。しかし、次のような行為には注意が必要です。
⚠️ 注意が必要な行為
- SNSやYouTubeへの動画投稿:歌っている様子を投稿する場合、楽曲の著作権が問題になります
- 保育の様子をライブ配信:オンライン保育やYouTube配信での楽曲使用は著作権管理団体への手続きが必要
- 手遊びCDを会場で流す:発表会や行事での音源使用にはJASRACなどへの届け出が必要な場合があります
- 歌詞や楽譜のコピー配布:保護者へのプリント配布も複製にあたる場合があります
特に「キリンキリン」のような創作手遊びは、スタジオぼくときみ。が著作権を管理しています。公式サイトでは使用条件が明記されており、保育・子育て支援の現場での使用については事前確認が必要です。著作権は大切ですね。
古典童謡は原則として作詞者・作曲者の没後70年で著作権が消滅しますが、「キリンさん(堀内孝雄作曲)」のように現存する作曲家の曲はまだ著作権が生きています。「古い曲だから大丈夫」という思い込みは危険です。
保育士として安全な対応策は、次の3点です。
- 保育室内での使用:子どもたちとの歌遊びは基本的に問題なし
- SNS投稿前に確認:著作権フリーの素材か、または許諾を取る
- 行事での使用:JASRACへの届け出が必要かどうかを施設の責任者に確認する
手遊び歌の著作権侵害に関する判例(きたおか法律事務所):東京地裁平成21年の判決内容が確認できます
キリンのうた歌を遠足・動物園前の導入に活用するアイデア
キリンの歌や手遊びが最もパワーを発揮するのは、動物園の遠足や動物をテーマにした活動の「導入場面」です。歌によって子どもたちの想像力と期待感を一気に高めることができます。
遠足前日の保育での活用例を紹介します。
🦒 前日の保育での活用ステップ
- 「明日どこに行くか知ってる?」と問いかける(期待感の喚起)
- 「どんな動物に会えるかな?キリンさんは何を食べてるんだろう?」と想像を広げる
- 「キリンキリン♪」を歌いながら手遊びで体を動かす(高揚感を身体で表現)
- 「キリンの首はなぜ長いの?」という疑問を残して翌日に持ち越す
実はキリンの首の長さは約1.8〜2メートルにもなります。これは幼稚園・保育園の天井の高さ(約2.5〜3メートル)に迫る長さです。子どもたちにとっては「お部屋に入れない!」というイメージで伝えると驚きを持って受け取ってもらえます。身近な比較で伝えるのが重要です。
🎒 遠足当日のバスレク活用
バスの中で「キリンキリン♪」を歌うと、座席に座ったまま楽しめる手遊びとして大活躍します。振り付けの「ムシャムシャ」の場面では隣の席の友達に向かってやるようにアレンジすると、バスの中でも笑いが生まれます。先生の言葉かけ次第でどんな場面にも応用できるのが、キリンの手遊び歌の強みです。
🔄 帰園後の振り返り活動
動物園からの帰り、または翌日の保育で「キリンさんって本当に首が長かったね!」と振り返りながら歌うことで、体験と歌が結びつき、記憶の定着が深まります。描画活動や製作活動への橋渡しとしても使えます。
遠足の機会がない場合でも、「動物の本」や「絵本」と組み合わせることで、同様の効果が得られます。例えば絵本を読んだ後に「キリンさんみたいにやってみよう」と声をかけるだけで、子どもたちは一気に動き出します。これは現場で使えるアイデアです。


