かたくり歌を保育で活かすわらべうたと手遊びの実践
かたくり歌を正確に歌えない保育士ほど、子どもとの信頼が深まるって知っていましたか?
かたくり歌の由来と歌詞の意味を保育士が知っておくべき理由
「かたくり歌」は、春の山野草カタクリ(片栗)にちなんで生まれたわらべうた・手遊び歌の総称です。カタクリはユリ科の多年草で、早春の落葉樹林に薄紫色の可憐な花を咲かせます。草丈はわずか15cmほど、はがきの短辺ほどの小さな花ですが、その生命力はとても力強いもの。なんと、種が発芽してから花を咲かせるまでに7〜8年もかかると言われています。
この小さな春の妖精とも呼ばれる植物が、保育の現場でわらべうたや手遊び歌のテーマとして長く使われてきたのには、理由があります。カタクリは「春を知らせる花」として日本の文化に深く根付いており、子どもたちに季節の移ろいや自然の美しさを感じさせるのにぴったりの素材だからです。
つまり、歌の背景を知ることが大切です。
保育士が歌の由来や背景知識を持っているかどうかは、子どもへの語りかけのリアリティを大きく左右します。「この花はね、咲くまでに8年もかかるんだよ」と一言添えるだけで、子どもたちの目の輝きが変わることがあります。ちょっとした豆知識が、保育の質を一段引き上げる鍵になるのです。
また、「かたくり」という言葉は「片栗粉」の語源でもあります。かつてはカタクリの球根から本物の片栗粉を作っていました。現在市販されているほとんどの片栗粉はじゃがいもでんぷんで作られており、本物のカタクリ由来のものはごくわずかしか流通していません。これも子どもたちと「片栗粉って何からできてるの?」という探求遊びへつなげられる、おもしろい出発点になります。
🌸 カタクリの豆知識まとめ
- 開花時期:3月末〜4月中旬(地域によって異なる)
- 花の色:薄紫・ピンク・白など
- 草丈:約15cm(はがきの短辺ほど)
- 発芽から開花まで:約7〜8年
- 別名:スプリングエフェメラル(春の妖精)
- かつては球根が片栗粉の原料だった
保育の現場では、春の自然観察と歌を組み合わせることで、子どもの好奇心と言語発達を同時に促すことができます。絵本や図鑑でカタクリの花を見せてから歌に入る、という導線を作るだけで活動の深みが増します。これは使えそうです。
カタクリの植物的特徴と育て方について詳しく解説したページです。保育で自然に触れる活動の参考情報として役立ちます(HYPONeX PLANTIA)
かたくり歌の手遊び振り付けと年齢別の実践ポイント
手遊び歌「かたくりの花」は、花が開く・閉じる・揺れるといった動きを手で表現するシンプルな構成になっています。動きが視覚的でわかりやすいため、0〜1歳の乳児でも保育者の動きを模倣しながら楽しめます。これが基本です。
🌼 年齢別の振り付けポイント
0〜1歳児(乳児):保育者が子どもの手を優しく包み、花が開くように広げてあげましょう。歌のテンポはゆっくり、語りかけるように歌うのがコツです。目が合ったときに笑顔を見せることで、安心感と信頼感が育まれます。この時期は「歌を覚えさせる」より「歌と人の顔をつなげる」体験が目的です。
2〜3歳児(歩行・走行が安定してくる時期):自分で手を動かすことへの興味が高まる時期です。「花を咲かせてみよう」と具体的な言葉で誘うと、子どもは喜んで真似をします。保育者が少し大げさに表現すると、子どもたちも表現する楽しさを覚えます。体全体で花が咲く様子を表現しても楽しいですね。
4〜5歳児(幼児クラス):歌詞の意味やカタクリの花の話を伝えてから行うと、表現の幅が広がります。「晴れた日にしか花が開かないんだって」という一言が、子どもの想像力をグッと引き出します。また、友だちと向かい合って手を合わせながら歌うふれあい遊びのアレンジも効果的です。
振り付けに決まった正解はありません。が原則です。わらべうたには厳密なルールがなく、地域や文化によってメロディや歌詞、動きが異なります(名古屋短期大学・山下直樹教授)。保育者が自由にアレンジして楽しむ姿を見せることが、子どもたちにとっても「歌は自由に楽しんでいい」という学びになります。
振り付けを完璧にこなすことより、保育士自身が楽しんでいる表情のほうが子どもには初わります。ピアノの伴奏が苦手なら、アカペラでゆったり歌うだけで十分です。
かたくり歌で育つ4つの感覚と子どもの発達への影響
わらべうたや手遊び歌が子どもの発達に良いというのは広く知られています。ただ「なぜ良いのか」を具体的に説明できる保育士は意外と少ないものです。ここで整理しておきましょう。
名古屋短期大学保育科の山下直樹教授(臨床心理士・公認心理師)は、年間100か所以上の保育所・幼稚園を訪問し、10,000人以上の子どもたちと関わってきた専門家です。山下教授によると、わらべうたは子どもの発達の土台となる4つの感覚を育む効果があるとのことです。
🧠 わらべうた・手遊び歌が育む4つの感覚
- ✅ 触覚:抱っこや手を握る歌遊びを通じて、親子・保育者との安心・信頼を育む
- ✅ 生命感覚:歌遊びのリズムが生活リズムを整え、自律神経の安定につながる
- ✅ 運動感覚:体の動かし方・力の入れ方を学び、関節・筋肉のコントロールが育まれる
- ✅ 平衡感覚:揺れる動き・回転などで外部空間と自分の関係を認識する力が育つ
また、大阪芸術大学の研究によれば、手遊びをすることで「言葉の発達」「数の理解」「旋律の記憶」「拍子感覚」「リズムの記憶」といった多面的な発達が促されることが確認されています。手は「外部の脳」とも呼ばれており、指先を動かすことで脳の血流がアップし、知育面での効果も期待できます。
かたくり歌では、花が開いたり閉じたりする繊細な手の動きが求められます。これが指先の器用さや運動感覚を刺激します。音楽のリズムに合わせて動くことでリズム感も育まれます。継続するほど効果が出る、というのが基本的な考え方です。
さらに見逃せないのが「自己肯定感への効果」です。繰り返しわらべうたを行うと、子どもの中に「好きな歌」が生まれます。保育者と一緒に口ずさんだり、自分からやりたいと手を挙げる姿が見られるようになります。こうした小さな成功体験の積み重ねが、自己肯定感を高める土台になります。
名古屋短期大学・山下直樹教授へのインタビュー記事です。わらべうたが子どもの発達に与える科学的根拠について詳しく解説されており、保育実践の理論的裏付けとして参考になります(マイナビ保育士)
かたくり歌を保育の導入や切り替えに活かす具体的な使い方
手遊び歌を「ただ歌う」だけの使い方から、もう一歩踏み込んでみましょう。かたくり歌は、保育活動の「導入」と「切り替え」の両面で非常に効果的に使えます。
梅花女子大学の研究(2018年)によれば、保育者の多くが手遊びを「子どもの集中力を高めるための導入」として活用していますが、実際にその効果を体系的に理解している保育者は少ないことも明らかになっています。効果の仕組みを知ることで、より意図的な保育につながります。
📌 かたくり歌の使い方アイデア
①朝の会・サークルタイムの導入として
子どもたちが着席したタイミングで静かにかたくり歌を始めます。保育者が歌い出すだけで、子どもたちの注目が集まります。ざわついたクラスを落ち着かせる切り替えとして非常に効果的です。声のトーンをやや低め・ゆっくりにするとより落ち着いた雰囲気を作れます。
②製作活動の前の集中モードへの切り替えとして
手を動かす製作の前に、手遊び歌で指先をウォームアップすることができます。かたくり歌のように繊細な花の動きを表現する手遊びは、指先への意識を高めるのに特に向いています。
③春の自然観察との連動として
カタクリの花の写真や絵本を見せてから歌に入る、という流れを作ると活動の深みが増します。「こんな花が咲くんだね」→「じゃあ手で咲かせてみよう」という自然な流れが生まれます。
④少人数での1対1のふれあいとして
山下教授も「大勢で一斉に歌うより、自由遊びや触れ合いの時間に1〜3人と遊ぶのがおすすめ」と語っています。乳児との個別のふれあいタイムに取り入れると、深い信頼関係づくりにつながります。
活動の目的を明確にするのが条件です。「楽しいから歌う」だけでなく、「今日は〇〇のねらいで使う」という意識を持つだけで、記録や計画書の質も変わります。
手遊び歌の動画を事前に参考にしたい場合、「ほいくis」や「HoiClue」などの保育士向けサイトには振り付き動画が多数掲載されています。無料で視聴できるので、新しい振り付けの確認に活用できます。
手遊びが子どもの集中力・発達に与える具体的な効果について整理された記事です。保育の導入としての活用コツも紹介されており、実践に役立ちます(保育士が働きやすい職場を作る)
かたくり歌のわらべうたアレンジと保育士が知らない独自活用法
ここからは、検索上位の記事にはあまり載っていない独自の視点をお届けします。
かたくり歌は「春の歌」として使われることがほとんどですが、実は一年中使えるということをご存じでしょうか。「カタクリは春しかないのに?」と思うかもしれませんが、歌のテーマである「小さな花が一生懸命咲く」というイメージは、季節を問わず子どもたちの感情に共鳴します。
たとえば夏の終わり、朝顔の花が咲いた場面で「今日もお花が咲いたね。かたくりのお花みたいだね」と声をかけながら歌うことで、子どもの中に「花が咲く=喜び」という感情の結びつきが生まれます。これが情操教育の一形態です。
また、わらべうた「かたくり」は即興アレンジとの相性が非常に良い歌です。たとえば次のようなアレンジが現場で試されています。
🎵 わらべうたかたくりのアレンジ例
- 子どもの名前を歌詞に入れる(「〇〇ちゃんの花が咲いたよ」など)
- テンポを変えて「速い花・ゆっくり花」として楽しむ
- 複数の子どもが手をつないで花の輪を作るグループ活動へ発展
- 朝・昼・夕方で歌い方を変えて「花の一日」を表現する
名古屋短期大学の山下教授は「わらべうたには厳密なルールがなく、地域や環境に合わせて自由に楽しんでよい」と話しています。完璧に歌えなくてもいいということですね。
さらに、現場の保育士から「かたくり歌を気分の切り替えの場面で使っている」という声があります。Instagramの「わらべうたかたくり」アカウントでは、2人で手をつないで歌って歩いたら、いつの間にか子どもたちがどんどん増えて大きな輪になっていた、という実践が紹介されています。自然発生的なグループ活動につながるのは、歌の持つ「引力」です。
保育士が自分のやりやすい形でアレンジし、楽しんでいる姿を見せることがいちばんの教材です。完璧な振り付けより、保育者の楽しそうな声と表情が子どもの心を動かします。歌に自信がなければ、ゆっくり語りかけるように歌うだけで十分です。それで大丈夫です。
わらべうたの実践について体系的に学びたい場合は、山下直樹教授の著書『「気になる子」のわらべうた』(クレヨンハウス刊)がおすすめです。発達支援の視点からわらべうたを活用する方法が詳しくまとめられており、現場で即使える内容になっています。
わらべうたの教育的効果を保育・育児の視点から整理した記事です。具体的なメリットがわかりやすくまとめられており、保護者への説明や保育日誌の参考にもなります(こそだてメディア)

かたくりの花が咲く

