傘の歌童謡あめふりの歌詞と意味を保育士が深掘り

傘の歌 童謡「あめふり」の歌詞と意味を保育士が深掘りする

「あめふり」は1〜5番まであるのに、多くの保育士は2番までしか教えていません。

この記事のポイント
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歌詞は全部で5番構成

「あめふり」は1925年(大正14年)に発表された5番構成の童謡。3〜5番に登場する「あのこ」への思いやりのエピソードが、この歌の本質的なメッセージです。

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難解語には深い文化背景がある

「じゃのめ」「かねがなる」「やなぎのねかた」など、子どもがつまずきやすい言葉のひとつひとつに、大正時代の生活文化が凝縮されています。

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保育での実践活用ができる

振り付けや役割分担を使ったうたあそびとして設計すると、子どもの思いやりの心と語彙力を同時に育てる活動に発展させることができます。


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傘の歌「あめふり」の作詞・作曲と誕生した背景

 

童謡「あめふり」は、北原白秋が作詞し、中山晋平が作曲した作品です。1925年(大正14年)11月号の児童雑誌『コドモノクニ』に掲載されたのが初出とされており、発表から100年以上が経過した今も保育現場で歌い継がれています。

北原白秋は、詩集『邪宗門』や『思ひ出』で知られる近代詩の巨人で、「童謡界の三大詩人」のひとりにも数えられています。「あめふり」が発表された大正14年当時、白秋は神奈川県小田原市に居住していました。作詞の着想には、小田原市の花園幼稚園が深く関わっています。白秋の長男・隆太郎がその幼稚園に通っており、園にあった大きなベルの音が、歌詞の「かねがなる」に取り込まれたと考えられています。

一方、作曲者の中山晋平は「てるてる坊主」「シャボン玉」「証城寺の狸囃子」なども手がけた、大正から昭和にかけての童謡シーンを牽引した作曲家です。彼のメロディーには日本の民謡やわらべうたのリズムが随所に宿っており、「あめふり」の「ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン」という躍動感は、中山晋平ならではの音の表情です。

つまり大正時代のリアルな親子の風景が原点です。保育士がこの背景を理解してから歌うと、単なる雨の歌ではなく「親子のきずなと思いやりの物語」として子どもに届けやすくなります。

参考:あめふりの誕生経緯と歌詞の詳細(Wikipedia)

Wikipedia:あめふり

傘の歌「あめふり」の歌詞1〜5番を全文解説

保育現場では1〜2番しか歌われないケースが多いですが、「あめふり」の歌詞は全部で5番まで存在します。3番以降に歌の核心がある、と知るだけで指導の質が大きく変わります。

まず1番は「あめあめ ふれふれ かあさんが じゃのめで おむかえ うれしいな」です。雨が降ると母親が傘で迎えに来てくれる喜びを歌っています。「じゃのめ」とは蛇の目傘のことで、開いたときに蛇の目のような丸い模様が浮かぶ和傘です。江戸時代から作られてきた女性向けの高級傘で、竹と和紙と油を使った防水構造が特徴です。現代のビニール傘と比べると、当時の傘がいかに丁寧に作られていたか伝わります。遠目からでも丸い模様がはっきりと見えるため、子どもが「あ、かあさんだ」と気づく”目印”にもなっていたでしょう。

2番は「かけましょ かばんを かあさんの あとから ゆこゆこ かねがなる」です。お迎えが来て、子どもがカバンを肩にかけ、母親の後をついていく場面です。「かねがなる」は幼稚園や学校のベルの音を指しており、帰り支度から帰宅へと場面が切り替わる合図として機能しています。リズムと同時に「音の情景」が重なっている、奥行きのある歌詞です。

3番が転換点です。「あらあら あのこは ずぶぬれだ やなぎの ねかたで ないている」と、突然、別の子どもが登場します。「あらあら」は女性的な言い回しなので、気づいたのは母親と解釈できます。「ねかた(根方)」は根元を意味する言葉で、柳の根元でうずくまって泣いている子どもの姿が目に浮かびます。柳(シダレヤナギ)は英語でも「weeping willow(泣き柳)」と呼ばれるほど、悲しみと結びついたイメージを持つ木です。明るいリズムのまま一気に切ない場面に変わる、この”ずれ”が「あめふり」を単なる雨歌で終わらせない仕掛けです。

4番は「かあさん ぼくのを かしましょか きみきみ このかさ さしたまえ」。主人公が母親に許可を取り、泣いている子に自分の傘を貸す場面です。「きみきみ このかさ さしたまえ」という言い回しは大正時代の男の子同士の口調に由来しており、硬い言い回しながら優しさが込められています。

5番は「ぼくなら いいんだ かあさんの おおきな じゃのめに はいってく」。自分は母親の大きな傘に入るから大丈夫だ、というクライマックスです。これは自己犠牲とも読めますが、別の見方もできます。母親と同じ傘に入れる喜びが行動の動力にもなっており、「やさしさは損ではなく、むしろ関係を豊かにする」というメッセージを5番は静かに語っています。

歌詞が5番まであることを把握するのが基本です。1〜2番だけ歌っていると、思いやりの場面(3〜5番)を子どもたちに届けるチャンスを逃すことになります。

参考:あめふり全歌詞(歌ネット)

歌ネット:あめふり 歌詞

傘の歌「あめふり」の難解語をわかりやすく伝えるコツ

子どもたちが「あめふり」を歌うとき、歌詞にある難しい言葉でつまずくことがあります。特に「じゃのめ」「かねがなる」「やなぎのねかた」の3つは、現代の子どもにはなじみが薄い表現です。これを放置したまま歌わせると、「ピッチピッチ チャップチャップ」の楽しいリズムだけが残り、歌詞の意味が届かなくなります。

「じゃのめ」は、「ヘビの目みたいな丸い模様の付いたかさ」と伝えるのが最もスムーズです。実際に和傘の画像を見せるか、先生が腕を丸く広げて傘の輪を作るジェスチャーを見せると、3〜4歳児でもイメージが掴めます。丸い形が遠くから見ても目立つから「かあさんだとすぐわかる」と補足すると、1番の「うれしいな」という感情にもつながります。

「かねがなる」については、「ベルの音だよ」「学校のチャイムみたいな音だよ」と置き換えるだけで理解が早まります。可能であれば、実際に小さな鈴やカウベルを鳴らして「この音のこと」と提示するのが効果的です。音を体験させることで記憶に残りやすくなります。

「やなぎのねかた」は「木の根っこのそばで泣いてたんだよ」と言い換えると十分です。この場面は感情移入が大切なので、「雨の中ひとりで泣いている子、どんな気持ちかな?」と子どもに問いかける一言を添えると対話が生まれます。

難解語の伝え方に困ったときのヒントとして、「絵本と合わせる」方法があります。「コッコさんとあめふり」(福音館書店)は、この童謡をもとにした絵本で、傘の場面が丁寧に描かれています。歌に入る前に読み聞かせると、歌詞の情景が先に子どもの中に入るため、難しい言葉も絵と結びついて理解されやすくなります。これは使えそうです。

参考:保育士向けあめふり歌詞の解説(保育園の歌)

保育園の歌:あめふり歌詞意味解説

傘の歌「あめふり」を保育で活かすうたあそびの実践アイデア

「あめふり」は、歌詞を正確に覚えさせることよりも、歌を通して「思いやりの行動を体験させること」に重きを置くと、保育活動として深みが増します。歌のクライマックスは「傘を貸してあげる」という具体的な行動にあるからです。

実践的なうたあそびとして、以下のような役割分担を設けると効果的です。

  • 「じゃのめ」役(保育士):腕を丸く広げて大きな傘を表現。1番・5番で登場する。
  • 🎒 「ぼく」役(子ども全員):カバンを肩にかけるジェスチャーを2番で全員一緒に行う。
  • 🔔 「かねがなる」役(担当の子ども):小さな鈴を1回だけ鳴らして、場面の切り替えを知らせる。
  • 😢 「あのこ」役(担当の子ども):3番で小さく手を挙げるだけのシンプルな演出にする。

この構成にすると、子どもたちは雨の日の出来事を疑似体験しながら、「困っている子に気づく→声をかける→譲る」という思いやりの一連の流れを歌の中で練習できます。実際に手を挙げる「あのこ」役を設けることで、気づきを促す感覚が全員に伝わりやすくなります。

ひとつだけ注意点があります。「きみきみ このかさ さしたまえ」という歌詞の言い回しは大正時代の口調であり、現代の子どもの日常語とは距離があります。歌詞はそのまま歌い、活動の声かけ場面では「どうぞ」「いっしょに入ろう」と翻訳して伝えると無理がありません。歌詞を変えず、生活言語へ橋渡しする設計が現場ではトラブルが少ないです。

対象年齢としては、保育園の指導資料では0〜3歳児向けとされていますが、役割分担を使ったうたあそびは3〜5歳児でより豊かに展開できます。3歳児以上であれば、歌い終わった後に「もし泣いている子がいたらどうする?」と一言問いかけてみましょう。子どもたちから「かしてあげる」「いっしょに入る」という言葉が自然に出てくるようになります。それが目的です。

参考:6月の保育で使える歌一覧(ほいくis)

傘の歌「あめふり」が保育の情操教育に与える効果(独自視点)

検索上位の記事に多い「歌詞解説」や「年齢別おすすめ」の視点から少し離れて、「あめふり」が保育の情操教育にどんな構造で作用するかを整理しておきます。これは知っておくと指導計画や保護者への説明にも応用が利きます。

童謡を保育に取り入れるねらいは、厚生労働省「保育所保育指針」の「表現」領域に記されており、音楽を通して季節・風景への想像力を高め、自己表現を学ぶことが軸とされています。「あめふり」はこのねらいに沿った構造を持っています。具体的に3つの軸で整理できます。

1つ目は「音の刺激と脳の発達」です。「ピッチピッチ チャップチャップ」という擬音語の連続は、音の模倣(オノマトペ体験)を促します。子どもが音を真似する行動は言語発達と密接に関わっており、繰り返し歌うことで語彙が定着しやすくなります。大正14年に作られた歌が今も歌われているのは、このリズムが子どもの発達特性と高い親和性を持つからです。

2つ目は「語彙力の底上げ」です。「じゃのめ」「ねかた」「かしましょか」などの文語的な表現は、日常会話では出てこない語彙です。保育士が意味を補いながら歌うことで、子どもの語彙の幅が広がります。子どもの語彙力は乳幼児期に急拡大することが知られており、質の高い語彙に触れる環境が語彙量の伸びに影響します。童謡は語彙を豊かにする教材として機能します。

3つ目は「情操・共感力の育成」です。3〜5番に登場する「あのこ」への傘貸しのエピソードは、他者の困りごとに気づき、行動するプロセスをストーリーとして体験させます。結末を歌詞が語り切らないのも重要な点で、「あのこは喜んだかな?どうなったかな?」と子どもが想像できる余白が残っています。この余白が、共感力や想像力を育てる素地になります。

以上をまとめると、「あめふり」は音楽・語彙・情操の3領域を同時に育てられる童謡です。保育士がただ「楽しい歌だから歌いましょう」で終わらせず、歌詞の背景と構造を理解した上で届けることで、子どもへの教育的効果が格段に高まります。

「じゃのめ」「ずぶぬれ」「ねかた」の意味をひとつ補足するだけで、子どもの世界の解像度が変わります。雨の日こそ、この歌を丁寧に歌ってみてください。

参考:保育と童謡・情操教育の効果(CORE学術論文)

CORE:保育における童謡(PDF)

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