白鳥の湖のあらすじを短く・保育士向けにやさしく解説
白鳥の湖のハッピーエンドは、実は1877年の初演には存在しませんでした。
白鳥の湖の登場人物と基本情報をおさえよう
白鳥の湖は、ロシアの作曲家ピョートル・チャイコフスキー(1840〜1893年)が手がけたバレエ作品です。チャイコフスキーが生み出した「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」とあわせて”チャイコフスキー三大バレエ”と称されており、世界中のバレエ団が上演する定番中の定番演目となっています。
初演は1877年3月4日、モスクワのボリショイ劇場で行われました。つまり初演からすでに約150年が経過した、まさに長寿の名作です。
登場人物を把握しておくと、あらすじがぐっと理解しやすくなります。
| 登場人物 | 説明 |
|---|---|
| 🦢 オデット | 白鳥に変えられた王女。夜だけ人間の姿に戻れる。 |
| 🤴 ジークフリート王子 | オデットに恋をする王国の王子。 |
| 😈 ロットバルト | オデットに呪いをかけた悪魔。フクロウがモチーフ。 |
| 🖤 オディール | ロットバルトの娘。オデットに化けて王子を騙す黒鳥。 |
| 👸 王妃 | 王子の母。王子に花嫁を選ぶよう迫る。 |
ここで大切なのが、白鳥(オデット)と黒鳥(オディール)は同じバレリーナが一人二役で演じるという点です。清楚で儚い白鳥と、妖艶で大胆な黒鳥をまったく同じダンサーが演じ分ける様子は、この作品最大の見どころのひとつ。子どもたちに話す際も「同じ人が違うキャラを演じるんだよ」と伝えると、強い興味を引き出せます。
なお、悪魔ロットバルトのモチーフがフクロウであることは、意外と知られていない豆知識です。演出によっては衣装にフクロウの羽根をあしらった姿で登場するため、注目してみると面白いでしょう。
参考:登場人物や作品情報の詳細はこちら
【簡単解説】バレエ「白鳥の湖」のあらすじ・登場人物・見どころ|BalletLab
白鳥の湖のあらすじを短く・4つの場面で理解する
白鳥の湖のストーリーは、大きく4つの場面(幕)に分けて理解すると短くシンプルに整理できます。保育士として子どもたちにお話しする際も、この4場面の構成を押さえておくと非常に便利です。
【第1幕】王子の成人パーティー🎉
舞台はドイツのある王国。成人を迎えたジークフリート王子のお祝いパーティーが開かれています。そこへ王子の母・王妃が現れ、「明日の舞踏会で花嫁を選びなさい」と命じます。まだ結婚する気になれない王子は憂鬱なまま、贈り物の弓を持って夜の森へ白鳥狩りに出かけます。
【第2幕】湖のほとりでオデットに出会う🦢
静かな湖のほとりで、王子は美しい白鳥を見つけて弓を向けます。するとその白鳥がたちまち美しい女性に姿を変えました。これがオデット姫です。彼女は「悪魔ロットバルトに呪いをかけられ、夜の間だけ人間に戻れる」と明かします。この呪いを解けるのは、まだ誰にも愛を誓ったことのない男性の真実の愛だけと言います。王子とオデットは互いに惹かれ合い、恋に落ちますが、夜明けとともにオデットは白鳥の姿に戻ってしまいます。
【第3幕】舞踏会での裏切り💔
城の大広間で花嫁選びの舞踏会が始まります。各国から集まった花嫁候補と踊りながらも、王子の心はオデットのことで頭がいっぱい。そこへ悪魔ロットバルトが登場し、オデットそっくりに化けた娘・オディールを王子に紹介します。魔法で騙された王子はオデットと間違えてオディールに愛の誓いを立ててしまいます。その瞬間、ロットバルトは本性をあらわして高笑い。だまされたと気づいた王子は湖へと急ぎます。
【第4幕】結末と二人の愛の行方⚡
湖のほとりでは、愛の誓いが破られたと知ったオデットが深く悲しんでいます。駆けつけた王子は懸命に謝罪し、オデットは王子を許します。しかしロットバルトが現れて二人の前に立ちふさがり、王子とロットバルトの激しい戦いが始まります。結末はここで2つに分かれます。これについては次の見出しで詳しく解説します。
以上が白鳥の湖のあらすじを短く整理したものです。「呪いをかけられた王女」「真実の愛」「悪魔の策略」という3つのキーワードだけ覚えておけばOKです。
白鳥の湖の結末はハッピーエンドと悲劇の2種類ある
白鳥の湖の結末には、世界中のバレエ団が採用する2パターンが存在します。これは保育士として子どもに説明するうえでも、ぜひ知っておきたい重要な知識です。
🌟 ハッピーエンドバージョン
王子がロットバルトとの戦いに勝利し、悪魔の力を打ち破ることで呪いが解けます。オデットは白鳥の姿から人間に戻り、二人は晴れて結ばれるというハッピーエンドです。新国立劇場バレエ団やKバレエカンパニーなど、多くのバレエ団でこのバージョンが採用されています。子ども向けに紹介する際はこちらが適しています。
😢 悲劇(バッドエンド)バージョン
王子はロットバルトとの戦いに挑みますが、呪いを完全に解くことはできません。愛の誓いが破れてしまった以上、呪いは永遠に解けないと悟ったオデットと王子は、ともに湖に身を投げます。そして死後の世界でようやく二人は永遠に結ばれる、という悲劇の結末です。
これが「オリジナルに近い」とされるバージョンで、チャイコフスキーが1877年に初演した際はこちらに近い内容でした。結末はバレエ団ごとに異なります。
子どもに伝える場合はハッピーエンドで話を締めるとよいでしょう。年長クラスの5〜6歳児なら「悲しいお話もある」と補足するとかえって興味を引くことがあります。意外ですね。
参考:結末の詳細と演出の違いについて
白鳥の湖|バレエ発表会の定番演目のあらすじ紹介|ムースタジオ
白鳥の湖が150年愛され続ける意外な理由と初演失敗の話
白鳥の湖は現在「バレエの金字塔」と呼ばれるほどの名作ですが、実は1877年の初演は大失敗に終わったことはあまり知られていません。これは保育士が子どもに語る際の「へえ」ネタとしても使えます。
当時のモスクワ・ボリショイ劇場での初演は、評論家からも観客からも酷評を受けました。失敗の原因はいくつかあると言われています。まず、それまでのバレエ音楽は「踊りを引き立てるための単純なリズム音楽」が主流でしたが、チャイコフスキーは交響曲のように複雑で豊かな音楽を作ったため、当時の振付師には対応が難しかったとされています。また、初演を担当したバレリーナがチャイコフスキーの音楽を「退屈だ」と評したという記録まで残っています。
その後チャイコフスキーは1893年に亡くなりますが、没後の1895年にマリウス・プティパとレフ・イワノフが大幅に改訂・再演したところ、大絶賛を受けて世界的な名作の地位を確立しました。現在上演されている版の多くはこのプティパ=イワノフ版が元になっています。
この話は子どもたちに「最初は失敗してもあきらめなかったから、今も世界中の人に愛される作品になったんだよ」とポジティブなメッセージとして語ることができます。白鳥の湖のあらすじを短く話すだけでなく、こうしたエピソードを一言添えるだけで子どもの心に深く刺さる話になります。
また、この作品の音楽には「情景」「ワルツ」「4羽の白鳥の踊り」など保育現場でも親しみやすい曲が多数含まれています。「4羽の白鳥の踊り」はテンポよくカチカチと足を踏むリズミカルな踊りで、子どもたちが音楽を聴いた瞬間に「知ってる!」と反応してくれることも多いです。
参考:初演失敗の詳細と改訂の歴史
バレエの名作『白鳥の湖』を徹底解説!「初演失敗説」や演出の違い|opera-hearts
保育士が白鳥の湖を子どもに伝える際の工夫とポイント
白鳥の湖のあらすじを短く子どもたちに話すとき、どのような工夫をすると伝わりやすくなるでしょうか。年齢別に押さえるべきポイントを整理します。
🧒 3〜4歳児(未満児・低年齢クラス)向け
3〜4歳の子どもには、複雑なストーリーよりも「感情」を中心に伝えるのが効果的です。「昼間は白い鳥になっちゃう女の子がいてね、夜になると人間に戻れるの」というように、場面の絵を頭に浮かべられる短い言葉で話しましょう。難しい語彙は使わず、「悪い魔法使いにやられちゃった」「王子様が助けようとしたんだ」という言い換えで十分です。
🧒 5〜6歳児(年中・年長クラス)向け
5歳以上になると「なぜ?」「どうして?」という疑問を持つ力が育ってきます。「どうして白鳥に変えられたの?」「呪いはどうすれば解けるの?」という問いかけ形式で話すと、子どもたちが自分で考えながら聞けます。登場人物の名前(オデット、ジークフリートなど)も少しずつ使ってみましょう。これが語彙力の発達にもつながります。
年長クラスなら、バレエダンサーが32回連続で回り続ける「グラン・フェッテ」という技があることを伝えてみるのも面白いです。「コマみたいに32回ずっと回り続けるんだよ」と言うと、子どもたちは目を輝かせます。これは保育士として白鳥の湖のあらすじを短く伝える際の「おまけ豆知識」として大変好まれます。
📖 絵本を活用する
講談社から出版されている絵本「バレエ名作絵本 白鳥の湖」(石津ちひろ・文)は、子ども向けにやさしいことばで書かれており、読み聞かせにも最適です。絵本を見せながらあらすじを短く補足説明することで、子どもたちの視覚と聴覚の両方から物語を届けられます。
参考:講談社の子ども向け白鳥の湖絵本
バレエ名作絵本 白鳥の湖(石津ちひろ・文)|講談社公式ページ
また、音楽と一緒に楽しむ方法もあります。チャイコフスキーの「白鳥の湖」組曲は保育の「お昼寝BGM」や「自由遊びのBGM」として使われることもあります。あらすじを知った後に音楽を流すと、子どもが「あ、この曲、白鳥の湖の曲だ!」と反応してくれることが増えます。知識と体験が結びつくこの瞬間が、情操教育の核心です。これは使えそうです。
白鳥の湖を保育のなかで活かす・独自視点の活用アイデア
保育士が白鳥の湖のあらすじを短く理解するだけでなく、実際の保育活動に取り込むアイデアを紹介します。これは検索上位記事にはあまり書かれていない、保育現場ならではの活用法です。
🎨 製作活動:白鳥の羽を作ろう
白鳥の湖の話をした翌日の製作活動に、「白い羽を作ろう」という工作を取り入れてみましょう。画用紙や白い折り紙を使って羽を作り、腕につけて「白鳥になりきる」ごっこ遊びに発展させることができます。子どもたちはオデット姫になりきって、音楽に合わせて両腕を広げてみるでしょう。この活動は身体表現と情操教育を同時に育む点で非常に効果的です。
🎵 音楽鑑賞:「4羽の白鳥の踊り」を聞こう
保育のなかで「4羽の白鳥の踊り」を流し、「この曲が流れているときはどんな気分になる?」と子どもたちに聞いてみましょう。「うれしい」「跳びはねたい」「踊りたい」などさまざまな言葉が飛び出します。こうした「音楽を聴いて感じたことを言葉にする」活動は、感情表現力の向上につながります。白鳥の湖のあらすじを短く話した後にこの活動を行うと、物語と音楽が結びついて理解がより深まります。
🌊 自然観察:本物の白鳥を調べてみよう
白鳥の湖をきっかけに、実際の白鳥についてみんなで調べる活動も面白い展開です。「本物の白鳥ってどんな鳥なんだろう?」と問いかけてみましょう。白鳥は日本ではコハクチョウ・オオハクチョウ・ナキハクチョウなどの種類があり、冬になるとシベリアなどから日本に渡ってきます。物語から実際の動物や自然へと興味を広げることで、知的好奇心を引き出せます。
🗣 ロールプレイ(ごっこ遊び)
年長クラスなら、白鳥の湖の簡単なロールプレイも可能です。「王子様役」「白鳥役」「悪魔役」に分けて、セリフなしで身体表現だけで物語を再現してみましょう。保育士があらすじを短くナレーションしながら進めるだけで、子どもたちは自然に動き始めます。身体を使った表現遊びは、自己表現力と協調性の両方を育てます。
この種の活動は、子どもたちが「知っている物語を自分で演じる」という達成感も生まれるため、クラス全体の連帯感にもつながります。白鳥の湖のあらすじを短く・正確に理解しておくことが、こうした活動の土台になります。これが条件です。
参考:子どもの音楽鑑賞と情操教育について


