楽器紹介で吹奏楽の曲を保育に活かす方法

楽器紹介・吹奏楽・曲の選び方と保育への活かし方

吹奏楽の「楽器紹介ステージ」では、子どもが静かに座って聴かなくても問題ありません。

🎺 この記事でわかること
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楽器紹介に使われる定番曲の種類

ディズニー・ジブリ・童謡など、子どもが反応しやすい吹奏楽の楽器紹介曲を具体的タイトルとともに紹介します。

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楽器の種類と聴かせ方のポイント

木管・金管・打楽器それぞれの特徴と、保育の現場で子どもが楽器に興味を持つための伝え方を解説します。

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保育現場での活用アイデア

訪問演奏・コンサート観賞・保育活動への連携など、吹奏楽の楽器紹介曲を保育にうまく取り入れるための実践的な方法をご紹介します。

楽器紹介で吹奏楽が使う曲の定番ジャンルとは

 

吹奏楽の楽器紹介用の曲には、いくつかはっきりした「定番ジャンル」があります。ただ演奏するだけでなく、「この楽器は○○の部分を担当しています」と聴衆に楽器の個性を伝えることが目的なので、曲の選び方にはルールがあるのです。

まず最もよく使われるのが、ディズニー楽曲です。「ミッキーマウス・マーチ」「小さな世界」「星に願いを」「リメンバー・ミー」「ハイ・ホー」といった曲は、子どもから大人まで耳なじみがあり、保育の場でも特に喜ばれます。ウィンズスコアが販売している「楽器紹介のための ミッキーマウス・マーチ」(編曲:郷間幹男、グレード3、演奏時間約3分40秒)は、マーチ調の馴染みあるイントロで始まり、木管・金管・打楽器が順番にフィーチャーされる構成になっています。これが定番として使われています。

次に人気なのがスタジオジブリ楽曲です。「となりのトトロ」「崖の上のポニョ」「千と千尋の神隠し」「魔女の宅急便」などは保護者世代にも刺さります。「楽器紹介のためのスタジオジブリ曲集」(編曲:郷間幹男、ウィンズスコア)や「楽器紹介のためのファンタジーメドレー」などの楽譜が市販されており、吹奏楽団がコンサートで演奏しやすい形に整えられています。これは使えそうです。

さらに童謡メドレー保育現場との相性が特に良いジャンルです。「春がきた」「牧場の朝」「里の秋」「夏の思い出」など馴染み深い曲を楽器ごとにソロで担当するアレンジ(例:岩井直溥 編曲「新・童謡オープニング」、演奏時間約6分55秒)は、子どもが知っているメロディで楽器の音色の違いを自然に感じ取れます。つまり、曲のジャンルが子どもとの距離感を決めるということですね。

ジャンル 代表的な曲 子どもへの効果
ディズニー ミッキーマウス・マーチ、小さな世界 知っている曲で集中しやすい
ジブリ となりのトトロ、崖の上のポニョ 映像記憶と結びつき感情が動く
童謡 春がきた、夏の思い出 保育室で歌っている曲と一致し親しみやすい
クラシックメドレー くるみ割り人形、カルメン 重厚な音に驚きが生まれる

参考:楽器紹介用の吹奏楽楽譜を豊富に取り揃えた楽譜専門サイト。実際の商品ページで演奏時間・グレード・使用曲を確認できます。

楽器紹介カテゴリ|ウィンズスコア

楽器紹介で使われる吹奏楽の楽器の種類と特徴まとめ

楽器紹介の目的は「楽器の存在を知ってもらう」ことなので、どの楽器がどんな音を出すのかを把握しておくと、保育の場でも子どもに言葉で補足説明がしやすくなります。楽器が基本です。

吹奏楽の楽器は大きく「木管楽器」「金管楽器」「打楽器」の3グループに分かれます。

🎶 木管楽器グループ

  • フルート・ピッコロ:息を横に当てて音を出す金属製の楽器。高音域を担当し、小鳥のさえずりのような透明感ある音色が特徴。ピッコロはフルートの半分ほどの大きさ(長さ約32cm≒文庫本の対角線ほど)で1オクターブ高い音が出ます。
  • クラリネット:リードを振動させる木管楽器。約4オクターブという広い音域を持ち、吹奏楽の中では「バイオリン」的な存在。柔らかい音から力強い音まで幅広い表現が可能です。
  • サクソフォン(サックス):金属製のボディを持ちながら木管楽器に分類される楽器。ジャズでの存在感が有名ですが、吹奏楽でも重要な役割を担います。人気ランキングでは常に1位(島村楽器調べ)をキープする花形楽器です。
  • オーボエファゴット:2枚のリード(ダブルリード)を使う楽器。独特の甘い音色が特徴で、楽器紹介では「個性の強いソロ」として記憶に残りやすい楽器です。

🎺 金管楽器グループ

  • トランペット:3本のバルブで音程を変える高音楽器。バンドの花形で、明るく力強い音色は子どもが最も「わかりやすい」と感じる楽器のひとつです。
  • ホルン(フレンチホルン):丸く巻かれた管が特徴の中音域楽器。広げると管の長さが約6m(大人が両腕を広げた長さの約3倍)にもなります。ギネス世界記録で「金管楽器の中で最も難しい楽器」に認定されています。
  • トロンボーン:スライドを動かして音程を変える楽器。音の滑らかなつながり(グリッサンド)が独特で、楽器紹介では視覚的にも目を引きます。
  • ユーフォニアム・チューバ:中低音〜低音を担当する楽器。チューバはバンド最大の管楽器で、体の大きさと豊かな低音のギャップが子どもに驚きを与えます。

🥁 打楽器グループ

  • スネアドラム・バスドラム・シンバル:楽曲のリズムと骨格を支える楽器群。特にバスドラムは低音の振動をお腹で感じられるため、子どもの反応がとても大きい楽器です。
  • ティンパニ:大きな鍋を逆さにしたような形の金属製ドラム。音程の調整ができる珍しいドラムです。
  • 鍵盤打楽器(グロッケンマリンバ・ビブラフォン):メロディーが弾ける打楽器。子どもが「あ、知ってる音!」と反応しやすい楽器です。

楽器の種類が多いほど、楽器紹介の時間はバラエティに富みます。保育の現場で事前に「今日はこんな楽器が来るよ」と絵本や写真で見せておくと、子どもの集中度がさらに高まります。

参考:吹奏楽の各楽器の特徴・音域・役割を詳しく解説した記事。楽器紹介の事前学習に役立ちます。

吹奏楽の楽器一覧と特徴を徹底解説|ミュージック・ラグ

楽器紹介のためのファンタジーメドレーなど人気曲の構成と特徴

楽器紹介専用にアレンジされた吹奏楽曲の中でも、特に保育や子ども向けコンサートで頻繁に演奏されるのが「楽器紹介のためのファンタジーメドレー」(編曲:郷間幹男、ウィンズスコア)です。

この曲はディズニーの人気楽曲「星に願いを」「リメンバー・ミー」「ハイ・ホー」「ジッパ・ディー・ドゥー・ダー」「ビビディ・バビディ・ブー」「パート・オブ・ユア・ワールド」をメドレー形式でつなぎ、各曲で異なる楽器のセクションにスポットライトを当てる構成になっています。グレード3(中級)、演奏時間は約5分10秒です。子どもが知っている曲が次々に登場するため、飽きにくく最後まで楽しめます。

同じシリーズの「楽器紹介のための 小さな世界」(ウィンズスコア)は、ディズニーの名曲「Small World」をベースに、ピッコロ・フルート→クラリネット→サックス→ホルン→トランペット→トロンボーン→チューバ→打楽器と、吹奏楽の楽器をほぼ全部紹介できる曲構成になっています。曲の知名度が高く、保育園の子どもたちでも「あ、知ってる!」と反応が出やすいのが特長です。

また「楽器紹介のためのスタジオジブリ組曲」(大阪桐蔭高校吹奏楽部の演奏でも有名)は、「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」「崖の上のポニョ」「魔女の宅急便」などジブリ作品の楽曲で楽器紹介をする構成です。保護者世代と子ども世代の両方が楽しめるため、保育園の訪問演奏で採用されることも増えています。いいことですね。

さらに「楽器紹介も兼ねたポップスステージ用メドレー」として岩井直溥編曲の「新・童謡オープニング」(演奏時間約6分55秒)は、各楽器が「春がきた」「牧場の朝」「夏の思い出」などの季節の童謡を担当する曲で、保育園の季節の行事とテーマを合わせやすいのが魅力です。

  • 🎠 楽器紹介のためのファンタジーメドレー:ディズニー名曲メドレー形式、約5分10秒、グレード3
  • 🌍 楽器紹介のための 小さな世界:吹奏楽の全楽器を網羅した構成、子どもが反応しやすい
  • 🌿 楽器紹介のためのスタジオジブリ組曲:ジブリ複数作品をパート別に担当、保護者にも好評
  • 🌸 新・童謡オープニング:季節の童謡で楽器紹介、保育の月案テーマと合わせやすい

参考:楽器紹介専用のメドレー楽譜を実際に試演した団体の感想や楽曲選定の経緯が読める記事です。

スポットを当てるために~楽器紹介のためのファンタジーメドレー|さらすばてぃ

吹奏楽の楽器紹介曲を保育活動に取り入れる実践アイデア

楽器紹介の曲を「聴かせるだけ」で終わらせると、子どもの記憶に残りにくいです。保育士がひと工夫加えることで、子どもの学びと楽しさが一気に広がります。保育現場での活用が原則です。

① コンサート前の「楽器あてゲーム」で事前準備をする

訪問演奏や出張コンサートの前日・当日朝に、楽器の写真カードを使って「今日来る楽器はどれかな?」と問いかけてみましょう。楽器の名前を3つ覚えているだけで、本番での子どもの集中度が格段に上がります。フラッシュカードは市販品(例:くもん出版「楽器カード」)を使うと手軽です。

② 「音当てクイズ」を楽器紹介に組み込んでもらう

コンサートを企画する際、演奏者側に「目を閉じて、どの楽器の音か当てるコーナーを入れてほしい」とリクエストすることができます。大阪桐蔭高校吹奏楽部などの訪問演奏でも実際に取り入れられているプログラムです。目が閉じている間は聴覚が集中するため、耳の発達にも良い刺激を与えます。

③ 楽器紹介の後に「楽器作り」遊びを繋げる

楽器紹介でトランペットやドラムを体験した後に、牛乳パックや空き缶を使った手作り楽器遊びを取り入れると、「本物と自分の作ったものを比べる」という発見が生まれます。「本物のチューバはどんな音だったね?」と振り返ることで、記憶の定着も促されます。

④ 保護者向けに楽器紹介の曲名を共有する

コンサートで使われた楽曲名(例:「小さな世界」「となりのトトロ」)を連絡帳やクラスだよりで保護者に伝えると、家庭でも「あの曲!」と親子で話題にできます。これが保育との連続性を生む大切な一手です。

吹奏楽の楽器紹介コンサートは、保育現場が外部の音楽団体に依頼することも可能です。地元の中学・高校の吹奏楽部や市民吹奏楽団に「訪問演奏のお願い」として連絡すると、無料〜数千円程度で来てもらえるケースが多くあります。訪問演奏の依頼経路に迷う場合は、各都道府県の「吹奏楽連盟」や市区町村の教育委員会に問い合わせるのが一番スムーズです。

参考:保育施設で出張コンサートを活用した事例と、コンサートが子どもにもたらす効果を詳述した記事。

本物の音楽体験で子どもの感性を育む!出張クラシックコンサート|マイナビ保育士

保育士が知っておきたい吹奏楽の楽器紹介曲の独自視点:「知ってる曲」より「知らない音」が子どもの感性を伸ばす

ここは多くの保育現場では語られない、少し踏み込んだ視点です。「楽器紹介は子どもが知っている曲じゃないと集中しない」と考えている保育士も多いはずですが、実際には逆のアプローチが効果的な場合があります。

国立音楽大学の研究や各種保育現場のレポート(例:仏教大学「幼児の能動的参加を促すコンサートの試み」2017年)では、子どもたちが「一度も聴いたことのない音」に対して強い好奇心を示すことが示されています。特に4〜5歳は聴覚が最も発達する時期で、この時期に多様な楽器音に触れることで脳の聴覚野の神経細胞の数が増えると言われています。知らない音だからこそ意外ですね。

具体的に言うと、ファゴットのダブルリードが生み出すユーモラスで低めの音色、ホルンのベルに手を入れてくぐもった音を出す「ゲシュトップ奏法」、トロンボーンのスライドを最大に伸ばした時の「ブォーン」という音など、「はじめて聴く独特な音」への子どもの反応は非常に大きく、演奏者との距離が縮まるきっかけになります。

つまり「知っている曲で引きつける+知らない音で感動させる」という二段構えが、子どもにとって最も豊かな楽器紹介体験になるということです。これが保育の視点からの最適解です。

もし保育現場で楽器紹介を企画するなら、コンサートの前半に「ミッキーマウス・マーチ」などの親しみある曲で楽器を紹介し、後半にファゴットやホルンの特殊奏法を1〜2つ体験コーナーとして加えるという構成が実践的です。子どもが「この楽器、なんか変なのに好き」と感じる体験が、音楽への長期的な興味につながります。これが条件です。

参考:生演奏が子どもにもたらす効果と、保育者が演奏者と連携して子どもの能動的な参加を引き出す方法を論じた学術的な実践報告。

幼児の能動的参加を促すコンサートの試み|仏教大学リポジトリ(PDF)

金管楽器: トランペット ホルン ほか (演奏者が魅力を紹介!楽器ビジュアル図鑑(図書館用特別堅牢製本図書))