フラジオレット記号の意味と保育士が知っておくべき楽譜の読み方
フラジオレット記号を「ただの飾り」だと思っていると、ピアノ伴奏で音が2オクターブ高くなりクレームになることがあります。
フラジオレット記号の基本的な意味と楽譜上の表記方法
フラジオレット(Flageolet)とは、弦楽器や管楽器で「倍音(ハーモニクス)」を発音させるための奏法、およびその指示記号のことです。楽譜上では主に「◇(ひし形)」の音符、または音符の上に「○(小さな白丸)」を付けた形で表記されます。
この記号が登場したとき、演奏者は通常の押さえ方ではなく「弦に軽く触れるだけ」「特定のポジションで管を半開にする」などの特殊な運指を行います。結果として、通常の音より1〜2オクターブ高い、ガラス質の澄んだ音色が生まれます。意外ですね。
保育士の方が最初に混乱しやすいのは、「◇の音符=フラジオレット記号なのか、それとも別の意味があるのか」という点です。実は楽器によって意味が微妙に異なります。弦楽器(バイオリン・チェロ)では◇がフラジオレット、管楽器(フルート・ホルン)では○が使われることが多く、どちらも「倍音奏法の指示」という点は共通です。
つまり「記号の形」と「使われる楽器」を合わせて確認するのが基本です。
| 楽器種別 | 記号の形 | 音の変化 |
|---|---|---|
| 弦楽器(バイオリン等) | ◇(ひし形音符) | 1〜2オクターブ上の倍音 |
| 管楽器(フルート等) | ○(音符上に白丸) | 1オクターブ上の倍音 |
| ギター | ◇または harm. 表記 | 自然ハーモニクス音 |
保育現場で使う楽器の楽譜にこの記号が出てくることは多くありませんが、合奏発表会用の楽譜や市販のアレンジ楽譜では稀に登場します。知っておくだけで損はありません。
フラジオレット記号が保育士の楽譜読みに与える影響と注意点
保育士が日常的に扱う楽譜はピアノ伴奏譜や鍵盤ハーモニカ用の楽譜が中心です。こうした楽譜にフラジオレット記号が登場する頻度は低いですが、弦楽アレンジや合奏譜、あるいはギターコード譜を使う場面では出てくることがあります。
問題になるのは「記号を見落とした場合」です。
フラジオレット記号を無視してそのまま通常の音で演奏すると、本来1〜2オクターブ高く響くべき音が平坦になり、曲全体のバランスが崩れます。たとえば合奏発表会で弦楽器担当の子どもが正しくハーモニクスを出し、伴奏の先生が記号を読み落とすと、音が合わなくなります。これは子どもも保護者も「何かおかしい」と気づくレベルのズレです。
厳しいところですね。
特にギター伴奏を行う保育士は注意が必要です。ギター楽譜では「harm.12」「harm.7」のように、フレット番号と組み合わせてフラジオレット奏法が指示されることがあります。「harm.12」は12フレット上で軽く弦に触れて弾くことで1オクターブ上の自然ハーモニクスを出す指示で、これを知らずに通常のコードで弾くと音が全く異なります。
また、保育士養成校のカリキュラムでは「フラジオレット記号」を明示的に教える機会がほぼないという現状があります。独学や現場経験で補うしかない部分なので、こうした情報を事前に把握しておくと実務でのトラブルを防げます。
記号の見落とし防止には、楽譜を受け取ったときに「◇の音符」「音符上の白丸○」を先にチェックする習慣をつけることが有効です。確認する癖をつけるだけで大丈夫です。
フラジオレット記号の音楽的な仕組み:倍音とハーモニクスの基礎知識
フラジオレット記号が指示する「ハーモニクス(倍音)奏法」は、音の物理的な性質を利用した演奏技術です。弦や管の中で振動する音波には「基本音」と「倍音」が重なって存在しており、特定のポジションを軽く押さえることで基本音を消して倍音だけを取り出すことができます。
弦楽器で例えると、弦の全長を1とした場合、弦の中点(1/2の位置)に軽く触れて弾くと1オクターブ上の音が鳴ります。弦の1/3の位置では1オクターブと5度上の音になります。これが「自然ハーモニクス」の仕組みです。
🎻 ハーモニクスの音程変化の目安。
- 弦の1/2ポジション → 1オクターブ上
- 弦の1/3ポジション → 1オクターブ+完全5度上
- 弦の1/4ポジション → 2オクターブ上
この仕組みを知っておくと、子どもたちに「なぜ同じ弦から違う音が出るの?」と聞かれたときにも答えられます。これは使えそうです。
保育現場での音楽教育において、ハーモニクスの概念を幼児に直接教える機会は少ないですが、打楽器・弦楽器・鍵盤楽器の「音の出る仕組み」を保育士が理解していることは、子どもの「なぜ?」に応える上で大切な土台になります。
倍音の豊富な楽器(弦楽器・木管楽器など)は「音色が豊か」と感じられる理由もここにあります。つまり倍音の構造が楽器の「声」を決めているということです。
保育現場でフラジオレット記号が出てくる楽器と具体的な対応法
保育士が実際に直面しやすい場面ごとに、フラジオレット記号への対応をまとめます。
🎸 ギター伴奏の場合
ギター用楽譜に「harm.12」「◇」が表記されている場合、フレット番号の真上(フレットの金属バーの真上)に指先を軽く当てて弦を弾きます。押さえるのではなく「触れるだけ」が重要です。力を入れて押さえると通常の音になってしまいます。
harm.12(12フレット)は開放弦の1オクターブ上、harm.7(7フレット)は開放弦の1オクターブ+5度上の音が鳴ります。最初は音が出にくく感じますが、タッチの位置がフレット真上に来るとクリアな倍音が出ます。
🎻 合奏・発表会の弦楽器譜の場合
保育園・幼稚園での発表会に向けて弦楽器(バイオリン)を取り入れる園も増えています。バイオリン用楽譜で◇の音符が出てきたら、子どもに「弦にそーっと触れるだけで弾く音だよ」と伝えると理解しやすいです。5〜6歳の子どもでも「幽霊みたいな音」として楽しめる場合が多いです。
🎹 鍵盤ハーモニカ・ピアノ譜の場合
鍵盤楽器の楽譜にフラジオレット記号が登場することはほぼありません。ただしピアノのグランドピアノ演奏では「弦を直接触れる特殊奏法」としてスコアに記載されることがあります。通常の保育現場では関係ありませんが、知っておいて損はない知識です。
対応法は楽器によって異なりますが、共通点は「軽く触れる・半開にする」という身体的なイメージです。楽器別に1つずつ覚えれば十分です。
フラジオレット記号を子どもに教える保育士独自の視点:音遊びへの応用
フラジオレット(ハーモニクス)の「ガラスのような澄んだ音色」は、子どもたちの感性を刺激する素材として実は非常に優れています。これは保育士ならではの視点です。
通常の音楽指導では「正確な音程を出す」ことに集中しますが、フラジオレット音を使った「音遊び」のアプローチは、子どもたちに音の多様性・不思議さを体験させる入口になります。
具体的な保育活動への応用例。
- 🌟 「幽霊の声」ゲーム:ギターや弦楽器でハーモニクス音を出し、「これは何の音に聞こえる?」と子どもたちに問いかける
- 🌟 音の違いを探す活動:同じ弦で「普通の音」と「ハーモニクス音」を弾き比べ、音色の違いを耳で感じさせる
- 🌟 絵本と組み合わせる:星・妖精・魔法をテーマにした絵本の読み聞かせに、BGMとしてギターのハーモニクス音を重ねる
3〜5歳の子どもは「同じ楽器から違う音が出る不思議さ」に強い関心を示す傾向があります。音楽を「演奏するもの」だけでなく「探索するもの」として提示することで、好奇心の引き出し方も変わってきます。
このような音遊びを継続的に取り入れると、子どもの「音感」と「表現力」が自然に育ちます。いいことですね。
保育士向けに音楽遊びのアイデアをまとめた書籍としては、鈴木出版の『保育の音楽あそびアイデアブック』などが参考になります。音遊びの引き出しを増やしたい方は確認してみてください。
フラジオレット記号の知識は、楽譜を正確に読む力だけでなく、子どもたちとの音楽体験をより豊かにするための武器になります。記号の知識が保育の質に直結するということです。
