調理法と保育と食育
調理法の保育の食育で手遊び歌を導入にする
保育園の食育は、栄養の知識を“教える”よりも、生活の流れの中で「気づく」体験を積み上げるほど定着しやすいです。厚生労働省の食育指針でも、子どもが身近な大人の援助を受けながら食の体験を重ね、「食を営む力」の基礎を培うことが重要だと整理されています。特に「料理と食」では、身近な食材を使って調理を楽しむことや、準備から後片付けまで食事づくりに関わることが示されています。厚生労働省「楽しく食べる子どもに～保育所における食育に関する指針」：食育の考え方と「料理と食」の位置づけ
では「保育園での歌に興味がある人」向けに、調理法と食育を歌でつなぐときのコツを具体化します。ポイントは、歌を“余興”ではなく、活動の開始条件（合図）にすることです。たとえば「いただきます」や「給食のうた」など、食前の行動（手洗い→着席→姿勢→あいさつ）とセットの歌を固定すると、先生の声かけが減り、子ども側の自己調整が育ちます。食材が出てくる歌（おべんとう／カレー／野菜など）は、食材名が自然に繰り返されるので、語彙と食への関心が同時に増えやすいのも利点です。食べ物がテーマの手遊び歌は給食前の導入で関心を高められる、といった提案も保育者向け媒体で紹介されています。食べ物の手遊び歌：給食前の導入としての活用例（ねらいの立て方の参考）
歌を導入にするときは、次の3点を決めるとブレません。
・🎵「いつ歌うか」：給食前／クッキング前／盛り付け前／片付け前など、行動の切り替え地点。
・🎯「何をねらうか」：食材への興味、衛生習慣、協力、咀嚼、感謝、季節感など。
・🗣「終わったら何を言うか」：歌の最後に、先生の一言を固定（例「今日は“ゆでる”だよ。色と匂いを見つけよう」）。
意外と効くのが「歌詞を覚えさせる」より「歌の後に観察の課題を1つだけ置く」やり方です。子どもは、観察課題があると同じ給食でも“研究”っぽくなり、苦手食材でも触れてみる入口が増えます。たとえば、にんじんが苦手な子が多い日は「オレンジの音（カリッ／ポリッ）を探そう」など、五感の言葉に置き換えると、食べる・食べないの二択がゆるみます。食育指針でも、食材の色・形・香りなどへの興味を持つことが「料理と食」の内容として示されています。厚生労働省「食育に関する指針」：食材の色・形・香りへの興味（料理と食）
調理法の保育の食育で年齢別の体験を設計する
クッキング保育をうまく回す最大のコツは、「メニューを選ぶ」より先に「工程を分解する」ことです。園の食育では、子どもが自ら調理し食べる体験を通して主体性が育つこと、また安全・衛生に配慮しながら扱いやすい食材・調理器具を用意することが示されています。つまり、“包丁が使えるか”より、“どの工程なら子どもが主役になれるか”が設計の起点になります。厚生労働省「食育に関する指針」：子どもの主体性と安全・衛生配慮（料理と食）
年齢別に、調理法を「動作」と「学び」に落とすと、活動が急に組み立てやすくなります。
【1～2歳の目安】
・🥄動作：ちぎる、つぶす、混ぜる、入れる、並べる（手づかみOKな範囲で）
・👀学び：食材の温度（冷たい／あったかい）、香り、手触り、色
・🍽つなげ方：完成品より“途中の変化”を見せる（例：つぶす前後で形が変わる）
【3～5歳の目安】
・🥣動作：計量っぽい遊び（スプーン何杯）、こねる、成形、盛り付けのデザイン
・🔥学び：調理法の違い（ゆでる／蒸す／焼く）、水分の変化、旬
・🤝つなげ方：役割分担（係）を作って協力し、最後に全員で配膳へ
この「変化を見せる」が食育では強力です。たとえば、同じ野菜でも「生→ゆでる→冷ます→和える」で、色、匂い、やわらかさが段階的に変わります。子どもは“食べる前から学んでいる”状態になるので、給食で出たときに「さっきの匂いだ」「この色はゆでたからだ」と、経験がつながりやすくなります。食育指針でも、身近な大人の調理を見ることや、食事づくりの過程で大人の援助を受けながら自分でできることを増やすことが示されています。厚生労働省「食育に関する指針」：調理を見る・手伝う体験（料理と食）
保育園の歌と組み合わせるなら、年齢に応じて「歌の役割」も変えると効果的です。
・乳児寄り：歌＝安心の合図（活動開始のルーティン）
・幼児：歌＝知識のタグ（今日の食材名、調理法、栄養の色分けなど）
・年長：歌＝発表の準備（誰かに伝える、家庭に持ち帰る）
とくに家庭連携を狙う場合、歌は「家庭でも再現しやすい教材」になります。園で歌った曲名だけでもおたよりに書くと、保護者が検索して家庭で一緒に歌い、食卓会話が増えやすいです。厚生労働省の食育指針でも、家庭や地域との連携、全職員での共通理解が重要だとされています。厚生労働省「食育に関する指針」：家庭・地域との連携、職員連携
調理法の保育の食育で衛生と安全を見える化する
クッキング保育は楽しい反面、衛生・安全の設計が曖昧だと、先生側の緊張が上がって“禁止事項だらけ”になりがちです。先に結論を言うと、衛生は「下処理→加熱→盛り付け」の3点で事故が起きやすいので、ここを“見える化”すると現場が安定します。保育所の調理体験活動に関する研究でも、衛生面は加熱前の下処理と加熱後の盛り付けに重要ポイントがある、と整理されています。保育所の調理体験活動：衛生は下処理と盛り付けが要点（研究資料）
見える化の具体例は、次のように「一枚のルール表」に落とします。文章が長いと守れないので、絵文字・短文で。
・🧼手洗い：歌が終わったら“手洗いの歌”→石けん→ペーパー（園ルール）
・🔪器具：触る順番を固定（ボウル→トング→皿、のように）
・🔥加熱：先生が担当、子どもは「湯気を見つける」「音を聞く」係にする
・🥗盛り付け：加熱後は“清潔ゾーン”として机を区切る（色テープでも可）
ここでの意外なポイントは、「火や包丁を使わない食育でも衛生の学びはできる」ことです。たとえば、すり鉢でごまをするような体験は、火や刃物を使わずに安全に参加でき、食への興味を育てる食育体験として提案されています。調理法＝加熱だけではなく、「つぶす」「する」「混ぜる」も立派な調理法だと示せると、年齢の低いクラスでも食育の幅が広がります。火や刃物を使わない食育体験（ごますり体験の提案）
加熱に関しては、施設の衛生管理ルールに沿った説明が必要です。大量調理施設衛生管理マニュアルでは、加熱調理食品は中心部が75℃で1分間以上（ノロウイルス汚染のおそれがある食品は85～90℃で…）のように加熱温度管理が示されています。園のクッキング保育で子どもが加熱工程に直接触れない場合でも、「中心まで火が通る」概念は“見える教材”として扱えます。厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」：加熱温度管理の基準
見える教材の例：
・🌡中心温度計（見せるだけでもOK）：数字が上がるのを「温度の歌」に合わせてカウント
・🕵️「危ない菌ごっこ」：加熱前ゾーンは触ったら手洗い、加熱後ゾーンは清潔な手で、というルールをゲーム化
・🧻ペーパータオルの使い方：一枚で拭く→捨てるを徹底（布タオルは園ルールに合わせる）
さらに、盛り付けは衛生だけでなく食欲に直結します。食育指針でも、盛り付けを考えることが「料理と食」の内容として明記されています。ここを「デザイン」として扱うと、偏食の入り口が増えます。食べられない子でも、盛り付け係として参加し、最後に自分の皿に“1つだけ置く”経験が作れます。厚生労働省「食育に関する指針」：盛り付けを考える（料理と食）
調理法の保育の食育で給食とクッキングをつなぐ
クッキング保育が単発イベントで終わってしまうと、「楽しかった」で終わりやすいです。給食とつなぐと、食育は“毎日の積み重ね”になります。食育指針でも、保育所での食事は「食を営む力」の基礎を培う場として一貫性・系統性をもって構成する必要がある、とされています。厚生労働省「食育に関する指針」：給食運営と一貫性・系統性
つなぎ方は難しくありません。おすすめは「同じ食材を、別の調理法で出す」ことです。
例）キャベツ
・クッキング：ちぎって塩もみ（生に近い）
・給食：スープで煮る（やわらかい）
・翌日：焼きそばで炒める（香ばしい）
ここで歌を使うと、子どもの記憶がつながります。
・🎵食材の歌（野菜が出てくる手遊び歌）→「今日のキャベツは“煮る”だよ」
・🎵給食前の歌→「煮ると、色・匂い・かたさが変わるね」
・🎵片付けの歌→「どの調理法が好きだった？」
また、調理法は「科学」でもあります。幼児は“水が消えた”“湯気になった”“やわらかくなった”といった変化に強く反応します。調理の言葉を増やすと、会話が増え、食事が“共同作業”になっていきます。名阪食品のような給食事業者の情報発信でも、嫌いな食べ物の豆知識紹介や、見た目・におい・感触などを観察することが方法として挙げられています。観察が入ると「食べる前に納得する」子が増え、挑戦の心理的ハードルが下がります。食育の工夫例：豆知識や五感観察で興味を引き出す
給食とつなぐときの運用のコツは、記録を“作品”にすることです。
・📸写真：工程（ちぎる→混ぜる→盛る）を3枚だけ貼る
・📝コメント：子どもの言葉を短く（「あついにおい」「キャベツがちいさくなった」）
・🎶歌：今日歌った曲名を添える（家庭で再現できる情報になる）
食育指針でも、実践の経過や結果を記録し、評価・改善につなげることが必要だと述べられています。先生の負担にならない記録の型を先に決めるほど、継続がラクになります。厚生労働省「食育に関する指針」：記録・評価・改善
調理法の保育の食育で歌と衛生を結ぶ独自視点の設計
検索上位に多いのは「ねらい」「指導案」「簡単メニュー」「衛生」ですが、現場で実際に効くのに語られにくいのが「歌を“衛生オペレーション”に組み込む」設計です。つまり、歌を情緒的な導入ではなく、衛生手順のトリガー（開始条件）にするという発想です。これは、衛生指導が“注意される時間”になりがちな問題を、行動科学的にやわらげます。食育指針でも、食欲は調理法の工夫だけでなく生活全体の充実（遊び・睡眠などのバランス）によって増進されるとされ、日常の流れの中で組み立てることが示唆されています。だからこそ、歌＝生活の流れの一部として設計するのが合理的です。厚生労働省「食育に関する指針」：食欲は生活全体の充実と関連
独自視点として提案するのは「衛生の3曲ルール」です。曲名は園の定番で構いません。
・🧼手洗いの曲（短い）＝スタートの合図
・🥕食材の曲（長め）＝観察・調理の時間
・🙏あいさつの曲（定型）＝食べる前の切り替え
この3曲を固定すると、先生側の声かけが減って手順が安定します。加えて、子ども同士が歌で注意し合えるようになるのが大きいです（「まだ手洗いの歌だよ」など）。結果として、衛生の指導が“叱る”から“習慣”へ移り、クッキングが教育活動として成立しやすくなります。クッキング保育の衛生管理では、手洗いの重要性が繰り返し語られており、手洗いの徹底は基本中の基本として扱われています。クッキング保育の衛生管理：手洗いなどの基本（現場向けの注意点）
さらに一歩踏み込むなら、「歌詞の一部を園のルールに差し替える」のではなく、「歌の後に言う一言だけ固定する」のが現実的です。著作権のある歌詞を無理に改変して配布すると扱いが難しくなる場合がありますが、先生の“決め台詞”なら問題が起きにくく、全職員で統一もしやすいです。たとえば、手洗い後は必ず「指のあいだ、親指、手首まで」を唱える、加熱の前は「先生が火、みんなは湯気を見る」など、短く固定しておくと、年度途中で入った先生でも同じ運用ができます。食育は全職員の共通理解のもと計画的・総合的に展開する必要がある、という指針の趣旨にも合います。厚生労働省「食育に関する指針」：共通理解のもとで計画的に展開
最後に、読者（保育園での歌に興味がある人）がブログ記事として価値を出しやすい“締めのネタ”を置きます。
・🎤「歌→調理法→給食」の流れを作ると、食育が“作品”になる
・🧪調理法は科学（変化を見る）として語れる
・🧼衛生は叱るより「歌で手順化」すると回る
・🏠家庭連携は「今日の歌」を伝えるだけでも始まる
次の一歩として、園の定番の手遊び歌を1つ選び、「その歌の後に言う一言（ねらい）」を何にするか決めてみてください。
