ビーバーの歌の歌詞を保育で活かす全知識
「ビーバーのダム」の歌詞は、実は小学2年生の国語教科書に登場する説明文と同じ内容を扱っている。
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ビーバーの歌「ビーバーのダム」の歌詞全文と背景
「ビーバーのダム」は、NHK Eテレ『ピタゴラスイッチ』のオリジナルソングとして2002年の放送開始当初から使われてきた楽曲です。作詞は内野真澄・佐藤雅彦、作曲は内野真澄・栗原正己、歌は栗原正己が担当しています。番組全体の監修者である慶應義塾大学の佐藤雅彦教授が関わっているだけあって、歌詞は子どもが楽しめるリズムでありながら、内容の正確さに徹底的にこだわっています。
歌詞の全文は以下の通りです。
| フレーズ | 内容のポイント |
|---|---|
| つくる つくる つくる ビーバーは ダムつくる | ビーバーの代名詞であるダム建設をリズムよく導入 |
| かじる かじる たおす こまかくして はこぶ | 歯で木をかじって倒し、小さく砕いて運ぶという手順を歌で表現 |
| どろと えだで かためる みずを せきとめる | 泥と枝を組み合わせてダムを作り、川の流れをせき止める |
| かじる かじる たおす ときどき ごはんたべる | 作業の合間に食事をする、リアルな生活感が描かれている |
| かわをせきとめて いけつくる いけのなかに いえがある | 池を作り、その中に巣(ロッジ)を置く構造を説明 |
| いえのいりぐちは みずのなか おおかみも コヨーテも はいれない | 巣の入り口が水中にある防衛機能を具体的に歌っている |
| まんがいちを かんがえて でいりぐちは にかしょ | 出入り口が2か所あるという、実際の巣の構造を反映 |
| なかは とてもかいてき くうきとおす あなもある | 内部は快適で換気穴まである、高い建築精度を表現 |
| うまれながらの けんちくか ネズミのなかま げっしるい | ビーバーがげっ歯類であるという分類学的事実を歌詞に盛り込む |
| よるかつどうする やこうせい ダムがこわれれば すぐなおす | 夜行性という特徴と、修復行動のすばやさを表現 |
| ビーバー およぐの とくい りくじょうでは のろのろ | 得意・不得意を正直に歌うことで、個性を肯定するメッセージ |
| ビーバー ビーバー がんばる こうして いきる こうして がんばる | ビーバーの生き方そのものを、応援するように締めくくる |
「ビーバーのダム」は「ピタゴラスイッチ」の本編だけでなく、ミニコーナー版でも繰り返し放送されてきた人気曲です。つまり歌詞は正確です。
2002年の放送開始から20年以上愛されてきた曲だということですね。保育現場では知らない保育士さんのほうが少ない、それほど定番の楽曲です。
ビーバーの歌の歌詞に秘められた生態の正確さ
「ビーバーのダム」の歌詞が優れているのは、単に楽しいメロディというだけでなく、動物の生態を驚くほど正確に反映している点にあります。歌詞を一つひとつ実際のビーバーの生態と照らし合わせると、その精度の高さがよくわかります。
まず「ネズミのなかま げっしるい」というフレーズについて。ビーバーは実際にげっ歯目(ネズミ目)ビーバー科に分類される動物です。体重は約20〜30kgで、げっ歯類の中ではカピバラに次いで2番目に大きい仲間です。子どもたちはネズミのイメージをビーバーに重ねにくいかもしれませんが、これは事実です。
次に「よるかつどうする やこうせい」という部分。ビーバーは確かに夜行性で、動物園でも午前中は寝ていることが多く、活発に動くのは午後から夜にかけてです。高知県立のいち動物公園の観察によると、午前中は寝ていて午後からプールで泳ぐ姿が見られるとされています。
「いえのいりぐちは みずのなか おおかみも コヨーテも はいれない」というフレーズも正確です。実際のビーバーの巣(ロッジ)は水中に入り口があり、泳げない天敵が侵入できない構造になっています。オオカミやコヨーテは実際にビーバーの天敵であり、歌詞で固有名詞として登場させていることは、子どもに具体的なイメージを与える点で非常に効果的です。
「でいりぐちは にかしょ」という部分も事実と一致しています。ビーバーの巣は「万が一」のことを考えて2か所の出入り口を備えていることが、実際の生態研究で確認されています。
さらに「くうきとおす あなもある」は実際の巣の構造を指しています。巣内部は水面より高い場所に乾いた床が設けられており、換気のための穴も設計されています。このような高度な建築技術を持つのは、人間以外では唯一ビーバーのみと言われています。
歌詞の情報量が多いということですね。保育士として歌詞の背景知識を持つと、子どもの「なんで?」に答えられます。
アニコムペットにはビーバーの生態について詳しくまとめられた記事があり、参考になります。
森の建築家!ビーバーを見るとき知っておきたいマメ知識を紹介(アニコム損保)
ビーバーの歌を保育園で歌うときのねらいと活用法
「ビーバーのダム」を保育現場で取り入れる場合、どのような「ねらい」を持って活用すればよいのかを考えてみましょう。この歌には、保育士が意識的に活用できるポイントが少なくとも3つあります。
1つ目は、動物への興味・関心を引き出すという点です。ビーバーは日本では動物園以外でなかなか見られない動物ですが、歌詞を通じて「どんな動物か」が具体的にイメージできます。歌った後に「ビーバーってどんな顔だと思う?」「歯は何色だと思う?」と問いかけると、子どもの想像が広がります。実はビーバーの前歯はオレンジ色をしています。歯に含まれる鉄分が木のタンニンと反応して酸化するためで、これは子どもが驚くトリビアの一つです。
2つ目は、語彙力の育成です。「げっしるい」「やこうせい」「けんちくか」といった言葉は3〜5歳でも繰り返し歌えば自然に口から出るようになります。ただ語彙を暗記させるのではなく、歌のリズムの中で楽しみながら覚えることができます。これはリトミックや音楽的アプローチが子どもの言語発達に有効であるという保育学の研究知見とも一致しています。
3つ目は、自己肯定感へのつながりです。「ビーバー およぐの とくい りくじょうでは のろのろ」というフレーズは、得意なことと苦手なことが誰にでもあるというメッセージを持っています。泳ぐのは得意でも陸では遅い、それがビーバーの生き方です。子どもたちが「自分も得意なことがあればいい」と感じられる歌として使えます。
これは使えそうです。特に3〜5歳クラスで自己理解を深める保育活動とセットにするとよいでしょう。
4〜5歳向けの使い方として、歌を歌いながら絵カードを使う方法があります。「かじる」「はこぶ」「かためる」「せきとめる」の4枚を準備し、歌詞に合わせてめくる活動は、語彙とストーリーの理解を同時に促します。カードはA4で印刷しやすいイラスト素材が無料配布されているサイトもあるので、保育準備の時間短縮にも役立ちます。
ビーバーの歌の歌詞と小学校国語「ビーバーの大工事」のつながり
保育士として知っておくと特に価値があるのが、「ビーバーのダム」という歌と、小学校2年生の国語教科書(東京書籍)に掲載されている説明文「ビーバーの大工事」との内容的なつながりです。これはほとんどの保育士が知らない、見落としがちな視点です。
「ビーバーの大工事」は、小学2年生で扱われる代表的な説明文です。その内容は「木を切り倒すビーバー」「ダムを作るビーバー」「巣を作るビーバー」の3つの部分で構成されており、情報と情報の順序や関係を理解する力を育てることをねらいとしています。大阪市立豊崎小学校の指導案によると、全5時間の単元として設定され、「ビーバークイズ」を作る活動なども含まれています。
小学校の説明文の内容と、保育園で子どもたちが歌ってきた「ビーバーのダム」の歌詞が重なっていることは、幼小接続(保育から小学校への接続)の観点から非常に意味があります。「かじる・たおす・はこぶ・かためる」という工程の順番は、説明文でも同じ流れで記述されています。つまり保育園でこの歌を歌った経験が、小学2年生での読解力の土台になり得るということです。
小学校入学後に「ビーバーの大工事」を読んだとき、歌詞をすでに知っている子どもは読み取りがスムーズになる可能性があります。これは「就学前の音楽体験が学習の下地を作る」という幼小接続の好例と言えます。これは知っておくと得する情報です。
NHK教育・東京書籍両方のコンテンツが連動しているということですね。保育士として「ビーバーのダム」を意図的に活用する意義がより大きくなります。
小学校の国語授業でも「ピタゴラスイッチのビーバーのダム」を導入映像として活用する事例が報告されており、保育園と小学校が同じコンテンツを共有できる貴重な橋渡し素材になっています。
小2国語科「ビーバーの大工事」全時間の板書&指導アイデア(小学館 みんなの教育技術)
ビーバーの歌を「ただ歌う」だけで終わらせない、保育士独自の深め方
「ビーバーのダム」を多くの保育士はただ歌うだけで終わらせがちですが、歌詞の内容を深く理解したうえで活用することで、子どもたちの体験の質が大きく変わります。ここでは他のブログや保育書にはあまり載っていない、現場ですぐに試せるアイデアを紹介します。
ビーバークッキー作り体験との組み合わせという方法があります。「かじる かじる たおす」という歌詞に合わせて、スティック状のクッキーやプレッツェルをかじって形を変える活動です。食育と音楽活動を組み合わせた保育として、3歳以上のクラスで取り組めます。「ビーバーになりきって木をかじろう!」という声かけだけで、子どもたちの食事への興味が格段に上がります。
「得意と苦手」を話し合うサークルタイムへの導入として使う方法もあります。「ビーバーは泳ぐのが得意だけど陸はのろのろ、あなたの得意なことは何?」という問いかけで、4〜5歳の子どもの自己表現活動につなげることができます。この歌詞には、自分の個性を肯定するメッセージが込められています。
図鑑との連動活動も効果的です。歌を歌った後に「本物のビーバーを見てみよう」と動物図鑑を広げる時間を設けると、歌詞の「オレンジの歯」「水かきのある足」「平らなしっぽ」を実際に確認する探究活動になります。「げっしるい」という言葉を知っている子どもは、図鑑の索引から自分でビーバーのページを探せるようになります。
保育士がこの歌に込められた情報を事前に整理しておくことが、活動の深さにつながります。これが基本です。
絵本との組み合わせも検討する価値があります。ビーバーが登場する絵本としては『ビーバーのぼうけん』などがあり、歌詞→絵本→図鑑という順番で展開すると、子どもの探究心が持続しやすくなります。保育室に図鑑コーナーを作る際に「ビーバーのダム」の歌詞ポスターを隣に貼っておくだけでも、子どもの自発的な関心を引き出せます。
また「ダムがこわれれば すぐなおす」という歌詞をきっかけに、積み木やブロックで「ビーバーのダム」を作る構成遊びにつなげることもできます。川と池と家の位置関係を実際に手で作りながら理解する体験は、「なんとなく歌で知っている」を「わかって歌える」に変えます。以下の参考資料も保育への応用に役立ちます。
手遊び・遊び歌一覧(ほいくis)─ 保育で使える歌の実践情報が集まるページ

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