バスドラムと保育園と打楽器と楽器遊び

バスドラムと保育園と打楽器

保育園でバスドラムを使うときの全体像
🥁

ねらいは「正確さ」より「音の体験」

最初は正しいリズムにこだわりすぎず、音を出す楽しさに慣れる流れが安全でスムーズです。

🧤

事故対策は「移動」と「大きな音」

バチ等の長い物を持って移動しないルールと、音が苦手な子への配慮(イヤーマフ等)をセットで考えます。

🎵

合奏は「土台の拍」づくりが強み

バスドラムは低い音で全体の拍を支えやすく、合奏の一体感を作りやすい打楽器です。

バスドラムで保育園の楽器遊びのねらい

 

保育園の楽器遊びは、はじめから「正しく叩く」「合っているか」を求めるより、音を出す体験に慣れるところから始める方が失敗しにくいです。根拠として、楽器遊びの導入では「最初のうちは正しいリズムにこだわらず、音を出して遊ぶことに慣れる」ことがポイントとして示されています。さらに、誤った持ち方が怪我につながる点にも触れられており、ねらいと安全を同時に設計する必要があります。

具体的なねらいの立て方は、乳児と幼児で分けると指導案が書きやすくなります。乳児は「音が鳴る楽しさ・不思議さ」「音楽に合わせて体を動かす」など、体験を中心に置くのが整理しやすいです。幼児は「音感やリズム感」「音楽表現を豊かにする」など、表現や他者との協同(合奏)へ少し踏み出す形が自然です。

バスドラムは「低い音」「大きい音」が出せるため、子どもにとって“反応が大きい楽器”になりやすい一方、刺激も強い打楽器です。だからこそ「鳴らすこと自体」を目的にしつつ、活動の終わりには静かな音へ戻す“音の切り替え”もねらいに含めると、クラス運営のリズムが整います。例えば、最後は保育者が小さな音で一定の拍を出し、子どもは手拍子で合わせるなど、刺激量を落として着地させると落ち着きやすいです。

また、楽器遊びを「発表会の練習」に直結させすぎないのも重要です。日常の遊びとして音に触れておくと、生活発表会や演奏会で楽器に親しみが湧きやすいとされています。バスドラムは登場頻度が低い園もあるので、短時間でも“触れた経験”を積み上げる価値があります。

参考リンク(音遊び・楽器遊びのねらい、ポイント、事故対策、音が苦手な子への対応がまとまっています)

音遊び・楽器遊び【遊び方・ねらい解説】|保育士・幼稚園教諭の…

バスドラムで保育園の打楽器の安全

保育園でバスドラムを扱う場合、いちばん事故につながりやすいのは「叩く瞬間」より「移動」と「待機」です。楽器遊びの注意点として、バチやトライアングルのビーター等の長い物を使うときは「持って移動しない」ことが明確に示されています。バスドラムも同様に、バチを持ったまま歩く行動が起きない導線づくりが重要です。

運用のコツは、ルールを増やしすぎず、守れる形に絞ることです。例えば次のように、短い言葉で統一すると伝わりやすくなります。

  • 🛑「バチは座って持つ」
  • 🚶「持ったまま歩かない」
  • 🙋「鳴らしたいときは手をあげる」
  • 👀「先生の合図で叩く」

園児の年齢が上がるほど、言葉のルールだけでなく“見える仕組み”も効きます。床にテープで「バスドラムの前に立つ場所」を四角で示すだけでも、距離感が安定しやすいです。

音の刺激への配慮も、安全の一部として扱う必要があります。注意点として「大きな音や一度にたくさんの音を聞くのが苦手な子ども」への対応が挙げられており、イヤーマフを使う、音を一つに絞るなどの方法が示されています。バスドラムは低音の振動も含めて身体に響きやすいので、苦手な子がいるクラスほど「見学の席」「距離を取れる場所」「叩かない役割」を先に用意しておくと安心です。

さらに、保育者側の“叩かせ方”で事故リスクは下げられます。低年齢では「正しい持ち方は保育者が見せる」ことが推奨されているため、最初の数回は子どもにバチを渡す前に、保育者が安全な姿勢(座る・前を見る・腕を振り回さない)を短くデモするのが効果的です。

どうしても大人数で一斉に扱う場面では、バスドラムを「叩く楽器」から「合図の楽器」に位置づけ直す手があります。例えば「先生がドンと鳴らしたら止まる」「ドン・ドンで並ぶ」など、音が行動に直結する設計にすると、子どもがむやみに叩く時間を減らせます。結果的に安全にもつながり、保育の流れも作りやすくなります。

バスドラムで保育園の打楽器の叩き方

バスドラムを「園の打楽器」として扱うときは、演奏技術よりも“身体の使い方が安全であること”を優先します。教材資料として、大太鼓(バスドラム)は「前へ出した右足に重心を乗せ、ヘッドの中央付近を打つ」「残響は左手をヘッドに当てて調節する」といった基本が示されています。園の現場ではこの内容をそのまま教えるのではなく、子ども向けに噛み砕くと伝わります。

例えば、次のように短いフレーズにします。

  • 🥁「まんなかを、やさしく」
  • 🧍「足はしっかり、体は近づきすぎない」
  • ✋「止めたいときは手で“ぺたん”(先生がやる)」

中央を叩く意識は、音が安定するだけでなく、縁を狙って手やバチが滑るリスクを減らす効果も期待できます。叩く位置が定まると、周囲の子との距離も保ちやすくなり、活動全体が落ち着きます。

残響を左手で調節する奏法は、園では「保育者の技」として持っておくと便利です。低年齢の子が叩くと、思った以上に音が伸びてしまい、次の合図や歌が聞こえにくくなることがあります。そんなとき、保育者がさっとヘッドに手を当てて余韻を止めるだけで、クラスの音環境が整います。

また、バスドラムは「打てばすぐ大きな成果(音)が出る」ため、テンションが上がって連打になりやすい楽器です。そこで「叩く回数」にルールを作ると活動が締まります。

  • ルール例:1人1回「ドン」だけ、交代は先生の合図。

この形は、楽器遊びの導入として“正しいリズムにこだわらず音を出すことに慣れる”方針とも相性が良いです。最初は単発の「ドン」を集め、慣れたら「ドン(休み)ドン」など、休符を含む簡単な型へ移行すると、自然に拍や間が育ちます。

参考リンク(大太鼓(バスドラム)の基本姿勢・叩く位置・残響の調節など、奏法の要点が図解されています)

https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/ml-jh/files/kigaku_p98_mljh.pdf

バスドラムで保育園の打楽器の合奏

合奏でバスドラムを入れる最大の利点は、拍の“土台”を作りやすいことです。演奏会の活動では「音楽に合わせて楽器を鳴らす」ことが基本として示され、園に楽器が揃っている場合はアンサンブル(合奏)を組んで生活発表会で披露するのも良いとされています。バスドラムは旋律を担当しなくても、全体が同じテンポで進む感覚を支える役割を持たせやすいです。

合奏を成立させるために、保育園では「パートを増やしすぎない」のが現実的です。打楽器は種類が増えるほど一度に鳴る音が増え、音が苦手な子には負担になる可能性も指摘されています。そこで、最初は3役に絞ると運用しやすくなります。

  • 🥁バスドラム:1小節に1回だけ「ドン」(拍の合図)
  • 👏手拍子:みんなで一定の拍(保育者が支える)
  • 🔔鈴やタンバリン:サビだけ入る(音の密度を上げる場所を限定)

この構成だと、バスドラム担当の子が“スター”になりすぎず、全員が音楽に参加しやすいです。バスドラムは音量が出る分、担当が固定化すると「やりたい子」「怖い子」が分かれやすいので、交代制にして機会を均等にするとトラブルが減ります。

曲選びは、園で定番の歌に合わせると段取りが簡単です。演奏会のおすすめ曲として「むすんでひらいて」「大きな栗の木の下で」などが挙げられており、これらは歌い慣れている子が多いため、楽器は“添える”役割でも成立します。バスドラムは「歌の1拍目だけ」「フレーズの頭だけ」など、入れる場所を少なく設計するほど、合奏の成功率が上がります。

指導のコツは、合奏を“音楽”として教える前に、“合図のゲーム”として成立させることです。例えば「先生のドンで立つ、ドンで座る」を先に練習してから、同じ合図を曲に乗せると、子どもは迷いにくくなります。これは、音遊びの活動全体で「音に注目する」視点を育てるという狙いともつながります。

バスドラムで保育園の打楽器の独自視点

検索上位の“楽器紹介・安全・合奏”の話題に加えて、保育園でバスドラムを活かす独自視点として有効なのが、「音の余韻を使って“待つ力”を育てる」設計です。大太鼓(バスドラム)は叩くと低音が伸び、体感としても残響が残りやすい楽器なので、その余韻が消えるまでの数秒を“静かに待つ時間”に変換できます。残響を手で調節できることも示されているため、保育者が余韻の長さをコントロールし、活動のテンポを整えることも可能です。

この考え方を保育に落とすと、例えば次のような活動が作れます。

  • ⏳「ドン…(音が消えるまで待つ)…次の人」:待機の練習になる。
  • 👂「音当てクイズ」へ接続:バスドラムの音が消えたら次の音を鳴らす(集中の切り替え)。
  • 🧘「音集め」へ接続:室内・屋外、距離による聞こえ方の違いを比べる。

音当てクイズや音集めは、楽器の音だけでなく身近な音に気づく遊びとして紹介されており、保育室の活動として組み込みやすいです。バスドラムは“派手な楽器”と思われがちですが、こうした聴く活動の起点としても使えます。

また、音が苦手な子への配慮を「参加の工夫」に変えるのも独自性が出ます。イヤーマフ等の対応が示されている一方で、役割分担で負担を減らす方法も現場では有効です。

  • 役割例:叩く担当ではなく、「合図カードを出す」「順番を呼ぶ」「叩く場所の印を直す」係にする。

こうすると“楽器活動に参加している感”を保ちつつ、音刺激を調整できます。特にバスドラムは音量が大きいので、「叩かない参加」を正規の参加として扱うことが、クラス全体の安心感につながります。

最後に、保育者の現場感として見落とされがちなのが「バスドラムは保育者の声を消しやすい」という点です。大きな音が一度にたくさんあるのが苦手な子への注意が示されているように、音が増えすぎると指示が通りにくくなります。だからこそ、バスドラムを入れる日は“歌う・叩く・止まる”の切り替えを少なめにし、合図は視覚(手・カード)も併用すると、活動の質が上がります。


Pearl パール バスドラムパッド シングル・ツインペダル対応 BD-10