フォークダンス曲の定番を保育士が選ぶ年齢別ガイド

フォークダンス曲の定番を保育現場で活かす選曲と指導のすべて

定番曲と思って使ってきたマイムマイムは、実はまだ著作権が生きている楽曲です。

この記事でわかること
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年齢別おすすめ定番曲

3歳〜5歳それぞれに合ったフォークダンス曲と、選曲のポイントをわかりやすく解説します。

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各曲の起源と意味

ジェンカ・マイムマイム・コロブチカなど定番曲の背景を知ることで、子どもへの説明がもっと豊かになります。

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保育士が見落としがちな注意点

著作権・導入方法・アレンジのコツなど、現場で役立つ実践情報をまとめました。

フォークダンス曲の定番・ジェンカの起源と保育への導入ポイント

 

「ジェンカ」は、フィンランド発祥のフォークダンスです。フィンランド語で「Letka Jenkka(レトカ イェンッカ)」と呼ばれ、「列になって踊るフォークダンス」という意味を持ちます。1960年代に欧米で爆発的に流行し、日本では「レットキス」という名前でも親しまれてきました。

実は「レットキス」という日本語名は、フィンランド語の歌詞の一節を日本人が聞いて空耳で生まれた名前です。意外ですね。踊り方は「右・右・左・左・前・後ろ・前前前」とジャンプしながら進む、非常にシンプルな動きが特徴です。

保育現場でジェンカを導入するときは、まず先生が先頭になって一列で動く形がおすすめです。子どもたちは先生の後ろに自然に並ぶので、複雑な説明をしなくても形になります。3歳児クラスからでも取り入れられるのが大きな魅力です。

曲のテンポは最初ゆっくり始めてから徐々に速くするアレンジが子どもたちに喜ばれます。速くなるにつれて笑い声が増えていくのも、このダンスならではの楽しさです。これは使えそうです。

また、「じゃんけんジェンカ」としてアレンジするのも定番の遊び方です。音楽が止まったら向き合った子どもとじゃんけんをして、負けた子が勝った子の後ろにつく形で進みます。異年齢保育でも取り入れやすく、年上の子が年下の子に踊り方を教えるきっかけにもなります。

参考:文部科学省「世界のダンス・フォークダンス教材」より、ジェンカの踊り方と教育活用例

文部科学省|体育実技向上支援事業「世界のダンス」指導資料(PDF)

フォークダンス曲の定番・マイムマイムの意味と著作権に関する注意点

マイムマイムはフォークダンスの定番中の定番として、運動会やキャンプファイヤーで長年使われてきた曲です。「マイム」とはヘブライ語で「水」を意味し、砂漠の多いイスラエルで地下水を掘り当てた人々の喜びを表した踊りが起源です。

ここで多くの保育士が勘違いしているのが著作権についてです。マイムマイムは「イスラエル民謡=パブリックドメイン(著作権フリー)」と広く思われていますが、それは誤りです。実際にはイスラエルに著作権継承者がおり、現在も著作権保護期間中の楽曲です。著作権が条件です。

では、保育園での発表や運動会での使用はどうすればよいのでしょうか?JASRACが管理している楽曲であれば、保育園・幼稚園等の演奏・上演については一定の範囲で許諾が得られる場合があります。動画を撮影してSNSに投稿するケースでは、別途確認が必要です。JASRAC作品データベース「J-WID」で楽曲管理の状況を事前に確認しておくと安心です。

踊り方は、参加者が手をつないで輪になり、4方向にステップを踏みながら輪の中心に向かって駆け込むシーンが最大の盛り上がりどころです。子どもたちは中心に向かって走る「マイム!マイム!マイム!マイム!マイムベッサッソン!」の掛け声が大好きなので、事前に意味(水を見つけた喜び!)を伝えてから踊ると、子どもたちの表現が格段に豊かになります。

参考:JASRAC作品データベースで楽曲の管理状況を確認できます

JASRAC J-WID|作品データベース検索

フォークダンス曲の定番・キンダーポルカは3〜4歳児に最適な理由

キンダーポルカは、ドイツ語で「子どもたちのポルカ」を意味し、17世紀にヨーロッパ全土へ広まったとされるフォークダンスです。その名の通り、子ども向けに設計されたドイツ発祥の踊りで、保育現場では3〜4歳クラスへの導入に最も適した定番曲のひとつです。

最大の特徴は「指さしの動き」です。フィンガーダンスとも呼ばれるほどで、手や肩・膝などを叩いたり、指をさす振り付けが中心になります。複雑な足のステップが少ないため、まだ体の動かし方を学んでいる3歳児でも混乱せずに楽しめます。つまり保育導入のハードルが低い曲です。

踊り方の基本は、まず参加者同士が手をつないで輪を作り、右足から前にステップして左足を引き寄せる動きを繰り返します。その後、右足・左足と交互に足踏みしながら、曲に合わせて手や体を叩く動きが加わります。

導入のコツは、最初から音楽をかけず、先生と子どもたちが「手を叩いて〜、肩を叩いて〜」と確認しながらゆっくり振りを覚えることです。動きを体で覚えた段階で初めて音楽をかけると、「できた!」という達成感を感じやすくなります。これが基本です。

体育系の活動が苦手な子どもでも取り組みやすく、保育士がそばで一緒に踊ることで安心感も生まれます。子どもの自己効力感を育てる観点からも、キンダーポルカは優れた選択肢です。

参考:下伊那教育会によるキンダーポルカの解説(踊り方・特徴・歴史)

下伊那教育会|フォークダンスシリーズ「キンダーポルカ」

フォークダンス曲の定番・コロブチカとオクラホマミクサーは5歳児向けの理由

コロブチカとオクラホマミクサーは、ともに年長(5歳)クラスから導入するのに適したフォークダンスの定番曲です。どちらもパートナーと向き合う動きや、相手を交代しながら踊るステップが含まれており、一定の体力とコミュニケーション力が求められます。

コロブチカはロシアの民謡「行商人(コロベイニキ)」をもとにした曲で、若い行商人と村娘の恋物語がテーマです。男性が内側、女性が外側に向き合って円になり、ランニング・ショティッシュ・ステップ(右足から3歩前に進み4歩目でホップ)という特徴的な動きで踊ります。バランスステップでパートナーと手を取り合う場面は、子どもたちの照れ笑いが出る瞬間でもあります。厳しいところですね。

保育現場で「男女ペア」がどうしても難しい場合は、近くの友達と手をつなぐ形に変えるだけで十分に楽しめます。保育士側でペアを決めてから輪を作ると、スムーズに動き出せます。

一方のオクラホマミクサーは、アメリカのフォークダンスで「藁の中の七面鳥(Turkey in the Straw)」という曲に合わせて踊ります。基本ステップに回転を加え、特定のタイミングでパートナーを交代するのが醍醐味です。次々とパートナーが変わることで、普段あまり関わらない子どもどうしが手をつなぐ機会が生まれます。

この「手をつなぐ」という行為が、実は子どもの社会性発達において非常に重要です。手のひらから伝わる温かさや力加減の感覚は、言葉を使わないコミュニケーションの練習になります。フォークダンスが学校教育で長年使われてきた背景には、こうした人間関係の形成効果があると考えられています。

フォークダンス曲の定番を保育で活かすための独自視点:「振り付けより先に意味を教える」効果

一般的な保育でのフォークダンス指導は「まず動きを教えて、音楽に合わせて踊る」という流れで進めることが多いです。ところが実際の現場では、振り付けを覚えても気持ちが入らずにただ動くだけになってしまう子も少なくありません。そこで有効なのが、「振り付けより先に曲の意味を伝える」アプローチです。

たとえばマイムマイムなら「砂漠の国で水が見つかったときのうれしい踊りだよ。水を見つけてみんなで大喜びしてみよう!」と伝えるだけで、子どもたちの表情がまったく変わります。キンダーポルカなら「ドイツの子どもたちが肩や膝をポンポン叩いて遊ぶ踊りだよ」と言えば、体の部位を意識して動けるようになります。つまり言葉ひとつで踊りの質が変わります。

これは保育の世界における「意味ある活動」の概念とも一致します。子どもたちは「なぜこの動きをするのか」という文脈があると、活動への参加意欲と集中力が大きく高まります。特に4〜5歳児は「ごっこ遊び」的な想像力が豊かな時期なので、物語として伝えることが効果的です。

また、複数の国の曲をバランスよく取り入れることも重要です。たとえばジェンカ(フィンランド)・キンダーポルカ(ドイツ)・コロブチカ(ロシア)・マイムマイム(イスラエル)・オクラホマミクサー(アメリカ)の5曲をひとつの年度で使えば、子どもたちは自然と「世界にはいろんな国がある」という感覚を育てることができます。多文化理解が基本です。

さらに実践的なコツとして、最初は「全員で一列になるジェンカ」から始めて、慣れてきたら「輪を作るマイムマイム」に移行し、最後に「ペアを組むオクラホマミクサー」へ発展させる段階的な導入が効果的です。コミュニケーションの距離感を少しずつ広げていくイメージで組み立てると、子どもたちに負担をかけずにフォークダンスの世界を広げていけます。

参考:公益社団法人日本フォークダンス連盟による解説(フォークダンスの目的・効果)

公益社団法人 日本フォークダンス連盟|フォークダンスとは

(文庫)日本のフォーク&ロック史 (ソングライター・ルネッサンス)