ふるさとの歌 歌詞の意味と保育士が知っておくべき活用のすべて
「ふるさと」の歌詞は、実は文部省唱歌として著作権保護期間がとっくに終わっているのに、園だよりや発表会の資料に無断転載すると施設側が損害賠償を請求されるケースが年間複数件あります。
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ふるさとの歌 歌詞の全文と各番の意味をわかりやすく解説
「ふるさと」は、高野辰之が作詞・岡野貞一が作曲し、1914年(大正3年)に文部省唱歌として発表された日本を代表する童謡です。1番・2番・3番の3つの節で構成されており、それぞれが故郷への思いを異なる角度から描いています。
【歌詞全文】
| 番 | 歌詞 |
|---|---|
| 1番 | うさぎ追いし かの山 こぶな釣りし かの川 夢は今も めぐりて 忘れがたき ふるさと |
| 2番 | いかにいます 父母 つつがなしや 友がき 雨に風に つけても 思い出づる ふるさと |
| 3番 | 志を はたして いつの日にか 帰らん 山は青き ふるさと 水は清き ふるさと |
1番の「うさぎ追いし かの山」は、山でうさぎを追いかけて遊んだ幼い日の記憶を描いています。「こぶな釣りし かの川」の「こぶな」とは小さなフナのことで、川遊びの情景です。つまり、1番は子ども時代の無邪気な自然遊びの回想です。
2番は人間関係への思いが中心です。「いかにいます 父母」は「父や母は元気にしているだろうか」という問いかけであり、「つつがなしや 友がき」は「友人たちは変わりなく過ごしているだろうか」という意味です。「つつがなし」とは「病気や災難もなく無事である」という古語で、現代語では少し難しく感じるかもしれません。雨や風の日に、ふとふるさとのことを思い出すという感情が丁寧に表現されています。
3番は未来への誓いと帰郷の意志を歌っています。「志をはたして いつの日にか帰らん」は、夢を達成してからいつかきっと帰ろうという決意です。そして最後の「山は青き ふるさと 水は清き ふるさと」で、故郷の自然の美しさが変わらずあり続けることへの信頼が歌われています。
保育士として子どもに歌詞の意味を伝える際は、1番の「うさぎ追い」や「こぶな釣り」のような具体的な遊びのイメージから入ると、子どもがイメージしやすくなります。いきなり古語の説明から始めると子どもが混乱するため、まず絵や写真を使って情景を見せる方法が効果的です。これが基本です。
ふるさとの歌 歌詞に込められた情景と感情教育への活かし方
「ふるさと」の歌詞が持つ情感は、子どもの感情発達に豊かな栄養を与えます。保育の現場では「情操教育」という言葉がよく使われますが、この曲は特に「懐かしさ」「家族への愛着」「故郷への帰属意識」という3つの感情を自然に育てられる点で非常に優れた素材です。
懐かしさの感情は、幼児期から徐々に育まれます。「昔こんなことがあったね」という回想体験を歌詞と結びつけることで、子どもは自分の過去を肯定的に振り返る習慣が身につきます。実際に、保育所保育指針(厚生労働省)の「表現」領域でも、音楽を通じた感情表現の豊かさを育てることが明記されており、「ふるさと」はその実践例として長年活用されてきました。
家族への愛着という観点では、2番の歌詞「いかにいます 父母」が特に重要です。保育現場で子どもにこの部分を伝えるとき、「おとうさん・おかあさんのことを思う気持ちを歌っているんだよ」と噛み砕いて伝えると、子どもが歌に共感しやすくなります。これは使えそうです。
また、「ふるさと」は歌うタイミングによって子どもの心に刻まれ方が変わります。卒園前の3月に歌うと「別れ」の感情と結びつき、運動会や秋の行事に歌うと「収穫・感謝」の感情と結びつきます。同じ歌でも、文脈によって感情教育の効果が異なるということですね。
感情教育を深めるためのアプローチとして、歌い終わった後に「うさぎ追いって、どんな遊びだと思う?」「もし遠くに行ったら、誰のことを思い出す?」といった問いかけを行うと、子どもの言語化力も同時に育てられます。問いかけが子どもの内省を促すからです。
ふるさとの歌 歌詞を使った保育活動のアイデアと年齢別の伝え方
「ふるさと」は、幼児期の3歳〜6歳のどの年齢層でも扱えますが、年齢によって伝え方と活動内容を変えることが大切です。一律の指導では、子どもが歌詞の意味を理解できないまま、ただ「音の羅列」として覚えるだけになってしまいます。
3〜4歳児(年少・年中前半)向け
この年齢では歌詞の意味の細かい説明よりも、「メロディと雰囲気を楽しむ」ことが最優先です。「山や川の絵本を見せながら歌う」「うさぎのぬいぐるみを使って1番を演じる」といった体験型のアプローチが有効です。歌詞の理解より、音楽体験の蓄積が条件です。
4〜5歳児(年中後半・年長前半)向け
語彙が増えてくるこの年齢では、「こぶな」「つつがなし」といった難しい言葉を「むかしの言葉」として紹介し、絵カードや動画で補足する方法が効果的です。NHK for Schoolの「おかあさんといっしょ」シリーズや自治体の音楽教材CDなどを活用すると、保育士の説明を映像が補ってくれます。
5〜6歳児(年長)向け
年長クラスでは、3番の歌詞「志をはたして いつの日にか帰らん」を「大きくなったら夢をかなえて帰ってくるんだよ」と伝えると、卒園のテーマと自然にリンクします。子どもたちが自分の「夢」を言葉にしてみる活動と組み合わせると、記憶にも深く残ります。卒園式の練習に最適です。
| 年齢 | 活動例 | ポイント |
|---|---|---|
| 3〜4歳 | 絵本・ぬいぐるみを使って歌う | 雰囲気と音楽体験を優先 |
| 4〜5歳 | 絵カード・映像で言葉を補足 | 古語を「むかしの言葉」として紹介 |
| 5〜6歳 | 夢発表活動と組み合わせて歌う | 卒園テーマと連動させる |
どの年齢でも共通して大切なのは、「歌詞の暗記より感情の体験」を優先することです。正確に歌えるより、「あの曲、好きだな」という感情が残る方が、長期的な音楽教育の効果として価値があります。
ふるさとの歌 歌詞と著作権——保育士が見落としがちな使用上の注意点
著作権の問題は見落としがちです。「ふるさと」の作詞・作曲者(高野辰之・岡野貞一)はともに1947年以前に亡くなっており、著作権の保護期間(著作者の死後70年)はすでに満了しています。そのため、歌詞そのものや楽譜の使用は、現在パブリックドメインとして自由に利用できます。
ただし、「著作物がパブリックドメインであること」と「特定の音源や編曲がパブリックドメインであること」は別の話です。ここが混同されやすいポイントです。
たとえば、CDや配信サービスに収録されている「ふるさと」の音源には、そのレコード会社や演奏者が持つ「著作隣接権」が存在します。この権利は発売から70年間有効です。市販CDの音源を保育活動でBGMとして使うだけなら問題になりにくいですが、それを録音・編集して別の映像と合わせて配信したり、発表会の動画をYouTubeにアップしたりすると、著作隣接権の侵害になる可能性があります。
また、誰かが編曲した「ふるさと」の楽譜を無断でコピーして配布した場合、その編曲者の著作権を侵害することになります。園だよりや保護者向け資料に歌詞を印刷する行為は、歌詞本体がパブリックドメインであるため原則問題ありませんが、特定の楽譜出版社が出している楽譜を丸ごとコピーして配布するのは別の話です。楽譜の複製には注意が必要です。
安全に使用するための具体的な対策として、音源については「著作権フリー音源」を提供しているサービス(例:Musescore、NHKのウェブサイト上の教育コンテンツ)を利用することが確実です。著作権の不安を感じたときは、公益社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)のウェブサイトで使用許諾の確認ができます。
JASRAC(日本音楽著作権協会)公式サイト——楽曲使用の許諾申請や著作権保護期間の確認が行えます。保育活動での音楽利用について確認する際の参考に。
保育士だけが気づける「ふるさと」の歌詞の独自の読み方——子どもの自己肯定感につながる視点
これは一般的な解説書にはあまり載っていない視点です。「ふるさと」の歌詞を保育士の立場から読むと、この歌には「過去の自分を肯定する力」が込められていることに気づきます。
1番の歌詞は「昔こんな遊びをしていた」という、純粋な幼少期の回想です。大人が子ども時代を振り返るときに使う視点ですが、保育現場ではこれを逆転させて使うことができます。「今、あなたたちがやっていることが、大きくなったときの”ふるさとの記憶”になるんだよ」と伝えるのです。
この伝え方をすると、子どもは「今ここにいる自分の毎日」に意味を感じやすくなります。自己肯定感の土台の一つは「自分の過去を肯定できること」です。保育士がその視点を言葉にして歌と結びつけることで、「ふるさと」はただの伝統曲から「自分たちの今を肯定する歌」へと変わります。これが原則です。
また、3番の「志をはたして いつの日にか帰らん」は、卒園式で子どもたちに「夢を持つこと・挑戦すること」の価値を伝えるメッセージとして非常に効果的です。「卒園はゴールじゃない。夢に向かって進む出発点なんだよ」という保育士の言葉と組み合わせると、保護者の心にも刺さるメッセージになります。
感情と歌詞を結びつける具体的な活動として、「自分の好きなふるさとの場所を絵に描いて、みんなで歌う」という取り組みがあります。子どもが「自分のふるさと」を言語化・視覚化したうえで歌うことで、歌詞への共感が段違いに深まります。描いた絵を持ちながら歌うだけで、子どもの表情が変わります。意外ですね。
この活動は、保育所保育指針の「環境」「言葉」「表現」の複数領域を同時にカバーできる点でも、保育計画への組み込みやすさがあります。月案・週案への記載時には「音楽を通じた自己表現と情操教育」として位置づけると、指導案としての完成度が高まります。
厚生労働省「保育所保育指針」関連ページ——表現・言葉・環境領域の具体的な指針内容の確認に。保育計画を立てる際の公的な根拠として活用できます。

Annie / アニー

