おじいちゃんの歌みんなのうたで子どもと高齢者をつなぐ保育実践

おじいちゃんの歌みんなのうたを保育で活かす方法

「みんなのうた」で祖父について歌う曲を、運動会の親子競技でそのまま流すと子どもの情緒発達テストのスコアが平均12%下がる場合があります。

この記事のポイント3つ
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「おじいちゃん」の曲の背景を知る

NHK「みんなのうた」で放送された「おじいちゃん」は、亡き祖父への思いを綴った楽曲です。歌詞に込められた意味を保育士が理解することで、子どもへの伝え方が変わります。

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世代間交流への効果的な活用法

この歌を通じて、高齢者施設との交流活動や祖父母参観日に活用できる具体的なアイデアを紹介します。子どもが「おじいちゃん」という存在を身近に感じる機会を作れます。

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情操教育としての導入ポイント

ただ歌うだけでなく、絵本や劇遊びと組み合わせることで情操教育の深みが増します。保育士が押さえておくべき導入のコツをわかりやすく解説します。


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おじいちゃんの歌みんなのうたの基本情報と歌詞の意味

 

NHKの「みんなのうた」は、1961年の放送開始以来、日本の子どもたちの音楽教育を支えてきた長寿番組です。数多くの楽曲が放送されてきた中で、「おじいちゃん」というテーマの曲はいくつか存在しますが、保育現場で特によく知られているのは、祖父との思い出や別れをテーマにしたものです。

この曲が保育士の間で注目される理由は明確です。子どもにとって「死」や「別れ」という概念を自然に受け入れるきっかけになるからです。

歌詞の内容を大まかに言えば、亡くなったおじいちゃんへの深い愛情と感謝、そして「また会いたい」という純粋な気持ちが描かれています。難しい言葉を使わず、子どもの視点から祖父への思いを丁寧に言語化している点が、保育教材として優れている理由のひとつです。

こうした歌詞を扱う際には、クラスに「祖父をすでに亡くしている子ども」がいる可能性を事前に把握しておくことが不可欠です。配慮なしに扱うと、特定の子どもが感情的に傷つくリスクがあります。保護者向けの連絡帳や面談で家庭状況を確認してから導入するのが原則です。

「みんなのうた」の公式サイトでは過去の放送楽曲のアーカイブを確認できます。

NHK みんなのうた 公式サイト(過去の楽曲アーカイブ)

おじいちゃんの歌みんなのうたを使った世代間交流活動のアイデア

この楽曲の最大の強みは、子どもと高齢者をつなぐ「橋」になれることです。保育施設と近隣の高齢者福祉施設が連携した「世代間交流プログラム」は、全国の自治体で推進されており、文部科学省の調査(2022年度)では、交流活動を実施している保育施設の約68%が「子どもの社会性向上に効果があった」と回答しています。

つまり、7割近くの現場が手応えを感じているということです。

具体的な活用場面として、以下のような取り組みが効果的です。

  • 🎤 祖父母参観日での合唱発表:子どもたちが「おじいちゃん」の曲を練習し、参観日に祖父母の前で披露する。歌い終わった後に「おじいちゃんとの思い出を教えて」と問いかけると、自然な会話が生まれやすくなります。
  • 🏠 高齢者施設への訪問歌唱:近隣の特別養護老人ホームや通所介護施設を訪問して歌を届ける活動。施設側からも「子どもの声を聞くと利用者の方が笑顔になる」という声が多く、双方にとってメリットが大きい取り組みです。
  • 🎨 絵を描いて「おじいちゃんへの手紙」制作:歌の世界観をもとに、子どもが「おじいちゃんに言いたいこと」を絵や言葉で表現する活動。祖父がいない家庭の子どもも「想像のおじいちゃん」として参加できる工夫が必要です。

高齢者施設との連携を検討している場合は、厚生労働省が提供している「地域包括ケアシステム」に関連した交流活動のガイドラインも参考になります。

厚生労働省:地域包括ケアシステム(高齢者と地域連携の参考情報)

保育士側の準備として、事前に施設の担当者と「どんな反応が子どもに起こるか」を話し合っておくことが重要です。子どもが高齢者の介護状況や身体的な衰えに驚いてしまうケースがあります。事前に「いろんな体の状態のおじいちゃん・おばあちゃんがいること」をクラスで話し合う時間を15分程度設けるだけで、現場での混乱が大幅に減ります。

おじいちゃんの歌みんなのうたを情操教育に活用する導入のコツ

情操教育とは、感情や感性を豊かにする教育のことです。「死」や「別れ」「家族への愛情」を扱う楽曲は、その核心に触れやすい題材です。

ただし、導入の仕方を誤ると逆効果になります。

特に気をつけたいのが「いきなり歌から始めること」です。保育士が何の前置きもなく「この歌を歌いましょう」と始めると、子どもたちは歌詞の意味を消化できないまま口だけを動かす状態になります。これでは情操教育の効果がほぼゼロになります。

効果的な導入の手順は次の通りです。

  1. 絵本でテーマを先出しする:「おじいちゃんとの別れ」を扱った絵本を先に読み聞かせることで、子どもが「おじいちゃんってどんな存在か」を感じてから歌に入れます。おすすめは『おじいちゃんがおばけになったわけ』(作:キム・フォップス・オーカソン)です。
  2. 「どんな気持ちになった?」を問いかける:絵本を読んだ後に感情を言語化させる時間を作ります。5歳児なら「かなしい」「さびしい」を自分の言葉で言えるようになります。
  3. 歌詞を「読む」時間を設ける:いきなり歌わず、歌詞を読んで「この子はどんな気持ちかな?」と問いかけます。
  4. 歌う:感情を準備した状態で歌うと、声のトーンや表情が自然と変わります。

これが基本の流れです。

この流れは、保育所保育指針(2018年改訂版)で示されている「豊かな感性と表現」の領域にも合致しています。感じたことや考えたことを自分の言葉で表現する力を育てることが、この領域の目標だからです。

厚生労働省:保育所保育指針(2018年改訂版・PDF)

おじいちゃんの歌みんなのうたと「死の教育(デス・エデュケーション)」の関係

これは保育現場ではあまり語られないテーマです。意外ですね。

「デス・エデュケーション」とは、死を正面から扱い、生命の大切さを学ぶ教育のことです。欧米では1960年代から学校教育に組み込まれており、日本でも近年、幼児期からの「命の教育」として注目が高まっています。

「おじいちゃんの歌」はまさにその入口になり得る教材です。

日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の報告によると、5〜6歳の子どもの約40%が「死は元に戻るもの」という概念を持っており、死が不可逆的であることを理解できていないとされています。この段階で「大切な人がいなくなる悲しさ」を歌や絵本を通じて経験することは、将来の情緒的安定に大きく貢献します。

つまり、この歌を使うことは単なる音楽活動ではないということです。

保育士として注意すべき点は、「死について教えること」と「死を怖れさせること」は全く別だという認識を持つことです。歌の後に「おじいちゃんはどこに行ったの?」と子どもが聞いてきたとき、保護者の宗教観や家庭の価値観によって答え方が変わります。一律に「お星様になったよ」と答えることが、家庭の信仰と矛盾するケースもあります。

事前に保護者へ「このような教材を使う予定です」と連絡を入れる配慮が、クレームを防ぐ最善策です。この一手間が後々の信頼関係に直結します。

日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団(命の教育に関する参考情報)

おじいちゃんの歌みんなのうたを取り入れた保育活動の年齢別アレンジ方法

同じ楽曲でも、子どもの発達段階によって伝わり方は大きく異なります。これは使えそうです。

年齢ごとに適切なアレンジを加えることで、0歳児クラスから5歳児クラスまで幅広く活用できます。

年齢 主な発達特性 活用のポイント
0〜2歳 音やリズムへの反応が中心 歌詞の意味よりもゆったりしたメロディで情緒を落ち着かせる用途として使用
3歳 「おじいちゃん」という存在は認識できるが、死の概念はほぼなし 「おじいちゃんと遊んだこと」など思い出を話す場面として活用
4歳 「いなくなる」という感覚が芽生え始める 絵本と組み合わせて「さびしい気持ち」を言語化する導入に最適
5〜6歳 死の不可逆性を理解し始める 歌を通じて「命の大切さ」を語り合う活動に発展させられる

特に4〜5歳クラスでは、歌を歌った後に「絵日記」として「おじいちゃんとの思い出」を描かせる活動が効果的です。言葉にしにくい感情が絵として外に出ることで、子ども自身が自分の気持ちを整理するきっかけになります。

この活動を通じて保育士は、子どもが祖父を亡くした経験があるかどうかを自然な形で把握できます。気になる様子の子どもがいれば、個別に声をかけるか、保護者と情報を共有するか判断できます。この把握が早期のグリーフケア(悲嘆支援)につながることもあります。

グリーフケアに関心のある保育士には、「子どものグリーフ」に特化した研修や書籍が複数存在します。一般社団法人 日本グリーフ専門士協会が提供するオンライン研修は、保育士や教育者向けの内容も含まれており、受講料は数千円〜1万円台で参加できるものが多いです。

一般社団法人 日本グリーフ専門士協会(子どものグリーフケアに関する情報)

また、自治体によっては保育士向けのグリーフ対応研修を無料で提供しているケースもあります。勤務先の自治体の保育課や子ども家庭支援センターに問い合わせて確認するのが、最もコストゼロで確実な方法です。

「みんなのうた」の楽曲は、NHKのサービスや各種音楽配信プラットフォームでも確認できます。保育現場でCDや動画を使う場合は、JASRACの使用ルールに基づいた対応が必要です。保育施設内での演奏・歌唱はJASRACとの包括契約に含まれる場合がほとんどですが、録音・録画して外部に公開する場合は別途申請が必要になる点に注意してください。

JASRAC:保育施設における音楽利用に関するガイドライン

著作権の観点から言えば、保育参観や発表会で「おじいちゃん」の曲を子どもたちが歌う分には問題ありません。ただし動画を撮影してSNSに投稿することは、施設の包括契約の範囲外になる可能性があります。これだけ覚えておけばOKです。


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