桃の歌・童謡の歌詞と意味を保育士が丸ごと理解する
「うれしいひなまつり」の歌詞に、実は作詞者本人も認めた2つの間違いが潜んでいます。
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桃の歌・童謡「うれしいひなまつり」の基本情報と誕生の背景
「あかりをつけましょ ぼんぼりに」という歌いだしで誰もが知っている「うれしいひなまつり」は、作詞・サトウハチロー(山野三郎)、作曲・河村光陽(河村直則)によって1936年(昭和11年)2月に発表された日本の童謡です。桃の節句(3月3日)を彩る定番ソングとして90年近く歌い継がれており、今日でも保育園・幼稚園で毎年欠かさず歌われています。
この曲が生まれた背景には、作詞者サトウハチローの個人的な事情が色濃く反映されています。当時ハチローは子どもを引き取って離婚したばかりでした。寂しい思いをさせてしまった子どもたちのために雛人形セットを購入し、ひとときの楽しい時間を過ごした、その実体験をもとに書き上げた歌だと伝えられています。
実は、この曲のタイトルを正確に言える人は意外と少ないというデータがあります。「楽しいひなまつり」「おひなさまのうた」「あかりをつけましょ」と呼ばれることが多く、Googleの検索候補にもそれらの表現が並びます。正式名称は「うれしいひなまつり」です。保育士として子どもに伝える際は、まずタイトルから正確に教えましょう。
作曲した河村光陽は明治30年(1897年)に福岡県で生まれ、戦前から戦後にかけて活躍した音楽家です。「かもめの水平さん」の作曲者としても知られており、童謡をメインに数多くの名曲を残しました。この「うれしいひなまつり」は彼の代表作のひとつであり、日本独自の「陰旋法(いんせんぽう)」という音階をもとに作曲されています。
陰旋法が基盤にあることから、メロディーが短調(マイナー)に聞こえるのです。これについては次のセクションで詳しく解説します。
参考:歌詞の登場人物や曲の背景について詳しい解説が読めます。
うれしいひなまつり(サトウハチロー、河村光陽) 歌詞解説や悲話 – 弥生かげつブログ
桃の歌・童謡のメロディーが「暗く聞こえる」理由と子どもへの伝え方
「うれしいひなまつり」という明るいタイトルなのに、曲のメロディーはどこか物悲しく聞こえる、と感じた保育士の方は多いのではないでしょうか。これは気のせいではありません。
つまり短調で作られているということです。
この曲の原調はハ短調(♭3つ)、または移調したイ短調(調号なし)で演奏されることが多い、れっきとした短調の曲です。ピアノの鍵盤で確認してみると、長調の「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」とは異なる音の並びになっており、それが「どこか切ない」雰囲気を生み出しています。
では、なぜお祝いの歌なのに短調なのでしょうか?それは日本の伝統的な音楽観に理由があります。前述の「陰旋法」は、日本の雅楽や民謡に根ざした独特のスケールで、西洋音楽の短調とはまた異なる情緒を持っています。日本人にとっては「悲しい」というより「侘び寂びのある、しっとりとした美しさ」として受け取られる音階なのです。
子どもたちに歌い聞かせる際は、この「しっとりした美しさ」をそのまま表現することが大切です。無理に明るく元気よく歌おうとすると、逆に不自然に聞こえてしまうことがあります。ゆったりとした速さで、歌詞ひとつひとつをていねいに発音しながら歌うのが基本です。
また保育の現場では、歌いはじめる前に「ひな人形を飾る様子」や「桃の花の香り」を子どもたちがイメージできるような言葉がけをするとより効果的です。「ぼんぼりってどんな形かな?」「桃の花、見たことある?」といった問いかけを導入に使うと、歌への集中度が高まります。これは使えそうです。
参考:ひな祭りの歌の由来・意味・歌詞を詳しく解説しています。
誰もが知っているひな祭りの歌「うれしいひなまつり」 – 人形の東玉
桃の歌・童謡の歌詞に潜む「2つの間違い」と保育士が子どもに正しく教えるコツ
「うれしいひなまつり」の歌詞には、作詞者のサトウハチロー本人が晩年まで気にし続けた2つの間違いが含まれています。保育士として子どもたちに歌を教える立場であれば、これを把握しておくことはとても重要です。
間違い①「お内裏様とお雛様」
歌詞の2番には「おだいりさまと おひなさま ふたりならんで すましがお」という一節があります。歌の流れでは「お内裏様=男雛」「お雛様=女雛」と理解されがちですが、実はこれは誤りです。「内裏(だいり)」とは京都御所の中で天皇が住む場所を指す言葉であり、男雛と女雛のペア全体が「お内裏様(内裏雛)」と呼ばれます。つまり男女セットを指す言葉なのです。
間違い②「赤いお顔の右大臣」
歌詞の3番に「すこししろざけ めされたか あかいおかおの うだいじん」という部分があります。ひな壇をよく見ると、向かって右側の人形の顔が赤みを帯びているため「右大臣」と書いたのですが、実際にお酒(白酒)を召し上がって赤い顔をしているのは「左大臣」です。雛人形の右左は「雛人形から見た右左」で決まるため、対面から見ると左右が逆になります。この間違いはサトウハチロー本人も認めており、晩年はこの歌を歌いたがらなかったとも伝えられています。
間違いが間違いだとわかった段階でもう修正できないほど広まっていたというのは、意外ですね。
保育士として子どもへ説明する際は、「歌詞の内容と実際のひな人形を見比べながら話す」という方法が効果的です。「赤いお顔はこっちの人形かな?右かな、左かな?」と問いかけながら雛人形を指さしていくと、子どもたちも楽しみながら正しい知識を身につけられます。
| 歌詞の表現 | 正しい知識 |
|---|---|
| お内裏様=男雛 | お内裏様=男雛+女雛のペアを指す |
| 赤いお顔の右大臣 | 赤いお顔は左大臣が正しい |
参考:歌詞の間違いや雛人形の正しい呼び方について詳しく解説されています。
実は歌詞に間違いアリ!?童謡「うれしいひなまつり」 – JOCR ラジオトピ
桃の節句・桃の花が童謡に登場する理由と保育現場での深掘り話
なぜひな祭りに「桃の花」を飾るのか、なぜ「桃の節句」と呼ばれるのかを子どもから聞かれたとき、すらすら答えられる保育士はどのくらいいるでしょうか。
桃の花の魔除け効果が原点です。
古代中国では「桃の実は不老長寿を与える仙果」として崇められており、花にも「長寿」「魔除けの力」があると信じられていました。日本の『古事記』にも、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が黄泉の国から逃げ帰る際に、追いかけてくる鬼に桃の実を3つ投げつけて退散させたという記述があります。この「桃=魔を退ける力」という観念が、ひな祭りに桃の花を飾る習慣の根源となっています。
「桃の節句」という名称については、旧暦の3月3日の頃に桃の花が咲く時期と重なっていたことも理由のひとつです。ここで重要な豆知識があります。現在の暦(新暦)の3月3日は、桃の花がまだ咲いていません。桃の開花は地域にもよりますが概ね4月以降です。新暦3月3日に桃の花を飾りたい場合は、農家から取り寄せた促成栽培品や、花屋さんで購入する必要があります。
この「新暦と旧暦のズレ」という話は、年長クラスや小学校低学年向けの季節の勉強の導入として非常に興味深いテーマになります。「今日は3月3日だけど、昔の3月3日は今でいう4月ごろだったんだよ」という一言だけで、子どもたちが「えっ、なんで?」と前のめりになることが期待できます。
また、桃の節句は元々、老若男女を問わず邪気を払うための節句でした。「女の子のお祭り」として定着したのは江戸時代以降のことです。この背景を知ると、ひな祭りという行事がより立体的に見えてきます。保育の現場でも、単に「女の子のお祝い」として紹介するだけでなく、「みんなの健康を願うお祭りでもあったんだよ」と付け加えると、男の子も行事に親しみを持ちやすくなります。
参考:桃の花の魔除けの意味や桃の節句の由来を詳しく解説しています。
ひなまつりに「桃の花」を飾るのはなぜ? 年中行事に込められた意味 – note
桃の歌・童謡を2026年保育士試験(令和8年度課題曲)で攻略するポイント
2026年(令和8年度)の保育士実技試験・音楽分野の課題曲は「うれしいひなまつり」と「山の音楽家」の2曲です。この2曲を「幼児に歌って聴かせることを想定して」弾き歌いすることが求められます。
試験の採点基準で「求められる力」として明示されているのは「保育士として必要な歌、伴奏の技術、リズムなど、総合的に豊かな表現ができること」です。プロの演奏家のような技術は必要なく、子どもたちが正しく・楽しく歌えるように導ける力が問われています。
弾き歌いの際に意識すべきポイントは以下のとおりです。
- 🎤 歌詞をはっきり発音する:子どもが耳で歌詞を覚えるため、子音の発音が特に重要です。「ぼんぼり」「ごにんばやし」など複数の子音が連続する部分は、ゆっくり練習しましょう。
- 🎹 移調はOK:原調(ハ短調、♭3つ)が弾きにくい・歌いにくい場合は移調が認められています。調号のつかないイ短調への移調が人気です。ただし、移調後に弾きやすい楽譜かどうかも確認が必要です。
- ✅ ミスタッチは致命的ではない:四谷学院の15年以上の指導実績によると、「ミスタッチしてしまった」という受験生のほとんどが合格しています。完璧な演奏よりも、楽しそうに・明るく歌うことのほうが採点に影響します。
- 🎵 歌が最優先:伴奏は片手で弾けるくらいシンプルなアレンジでも問題ありません。歌が止まらないレベルの伴奏を選びましょう。
「知っている曲だからこそ思い込みで間違える」ことが毎年多く報告されています。練習開始前に必ず楽譜と照らし合わせ、自分が歌っているメロディーや歌詞が正しいか確認する習慣をつけましょう。「家族に聞いてもらったが家族全員間違えていた」というケースも実際にあります。
合格ラインは50点満点中30点です。実技試験の合格率は例年80%前後で推移しており、しっかり準備すれば確実に突破できます。
参考:2026年保育士試験の課題曲・弾き歌いのポイントが詳しく解説されています。
令和8年保育士試験の課題曲は「うれしいひなまつり」「山の音楽家」 – 四谷学院通信講座
桃の歌・童謡を保育現場でもっと楽しく歌うための独自アプローチ
保育士の多くは「うれしいひなまつり」を毎年3月に歌わせる行事ソングとして捉えがちです。しかし視点を変えると、この1曲から複数の学びが広がる「教材としての宝庫」でもあります。
雛人形は「ひとつの物語」であるということを最初に押さえましょう。雛飾りは帝と妃の結婚式を再現したもので、五人囃子は演奏楽団(5人編成=クインテット)、三人官女は宮廷に仕える女性たちです。歌詞にはこの「物語の登場人物」がすべて登場しており、歌いながら人形を指さしていくだけで、子どもたちは雛飾りの意味を体験的に理解できます。
具体的な保育への活用アイデアとして、年齢別に分けると次のようになります。
- 🍼 0〜1歳クラス:歌声とリズムを聞かせるだけでOKです。ゆったりした短調のメロディーは赤ちゃんの情緒を落ち着かせる効果があります。腕を左右にゆらゆらと動かしながら歌うと、乳児も楽しそうに反応します。
- 🐣 2〜3歳クラス:「ぼんぼり」「五人囃子」など、歌詞に出てくる道具や人物の絵カードを用意して「これはどれかな?」と指さしゲームをしながら歌うと、集中力が持続します。
- 🌸 4〜5歳クラス:歌詞の意味を簡単に解説しながら歌うと効果的です。「右大臣と左大臣どっちが赤い顔かな?」という問いかけを交えると、子どもたちが能動的に雛人形に興味を持ちます。「桃の花にはどんな力があると昔の人は信じていたと思う?」という問いかけも思考を深める導入として使えます。
また、「えんやら桃の木」というわらべうたも存在します。これは福岡県北九州市など西日本に伝わるわらべうたで、保育現場で子どもたちと体を動かしながら楽しめる曲です。歌詞には「桃の木」が登場し、体を揺らす動作と合わせて遊べるため、0〜2歳の乳児クラスの運動発達にも適しています。「うれしいひなまつり」との組み合わせで、ひな祭りシーズンを通じた「桃の歌シリーズ」として保育計画に組み込む方法もあります。
「桃の歌」を軸に行事・文化・音楽・言語すべてをつなぐ保育ができると、日々の歌の時間がより豊かになります。毎年同じように歌うだけでなく、今年は少し深掘りしてみることで、子どもたちにとっても保育士にとっても新しい発見がある活動になるはずです。
参考:ひな祭りの歌を保育園でどう説明するかの例文も含めて解説されています。
ひな祭りとは?由来や意味を保育園で子ども向けに説明! – 保育ラボ

トークバラエティー「ヒトトナリ!」#25~月組 七城雅 Part 1~

